臆病
40年も生きて、恋愛の仕方を知らないなんて、あり得るんだろうか。
・・・あり得るんだろうな。
実際、今どうすればいいかわからない。
俺の気持ちを見透かしたような猫目が、酔うと耳から、そして全身が赤みを帯びるそれが、
そのすべてが俺にとっては幻かと思うほど目がくらんで、そして儚くて。
儚いなんて、物書きをして脚光を浴びている時でも、イルミネーションさえも
「儚い」まで感じないのに、なんで。
でも、今、ここで眠っている君は訳が分からないけど「儚い」と感じる。
「きれい」というより、なんだか・・・うん、面白い。
「面白い は、儚い・・・。て、何言ってんだ俺」
がしがし頭をかく。埃が舞った。
考えてもどこに辿り着くわけでもない、生産性のない思考をそろそろ止めよう。
目障りなほどまぶしい太陽の光が包む部屋の中、俺は大きな伸びをした。
ベットに目をやると静かな寝息をたてて、まだ夢の中にいる君の姿。
自分以外の人間がこの空間にいるのが慣れず、俺は少し驚く。
昨夜、飲んでいて終電を逃したんだった。
そして泊めたんだった。
太陽の光に包まれる君は、やはり儚いと感じた。
サラリと撫でる君の髪は想像以上に柔らかかった。いろいろ罪だね。
「ね、俺さ。君の事好きかもしれない。」
もし、好きって言ったら引く?
もうこうして会えない?
気持ち悪い?
きみはどう?
つーか、ごめんね。
俺の憂いの原因、知ってるわけないかぁ。
知っててくださいよ・・・。
なんて、君の立場だったら「知りませんよ、そんなこと」ってむすっとされるだろうな。
それくらい俺の一方的な感情。
わかってるよ、それくらい。
「んぅ・・・」
「・・・あ。」
「おはようござ・・・、え、泣いてる?」
ああ、恋ってこんなしんどかったっけか。
仕事仲間や、幼馴染など色々な関係性で相手に恋心を抱くも、これ以上進むと怖い・まずい時に
一人葛藤している「俺」(さん)を描きたくて、作成しました。
こちらも主は「俺」ですが、相手は「君」として作成しています。
最後に拙い文章ではありますが、読んでいただき本当にありがとうございました。