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第七章『暗黒の隅に備蓄されたアーカイブ』

 だんだんと胸糞悪くなって来た。ここまで書いたら、俺の暗黒の20代を一気に書き綴り、早く30代に乗り換えたく、ここからは早足で書き綴る。


 結局、二浪したよ。


 共通一次試験、今のセンター試験かな、3回受けたが点数は変わらなかったよ。私立大学も合計10校以上受験したが一流私立大学は全て滑ったよ。


 俺は可もなく不可もなくの福岡市の私立大学に入学した。


 二浪したので既に20歳になっていた。


 成人式など無縁であった。他県のボロアパートで1人暗闇の中、角瓶を飲んでいた記憶しかない。


 二浪目は違う意味でいろいろあったよ。


 恋愛もしたよ。


 高校時代の同級生さ。


 相思相愛で付き合ったが、いつの間にか、その女は俺の前から姿を消したよ。


 理由も何もなく、知らぬ間に消えて行ったよ。


 後々、風の便りで聞いた話だが、その女は同じ同級生の男と付き合い結婚したそうだ。


 俺はその男の印象は全くないが、その女はその男と高校時代付き合っていて、俺と付き合っていた頃は、その男の悪口を言っていたが…


 女は分からない生き物だ。


 そして、その男は何の因果か、警察官になったそうだ。そう、俺の大嫌いなポリ公にな。


 その男の父親が地元警察署のお偉方だったそうだ。コネの温床の警察人事、さぞお偉くなっている事だろう。


 胸糞悪いから、この話はこれでお終いだ!


 俺の大学時代はそんな胸糞悪い出来事の後でもあり、人嫌いの二浪生であったことから、当然ながら孤独であった。


 はっきり言うと、人と話したことなどないかも知れない。


 大学の講義もいつも1人、教壇の真前に座り聴いていた。


 大学祭など行ったこともなく、当然、サークルなどにも属せず、講義が終わるとそのままアパートに直帰していた。


 バイトは日雇のみで土方の仕事を好んで探し、体力があったことから、どこに行っても重宝された。


 その日銭でパチンコをし、勝ったら、1人、居酒屋で一杯引っ掛ける日々を送っていた。


 アパートでは常時、カーテンを閉め、昼間でも光が入らないようにし、角瓶を飲みながら、ハードロックを聴いていた。


 アイアンメイデン 、ブラックサバス、ディープパープルなど、怒り狂ったサウンドを酒と煙草で酩酊しながら、何も考えず、何も感じず、何も恐れず、何も欲せず、ただただ、時が進むのに身を任せていた。


 これが俺の大学生活さ。


 24歳で大学を卒業したが、人と交わり、会話をし、楽しんだ思い出など皆無である。


 知らない間に大学時代が終わっていた感じだ。そう、眠りに付き、夢も見ることなく(正確には見た夢の記憶もなく)、目が覚めたら、卒業していた、そんな感覚だ。


 お陰で大嫌いなポリ公や先公への怒りも鎮静化し、良いか悪いか、精神衛生上、落ち着いた4年間であった。


 4年間、人と心から話すこなく生活することが出来るかい?

 普通は無理だろ?

 俺には出来たんだよ!


 生来的に孤独が好きな人間であることが、この4年間で実証されたよ。


 気が触れる事もなく、ポリ公達が宣った犯罪に手を染める事なく、暗闇の中でひっそり生息し続けたよ。天然記念物のオオサンショウウオと同じさ。


 この暗闇に過去の24年間の出来事を全て俺の脳味噌から掠奪し、暗闇の更に暗い隅っこに小屋を建て、そこに備蓄して置いて行ったよ。「怒り」のアーカイブをね。


 いつか、その小屋に掛けた閂が下され、小屋の中に備蓄された「怒り」の映像が光を浴びる日が来ることを予期し、ちゃんと整理整頓をして置いたよ。


 その意味で貴重な時間ではあった。


 大学を卒業し、俺は大手の不動産会社に就職した。


 バブル景気でもあり、難なく入社出来たよ。


 初任地は大学と同じ福岡市で、アパートもそのままさ!

 

 会社は俺の性格には持ってこいであった。


 熱心に仕事をすれば、同僚と交わる事もなく、仕事の成果を出せば、上司から認められた。


 飲み会は俺の独壇場だ。


 人並み外れた肝臓の強さ、学生時代から知り尽くした福岡の夜の街、散々によそ者社員をもてなしてあげたよ!


 簡単な事だ。


 ただ、俺の心は納得していなかった。


 何に?


「怒り」のアーカイブを俺が忘れてしまうのではと、それが不安であったようだ…


 俺の心は、事件を待っていたんだ。


 俺を見下す輩の出現を心待ちにしていたんだ。


 なかなか獲物は現れなかった。


 俺は心に諭すように言ったものだ。


「慌てるな。俺のエネルギーは「怒り」そのものだ。それを忘れる事はない。慌てるな。必ず、獲物は現れるから。」とね…


 俺は憔悴する心を他所に28歳で見合い結婚をし、30歳で子宝に恵まれた。

 両親も俺の見せかけの幸せに安堵し、喜んだ。


 俺の心は俺が幸せそうになるにつれ更に焦りだし、ザワザワと落ち着かなくなり、俺に面倒を駆け始め出した。


 閉所恐怖症、パニック障害、脳波異常、そして、うつ病へと、俺に、「怒り」を備蓄した暗闇の小屋の閂を下させようと、あらゆる病を招集し始めた。


 慌てるな!


 俺は「怒り」を忘れやしない。


 これからが本番だ!


 俺は俺を見下した輩を地獄の果てまで追って行く。


 決して許さない!

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