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34 召喚された悪魔3 ~悪魔ベリアル~

2枚羽の黒い悪魔ベリアルは、ラファエラと俺の会話を黙って聞いていたが、一通りの会話を終え、ラファエラがゆっくりとベリアルに顔を向けて睨みつけると、今までの太々しい態度を改め、姿勢を正し綺麗なお辞儀をすると丁寧に挨拶を始めた。


『ラファエラさま。お久しぶりでございます』

ベリアルの態度は、俺を虫けらのように見下した態度と打って変わり別人のようだ。2人は面識があるのだろうか?ラファエラは明らかに怒っている。右手に持つ6枚の翼を模った杖の先端は、金色の火花が無数に覆い、小さい太陽のように輝きだした。小さい太陽から、溢れだした火花は、空間内に広がり、細かい静電気となって俺の顔や皮膚に次々にあたり、小さな痛みが絶え間なく襲い掛かってきた。


ラファエラは、数歩前に出ると杖の先端をゆっくりとベリアルに差し向けて話し始めた。

「ずいぶん余裕ね。私の結界内に侵入して、無事に帰れると思って?」

そんなラファエラの様子にベリアルは臆することもなく、今まで通りの丁寧な口調で答え始めた。


『ご招待いただいたと思っておりましたが、違うのでしょうか・・・?随分と嫌われたものです』

「呼んでいないわ!ベリアル!私の部下を何人殺したのよ?絶対に許さないから」

二人の会話で出てきた、結界や招待など何のことかさっぱり分からないが、会話の流れから、ベリアルが断わりなく無断侵入したこと、彼が過去にラファエラの部下を殺したことにラファエラは怒っていると察した。


『お互い様でございます。それはさておき、偶然にも結界内に入ることができたのですから、ひと暴れさせて頂くとしましょうか?』

ベリアルの宣戦布告ともとれる言葉に、全員に緊張が走った。


突如、ベリアルから魔力放射に伴う黒い靄が出現し、ベリアルを中心に球状の靄が出現すると、次から次へと、球状の靄が放出と消滅を繰返し、圧力波に伴う突風が、何度も何度も俺たちに畳みかけてきた。


ラファエラは、ベリアルから目を離すことなく、俺と3人の騎士に聞こえるように大声で話しかけた。

「エリック。魔人を倒した攻撃を打てる!?」

「打てます!」

俺は、突風が吹き荒れる中、ラファエラの指示に、間髪入れずに打てると叫び、セイフティを外し、魔力をバレルに流すとハンドカノンの射撃体勢を整えた。ラファエラは俺の言葉を確認すると、背筋を正し、右手の杖を上に掲げ叫んだ。


「エリックが先行。ジルとモーリス、エドガーは、エリックの攻撃に合わせて突撃。合図は私!」

「「「「分かりました」」」」

ラファエラは、俺と3人の騎士の返答を確認すると、一瞬、俺に顔を向けてアイコンタクトをとってきた。俺は『いつでも打てる』と頷き返すと、彼女はベリアルを再び睨みつけて、掲げた杖を上下に振ると、「リリーン」と鳴らした。


一瞬、嵐のように吹き荒れていた突風が嘘のように収まり、空間を静寂が支配し、時が止まったように感じた・・・。ラファエラは、ベリアルを見据えたまま、振り上げた杖を前に振り下ろし、「はなて!!」と叫んだ。ラファエラの指示と同時に、ベリアルの腰に狙いを定めてハンドカノンの引き金を引いた。


ドバァーン

ハンドカノンから射出された1発の弾丸は、射出後、音速を超えることで生じる衝撃波により発生する独特な音を発した。同時に停止していた時間が動き出し、突風が吹き荒れ、ジルが電撃で光り輝く刀身を振り上げ、叫びながらベリアルに突撃を開始した。


「お前ごとき、陛下のお手を煩わせることもない!モーリス、エドガー支援しろ!」

ジルの突進とほぼ同時にモーリスとエドガーが左右に展開し、電撃で光り輝く刀で、ベリアルが放つ魔力放射を切り裂き、ジルの進む道を切り開いていった。同時に、ハンドカノンから射出された初弾は、魔力放射による何枚もの壁のような黒い靄を貫き、大皿一つ分の穴を開けたもののベリアルに当たったかどうか分からなかった。


ラファエラは再び杖を頭上に高らかに振り上げ叫んだ。

「エリック。はなて!」

ラファエラも、初弾で靄に出来た穴に気付いたのだろう。杖を前に振り下げて、二度目の合図を俺に出した。


ドバァーン

俺は、黒い靄に出来た穴から見えるベリアルの腰を再度狙い、続く2発目を射出した。

2発目は、初弾でできた穴を通り、黒い靄に妨げられることもなく無防備となった悪魔の腰に着弾し、黒く硬い表皮を貫き体内で炸裂した。


『グァァァァァア!!!』

弾丸がベリアルの体内で炸裂し、左腰に穴が開くことで、左脚がもぎ取れた悪魔は、激痛に耐えかねて、大地を揺るがすような叫び声を上げた。同時に、左足を突然失い、体のバランスを崩し、地面に両手を付いたことで、悪魔から射出され続けていた魔力放射が数秒間、消失した。


ジルは、魔力放射を直接体に受け続けても一歩も引かず、前に出続けたため、上半身の服はボロボロで、体の一部が黒く焼けただれていたが、僅かに出来た隙を見逃さなかった。


「ウォォォオー」

両手を付き、体を起こそうとするベリアルに、ジルは、雄叫びを上げながら、距離を一気に詰め、間合いに入った。

彼は、上半身を限界まで右にねじると同時に、電撃で光り輝く刀を右脇に引き構え、左足を踏み出し、全体重を左足に乗せ足場を固めると、悪魔の目を見て口を開いた。


「二度と来るな。クソ野郎」

ジルは、右足を踏み出すとともに、大きくねじった体を解放し、右脇に引き構えた刀に全ての力を込めた。切先が大きく弧を描き、遠心力も加わることで、刀身は音速を超え、「ドン!」と衝撃波に伴う大きな音が発生した。左腕一本で振り上げられた刀の切先は、炸裂弾で吹き飛ばされた悪魔の左腰から侵入し、胸を切り進み、右肩へと抜けていった。


『ギャァァァァー』

ジルの刀は、ベリアルの体を見事に捉えて、綺麗に振りぬかれた。真っ二つにはならなかったが、人間ならば即死だ。悪魔の体は、切りつけられた際の衝撃波と刀身から流れ続けた電撃とで、痙攣しつつ後ろに吹き飛ばされ、何度かバウンドして静止した。


ガ・・・ガ・・・ガ・・・


倒れ、痙攣を続ける悪魔にラファエラがゆっくりと近づき口を開いた。

「ベリアル。覚悟は出来て?」


ベリアルは、痙攣が止まらない体を震わせ、黒い液体を吹き出しながら答えた。

『クッ・クッ。まさ・・・かえりう・・・だ・・・な』


ラファエラは、ベリアルを冷たい目で見下しながら口を開いた。

「そうよ。あなたは、私の部下を殺した罪と結界内侵入罪で死刑よ」


ラファエラが、電撃を放つ杖を振り下した瞬間、目にも止まらない速さで黒い影が、悪魔とラファエラの間に割って入り、悪魔を抱き抱え、その場から離脱した。


『ラファエラさま。配下が結界内に侵入して申し訳ありません』

演習場、観戦席中段に、魔人となったジャンと悪魔ベリアルを両脇に抱える人。いや、ベリアルと同じく黒いマントから僅かに覗く黒い肌と細い尻尾、赤い目、頭から生える2本の角。そして、背中の5枚の黒い翼を持つ悪魔が立ち、ラファエラに頭を下げ謝罪した。


ラファエラの目の前に1枚の大きな黒い翼がゆっくりと地面に落ちた。杖を振り下ろした時に、切り落とされたのだろうか?何十枚もの黒い羽毛が空間を舞うなか、ラファエラは杖を持ち直して、口を開いた。

「リュシフェル。何のよう?」

ラファエラの顔は、今まで見たこともない位に怒りで満ちていた。


そんなラファエラを気にすることもなく、リュシフェルと呼ばれた悪魔は、話し始めた。

『不出来な配下を引き取りに参りました。大変ご迷惑をおかけいたしました』


ラファエラは、リュシフェルを睨む目をそのままに、床に落ちた黒い翼を拾い上げると話し始めた。

「こんなボロ雑巾の様な翼でも、あなたの誠意として受け取るわ。このまま引き下がるならば、見逃してあげる」

周囲を見渡すと、ジルが、ベリアルを切り付けてから両膝を地面につけて、刀身を大地に突き刺し、体を支えた状態で擱座し動かない。このまま、戦闘になれば、確実に動けないジルを巻き込むことになる。モーリスとエドガーは、立ててはいるが、刀を持つ手が震え、これ以上の戦闘は厳しい。唯一、無傷で戦えるのは、ラファエラと俺だけだが、3人を守りながらの戦闘は不可能だ。恐らく、ラファエラも同じように状況を分析しているはずだ。


リュシフェルは、再び頭を下げると、口を開いた。

『ありがとうございます。お気持ちが変わられぬうちに、失礼させていただくとしましょう』

その言葉とともに、空間が一瞬、黒く光り2人の悪魔と1人の魔人はその場から消えた。

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