25 再会2 ~行政府セントラル~
私は、頭の中でチリン・チリンと響く鈴の音に気が付き、何事かしら?とゆっくり目を開けた。
『どうしたの?☆』
頭の中で響く、かわいらしい子供達の声に私は、びっくりして周囲を見渡した。そこは、白く輝き、地面は雲のようなものに覆われ、無数の黄金色の玉が優しく輝きながらゆっくりと浮き沈みを繰り返す不思議な空間だった。誰もいない・・・。夢かしらと何度も目を擦るも景色は同じ。ここはどこかしら・・・。
私は涙で濡れた顔をそのままに、声の主を探した。
『うしろだよ?☆』
『なかないで?★』
『ねぇねぇ。大丈夫?☆★』
『よしよししてあげる☆☆』
いつの間にか、白い服を着た半透明な子供たちが私の後ろに立っていた。
心配そうな顔の子、励まそうとする子、興味深そうに見ている子、慰めようとする子・・・。
男の子か女の子か分からないけれど、子供たちが動くたびに、チリン・チリンと鈴の音が聞こえ、私の頭に触れる子供たちの手から、少しずつ金色の粉が溢れて、私に降り注いだ。
私に降り注ぐ金粉は、肌に触れると温かいぬくもりとともに吸い込まれた・・・。
「ありがとう。おねえちゃんね。好きな人に会えなくて悲しいんだよ」
私は、思わず子供達に本音を零してしまったのだけれど、小さい子供に何を言っているのかしら?と苦笑いするしかなかった。
『そうなんだー☆』
『あそんでくれたら、すこしだけ★』
『ほんのすこしだけ☆★』
『会わせてあげる☆☆』
「ほんとうに?会わせてくれるの?」
会わせてくれるという子供の言葉に、少しだけ本気になってしまったけれど、私を元気づけるため、子供なりに気を使ってくれているのかしら?と少し微笑ましくなった。
『ほんとうのほんとう!☆』
『こわーいお姉ちゃんとのおやくそく☆』
『それはひみつ。ないしょだよ!☆★』
『かくれんぼしよー☆☆』
無邪気な子供たちの誘いを断ることもできず、かくれんぼや追いかけっこ、縄跳びをして遊んだ。久しぶりに何も考えず、子供の頃のように一生懸命遊んだ。もう動けないわと思い、呼吸を整えながら横になると、アルマのことを思い出した。そろそろ戻らないと心配かけるわと、アルマが怒る顔を思い出し、体を起こして立ち上がり、子供たちに話しかけた。
「お友達を待たせているの。そろそろ帰るわね?」
私の言葉に子供たちは大騒ぎを始めた。
『えっー。もっとあそんでー☆!』
『少しだけって、こわーいお姉ちゃんとのおやくそく!★』
『ひみつ。ひみつ☆★』
『うたのおやくそく☆☆』
『わすれてた!☆』
子供同士でああでもないこうでもないと話し始めて、何が何だか分からない状況になり、どうしようかしら?と苦笑いするしかなかった。このままだと日が暮れてしまうわと思い、その場で膝を付き、子供たちに目線を合わせて優しく話しかけた。
「またあそぼうね?」
『うん。たのしかった。ありがとー★』
『みんな。お礼しよー☆★』
『せいれーつ☆☆』
子供たちは私の周りを取り囲むと、子供同士で手を握り、歌を歌い始めた。
「いのりのことば きせきのちから
めをとじいのる ねがいはゆるし
めがさめると のぞみかなう
せいなる すずのねが ひびきわたる」
(祈りの言葉 奇跡の力
目を閉じ祈る 願いは赦し
目が覚めると 望みかなう
聖なる鈴の音が 響き渡る)
歌に合わせて鈴の音が鳴り、金色の粉が溢れ出し、私を温かく包み込んだ。
子供たちが楽しそうに繰り返し歌う様子が微笑ましく、いつの間にか私も一緒に歌っていた。
そして、私の頭から離れないフレーズ。
『目が覚めると望みかなう』
自然と両手を握り、目を閉じて、私の願いをくちずさんだ。
「アランが生きていますように。赦されますように・・・」
どれだけの時間が流れたのか分からないけれど、気づくと、温かな陽の光と心地よいそよ風を肌で感じていた。そして、子供達や大人の笑い声や会話が耳から聞こえてくる・・・。ゆっくりと目を開けると、元の庭園が広がっていた。おかしな夢をみて『病んでいるわ』と手で頭を押さえつつ、セントラルと王宮を結ぶ渡り廊下を見ると、赤い軍服に白いマントを羽織った男性が、文官らしき人を数人従えてゆっくりと歩いていた。
―――アラン?
赤い服と白マントに金刺繍された『天使』の紋章。珍しく仮面を付けていないけれど、間違いなくアンジェ・ガルティエーヌの騎士さまだ。少し痩せているけれど、顔付きや背格好はアランにしか見えなかった。
わたしは、突然の出来事に呼び掛けることも出来ず、呆然と見つめるしかなかった。
「クリスどうしたの?」
私の背後でアルマが話しかけてきた。私は振り返ると、アルマの腕を掴み、渡り廊下を指さした。
しかし、突然の出来事にアワアワして言葉にできなかった。
私は、高鳴る胸を片手で抑えて、深呼吸して心を落ち着かせた。
呼吸が落ち着いたのを見計らって、アルマの手を握り、今起きた奇跡の話を教えてあげた。
「アランが!アランが渡り廊下を歩いていたのよ!」
私の話を聞いたアルマは、何故か、冷や汗を流しながら口を開いた。
「クリス。アランが歩いているはずがないわ」
アルマの言う通り、反乱軍首謀の彼が、アンジェ・ガルティエーヌの制服を着て、セントラルや王宮関係者でなければ入れないセントラルと王宮を結ぶ渡り廊下を歩けるはずがない。理由は分からないけれど、場所や服装が変わったところで彼は彼だと思う。
「私も何故か分からないわ。でも間違いなくアランだったわ!」
私の言葉を聞いたアルマは何故かその場で卒倒した。私は、突然倒れたアルマを抱き止めたが、動かすことも、抱き抱えることも出来ず、助けを求めた。
20~21話に『いいね』を入れて頂いた優しい方。
うれしかったです!ありがとうございました。
今回のお話で子供達(聖霊)が歌う歌詞は完全オリジナルですが、、、
GPT-4で2番と3番を作詞させたのですが、ピンとこなかったので
ボツにしました・・・曲のイメージはLuciasångenです。
小説を読むときのイメージにしてください。




