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思い出の絆

作者: 星龍  麟霞

「お前みたいな醜い生き物産まなきゃ良かった」

それが母が私に言った最初の拒絶の言葉だった。私には産まれつき猫の耳と尻尾が生えていた医者が言うに五十人に一人に起きる突然変異らしい私の家族はそんな私を気持ち悪いと捨てたそして私は孤児院で育った私に引き取り手はいなかった。私はこのまま孤児院で育つのだろうと思っていただけど私が十二歳になったある日孤児院に一人の男性が現れた。時雨という名前の男性は私の事を引き取ってくれた・・・・それが二ヶ月前のこと

「佑そろそろいくぞ」

「は〜い」

私を引き取ってくれた時雨は今年、学校を新設していた。私は時雨の作った突然変異のための全寮制の学校で暮らすことになった。そして今日は入学式

「佑学校は楽しみか?」

「うん。楽しみ」

「それは良かった」

〜車まで移動すること数分〜

「これが佑の通う学校だ」

「これが学校・・・すごい綺麗!」

「佑は学校始めてか?」

「うん。孤児院にいたときは私の外見からか、学校にはいかせてもらえなかったんだよね」

「そっか〜あっ!佑学校ではそれぞれのことを仮名で呼ばないといけないからな。佑の仮名は鈴蘭だ」

「鈴蘭。私の好きな花だ」

「そうか。後、俺さ夜桜中の校長になるから」

「ふぅ〜んってはぁ!?時雨が!?」

「そうだって俺が校長になるからには突然変異の子供達が幸せになれる学校を作ってみせるよ」

「それは楽しみ」

「さて、佑学校に着いたぞ俺は職員室に行かないといけないか佑はそこの昇降口に行ってきなクラスの割り振りが書いてあるはずだから」

「分かった。行ってくるねまた後で時雨」

「あぁ」

私が昇降口に行くと紙が貼ってあり鈴蘭という名前を探すと五組になっていた。五組は二階のため私は靴を脱ぐと階段を上がって二階に行ったクラスの前に行くと兎の長い耳と丸いフワフワとした尻尾の女の子が立っていた

「どうしました?」

と声をかけるとその子は驚いたように少しの間じっとこっちを見てから口を開いた

「教室に入っていいか分かんなくて」

「なら一緒に教室に入りませんか?」

「えっ!はい!えっと私鈴木じゃなくて桔梗と言います」

「私は鈴蘭ですよろしくねじゃあ教室に入ろうか」

ガラッ

私がドアを開けるといっせいに教室にいた子がこっちを見てきた。教室にはすでに数人、人がいて犬の耳や尻尾のある子や、ライオンの耳と尻尾がある子など色々な子がいて席に座っていた。黒板のところに名簿と座席表が貼ってあった。私の席は窓側から二列目の裏から三番目だったその席に座ると・・・

「ねぇねぇ私は紫陽花。貴方は?」

と前の子が話しかけてきた

「私は鈴蘭」

「鈴蘭か〜よろしく私の事は紫陽花って呼んで」

「じゃあ私の事も鈴蘭で、紫陽花は何の突然変異なの?」

「私はハムスター、鈴蘭は猫だね」

「うん」

「けどここの学校って本当に突然変異の子達が集まってるんだね」

「そうみたいだね。見渡す限り突然変異の子達ばっかり」

〜そんな話をすること数分〜

「五組の皆さん廊下に名簿順で並んでください」

スーツを着た先生が五組の人達に向かって言ってきた。皆ぞろぞろと教室を出て廊下に並んだ

「緊張する〜」

「えぇ〜そう?」

「紫陽花は緊張しないの?」

「別に」

「「へぇ〜すごいね」」

「えっ?」

「あっ!」

後ろを見るとコアラの耳と尻尾が生えた女の子がこっちを見ていた

「ごめんなさい私、椿って言います。二人の話を聞いてたら面白くてつい」

「椿ちゃんは緊張するの?」

「うん」

「わたしもなの同じだね」

「そうだね」

ピンポーンパーンポン

『新入生の皆さん今から体育館に入り入学式を行います。行動は黙動で行うようにしてください』

放送でそう流れた。そして少しずつ全体が動き出した。体育館に入ると先生達が座っていて沢山の椅子が置いてあった。六組の最後の人が座ると入学式が始まり最初に校長(時雨)の話があった。時雨の話が終わり入学式は着々と進んでいったそして学年代表の言葉になり紫陽花が壇上に上がったそのとき

ガッシャーン!

大きな音がなり窓が割れ三人の男が入ってきた

「ふぅ〜んここが化け物どもの住処か〜」

「あんがい入るのチョロかったな」

「どの化け物も高く売れそうだ」

生徒達は一斉にそこから離れ逃げた。しかし逃げる途中紫陽花が転んでしまった

「紫陽花!」

紫陽花を助けに戻ろうとしたが遅かった三人の男の一人が紫陽花を捕らえてしまった

「これはハムスターの化け物か」

そういって男の一人が紫陽花の耳を引っ張った

「痛い!」

紫陽花が叫んでも気にせず男達はこっちに迫ってきた私は少しづつ相手の死角に入ると男に向かって蹴りをかました。男がぶっ飛びナイフを落とした。私は紫陽花を助けると紫陽花ともに隅に逃げた。けど男は起き上がるとこっちを睨んできた

「くそ、化け物くせに調子に乗ってんじゃねぇ!」

そう言って襲いかかってきて目を固く閉じだその時

パシッ

時雨が現れ男の手をつかんだ

「俺の学校の生徒を傷付けるのはやめてもらいたい」

そう言って時雨は男を投げ飛ばした。それに驚いたのか他の二人も逃げていった

「皆無事か?」

(全員)「はい」

「紫陽花、鈴蘭怪我してるだろ手当てするからついてきなさい」

「はい。行こっ紫陽花」

「う、うん」

そう言った紫陽花の手は震えていた。私達は保健室に連れて行かれて手当てを受けた。手当てをしてもらっている間も紫陽花は小刻みに震えていた

「すみません先生少し二人っきりにしてもらっていいですか?」

「えっ?あ、いいよ」

そう言って先生は保健室から出ていった

「紫陽花大丈夫?」

「大丈夫・・・じゃない怖かった」

「そうだよね。あんなの怖いに決まってる」

「うん。鈴蘭助けてくれてありがとう。けどどうして知り合ったばっかな私を助けてくれたの?」

「どうしてって友達を助けるのは当然でしょ」

「っ・・・・ありがとう鈴蘭」

「もしまた紫陽花が危険な状態になったとしたら今日みたいに守るから安心して」

「うん!」

コンコン

「鈴蘭そろそろいいか?」

保健室の外から時雨の声が聞こえた

「いいよ時雨」

ガラッ

扉を開けて時雨が入ってきた

「あっ、時雨校長」

「鈴蘭、紫陽花今回の事件は私の設計ミスだすまなかった」

「そんな!時雨校長が謝る事じゃないです!」

「そうよ。今回は運が悪かっただけだから時雨は謝らなくていいよ」

「二人ともありがとう。ただ鈴蘭はいいものの紫陽花の親御さんには説明をしないとね」

「あっ・・・別にいいですよ。親に説明なんてしなくて」

「どうして?」

「私の親は私なんか気にしない、突然変異じゃないお姉ちゃんの方が大切なんです。だから言わなくていいんですいや、言わないでください!」

「分かった。親御さんには言わないでおくよ。じゃあ教室に行こう」

「「はい」」

教室に戻ると男の人が前に立って話をしていた。男の人は二人に気づくと一度話をやめた

「二人とも来たな席についてくれ」

私と紫陽花はそれぞれ席についた

「じゃあ改めて俺がこのクラスの担任の機雷 龍だ。俺について質問がある人はいるか?」

(全員)「・・・・・・」

「まだいないか。質問があったらいつでも受け付ける。次に寮の割り振りを前の黒板に貼るから列順で見に来いまず一列目・・・・次に二列目」

私は二列目だったので見に行った。部屋の番号は301号室同じ部屋のメンバーは教室の前で会った桔梗と桜という子だった。全員が見終わると

「今日はこれで終わりだそれぞれの部屋に行ってみろ。そして今日から課題を出す今日の宿題は同じ部屋のメンバーと交流を深める事だでは解散」

私は学校の地図を見て寮までの道を確認していた

トントン

私は肩を叩かれて後ろを見たするとそこには桔梗がいた

「あの鈴蘭ちゃん一緒に寮まで行かない?」

「もちろんいいよ桔梗ちゃん」

「じゃあ私も一緒にいい?」

後ろから犬の耳と尻尾が生えている女の子が話しかけてきた

「「・・・・誰?」」

「私は二人と同じ部屋の桜です」

「あぁ〜あなたが桜ちゃん。私は桔梗です」

「私は鈴蘭。よろしく桜ちゃん私の事は呼び捨てでいいよ」

「私も呼び捨てでいいよ」

「うん。よろしく鈴蘭、桔梗」

「じゃあ部屋に行こっか」

「そうだね」

「行きますか」

寮の部屋に行くとベットが三つある大きめの部屋だった

「へぇ〜桜ピアノ弾けるんだ」

「うん。小さい時からやってたんだ。鈴蘭は運動が得意なの?」

「得意っていうわけじゃないけど体を動かすのは好きだよ」

「そうなんだ。だけど今日の鈴蘭の蹴りはすごかったね」

「そうそう!鈴蘭ちゃんの蹴り本当に凄かった」

「あれは勝手に体が動いただけだから普段はあんなことしないからね」

「そっか〜」

「そんなことより他の話しようよ」

「そうだね。じゃあ鈴蘭と桔梗って好きな人いる?」

「「ブッ!」」

「と、唐突だね」

「ド直球すぎるでしょ桜」

「だって気になるし」

「ふぅ〜んだけど私はいないよ」

「えぇ〜つまんない」

「残念でした〜」

「桔梗は?」

「私もいないよ」

「でっそう言う桜はどうなの?」

「私もいないんだ」

「そもそも私はずっと孤児院で外の世界を知らずに育ったからな〜」

「孤児院?鈴蘭お母さんは?」

「あぁ〜口が滑った気にしないで」

「気になるよ」

「鈴蘭教えてよ」

「・・・・母親はいない。私が小さい時に私を孤児院に捨てていなくなった顔も覚えてないそれに私はあの人を母親だとは思ってない」

「そうなんだ」

「そんなこと簡単に聞いてごめん」

「別にいいよそれに私今、すごく幸せだから」

「どうして?」

「だって時雨に孤児院から引き取ってもらって私と同じ突然変異の子達と学校に通えて友達を作る事もできてこんなの幸せ以外の何でもないよ」

「そっか」

「・・・・なんか空気重くなっちゃったね。よし!カルタやろ!」

「いいけどカルタなくない?」

「それが〜あるんだな・・・・ジャジャーン」

そう言って私は自分の引き出しから箱に入ったカルタを三つ出した

「本当だ、てか持ってきていいの?」

「時雨がオッケーしてくれたから大丈夫だよ」

「なら大丈夫だね」

「校長がオッケーしたんだねすごっ」

「ねぇ〜私もまさか良いって言ってくれるとは思ってなかった。でっどれがやりたい?」

「何があるの?」

「えっとね〜都道府県とことわざ、百人一首があるよ」

「私ことわざカルタやりたい」

「私はなんでも良いよ」

「じゃあことわざカルタやろ〜!」

「うん」

「やろやろ!」

私達がしばらくカルタをやって盛り上がっていると

コンコン

誰かがドアをノックした

「私が出るよ」

私がドアを開けると紫陽花が立っていた

「紫陽花どうしたの?」

「暇だから遊びに来ちゃった。カルタやってるの?」

「うん」

「ねぇねぇ桜さん桔梗さん私もカルタ入れて」

「「いいよ」」

四人でカルタをやること数分

♪〜♪〜♪〜

『皆さん消灯時間になりました。他の部屋に行っている子も速やかに自分の部屋に戻ってください』

「もうそんな時間か」

「じゃあ私は部屋に戻るね。楽しかったよありがとう。おやすみ」

「「「おやすみ」」」

ガチャン

紫陽花は出ていった

「じゃあ私達も寝る支度しようか」

「そうだね」

「私はまだ眠くないから起きてるよ」

「そっか猫は夜行性だもんね」

「うん桜達はもう寝るの?」

「そうだね。もう眠いからさ」

「私も」

「そっか」

その時私の脳裏に昔の映像がフラッシュバックした。私はその映像を振り払うと窓の所に腰掛け窓の外を見た。外にはきれいな満月がのぼっていた。私は満月から目を逸らすと桜達の方を見た

「二人が眠いならもう電気消すね。私はもう少し起きてるから何かあったら言ってね」

「・・・私まだ起きてるよ」

「私も」

「どうして?二人とも眠いんでしょ?」

「いいの。私もっと二人と喋りたいし、それに会ったばっかりで言うのは変なんだけど鈴蘭ちゃんが何かに怯えてる気がして」

「それ私も感じた」

「なん、で・・・」

「「なんとなく」」

「ねぇ私ね鈴蘭ちゃんの力になりたいの。もし良かったらだけど教えてくれないかな」

「私も教えてほしい」 

「ハハ・・・何でばれちゃったんだろう。いいよ桔梗と桜には話すね。今日って満月でしょ?」

「そういえばそうだね」

私は一度満月を見るとまた口を開いた

「あの人が、母さんが私の事を捨てたのがちょうど今日みたいな満月の日だったから満月の日はまた誰かに捨てられるんじゃないかって思って怖いんだ」

二人はまた踊りいた顔をした

「そうなんだ」

「なんかごめんね」

「私が分かりやすくて心配させたのが悪いんだから気にしないでそれより二人はもう寝なよ私は、満月の日は寝れないから」

「う〜んそう言うわけにはいかないから鈴蘭私のベッドで一緒に寝よ。人と一緒なら寝られるかもしれないから」

「なら私も一緒に寝たい。床に布団ひいて三人で寝ようよ」

「えっ?でも」

 二人はオロオロしているわたしを気にせず布団を引いて三つ枕を置いて、布団の上に座った

「ほらほら鈴蘭おいでよ」

グイッ

桜は私の手を引いて布団に引き寄せた

「わっ!」

私はフカフカの布団に倒れ込んだ

「鈴蘭が真ん中ね」

「うん。それがいいね」

「いや、でも」

「ハイハイ。文句は受け付けません」

「ほら鈴蘭ちゃん早く」

「分かったよ」 

私は起き上がって二人の間に座った

「ほら寝っ転がって」

「も〜分かったよ」

「じゃあ電気消すね」

「いいよ」

「・・・・・」

ピッ

と音がして電気が消えた

数分経っても私は寝る事ができなかったずっと昔の映像が頭の中で再生されていた。私は震えが止まらなくなっていた。様子を見てたか桜は私を抱きしめた

「えっ!?」

「鈴蘭大丈夫。もう誰も鈴蘭の事捨てたりしない安心して寝ていいよ」

桜は優しく私の頭を撫でた

「っ、ありがとう桜」

その後三人ですこし話した後手を繋いだまま眠った

次の日の朝

私は早くに目が覚めて二人と繋いでいた手を離し、部屋を出て顔を洗った。鏡にはスッキリした顔の自分が映っていた

「満月の日に寝れたの初めてだった」

「鈴蘭」

「時雨!どうしたの朝早く」

「いや、昨日は満月だったから様子を見に来たんだ」

「!ねぇ時雨聞いて。私ね、寝れたんだ。桜達のおかげで初めて満月の日に寝る事が出来たんだ」

「そうか!良かったな鈴蘭」

クシャッ

時雨は私の頭を少し乱暴に撫でた

「もしかしたらあの二人は鈴蘭の運命の人。出会うべき人だったのかもしれないな」

そう言う時雨の目は少し悲しそうだった

「時雨?」

「ん?あ、寝れたならよかった。今日からの授業頑張れよ」

「うん」

私は時雨と別れて部屋に戻った。部屋に戻ると桔梗が起きていた

「おはよう鈴蘭ちゃん」

「おはよう桔梗」

「「・・・・・」」

「あのさ昨日はなんか恥ずかしいところ見せてごめんね」

「・・・私は鈴蘭ちゃんの事たくさん知れて嬉しかったよ。だから謝らないで」

「桔梗ありがとう」

「あ!でも私からお願いがあるの」

「何?」

「その〜耳触ってもいい?最初に会った時からずっと綺麗な毛並みだなって思ってて触りたくてうずうずしてて」

「そんなことなら別にいいよ」

桔梗は恐る恐る私の耳を触った

「フワフワだ」

「ふふっくすぐったい」

「あっごめんね」

「いいよ。桔梗の耳は長くて綺麗な白色だね」

「ありがとう鈴蘭ちゃんは三毛なんだね」

「うん」

「そう言えば三毛猫の突然変異って珍しいらしいよ」

「そうなの?」

「うん。原因は分からないらしいけど三毛猫の突然変異、特に女の子の三毛猫の突然変異は珍しいんだって」

「へぇ〜そうなんだってか桜全然起きる気がしない」

「桜ちゃんよく寝るね」

「感心してる場合じゃないでしょもう六時四十分だよ」

「じゃあそろそろ起こす?」

「そうだね。桜、桜!」

「桜ちゃん起きて!」

「・・・・」

いくら呼んでも桜は起きれる気配がなかった

「もう奥の手使うか」

グイッ

私は桜の耳を掴んでも少し引っ張った

「桜は起きろ〜」

バッ

桜は飛び起きた

「ちょっと鈴蘭流石に耳を引っ張るのは痛いよ」

「だって桜全然起きないんだもん」

「だからって耳引っ張る事ないじゃん結構痛いんだけど」

「ごめん」

「仕方ない許してあげよう。それより何で二人とももう制服着てるの?」

私と桔梗は話しながら着替えを済ましていた

「だって結構前から起きてたし」

「マジか!何で起こしてくれないの〜」

「だって桜ちゃんすごく気持ちよさそうに寝てるから起こしちゃう悪いと思って」

「私はただただめんどくさかっただけ」

「別にいいから起こしてよ。そしておい、鈴蘭」

「冗談だよ。それより支度しないでいいの?」

「あっ、やばい!」

桜は急いで顔を洗って服を着替えた。やっと桜の支度が終わったと言う頃

ピンポーンパンポーン

『皆さん朝食の時間です。食堂に集まってください』

「だって食堂行こっか」

「「うん」」

食堂につくと

「あっ鈴蘭、桜さん、桔梗さんおはよう」

「紫陽花おはよう」

「おはようございます紫陽花ちゃん」

「席自由だって」

「そうなんだじゃあここ座ろ」

「「いいよ」」

桜が指したのはちょうど三人分空いている席だった。食堂を見渡すと本当に多くの突然変異の子達がいた。その後授業を受ける。そんな平穏な日々が二ヶ月ほど続いた。そんなある日事件は起きたその日はちょうど機雷先生も時雨も用事で一日学校を離れていた日だった。放課の時間突如、警報が学校中に鳴り響いた

ジリジリジリ

「何?火事!?」

「皆教室に入って早く!」

女の先生がそう言って皆急いで教室に入った

パァンパァン!

突然銃声がした

「銃声?何?怖い」

「大丈夫だよ桔梗」

私はそう声をかけたが心の中では不安が渦巻いていた。耳をすませると五、六人の足音が近づいてくるのが分かった。そして私達の教室の前に来ると勢いよくドアを開けた。まるでこの教師に探している人物がいるかのように。入ってきた男に私は見覚えがあった。六人のうち三人は入学式で学校を襲撃した男だった

「あの人達は」

「紫陽花シッ。落ち着いて身を潜めて迷わずここの教室に来たから狙われるのは多分私か紫陽花だ。多分攻撃した私に復讐するのが目的な可能性が高い。だから紫陽花は私から離れて」

「でも鈴蘭は」

ニッコリ

「言ったでしょ守るって」

「う、うん」

紫陽花は私から離れた。私も紫陽花と逆方向のロッカー隅に身を潜めた。しかし男はやはり私が狙いだったようで辺りを見回し私を見つけると私の方に歩いてきた。私はロッカーの上に逃げたすると

パーン!

大きな破裂音とともに耳に痛みが走り血が頭をつたい頬に流れ落ちてきた

「鈴蘭!」

「はっ桜逃げて!」

そう叫んだ時はもう遅かった桜は男達に囲まれてしまった。男は桜の頭に銃口を当てた

「おいそこから両手をあげて降りてこい俺の言うことに従わないならこいつどうなってもしらねぇぞ」

私は大人しく指示に従った男の近くまで行くと男が一人私の後ろに回ったその時

バチバチバチ

後ろから強い衝撃を感じフッと意識が遠のいていった。どのくらい意識を失っていただろうか誰かの声が聞こえてくるようになったけど耳に激痛が走り手や足もうまく動かなかった

「・・・らん、鈴蘭」

声がはっきりしてきてうっすら目を開けると今にも泣きそうな顔の桔梗と桜が私の顔を覗き込んでいた

「良かった。鈴蘭ちゃん目が覚めて

「桔梗」

「ごめん鈴蘭私のせいで」

「桜。大丈夫だよ私のことより桜は怪我してない?」

「うん。私は大丈夫だよ」

「それなら良かった・・・よっと」

私は体を置きあげると耳の傷を止血した。うまく体が動かないはずだ私や桜、桔梗の他にもこの部屋にいる皆が手と足に鎖が付けられていた

「あのさ、ここどこ?」

「それが私達にも分からなくて」

「鈴蘭が気を失った後皆、目隠されてたからここがどこなのかまったく分からないんだよ」

「そっか。どこかの地下室に見えるけど」

カッカッカッ

誰かが歩いてくる音がした

「誰か来る」

私は耳を少し折り畳み体を小さく丸めた。

ギュッ

桔梗は私を守るように私を抱きしめた。幸い男は私達のいる部屋を見ただけでそのまま去っていった

「通り過ぎてってくれた」

桔梗は私を抱きしめていた力を緩めた

「鈴蘭どうやってここから逃げ出す?」

「う〜ん窓はないし、地面はコンクリートだから掘れないし男達がいない間にドアから出るしかないね」

「どうやって?」

「私が囮になる」で

「はぁ!?桜ちゃん何言ってるの?ダメに決まってる!」

「けど誰かが囮にならなきゃ」

「だけど桜ちゃんがやることじゃないでしょ」

「そうだよ。桜にやらせるくらいなら私がやる」

「鈴蘭ちゃんまで!囮なんて危険すぎるよ。他の方法を考えよう」

「他に方法が思いつかないから言ってるの」

「け、けど誰かが誘導してくれないと私達道が分からないから逃げれないよ」

「誘導なら私がやる」

そう言ったのは狐の尻尾が生えた女の子だった

「私、入り口からここまでの道全部覚えてるから」

「ありがとう助かるよえっと〜」

「山茶花よ」 

「山茶花頼むね」

「了解」

「次はどうやってドアを壊すか」

「ドアを壊す時はあんまり大きな音出せないね」

「ならドアを開けるのは私がやる」

名乗り出たのは椿だった

「椿できるの?」

「うん。私、ピン持ってるからそれでドアの鍵を開けるよ」

「何でそんな事が出来るんだか」

「まぁそこはいいとして椿よろしく」

「オッケー」

「あと残った問題はどうやってお取りになるか」

「あっそれなら多分問題ないよ」

「えっ?鈴蘭ちゃんそれどうゆう」

カッカッカッ

「!」

また歩いてくる音がして今度は私達の部屋のドアを開けた

ガチャ

一人の男が入ってきた

「おい三毛のお前主人がお呼びだ来い」

「意外と呼ばれるの早かったね」

私は立ち上がるとドアの方に向かった。私はわざと山茶花と椿の二人の間を通ると耳元で

「二人とも後はお願い」

と囁いた

「鈴蘭ちゃん待って!」

ニッコリ

私は桔梗に笑いかけるとそのまま部屋を出た

「さっさと歩け」

私はとても大きな部屋に案内された男は部屋のドアを開けると私を突き飛ばし中に入れた

「っ〜」

部屋の中の椅子には桜の頭に銃口を突きつけた男が座っていた

「よぉ鎖をつけられた気分はどうだ?」

「・・・・・」

私は黙って男を睨みつけた

「くくく・・・・・いいなその目ゾクゾクする」

「・・・・私達をどうするつもりだ」

「どうするだって?金持ちどもに売るに決まってんだろ。お前達みたいな異形物は高く売れるんだよ」

そう言われて私は頭に血が上った

「私達はお前らの物じゃない!」

「いいや物だ。確かに今は人間だがどうせ後々は人間じゃなくなるんだから」

「どうゆう事だ?」

「あ〜そうだったな。お前らは教えられてないんだったな。教えてやるよお前ら突然変異は二十歳になると動物の姿になるんだよ。その日から一生な」

頭が真っ白になった。動物の姿になる?人間じゃなくなる?時雨はそんなこと言っていなかったのに私の中で様々な感情が渦巻いた

「ははっ信じられないって顔だな。なぁあんな学校に通うより金持ちの元で暮らす方がよっぽど幸せだと思わないか?お前も金持ちの家で幸せになれよ」

男は私に手を近づけてきた

ガブッ

私は男の手に噛み付いた

「痛!テメェ」

バシン

ドサッ

私は男に打たれ床に倒れ込んだ

「私は!例え二十歳で動物の姿になってしまうとしても私はあの学校に通う!私はあの学校が学校の友達が好きだから私は二十歳までの姿であろうと何だろうと必死に生き抜いて見せる!」

「なっ・・・アハハハハ面白い気に入ったお前だけ特別に俺の元に置いておいてやる」

「そんなのお断りだ」

そう言って私は逃げ回った

「チッ捕まえろ!」

するとたくさんの男が部屋に入ってきた。私は体を低くしながらちょこまかと動いた。十分くらい格闘した後私は一人の男に押さえつけられた

「なかなかやるな。けれどそう簡単に俺からは逃げれない」

ニャッ

「それはどうかな」

私は笑みを浮かべた

バタバタ

「失礼します。主人大変です!あいつらが化け物達が消えました」

「なんだと!?」

キッ

「お前の仕業か!」

男は私を睨んだ

「そうだよ。何の意味なく暴れたと思った?あんたは私達突然変異をなめすぎなのよ」

「化け物の分際でよくも!」

男は拳を振り上げた。私は目を固く瞑った

「「ダメー!!」」

その声とともに椅子に乗っていた男と私を押さえつけていた男が吹っ飛んだ

「えっ?」

男が飛んで行った方を見ると兎の耳と犬の耳が動いていた

「さ、桜?桔梗?」

「鈴蘭無事?」

「鈴蘭ちゃん怪我してない?」

「私は大丈夫だけど、どうして来ちゃったの?」

「「友達を助けちゃ悪い?」」

「悪くはないけど」

「ならいいでしょ?」

「この!お前ら許さねぇ」

男はこちらにそう言ったしかし瓦礫に挟まれて動けない状態だった

「鈴蘭、桔梗逃げるよ」

「「うん」」

私は立ち上がろうとしたしかし足に痛みを感じ少しぐらついてしまった

「っ」

「鈴蘭どうした?大丈夫?」

「何でもない大丈夫」

私は痛みを隠しながら普通を振る舞った。すると桜は私の後ろに立つと私を横抱きした

「ちょ、ちょっと桜」

「鈴蘭大人しくしてて足捻ったんでしょ安静にしてた方がいい」

そう言って桜はそのまま走り出した。外に出ると警察と学校の人が居たその中に時雨も居た。時雨は私達を見つけると駆け寄って来た

「鈴蘭大丈夫か?」 

「大丈夫。少し捻っただけ」

「すまない桜、桔梗。鈴蘭は先に学校に連れて行くよ。二人は他の先生と学校に戻って来てくれ」

「「分かりました」」 

「じゃあ先に行ってるね。二人とも助けてくれてありがと」

「別にお礼なんていいよ。友達なんだから当たり前でしょ。ねっ桔梗」

「うん」

「ありがとうあとでね」

「「あとでね」」

車の中

「ねぇ時雨」

「なんだ?佑」

「私、突然変異が二十歳を過ぎると動物の姿になって一生そのままって本当?」

時雨は驚いた様子だった

「さっき主人と呼ばれてた男からそう言って来た本当なの?」

「・・・・・」 

「答えて時雨」

「・・・・本当だ」

「そっ、か。そうなんだ」

涙が溢れてきた。本当は心の片隅にあれは嘘なんじゃないかって言う希望があったんだと思う。でもそれも打ち砕かれてしまった

「すまない黙っていて」

「いいよ。時雨は悪くない。ただ運命が悲惨なだけだ」

「佑、皆には内緒にしておいてくれないか?皆には何も知らずに最後まで生き抜いてほしいんだ」

「分かった。皆には言わないよ」

「そうしてくれ。よし、学校に着いたぞ。ほら俺の背中に乗れ」

「うん」

私は保健室で手当てを受けた

「鈴蘭ちゃんまた来たのね」

「すみません凛先生。俺、この後政府の方と話し合いがあるのでゆ、じゃなかった鈴蘭の事お願いします」

「分かりました時雨校長」

時雨は頼むと言い残して出て行った

「さて、鈴蘭傷を見せて。あぁ耳は傷が深いねちょっと待ってて」

凛先生は立ち上がると保健室の棚からガーゼと包帯をを取り出した

「はい。鈴蘭ちゃん横向いてじっとしててね」

凛先生は手早く処置を済ませた

「耳の手当てはお終い。次は手、なんだけど・・・・傷多すぎない?」

「だいの大人を相手に暴れまくって、しまいに無理やり押さえつけられたんで擦ったり切ったりしたんですよね」

「か、軽いね。結構な傷なのに。まぁそこは消毒だけにしとくね。問題は足なんだよね〜多分捻挫なんだと思うんだけどあっ!ちょっと待ってね」

凛先生は電話を取ると誰かに電話をかけ始めた

「もしもし彩歌?ちょっと来てほしいんだけど。うん、うん、分かった。待ってるね」

ピッ

「ごめんね。足は少し待っててね。先に別の事終わらせてから来るらしくて」

「はい」

「じゃあその間に鈴蘭ちゃんんな他に痛いとこある?」

「背中が痛いです」

「背中?ちょっと見せてね」

凛先生は私の服をあげた

「うわっ。背中すごい爛れてる何これ火傷?」

「多分スタンガンで気絶させられた時のだと思うんですけど」

「襲ってきた男子供にスタンガンなんて使ったの!?」

「はい。しかも結構強力なやつだったみたい」

「そりゃあ火傷するよね.今、薬塗る。しみるけど我慢してね」

そう言って凛先生は私の背中に薬を塗った

「っ〜」

「はい塗ったよ。後、ガーゼを張って包帯巻くね」

凛先生に包帯などをやってくれた

「他に足以外で痛いところはない?」

「大丈夫です」

「それにしても彩歌遅いな〜どこで油売ってるんだか」

バン!

勢いよく扉が開いてポニーテールの背の高い女性が入ってきた

「こっちは今日の事件の資料収集で忙しいのに突然呼び出したのはどこの誰だよ凛!」

「急に呼んで悪かったって。鈴蘭ちゃんこの人は私の同期の霧川  彩歌。体育の先生だよ。彩歌この子は鈴蘭ちゃん。捻挫しちゃったみたいだからテーピングやってくれない?私テーピング苦手だからさ」

「それはいいけど保健の先生がテーピング出来なくて大丈夫?」

「まぁ大丈夫、大丈夫」

「おいおい」

彩歌先生は呆れた様子だった。彩歌先生はテーピングしてくれた

「これでよしっと鈴蘭ちゃんだっけ?入学式で大人相手に蹴りかました子だね」

「・・・・・」

私は目を逸らした

「とりあえずしばらくは安静にねまぁ今回の件ですこしの間授業は出来ないけど」

「ありがとございます彩歌先生」

「どういたしまして。じゃあ私、職員室に戻るね」

「私も部屋に戻ります。ありがとございました。凛先生」

「は〜い。また怪我したらおいで」

私は凛先生に気一礼すると部屋に向かった。考え事をしていたせいか危うく自分の部屋を通り過ぎるところだった

ガチャ

ドアを開け部屋に入ったがまだ誰もいなかった

「桔梗も桜もまだ帰ってきてないのか」

普段の明るさと反対に一人だと変静かに感じられた

「残された時間は約七年。それまでに私達が動物にならないための方法を探さないと・・・・・明日図書室に行ってみよう。何か分かるかもしれない」

一人で話していると少し寂しく感じた

「桜と桔梗早く帰ってこないかな」

そう呟いたその時

ガチャ

「「ただいま」」

「おかえりなさい桜!桔梗!」

「?なんか鈴蘭めっちゃ元気だね」

「そうかな?」

「うん」

「まぁそこはいいから。鈴蘭ちゃん怪我大丈夫だった?」

「大丈夫だよ。もう手当て受けたし」

「本当に?包帯だらけで大丈夫には見えないけど」

「アハハ他にも怪我してる所あるけどね」

「笑ってる場合じゃないでしょ」

「まぁそれは置いといて。さっき時雨校長の車が出てったけどどうかしたの?」

「なんか政府の人と話し合いがあるんだって」

「へぇ〜そうなんだ」

コンコン

誰かガドアをノックした

「は〜い」

私がドアを開けると見知らぬ高校生くらいの女性が立っていた

「あの、どちら様ですか?」

女の人はなぜか私を見て目を輝かせていた

「ちょー可愛い!私、一度でいいから妹以外の突然変異と会ってみたかったんだよね!君は三毛猫の突然変異だね」

「は、はい」

そう言って女の人は部屋の奥を見た

「わぁ!ウサギちゃんもいる!かわいい!」

「えっとあの本当にどちら様ですか?」

「あっ自己紹介がまだだったね。私、草凪 未菜。桜の姉だよ」

「「えっ!?」」

桜の方を見ると桜は放心状態だった

「桜ちゃんー大丈夫?」

「だ、大丈夫。未菜姉さんどうしたの?こんな急に」

「夜桜中の生徒が事件に巻き込まれたって聞いたから心配で来ちゃった」

「来ちゃったじゃないよ!学校に許可は取ったの?」

「取ったよ。大きな被害にあったのはこの子みたいだね」

そう言って未菜さんは私の頭に手を置いた

「うん。そうだよ」

「そっか。でも耳は痛かっただろうねお姉さんが慰めてあげようか?」

未菜さんが近づいてきた

「けっ、結構です。というか近いです」

「そう?そこまで近くないと思うけど」

「未菜姉さん!鈴蘭が困ってるからやめてあげてよ」

「ふぅ〜んこの子鈴蘭って言うんだ。まぁ気をつけるよ。それでこっちの兎ちゃんの名前は?」

「私は桔梗です桜のちゃんのお姉さんよろしくお願いします」

「二人ともいい子そうだね。桜の事よろしくお願いします。じゃ桜の無事を確認したから私は帰るね。じゃあまたね〜」

バタン

未菜さんは出て行った

「さ、桜ちゃんのお姉さんって不思議な人だね」

「本当にね。まぁ血が繋がってないから全然似てないんだけどね」

「なるほどね。道理で」

「でも血が繋がっていないってどうゆう事?」

「私、生まれてすぐ母親に捨てられたの空き地に捨てられてた私をお取りすがった紀南さん、今のお母さんが拾ってくれたの。母さん達は動物学大好きな家族だったからすぐ受け入れてくれたらしいここまでは母さんに聞いた話なんだけど私が拾われた時姉さんはまだ三歳で今でも真実を知らなくて私の事を本当の妹だと思ってるんだ」

「そうなんだ。桜はよかったねいい人に拾ってもらえて」

「どうゆう事?」

「だって私なんかどこにいてもいらないもの扱いしかされなかった。家でも孤児院でもしまいには家族から捨てられた。だから桜が本当に羨ましいよちゃんとした家族が居て必要とされていて」

「鈴蘭にも鈴蘭の事必要としてくれてる人がいるよ!」

「そんな人いるわけないよ」

「絶対いる!どうしてすぐ自分を否定するの?」

「桜には分かんないよ。私の気持ちなんて」

「っ・・・・・私そんなに自分のこと否定する鈴蘭なんか嫌い!」

桜は部屋を出ていってしまった

『鈴蘭なんか嫌い』そんな言葉が頭の中でこだました。ふいに昔の記憶が蘇り私の目の前が暗くなった

〜夢の中〜

「やめて!やめてよお母さん!」

私の目の前には小さい時の私とお母さんがいた。目の前の私は母に髪を掴まれている

「うるさい!お前なんかお前なんかいなければあの人は私の事を捨てなかったのに!全部お前のせいだ!お前なんか大っ嫌いだ!」

私は理解した。これは私の記憶の中だと。すると周りが白く光だし目が眩むような明るさになった今度は別の部屋の中だ

「キャッ」

声のした方を見るとさっきよりも少し大きくなった私とその私よりも年上の少年と少女がいた。私は地面に倒れている

「オイ!さっさと立てよ。もっと俺達と遊べよ.お前は人間じゃない.俺達のおもちゃなんだ。ほら早く立てよ」

「早く立ちなさいよ。私達をもっと楽しませなさい」

目の前の私はフラフラと立ち上がった額からは血が出ていた

「うわっ血が出てやんの気持ち悪い。突然変異のあんたが妹で損してんのにこれ以上損させないでくれる?」

「ほらほらもっと俺たちと遊べよ!」

少年は目の前の私をまた突き飛ばした

「あっ」

バタン

わたしは目の前の私は倒れた

「そういえばこんなお兄ちゃんとお姉ちゃんだったね。やっぱり桜はいいなあんなにいいお姉ちゃんがいて」

また周りが白く輝いて場所が変わった今度の場所は私はしっかり覚えていた。数ヶ月前まで私がいた場所

「私が育った孤児院」

「ではお願いします」

声の方を見ると昔の母と私と一人の女性が居た

「シスターユリナ・・・・」

昔の私はシスターユリナに肩を抱かれていた

「いや待って!お母さん!私を置いて行かないでよ!お母さん!お母さん!」

昔の私に耳を傾ける事なくお母さんは去っていった。昔の私は崩れ落ちて泣いているシスターユリナは昔の私の背中をずっとさすっていた

「シスターユリナ。もう一度あなたに会いたい」

私は静かにそう呟いた

するとまた周りが白く輝いてとても綺麗な青空だった

「佑」

「!」

懐かしく優しい声。私は振り向いたそこには一人の女性。シスターユリナが居た

「シスターユリナ!」

私はシスターユリナの胸に飛び込んだ

「佑、よくがんばったね」

「シスターユリナ会いたかった」

「佑よく聞いて夢からおきなさい。いつまでも過去にとらわれていてはダメなの。あなたを必要としている人があなたが夢から覚めるのを待ってる」

「そんな人いるわけないよ」

「自分を否定してはダメ。自分を受け入れないと。佑を必要としているのはあなたの友達桔梗や紫陽花、桜達があなたのことを待ってる。あなたは自分が思っている以上に人から大切に、必要とされているの。さぁ行きなさい」

その声とともに私は落ちるような感覚に陥った

「ごめんね佑。もう少し貴女といたいのだけどこれ以上貴女の友達を心配させるのは可哀想だから。幸せに暮らしてね」

「あっ・・・・ありがとうそしてさようならシスターユリナ」

私はシスターユリナに手をのばすようにした絶対届かないと分かりながら。シスターユリナが見えなくなったその瞬間少し目の前が暗くなると私の目には少しぼやけながら天井が見えた。ふと私は誰かが私の手をつかんでいるのに気づいた。その手の先を見ると桔梗がいた

「鈴蘭ちゃんよかった起きて鈴蘭ちゃん急に倒れちゃってしかもすごい熱で」

「ねぇ桜は?」

「そこにいるよ」

桜は自分のベットで私に背中を向けて座っていた。私は熱で少し朦朧としながら私はベットから出て桜のほうに行った

「ちょっと鈴蘭ちゃんまだ起きたらダメだよ」

私は桔梗の声に耳をかさずに桜のところまで行った

「桜、さっきはごめん。私自身が自分のことを受け入れないといけないのに今日からは私、自分自身を受け入れるようにするよ。大切な人が私のことを必要としくれている人が周りにいるって教えてくれたの」

「・・・・・・」

「桜?」

私は桜に手を近づけたすると

グイッ

桜は私を引き寄せると抱きしめた

「鈴蘭のバカ!心配かけて」

「ごめん桜。心配してくれたんだね」

「心配するに決まってんじゃん友達なんだから」

桜は泣いていた

「心配かけてごめんね。もう大丈夫。少し昔のこと思い出してただけだから」

「そっか。てか鈴蘭まだ体熱いよ」

「そ、そうかな?そんなことはないよ・・・・多分」

「鈴蘭まだ寝てて」

「そうだよ。鈴蘭ちゃんまだ熱下がってないんだから大人しく寝てて」

「いや、でももう大丈夫だから」

「「寝てなさい!」」

私はベットに戻り寝転んだでも眠れなかったけど悪夢のせいじゃない。今回は嬉しかったから寝る事が出来なかった。でもしばらくすると睡魔に襲われいつの間にか眠っていた私が次に目を覚ますと外には太陽が昇っていた昨日私が眠った時は夕方のはずだったのにもう回りを見ると二人はいなかった

「今何時?桜達どこ行ったんだろう」

ガチャ

するとドアが開いて桔梗が入ってきた

「あっ鈴蘭ちゃん起きたんだね。体大丈夫?もうだいぶ熱下がってるみたいだけど」

「大丈夫だよ」

「本当に?鈴蘭ちゃんの大丈夫は信用ならないからね」

「本当に大丈夫だって」

「まぁ顔色もいいし大丈夫か。お粥もらってきたけど食べれそう?」

「う〜ん食べれるだけ食べるよ」

「じゃあここ置いとくね。私行かないといけない所があるからまた後でね」

「うんまた後で」

桔梗ガチャ出ていくと私は桔梗が置いていってくれたお粥を食べ始めたしかし

「まだ食欲ないな」

少し食べてもう食べられなくなってしまった。私はお粥を机に置くと服を着替えて部屋を出た。向かった場所は学校で一番大きな図書室だった

「ここなら何か分かるかもしれない」

私は図書室にあったパソコンで突然変異についての本を検索した。すると二冊だけヒットするものがあった。私はすぐにその本を探すと椅子に座った

「これなら何か分かるかもしれない」

パラパラ

私は二冊のうちの片方を開き読み始めた。するとそこには一番最初の突然変異が産まれたのは京都だと言うことが分かった。そして京都には突然変異となんらかの関わりがある場所だと言うことが分かった。私はその本を借りるとある場所に向かった。私は早足でそこに向かうとその部屋のドアをノックした

「どうぞ」

声が聞こえ部屋の中に入った

「失礼します」

ガチャ

「おぉなんだ鈴蘭か急にどうした?」

そう、私が入ったのは校長室だった

「時雨私、京都に行きたい!」

「はっ?いきなりどうしたんだ?」

時雨は目をパチクリさせながら驚いていた。私は時雨に事情を説明した

「なるほど京都は突然変異にゆかりがあるから何か分かるかもしれないと」

「うんどうかな?」

「うーんまぁいいか。その代わり一年全員で京都に修学旅行としてだ」

「えっと・・・修学旅行って何?」

「ん〜なんて説明すればいいんだろうか?みんなで旅館に泊まって京都とかを観光するみたいな感じだ」

「へぇ〜けどみんなの耳や尻尾はどうするの?」

「それは・・・まぁ後で考える。詳しいことは後々決めるよ。多分近いうちに行くことになるとも思う」

「分かった。じゃあ失礼しました」

私は校長室を出ると部屋に戻った。部屋に戻ると桜と桔梗がいた

「鈴蘭ちゃん!どこ行ってたの?病み上がりなんだから大人しくしててよ」

「ごめんごめんちょっと図書室に行っててさ」

そう言いながら私は自分の背中に本を隠した

「もう心配したんだよ」

「そうだよ鈴蘭」

「ごめんって少し疲れたから仮眠するね。三時間したら起こして」

そう言って私は自分の布団に潜り込んだ。私は布団の中に潜り込むと図書室で借りた本を読み始めた

「こら〜鈴蘭。布団の中でこそこそするな!」

桜は私の布団を取り上げた私は布団が取り上げられた瞬間枕の下に本を隠した

「ちょっと桜、布団返してよ」

「ねぇ鈴蘭昨日からなんか変だよ。あの男になんか言われた?」

「別に何も?」

私は無意識に桜から目を逸らした

「嘘だね!」

グイッ

桜は私のほっぺをつねってきた

「鈴蘭は嘘をつく時絶対に人から目を逸らす。私、この数ヶ月で鈴蘭のくせに気づいたの!」

「さふぅりゃういたぁいうぃたぁい」

「あぁごめん」

パッ

桜は私のほっぺたをつねっていた手を離した

「でっ何があったの?」

「・・・・・・」

「ねぇ鈴蘭ちゃんと教えて私、力になれることならなるから」

「私もそのつもりだよ鈴蘭」

「・・・・ごめん言えない」

「どうして?」

「・・・・・時雨に口止めされてるから」

「そっか。なら仕方ないね」

「・・・・・いいよ。言わないなら言わせるまでだから」

ニャッ

桜は不気味に笑った

「えっ?ちょ、ちょっと桜?」

桜がジリジリと迫ってきた。私は後ろに下がっていたが壁にぶつかってしまい逃げ場がない・・・・・数分後

「ふふふあははちょっと桜、耳は耳はダメだって〜」

あれから桜はずっと私のことをくすぐっていた

「鈴蘭いう気になった?」

「わかった、分かったから〜!」

「それならよし」

桜はくすぐっていた手を止めた

「桜の意地悪」ボソッ

「ん?まだやられたいの?」

「ごめんなさい!結構です!」

「ずいぶん無理矢理な方法だね桜ちゃん」

「こうでもしないと鈴蘭言わなそうだし鈴蘭が耳弱いの知ってたから役に立つかなって」

「なんでそんなこと知ってるんだよ」

「さぁなんででしょうねそれで何を言われたの?教えてくれるよね?」

桜の笑顔が怖かった

「・・・実は」

私は桜達にあの男に聞いた話を話した

「ふ〜んそうゆうことね」

「あれ?あんまり驚かないんだね桜」

「うんってプッ」

桜が吹き出し私が後ろを見ると桔梗が口を開けて目を見開いてフリーズしていた

「ハハハ桔梗口開いてる」

「桔梗おもしろーいアハハ」

「そんなに笑わないでよ。驚いてフリーズしてただけだから」

「いや、フリーズしてたのかよ」

「私もその話聞いた時フリーズしたけどね」

「鈴蘭もかよ。ほんと二人って似てるよね」

「「そう?」」

「うん。くすぐりが弱いところとか驚くとフリーズするところとか」

「どうして桜ちゃんは私がくすぐり弱いこと知ってるのかな?」

「さぁ〜なんでだろうねでも鈴蘭より桔梗の方がくすぐり弱いんだよね」

「だからなんで桜はそれを知ってるんだよ」

「アハハ〜そう言えば鈴蘭は時雨校長と何話したの?」

「ん?あぁ京都に行きたから行かせてって言ったの」

「なんで京都?」

「この本に京都と突然変異の関わりについて書いてあったから」

ゴソゴソ

私は枕の下から本を取り出して二人に見せた

「へぇ〜」

「で、提案したらなんか修学旅行として一年全員で行くって」

「「修学旅行!」」

桔梗と桜は目を輝かした

「本当に?」

「うん。決まったら教えるって言ってた。まぁあの人のことだからすぐ決まると思うよ」

「そっか」

ガチャ

時雨が部屋に入ってきた

「鈴蘭!決まったぞ修学旅行!」

「「はやっ!」」

「やっぱりね」

「やっぱりって?」

「時雨こうゆう作業すんごい早いんだよね」

「なんだ桜達に教えたのか。ならちょうどいい桜、桔梗、鈴蘭、これをつけてみてくれるか?」

時雨は私にはカチューシャ、桜には帽子、桔梗にはフード付きのパーカーを渡してきた

「これは?」

「修学旅行の時に耳を隠すために色々持ってきたんだ。鈴蘭は耳を曲げられないからリボン型のカチューシャのワタを抜いて耳をしまえるようにして、桜は耳がしまえるから帽子で隠すようにして、桔梗は長くて帽子には入らないからフード付きのパーカー」

「・・・・これ時雨が作ったの?」

「そうだけど」

「全員分作るつもり?」

「あぁそうだ」

「間に合う?」

「・・・・・」

「修学旅行いつ?」

「来週の金、土、日」

「「「来週!?」」」

「後、一週間もないじゃん!」 

「はぁ〜ほんと無計画なんだから。耳を隠すアイテムは私が作っておくかしおひら時雨は修学旅行で必要なものとかしおりを準備しておいて」

「校長。泊まる場所とかはどうするんですか?」 

「それなら手配しているから心配無用だ」

「そうゆうのは早いんだから。それより被服室のミシン借りるね」

「手伝うよ鈴蘭」

「私も!あんまり裁縫得意じゃないけど」

「ありがとう二人とも」

私達は五日かけて耳を隠すアイテムを全員分作った

「完成ー!」

「これでやっと全員分だね」

私達はアイテムを段ボールに詰めてそれを持って校長室に行った

コンコン

「失礼します」

私達は校長室に入った

「おぉ鈴蘭達じゃないか」

「時雨一年全員分のアイテム出来たよ」

「ありがとう。こっちもしおりが作り終わったところだ。今から一年の学年集会をひらいて、部屋の割り振りや班のメンバーを発表してしおりを配る。ちょっと放送室に行ってくるから三人はそれ持って体育館に行っててくれ」

「はい」

「わかりました」

「了解です」

私達は校長室を出ると体育館に向かった

「今日はあっち行ったりこっち行ったり大変だね」

「ほんとそれ」

「修学旅行同じ班だといいね」

「そうだね」

「まぁ多分時雨のことだからあみだくじとかで決めてるんだろうけど」

「へぇ〜じゃあ一緒になれるかは微妙だね」

ピンポーンパンポーン

『一年の皆さん今すぐ体育館に集まってください大切な話があります』

「急ごっか」

「うん」

「あ、そういえばまだ私達以外の一年生には修学旅行に行くこと伝えてないんだって」

「まさかの前日発表?それはそれで面白いけど一週間前に決まったことでしょ?」

「しおりが今日まで完成しなかったんだって」

「なるほどそうゆうことね」

「ちょっと鈴蘭待って」

桜が急にそう言った。すると桔梗が後ろで立ち止まっていた

「どうしたの桔梗?」

「走ってたら疲れちゃって先行ってて」

「置いてけないよ。歩いてこ荷物重いし」

「それに五分もあればつくし」

三人で歩くこと数分

「やっと体育館についた」

「荷物重すぎだし、まさかの最短距離が通れないっていうね」

「これドア開けていいんだよね?」

「いいんじゃない?」

桔梗がドアを開けた

すると集まっていた同級生達が一斉にこっちを見てきた

「よし、これで全員だな起立、気をつけ、今から学年集会を始めます。礼」

「着席、校長先生の話です。校長先生お願いします」

「はい。今日皆さんに集まった理由は突然ですが明日、修学旅行に行くことなりその説明です」

ザワザワ

体育館が一気にざわついた

「今からしおりを配ります利菜先生お願いします」

「はい」

教頭先生がプリントを配った

「班のメンバーなどは後で発表します。その前に鈴蘭達前に」

「「「はい」」」

「この三人が耳を隠すアイテムを作ってくれました。今からそれぞれの耳に合うアイテムを取っていってください」

時雨がそう言うと皆が一斉に動き出した

「三人ともありがとう。助かったよ」

「いえいえお気になさらず」

「そうですよ時雨は校長」

「でも次からはもっと計画的に行動してね」

「うっ、気をつけるよ」

そんな話をしていると全員撮り終わった

「じゃあ頑張ってくれた三人に拍手を」

パチパチパチ

「じゃあ三人とも戻っていいよ」

「「「はい」」」

「では部屋の割り振りや班のメンバー遠発表します。この紙に書いたので見に来てください」

皆がぞろぞろ動き出した

「私達も見に行こ」

「うん」

「行こう行こう」

皆と一緒に紙を見に行くと私は五組の六班、桜は七班、桔梗は八班だった。部屋は三人とも同じ部屋だった

「皆さん見終わりましたか?見終わった人から班順に並んでください。全員集まった班から自己紹介をして班長を決めてください」

「じゃあ後でね」

「「後でね」」

私達は分かれてそれぞれの班の場所に行った。私の班は私以外は揃っていた

「じゃあ全員揃ったから自己紹介始めよっか。まず私ね。私の名前は雪柳、熊の突然変異ですよろしくお願いします」

「次は私。私の名前は紫式部でアルパカの突然変異のです。よろしくお願いします」

「じゃあ次は私で。私の名前は百合。コツメカワウソの突然です。よろしくお願いします」

「「・・・・・・」」

私ともう一人の子は黙り込んだ

「次はどっちが言う?」

「じゃあ私で」

私がそう言った

「名前は鈴蘭で猫の突然変異です。よろしくお願いします」

「じゃあ最後はあなたね」

「えっと・・・私の名前は小手毬、ですリ、リスの突然変異です。よ、よろしくお願いします」

私の班は全員女子だった

「じゃあ班長は誰にする?」

「「「「・・・・・・」」」」

「私やるよ」

そう名乗り出たのは雪柳さんだった

「じゃあお願いします雪柳さん」

「オッケー後、私のこと呼び捨てでいいよ」

「じゃあ私も呼び捨てでいいよ」

「そういえば皆と話すの初めてだね」

「たしかに皆、教室にはいるけど喋ったことなかったね。あっ、でも鈴蘭の事は普通に知ってたよ」

「それ私も鈴蘭のことは結構鮮明に覚えてた」

「えっ?なんで?」

「だってさ〜鈴蘭入学式の時、友達のためにナイフを持った相手に向かって蹴りかましてたし」

「この前は銃で耳撃たれてたし、スタンガンで気失わされたり、なんか呼ばれたりしてたし、あんだけ目立つことしてたら覚えるよ」

「確かに目立つことしたな〜」

「でしょ」

「はい。皆さん自己紹介は終わりましたか?それでも明日の朝に運動場集合です。起立、気をつけ、これで学年集会を終わります。礼、解散」

「桜、桔梗、部屋に帰って明日の支度しようよ」

「うん」

「そうだね」

「ねぇねぇ鈴蘭」

「ん?」

呼ばれて後ろを見ると雪柳や紫式部ちゃんが立っていた

「私達も一緒に寮戻っていい?」

「私はいいよ。ねぇ~桜、桔梗、雪柳達も一緒に戻っていい?」

「いいよ」

「別にいいけど」

「ありがとうじゃあ戻ろう」

「そういえば桜の班って誰が班長になったの?」

「私の班は私が班長だよ」

「おぉガンバ!」

「頑張るよ」

「三人って仲良いの?」

「うん。結構仲良いよね?」

「「うん」」

「急にどうしたの?そんなこと聞いて」

「いや、この前鈴蘭何桜ちゃんを庇ってたから仲良いんだろうなーって思って聞いてみた」

「そうゆうことね」

私達はそんな話をしながら部屋に戻り明日の支度をした

次の日

ザワザワ

私達は運動場に集まっていた

「皆さん出発の時間です班順に並んでください」

「では今から修学旅行に行きます楽しい思い出をたくさん作ってくださいまた新幹線で行くので絶対に騒がず耳をしっかり隠すようにしてください。それでは六組の後ろから出発してください」

皆が少しずつ動き出した

「鈴蘭」

呼ばれて声の方を見ると時雨が居た。時雨はこちらに手招きをした。私は列から出て時雨の元に行った

「鈴蘭、今日の夜と明日の夜に外出していいその時間入学式聞き込みなどをしてくれ」

「分かった」

「すまない少ししか時間が取れなくて」

「大丈夫。私こそ無理言ってごめん私、列に戻るね」

私は列に戻った。一日目の夜は何も進展がないまま終わってしまった。しかし次の日の夜

♪♪♪〜

「笛の音?」

私は笛の音に吸い寄せられるように一本の松の木の近くに行った。

パキッ

私は木の枝を踏んでしまった

ピタッ

笛の音がやんだ

「そこにおるのは誰じゃ」

私は木の後ろから出た

「!、浮いてる」

そこには女性が空に浮いていた。その女性の格好は明らかにおかしかった

「そなたは?」

「私は鈴蘭あなたは誰?」

「わしは風の神フウじゃ突然変異のことについて調べまわっておるのはおぬしなのか?」

「はい。何か知ってることがあったら教えてください」

「分かった。おぬしには突然変異について教えてやろうついてきなさい」

そう言ってフウは手を差し出してきた。私は嫌な予感がしながらその手を取ってしまった。私が連れてこられたのは窓も何もない殺風景な部屋だった。私がその部屋に入った途端

バタンガチャ

扉を閉められ鍵をかけられてしまった

「開かない!開けてよ!」

「鈴蘭おぬしは世界にとって危険な存在なんじゃすまぬがここに閉じ込めておくしかないんじゃ」

「どうゆうこと?なんで私が危険なの?フウ教えて」

「いいじゃろうまず突然変異の過去について教えてやろう。今から何百年も昔、わしのほかに水の神、木の神、花の神がこの地を治めていた。ある時わしらは人間に恋をした。わしらはそれぞれその人間と結ばれる子供が産まれた。それが最初の今では突然変異と呼ばれる子達だ」

「なら私達の先祖は人間と神のハーフってことか」

「あぁ」

「でもどうして動物の耳と尻尾がついてるの?」

「それはそれぞれの神の使い魔がおぬし達の体の中にいるからじゃ。そしてお主が危険なわけは、おぬしは突然変異の中でも特に神の力が強い一人なんじゃ。まだ神の力は目覚めていないが目覚めた時使い方次第で周りの人を危険にさらす。だから目覚める前に閉じ込めさせてもらう。さて話は終わりじゃおぬしの記憶消させてもらう」

「えっ!?」

扉の隙間から風が入り込み一瞬にして私の体を包み私の体が宙に浮き上がった

「桜、桔梗・・・」

プツン

何かが切れる音がして目の前が暗くなった

数時間後

「あれ?ここどこ?私は誰?」

私が目を覚ますと知らない所にいたそれに加え自分の名前すら思い出せなくなっていた

「誰か・・・」

私以外誰もいない部屋に私の声が響いた。私は急に寒気がした。自分の事を何も知らない、思い出せない事に恐怖を感じた。その時唐突に頭の中に映像が流れた。誰かが私に手を差し伸ばし、私はその手をとっている

「この人は誰?私、この人のこと知ってる」

次に私が誰かと話してる映像が流れた。顔は見せないが聴き覚えのある優しい声だった。でも思い出せないこの人達が誰なのか

「知ってる。私はここ人達を・・・とても大切な人達。思い出さないきゃ!」

パリン!

頭の中で何かが割れる音がしてすべて思い出した

「あれ?思い出せた」

「なんじゃもう記憶を取り戻したのか面白くないの〜」

「っ!」

「そんな警戒せんでもいいちっとそなたを試しただけじゃ」

「はぁ?」

「神の力を使うには強い精神力が必要じゃおぬしの記憶を取り戻すまでの時間でそれが分かるはずだったのじゃが記憶を取り戻すのが早すぎるんじゃよ」

「私の精神力の強さが分かったならここから出してくれる?」

「それはできぬ」

「どうして?」

「いくら精神力が強くてもそなたは危険すぎるからだめじゃ」

「そんな!皆の所に帰らせてよ」

「すまぬがそれはできない」

パタパタ

誰かが走ってくる音がした

「おや珍しい誰か入り込んだか」

バン

ドアが開いて一人の男性が現れた。その人の顔に私は見覚えががあった

「時雨・・・?」

私は自分の目を疑った。その男性は確かに顔は時雨だが髪と目の色が水色で耳に雫の形の耳飾りをつけ和服を着ていた

「久しぶりだなスイ」

「久しぶりじゃないフウ」

「何を怒っておる?らしくないぞ」

「分からないか?鈴蘭を拐ったから怒ってるに決まっているだろう」

「なんだスイと鈴蘭は知り合いだったのかふぅーん」

「よく俺の家族に手を出せたな」

「家族?」

その瞬間フウの表情が変わった

「そうだ。鈴蘭は俺の家族だ」

「何を言っている。神に家族なんぞいるものか神と人間では生きる時間が違いすぎる」

時雨はフウから私の手を取ると部屋から出た

「時雨その姿はいったい」

「黙っててすまない鈴蘭。俺は人間ではない。俺は水の神なんだ」

「だからその姿なんだ」

「それより鈴蘭怪我はないか?何もされてないか?」

「大丈夫何もされてないよ」

「そうかなら良かったフウのことはすまなかった」

「でも時雨は知っていたんだよね突然変異の秘密」

「あぁ知っていた」

「どうして教えてくれなかったの?」

「・・・・傷つけたくなかったんだ。もうこの話はやめだ。宿泊施設に戻ろう」

「うん」

その時の時雨はとても辛そうな顔をしていた。雨の中私は時雨に手をひかれ宿泊施設に戻った宿泊施設に戻ると女将さんが迎えてくれた

「まぁまぁびしょ濡れ」

女将さんは時雨の知り合いで動物好きのこともあり快く私たちのことを受け入れてくれた

「ほらほらお風呂いってらっしゃい風邪引きますよ」

「はい。ありがとうございます」

私はお風呂に行ってシャワーを浴びて部屋に戻ったすると

「あっお帰り」

桜が声をかけてきた

「あれ?まだ起きてたの?」

部屋の桜と桔梗が起きていた

「鈴蘭ちゃんどこ行ってたの?」

「ちょっとね」

「ちょっとじゃ分かんないよ」

「アハハ気にしないで」

「また無理矢理言わせようか?」

桜はジリジリと迫ってきた

「言うよ。言うから」

「それならよし」

桜は布団の上に座った

「突然変異についての調査に行ったの時雨が夜なら自由に調査していいって言ったから」

「何か分かったの?」

「うん。一応ね」

「そうなんだ」

「ねぇ鈴蘭ちゃん手どうしたの?」

「手?」

私が手を見ると手首に何かに締め付けられたようなアザがあった

「あれ?なんだろうこれ」

「・・・・・・・調査してる時に何かあった?」

「えっ?あっ一応問題は起きたけど気にしなくていいよ」

「気にするよ!」

ビクッ

普段大声を出さない桔梗が大声を出した

「友達が怪我してるんだから気にするに決まってるよ。何があったか教えて!」

「ごめん。こればっかりは教えられない」

私は部屋を出た。そのあとわたしは当てもなく旅館の廊下を歩いていた

ドン!

私は曲がり角で誰かとぶつかった

「「イタタタ」」

ぶつかった人は保健の凛先生だった

「鈴蘭ちゃん!?こんな時間にどうしたの?」

「あっ、訳あって部屋に戻れなくて」

「う〜んならわたしの部屋で寝る?」

「いいんですか?」

「いいよ私、部屋一人だし」

「ありがとうございます」

その日私は凛先生の部屋で寝た

次の日

「本当にありがとうございました凛先生」

「どういたしまして一人で大丈夫?」

「大丈夫です」

私は部屋のドアを開けた

「鈴蘭ちゃん!どこ行ってたの?」

「・・・・凛先生の部屋」

私は答えながら桔梗の前を通り過ぎたすると

ギュッ

「ヒャア!?」

桜が急に尻尾を掴んできて私は布団の上に倒れた

「やっぱり」

「さ、桜ちゃん尻尾はやめた方が」

「だって猫って尻尾でバランス取るから尻尾を掴むと上手くバランス取らなくて倒れるから鈴蘭も倒れるかなって思って。倒れたら逃げること出来ないでしょ」

「桜それはいいから離して」

「えぇ〜やだ」

桜はニヤニヤしながら私の尻尾を掴んでいた

「昨日何があったか教えてくれたら離してあげる」

「それは絶対イヤだね」

ビュッ

私は桜を蹴ろうとした

「あっぶな」

桜は避けた拍子に私の尻尾から手を離した。その瞬間私は後ろに飛び退いて桜を睨んだ

「ごめん。鈴蘭やりすぎた」

プイッ

私はそっぽを向いて荷物をまとめた。桜は何もしてこなかった。桜と口をきかないまま食堂に向かった。食堂でも私と桜は口をきかなかった。桔梗はそんな私達を見てオロオロしていた。そして仲直りしないまま修学旅行は終わろうとしていた。そんななか帰りのバスで私が外を眺めていた。すると一枚の封筒が風に流され飛んできたその封筒は窓を通り抜けて私の膝に落ちた。封筒を開けると

「これは」

それはフウからの手紙だった

『鈴蘭へ

試すような真似をしてしまったこと申し訳なく思っておる。鈴蘭の力で話忘れたことがあるからここに記す。実は鈴蘭のような者は鈴蘭の他にあと二人おる。三人の力が目覚めた時三人の心が合わさることが必要不可欠になるはずじゃ三人の心が合わさった時とても強い力が使えるだろうしかし使いすぎると大変な事になるから気をつけるように。おそらく鈴蘭の近くに他の二人もおる。そして力が目覚めた時は使い方には気をつけるように

追伸スイのことよろしく頼む   フウより』

「私の近くに他の二人も」

そして修学旅行は終わった。しかし私と桜は仲直りしないまま二週間たった。そんなある日月に一度の外出日で部屋のメンバーで出掛けていた

「ねぇねぇ二人ともあのお店行ってみようよ」

「えっ、あっいいよ」

「・・・・いいよ」

私と桜はまだ仲直りをしてなかった

「ごめん。私、ちょっとお手洗いに行ってくるね」

「う、うん。ここで待ってるね」

私は二人から離れお手洗いに行って帰ってくると二人はそこにいなかった。二人のいた所には桔梗の花のブローチと桜の花のブローチが落ちていた

「これ桔梗達のリボンについてた」

夜桜中では制服のリボンに自分の仮名の花をつけていた

「まさか桔梗達に何か!?」

私は色んな人に話を聞いて桔梗達の居場所を特定したそこは廃工場だった。私はその中に入ったすると

「あらあら三毛猫の突然変異のお嬢さんから出向いてくれるなんてうれしいね」

声の方を見ると黒の特攻服を着た女がいた

「お前は誰だ?」

「私は特攻隊黄金蝶の総長桐野  澪。呼び名は鬼の蝶。お前名前は?」

「言うわけないでしょそれより桜達はどこにいる?」

「桜達?あぁあいつらの事か連れてこい」

桜達は澪とかいう女と同じ服を着た女達に連れてこられた

「桔梗!桜!」

「すず、らん?」

「桔梗、桜、その傷は?」

「あぁ大人しくしないんでちょっと黙らせるためにな」

「なっ!?っ・・・・許さない」

「はっ?」

「許さない!桔梗達に怪我をさせたこと絶対許さない!」

私はその声に共鳴したのかのように水に包まれた。その水が消えだ時には髪の色が青色に変わっていた

「なんだその姿は!?」

私の頭の中で言葉が浮かんだ

「水の刃!」

私がそう唱えた瞬間小刀の形をした水が集まりあの女の方にに飛んでいった。女は身動きが取れなくなり桔梗達の縄が切れた

「逃げるよ二人とも」

「お前ら追いかけな」

どこに隠れていたのか特攻服を着た女の人が追いかけてきた私たちは走ってそこを出た。道を走っていると

「キャッ」

ズサアッ

「「桔梗!」」

私は桔梗を助けようとして後ろにいた女に気づかなかった。気づいた時にはもう遅かった

「しまった!」

私は完璧に体を押さえ込まれて動けなくなった。桔梗も他の女に捕まっていて

「っ・・・桜逃げて!」

「イヤだ。二人を置いて行けない」

「それなら私はいいから桔梗だけ助けてすぐ逃げて」

「お前うるさいんだよ少し黙れ!」

「ああっ!」

女は持っていたナイフで私の手を切りつけた

「っ・・・鈴蘭を傷つけないで!桔梗達を今すぐ離して!」

フワアッ

その瞬間温かい風が桜を包んで風がなくなったときには桜の髪と目の色が変わっていた

「輝きの疾風!」

とても強い風邪が吹いて女達が飛ばされた

「まさか桜が」

「鈴蘭、桔梗大丈夫?鈴蘭この前は酷いことしてごめん」

「もういいよ私もずっと避けててごめんね」

「二人ともその姿はなんなの?」

「神の力が目覚めたんだ」

「神の力?」

「詳しくは後で私たちが話してる間にまた囲まれちゃったから」

「桔梗。私達が隙を作るからすぐに逃げて隠れててね」

「でも・・・」

「いいから逃げてね」

「・・・・分かった」

「じゃあひとまず」濁流!」

       「輝きの疾風!」

私達は同時にそう叫び同じ所に向かって放った上手く女達は倒れてくれた

「桔梗今だよ」

「うん」

桔梗は走って行った

「さて、鈴蘭これからどうする?」

「私と桜で気絶させて二つに分かれて縛ろうけど止血したいからちょっと時間稼ぎお願い」

「りょーかい」

桜は少しな間周りの女を近づけないように風の壁を作った。その間に私は腕の傷を止血した

「できた。これでいける。背中は任せたよ」

「オッケー。てか鈴蘭漫画読みすぎ」

「うっさい」

〜数分後〜

「これで全員かな」

「そうみたいだね」

「二人とも大丈夫?」

桔梗が建物の影から出てきた

「大丈夫だよ」

私達が桔梗に駆け寄ろうとすると

ポン!!

私は猫に桜は犬に返信してしまった

「ニャーン」

「ワン!」

「ワンワワン!?」(何これ!?)

「ニャーニャニャニャニャン?」(もしかしてフウの言ってたのってこれ?)

「ワンワン?」(どうゆう事?)

「ニャンニャンニャーニャーニャンニャニャニャニャンニャン」(神の力を使いすぎると大変なことになるんだって。多分これの事だと思う)

「二人とも可愛い。けど何言ってるか分かんない。あぁもう!どうしたらいいの〜」

私はそれを聞いて地面に時雨と書いた

「時雨校長のところに行けって事?」

「ニャー!」(うん!)

桔梗は私達を抱えて時雨のところに行った

バン!

「時雨校長!」

「うわぁな、なんだ桔梗?」

「桜ちゃん達が動物になっちゃったんですけどどうしたらいいんですか?」

「鈴蘭もう力が目覚めたのか?」

「ニャー」(うん)

「そうか。まさか桜が風の使い手だとは・・・・まぁこの状態は少ししたら戻ると思うよ」

「分かりました」

桔梗は私達を抱っこして部屋に戻った。部屋に戻って数分後

ポン!

と音と共に突然変異の人間の姿に戻った

「あっ戻った」

「制服着たままで良かった」

「ほんとにね」

次の日

「あれ?桜さん、鈴蘭、髪と目どうしたの?」

「色々あってさ」

「まぁ気にしないで」

「てか鈴蘭また怪我したんだね」

「うん。またやらかしちゃってさ」

「気をつけなよ」

「はいはいありがと紫陽花」

ガラッ

龍先生が入ってきた

「みんな座れ今日はこのクラスに新しい生徒が来る。入ってきていいぞ」

そう言うと二人の男女が入ってきた

「じゃあみんなに自己紹介して」

「「はい」」

「私の名前は向日葵。アライグマの突然変異です。よろしくお願いします」

「僕の名前はソラナムで、狼の突然変異です。よろしくお願いします」

パチパチ

みんなが拍手した

「席は向日葵は鈴蘭の後ろ、ソラナムは桔梗の横だ」

それから一週間後

「あのさ桜ちゃん、鈴蘭ちゃん私ね・・・ソラナム君と付き合うことになったの」

「!おめでとう桔梗」

「やったね。おめでとう桔梗」

「ありがとう」

しかしその数日後

コンコン

誰かがドアを叩いた

「はい」

桔梗がドアを開けると

「あれ時雨校長どうしたんですか?」

「すまない急ぎ伝えることがあって」

「なんですか?」

「君たちのクラスに転校生が二人来ただろ?その二人のうちのソラナムがスパイをしていて学校の個人情報を流してる可能性があるんだ」

「嘘でしょソラナム君が・・・・そんなことあるわけ・・・・」

「信じられないのはわかるだけど本当のことなんだ。三人とも気をつけるように」

「わかりました」

「っ、分かりました」

「・・・・・」

「鈴蘭どうかした?」

「えっ?あぁなんでもないよ」

「そう?」

「うん」

私は時雨の体つき、喋り方に違和感を感じていた

「時雨少し来て」

「何だ?鈴蘭」

「二人はここに居て絶対出てきちゃダメだよ」

「?うん」

「分かった」

私は時雨と部屋の外に出たそして廊下の突き当たりまで行くと私は立ち止まった

「ねぇあんた誰?」

「ハァ?何言ってんだよ鈴蘭。俺だよ時雨だよ!忘れたのか?」

「・・・時雨の事忘れるわけないじゃない」

「な、なら!」

「だけどあんた時雨じゃないでしょ?本物の時雨はどこ?」

「ハハもうバレちゃったか。なら仕方がないわね」

バッ

その音と共に目の前が真っ暗になり前が見えるようになるとそこには向日葵がいた

「やっぱり向日葵だったんだ」

「なんだそこまで気づかれてたのね」

「私をみくびらないで。これでも猫の突然変異だよ?足音や匂いで判断できるんだよ。それよりさっきのソラナムがスパイってのは嘘だったんだね」

「嘘じゃないわよ。本当はソラナムもこっち側の人間だったのに桔梗に恋をしてそっち側の人間になりこんなことやめようなんて言い出してきて少しこらしめてやっただけよ」

「何が目的なんだ?」

「それは言えないね。ボスの目的が果たされるまで大人しくしてなさい」

そう言って向日葵はポケットから紫の液体が入った小瓶を取り出すとその液体を私にかけてきた

ポン!

私は力を使ってないのに猫になってしまった

「ニャー!?ニャンニャーニャン」(どうして!?力を使ってないのに)

「その姿じゃ何もできないでしょ」

「シャーニャンニャニャン!」(お前の思い通りにはさせない!)

私は向日葵に飛びかかった

「ふん。そんなんじゃ私には傷一つつけられないわよ」

バシッ

私は向日葵に振り払われ飛ばされてしまった

ドン!

「ウニャ!」(痛っ!)

飛ばされた拍子に壁に背中を打ち付けてしまった。向日葵はそんな私に構わずに私達の部屋に入っていった

ポン!

私の部屋から小さくそんな音がして私はイヤな予感がして痛む背中を庇いながら部屋に向かったすると桜は犬、桔梗は兎になっていた

「こいつはもらってくよ」

そう言って桜を連れて行こうとした。私は向日葵の服につかまった。けどまた振り払われてしまった今度はちゃんと着地して追いかけたが猫の足では到底追いつくはずもなく見失ってしまった。私が人間の姿に戻れたのは数時間後だった

「やっと戻った。時雨校長ありがとうございます」

「時雨なんであんなのうのうと捕まってるんだよ。今わかんない」

私と桔梗は動物の姿のまま校長室に行って捕まっている時雨を助け、薬を作ってもらってい、なんとか人間姿に戻れていた

「ごめんって後ろから薬品の匂い嗅がされて気を失ったんだよ。その代わりちゃんと薬作っただろ」

「皆さん本当にすみません向日葵姉さんが」

「どうしてソラナムが謝るの?」

「俺、姉さんが何をしようとしているとかちゃんと分かってたのに手を貸して本当に最低ですよね」

「でも今は仲間なんでしょ?」

「はい。元は俺もあっち側にいました。でも俺、桔梗のこと好きになっちゃって桔梗が悲しむ顔を見るのが嫌で姉さんに作戦をやめるように言いました」

「そうだったんだね」

「ソラナムの疑いも晴れたから。私は桜を探すか」

「どうやって探すんですか?俺、ボスの場所知らなくて。姉さんなら知ってると思うんですけど」

「どうするの鈴蘭ちゃん?」

「少し私に任せてみて」

スゥーハァー

私は深呼吸をして息を整えた

「・・・・水の波紋」

ピチョン

その言葉と共に私の脳内には外の映像が流れ込んできた

「つかんだ!」

私は一つの古びたビルに桜がいることが分かった

「様子がおかしい暴走しかけてる」

「まさか!」

「何?ソラナム君」

「実はボスあら研究をしていたようなんです」

「「ある研究?」」

「まさかソラナムお前のボスはあの研究をしてたのか!?」

「多分時雨さんの思ってる通りです。ボスは突然変異の中でも特別な力を持つ子について調べていました。そしてその子供の力を増幅させて暴れされるような薬を開発していたと姉さんが言っていました」

「まさかその薬を桜に!?」

「恐らくそうだと思います」

「私、桜の所に行ってきます」

「私も行く!」

「桔梗はここにいて。ソラナム桔梗をお願い」

「でも鈴蘭ちゃん一人じゃ危ないよ。何が起こるから分からないでしょ」

「私は大丈夫だよ。だから桔梗はここにいてね」

私は踵を返すと桜の元に向かおうとしたすると

「まて鈴蘭俺も行く」

「時雨も?」

パァッ

眩い光が時雨を包んで時雨はこの前と同じ姿になった

「俺が鈴蘭を運んだ方が早いからな」

「行こう!」

私は時雨に運んでもらって映像と同じ所に向かった。その場所に時雨と足を踏み入れようとして時雨は足を止めた

「時雨?」

「すまないここからは先は一人で行ってくれ」

「どうして?」

「フウを呼んでくる。思ってた以上に事態が深刻でな」

「分かった」

私は一人でビルの中に入った。物音がして音がした部屋に入ると桜がいた

「桜!」

「鈴蘭?」

私は桜に近づこうとしたすると

「来るな!」

「えっ?」

ビュッ

肩に鋭いものが掠った

「くっ・・・桜?」

その攻撃は桜から放たれたものだった

「ごめん鈴蘭。力が制御できないの逃げて!」

「逃げないよ。絶対桜を助ける!」

「鈴蘭・・・あっ!」

また桜から攻撃が放たれた。私はそれを避けた。その後も桜の攻撃を避け続けた

「どうしたらいいの。っ、水の盾」

私は少し力を使いながら避け続けた。すると建物の奥から向日葵と一人の女が出てきた

「避けてばかりじゃこの娘を助けることはできないよ祐」

私はその女に見覚えがあり、自分の鼓動が速くなるのを感じた

「か、母さん」

「久しぶりだな祐」

「鈴蘭のおかあ、さん?」

「どうしてあんたが」

「何?祐、母親に向かってずいぶん生意気な口を聞くようになったわね」

「私は私を捨てたあんたを母親だと思わない!桜を元に戻せ!」

「この薬を飲ませれば元に戻るわ。け、ど」

ガッシャーン

あの女は薬が入った瓶を地面に落とした。瓶は割れて中身はあたりに飛び散った

「簡単に元に戻すわけないでしょ自分の力でなんとかすることね」

そう言ってあの女は向日葵と去っていった

「どうすればいいの」

ヒュッ

また攻撃が飛んできて私の頬をかすった

「鈴蘭!」

「っ、桜は私が元に戻してみせる!」

私は一気に桜に近づいた。すべての攻撃を避けれず体の至る所に痛みが走った。私は桜の側まで行って桜に抱きついた

「幸福の鈴蘭!」

私はそう叫んだ。すると鈴蘭の花の形をした水が次々と現れ桜の体の中に入っていった

「あれ?体が自由に動く」

「そっか。よ、かっ、た」

私の意識はそこで途絶えた

幸福の鈴蘭はその人にかかっている暗示を解くと同時にその人の心や体を癒す技だった。しかし力がとても強いため自分への反動が大きく、とても危険だった。それを使った私は今、呼吸がうまく出来ず息が苦しかった。体が動かず頭が割れそうだった。私はその苦しみに長い時間うなされ続けた。苦しみの中目を開けると私は猫の姿のままで寮の部屋にいた

「・・・・・ニャニャニャン?」(私、何でここにいるの?)

ベットのところに人間の姿の桜がいた。

「ニャー?」(桜?)

私がひと鳴きすると桜が目を覚ました

「鈴蘭目が覚めたんだね。良かった。鈴蘭一週間も目を覚さなかったんだよ。人の姿にも戻らないからどうしようかと思ってたよ」

「ニャニャニャ〜?」(桜怪我してない?)

「えっとなんて言ってるか分かんない。やっぱり動物の姿じゃないと分かんないか。ひとまず桔梗と時雨校長を呼んでくるよ」

そう言って桜は部屋から出ていった。しばらくすると

「鈴蘭。目を覚ましたか、まずこの薬を飲んでくれるか?これで姿が元に戻るはずだ」

「ニャー?」(これは?)

「体の中の力を回復させる薬だ」

ペロッ

私はその薬を飲んだすると

ポン!

「あっ戻った」

「良かった〜元に戻って。けど鈴蘭ちゃんまたたくさん怪我してるし服すごいことになってるけど」

私は自分の服装を見た。するといろんな所の皮膚が切れている。傷は応急処置がされてるだけで服に血が滲んでいてボロボロになっていた

「本当だね。時雨着替えるから少し出ていって」

私は時雨を追い出して服を着替えようとしたがうまく着れなかった

「どうしたの?顔通すのはここだよ」

「ごめん。ありがとうじゃあちょっと保健室で手当てしてもらってくる」

私が部屋を出ようとすると

ガン!

「わっ!」

私は足が引っかかってこけそうになった

「鈴蘭大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫。時雨保健室行ってくるね」

「途中まで一緒に行くよ」

「大丈夫だよ。一人でいける」

「そうか」

私が保健室に行くと

「あれ?鈴蘭ちゃん意識が戻らないって聞いてたけど戻ったんだね」

「はい。でもまたまたすみませんが怪我の手当をお願いします」

「いいよ。ここに座って」

私は凛先生に手当をしてもらって部屋に戻ろうとしたが

ゴン!

「っ〜」

私は保健室の扉に頭をぶつけた

「鈴蘭ちゃん!?大丈夫?」

「だ、大丈夫です」

スカッ

私は物につかもうとしたが掴めず私の手はそのまま地面についた

「!もしかして鈴蘭ちゃん片目見えてないの?」

コクッ

私はうなづいた

「右目が見えなくて左耳も音がきこえ聞こえません」

私は目覚めてからずっと右目が見えておらず物の距離感や右にあるものが見えていなかった。そしていつもより音が聞き取りづらかった

「私、校長先生呼んでくるね」

そう言って凛先生はい出ていった。しばらくすると時雨が来た

「鈴蘭右目と左耳を負傷したってどうゆうことだ!?」

「負傷っていうか力の代償で右目が見えなくなって左耳は音が聞こえなくなっただけだよ」

「力の代償ってまさかあの技を使ったのか?」

「うん。桜にかかった薬の効果を無くすためにね」

「あの技は命の危険もあるんだぞ!」

「分かってるよ。でも私は大切な人のためなら命だって捨てられる」

「・・・・・はぁ。あの技は危険すぎるから二度と使わないこと分かったか?」

「はい」

「ならよし。部屋に戻ろう送ってくよ」

「ありがとう時雨」

私は部屋に戻って右目と左耳の事を二人に話した

「鈴蘭ごめん私のせいで」

「大丈夫。桜のせいじゃないよ。悪いのは躊躇なく力を使った私と桜を実験台に使ったあの女だから」

「でも何で鈴蘭ちゃんのお母さんはそんな研究していたんだろう」

「分からないあの女は突然変異をすごく嫌っていたのに何で研究をしていたんだろうそれにあそこには姉さんも兄さんも居なかった。あの二人はどうしたんだろう?あの女、兄さんも姉さんも大切にしていなかったから私みたいに捨てたのか?」

「気になるの?」

「いや、別に・・・」

「・・・・鈴蘭ちゃん、桜ちゃん私ちょっと時雨校長のところに行ってくるね」

「「?了解」」

バタン

桔梗は部屋から出ていった

「どうしたんだろう?」

「さぁ?まぁすぐ戻ってくるでしょ」

「そうだね。・・・・ねぇ桜。桜は怪我してない?」

「私は怪我してないよ。鈴蘭、私に一回も攻撃してこなかったから」

「それなら良かった」

「鈴蘭は人の心配ばっかりだね」

「えぇ〜私より桔梗の方が人の心配してると思うよ」

「確かに桔梗は心配性だもんね」

「うん。この前体調が悪かった時すごい心配された。桔梗には体調悪いのすぐ気づかれちゃう」

「多分だけど気づかれるのは鈴蘭隠し事ヘッタクソなせいだと思うよ。だって私は隠せてるもん」

「失敬な!と言いたいところだけど確かにそうなんだと思う。この前桔梗に『鈴蘭ちゃんはすぐに顔に出るからわかりやすい』って言われたしな。できるだけ心配かけないようにしないとな」

「まぁそうだね。顔に出さないようにがんばれ」

「桜、全然心こもってないね。それよりソラナムのこと聞いた?」

「聞いた聞いた本当はスパイだったのに桔梗に恋してスパイやめたんでしょ」

「そうなんだよ。けどさ桔梗に恋するのってなんか分かる」

「それな。だって桔梗優しいし、明るいし、いい子だもんね」

ガチャ

「ただいま」

「「おかえり」」

「早かったね」

「校長室に行く前に時雨校長と会ったから」

「そうなんだ」

「二人で何、話してたの?」

私と桜は顔を見合わせると笑って二人同時に口を開いた

「「秘密だよー」」

「えぇ〜教えてよ」

「教えないよ〜」

「秘密だもんね」

それから数日後のある日

バン!

時雨が勢いよく部屋に入ってきた

「桔梗見つかったぞ!」

「本当ですか?」

「あぁここから少し離れた施設にいた」

「今、どこにいますか?」

「校長室にいる」

「連れてきてください」

「分かった」

バタバタ

「桔梗見つかったって何が?」

「私が探していた人だよ」

桔梗はニコニコと笑っていた。私はその笑顔に不安を感じた。しばらくして時雨が戻ってきた。時雨は二人の男女を連れていた。私はしばらくしてその人たちを思い出した

「瑠樹兄さん?瑠夏姉さん?」

「久しぶりだな祐」

「な、なんでここにいるの?また私をいじめにきたの?」

「違う。この人が俺たちを施設から連れ出してくれた。それより祐」

「やめて!その名で呼ばないで。私は鈴蘭なの!」

「分かったわ。それで鈴蘭あの・・・・ごめんなさい!」

「えっ?」

「昔、鈴蘭に暴力を振って悪かった」

「どうして謝るの?本当は悪いなんて思ってないくせに」

「本当に悪いと思ってるんだ。俺達自分達か奇病になって他の人に邪魔者扱いされるてやっと鈴蘭の気持ちが分かったんだ。本当にすまなかった」

「・・・・その話は信じる。だけど謝ったってあんた達が私にしたことは消えない!私はあんた達を許さない!」

そう言って私は窓から飛び降りた

「ちょ鈴蘭ここ二階!」

桜の声も気にせず木をつたっておりた。私は着地すると中庭を走っていたすると後ろから肩を叩かれた

「鈴蘭?」

かろうじて声が聞こえ、後ろを見ると雪柳が居た

「あっ雪柳」

「私も居るよ」

右から紫陽花も現れた

「鈴蘭どうしたの?裸足で」

「あっちょっと桜達と喧嘩して窓から飛び出してきてさ」

「鈴蘭元気だね。鈴蘭達の部屋二階でしょ?」

「うん」

「またずいぶん危ないことしたね〜」

「私、猫の突然変異だから大丈夫だよ。ねぇ部屋に帰りたくないから二人の部屋行っていい?」

「「いいよ」」

「ありがとう〜」

私は二人の部屋に行かせてもらってしばらくそこで話した。すると

コンコン

誰かが雪柳達の部屋のドアを叩いた

「すみません桜です。鈴蘭ここにきてませんか?」

「えっ?桜ちゃん?」

紫陽花はこっちを見てきた

「ごめん居ないってことにしたいて私、ベットのところ隠れてるね」

紫陽花の耳元でそう言うと私はベットの影に隠れた。紫陽花はドアを開けた

「桜ちゃん鈴蘭なら来てないよ」

「本当ですか?」

「うん」

「分かりました。!ごめんなさいちょっと中に入れさせて」

「えっ?ちょっと」

桜は私が隠れてるベットに近づいてきた

「鈴蘭見っけ」

ビクッ

「なんでここが分かったの?」

「ん〜内緒それより帰るよ鈴蘭」

「いや!」

「ハイハイ文句は聞きません」

桜は私を引きずってった

「ごめんねお邪魔しました」

私は桜に引きずられて部屋に戻った部屋に入ると桜は私の手を離した

「なんで連れて帰ってくるの?」

「桔梗がすごく心配してた」

「あっ・・・・」

「それとひどく悔やんでた。自分のせいで鈴蘭が逃げたって」

「別に桔梗のせいじゃないし」

「それ本人に言ってあげなよ」

「・・・・分かった」

ガチャ

「ただいま」

「おかえり桔梗」

「鈴蘭ちゃん見つかった?」

「見つかったよほら」

桜は私の方を指さしたすると桔梗はハッとした顔になった

「鈴蘭ちゃん!ごめんね。私、てっきり鈴蘭ちゃんがお兄さん達のこと気にしてると思って時雨校長に探してもらったの」

「いいよ。桔梗が謝ることじゃない。それに兄さん達のこと気になってたし、だけどね桔梗。私はやっぱりあの人達を許すことはできない信用できない」

「そっか。お兄さん達しばらぬはここに居るらしいよ。後、鈴蘭ちゃんのお兄さん達ねお母さんの実験のせいで奇病にかかったんだって」

「あの女の実験?」

「うん。鈴蘭、少しお兄さん達と話してみれば?」

「でも」

「鈴蘭ちゃん私も一度話してみたらいいと思うな」

「・・・・分かった一回兄さん達と話してみる」

私は立ち上がった

「私も行くよ」

「大丈夫だよ一人で行く」

「本当に大丈夫?」

「うん」

「じゃあ行ってくるね」

「「行ってらっしゃい」」

ガチャ

私がドアを開けると

バブッ

誰かとぶつかったそれは兄さん達だった

「あっ・・・鈴蘭」 

「兄さん、姉さん」

「少し話がしたいんだいいか?」

「いいよ。ちょうどそっちに行こうとしていたから」

私達は学習室に場所を移した

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・兄さん達はあの女の実験で奇病にかかったんだよね?」

「あぁ」

「うん」

「あの女は何の実験をしていたの?」

「母さんは人に力を与える実験をしていたんだ」

「でも失敗して私と兄さんは奇病にかかってしまっての」

「そうなんだね」

私はそれからしばらく話して兄さんと姉さんとわかりあうことができた。部屋に戻ると

「鈴蘭、話できた?」

「うん。桜や桔梗が背中を押してくれたおかげだよ。ありがとう」

「話ができたなら良かったよ」

「うんうん」

桜は桔梗の言葉に頷いた

「本当にありがとう二人とも」

「「どういたしまして」」

私は二人の優しさに感謝をするとともにこれからのことに不安を感じた。それから数ヶ月後季節は夏から秋にそして冬に変わった。そんだ時私達はあの女について調査をしてある発電所にたどり着いた。その発電所自体はもう使われていないのだがそこの電気を使ってあの女が研究しているとの事だった

「ここにあの女が・・・」

「入るか?」

「いや、その必要はないと思うよ」

私の目線の先にはアライグマの耳と尻尾がちらちらと見えていた

「そのうち本人達から来るよ」

私の予想通りあの女と向日葵は自分達からこっちに出向いてきた

「また見つかっちゃったのね。どれだけ私のことを調べてるのかしら」

「・・・・大人しく私に捕まって猫の鉤爪」

爪の形をして水があの女めがけて振り下ろされたしかし

カキン!

その攻撃は弾かれてしまった。攻撃を弾いたのは向日葵だった

「残念だったねこっちはもう薬が完成しているのよ。今、この子に自我はない。そして闇を操れるようになった。私の最高の操り人形」

「そんなもう完成していたなんて」

「次はこっちの番だよ向日葵」

「・・・ブラックホール」

黒い闇が私に向かって飛んできて私は吸い込まれそうになったが

「荒ぶりの風」

突風が吹いて私の体は桜の方に引き寄せられた

「ありがと。助かったよ桜。手伝ってもらえる?」

「オッケー」

私と桜は向日葵とあの女を捕まえようとどんどん間合いを詰めていったしかしその時、向日葵の放った攻撃が反れ桔梗の方にいってしまった。私は桔梗の方に走っていくと桔梗を突き飛ばした

バチバチバチ

「うっ」

私はまともに攻撃を受け動けなくなってしまった

「鈴蘭!」

「ごめん桜当分動けない」

「どうしよう」

「桜、危ない!」

バチバチバチ

「くっ」

桜も攻撃を受けてしまい倒れてしまった

「ごめん私も動けなくなった」

「桔梗逃げて!」

「いや二人を置いていけない!」

「何をぬかしているの?自分自身のことする守れない奴が他の人を守れるわけないじゃない祐達もバカだな仲間を守って倒れるなんて」

「・・・ないで」

「はっ?聞こえないわよ」

「私の友達を馬鹿にしないで!!確かに鈴蘭ちゃん達は私を守って倒れた!だけどそれは優しさからの行動でバカでもなんでもない。それに私だって皆んなを二人を守ってみせる!」

その言葉に共鳴し桔梗を植物が包んだ。その植物が消えると桔梗の目と髪は黄緑色になっていた

「桔梗が三人目の力の使い手だったのか」

「花びらの舞」

花びらの混じった竜巻が起こりあの女達に向かって飛んでいったがあの女はそれを避けた

「蔓の絡み」

植物の蔓が二人をとらえた

「動けない!」

「虹色の花」

虹色の花が二人を包み二人は眠った

「桔梗・・・」

桔梗はこちらを向くと私達の傍に座った

「命の花」

声とともに花の花粉のような黄金のものがふってきて私達の体の傷はたちまち消えた

「あれ?目が・・・」

「鈴蘭どうしたの?」

「目が見える!それに音も聞こえる!」

「まさか桔梗の力で耳と目が治ったの?」

「多分そうだと思う」

桔梗の方を見ると桔梗は兎の姿になっていた。私は桔梗を抱き上げた

「ありがとう桔梗」

私達はあの女達を連れて学校に戻ろうとしたすると急に頭上が暗くなり上を見ると

「時雨!フウ!」

「久しぶりじゃの鈴蘭」

「えっと誰?」

「この人は風の神フウでこっちは時雨で本当のこっちが本当の姿なのそっちは・・・私も知らない」

「自己紹介が遅れました。私はフラワー花の神よ。でっそっちのぶっきらぼうなのがウッド木の神で私の双子の兄。私達は二人で一つの神なのよろしくね」

「「よろしくお願いします」」

「で、急にどうしたの?」

四人は顔を見合わせるとうなづいた

「いきなりじゃが三人を試させてもらう」

「「えっ?」」

「力をあたれられたもの同士心の強さや絆が大切になってくる。だからある場所でそれを試させてもらう」

「・・・・説明なんぞ後でもできるだろ。さっさと行くぞ」

ウッドが手をくいっと動かすと私達は動物の姿になって泡の中に閉じ込められてしまった

「ニャニャン?」(何これ?)

「ワンワン」(出してよ)

「っっっっ?」(どこ行くの?)

私達はスイ達の方に吸い寄せられスイ達の近くに行くと水の泡は割れ、私はスイに桜はフウに桔梗はフラワーにそれぞれ抱かれた

「ニャン。ニャニャン?」(スイ。どこ行くの?)

「心の洞窟だ」

「ニャニャニャン?」(心の洞窟?)

「そうだよ」

「スイ。あまり余計なことを言うな」

「分かったよウッド」

私達はその心の洞窟という所に連れて行かれ、私達は暗闇の前に降ろされた

「ここに入れ、ここにお前達の試練があるはずだ」

「ニャン」(分かった)

桜と桔梗もうなずき私達は暗闇の中に入っていった

ヒタヒタ

ぴょんぴょん

私達の足音だけが響いた

「ニャンニャ〜」(何もないね〜)

私がそう言っても二人から返事はかえってこなかった

「ニャ?ニャニャ?ニャニャニャ?」(あれ?桜?桔梗?)

やはり返事はかえってこなかった。しばらく歩いていると光が見えてそこに近づくと人の姿の桜と桔梗がいた

「ニャニャ!ニャニャニャ!」(桜!桔梗!)

「!何この猫」

「どこかの飼い猫かな?」

「ニャニャン?ニャーニャニャニャン!」(何言ってるの?私は鈴蘭ちゃんだよ!)

「何この猫鬱陶しいなさっさと消えてよ」

「ニャンニャー」(そんな〜)

「そんな猫構わないで行こう桜ちゃん」

「そうだね」

「ニャニャン!」(待って!)

桜達は行ってしまった

「ニャンニャ・・・・」(どうして)

その時ウッドが言っていたことを思い出した

『ここににはお前達の試練がある』

そうか。これは試練だ。桜達は私だって分かってくれる。理解してくれる!私はそう思ってそこから離れた。するとその場所は瞬く間に消えとても温かい光が見えた

「ニャンニャンニャニャン」(きっとあそこに二人はいる)

私が走ってそこに行くと二人はいた

「ニャニャ!ニャニャニャ!」(桜!桔梗!)

「ワンワン!」(鈴蘭)

私は二人に駆け寄った。そして出口から外に出たすると外にはスイ達が居た

「思ったより速かったね」

「そうだね」

「ウッドこれでいい?」

「・・・・あぁ」

フワッと木の葉が私達の頭になると三人とも人間の姿に戻った

「あっ戻った」

「三人ともよくやったの。三人とも合格じゃ」

「さぁ学園まで送っていくよ」

私達は学園まで送ってもらった

「ありがとうスイ、フウ、フラワー、ウッド」

「「「どういたしまして」」」

私達は部屋に戻ったそして自分達の怪我の手当てをした

「今回は二人とも怪我がすごいね」

「そうだね。しかも鈴蘭また耳怪我してるし」

「しょうがないじゃん。私の耳ピーンって立ってるから攻撃が当たりやすいんだよね。さて私は行くところあるから行くね」

私は怪我の手当てを終わらせある場所に向かったそこにはあの女と向日葵が監禁されていた

バタン

私はその部屋に入るとドアを閉めた

「何のよう?あんた私をバカにでもしにきたの?それとも私に殺されにきたの?」

「別に聞きたいことがあったから来ただけだし」

「ずいぶん生意気の口を聞くようになったわね」

「別にあんたには関係ないでしょ」

「なっ!」

ズカズカ

ガッ!

あの女は私に近づくと思いっきり私の耳を掴んだ

「痛っ!」

「祐。年上への言葉には気をつけなさい」

「離して!」

「離さないわ。いい?心に刻みなさいあんたの存在は人を傷つけて苦しめるそれをしっかり覚えておきなさい!」

母さんは私の耳を勢いよく離して私を突き飛ばした

「っ!もう帰る。さようなら」

私はそう言い残して急いで部屋を出た

「私の存在が人を傷つけるなんて・・・・」

私は涙が溢れそうになるのを堪え部屋に戻った

ガチャ

私はドアを開けた

「あっ、お帰り鈴蘭」

「た、ただいま」

私は顔がこわばりうまく笑うことが出来なかった

「鈴蘭ちゃんどうしたの?」

「なんでもないよ」

私は無理矢理笑みを浮かべた

「鈴蘭ちゃん怒ってる?」

「・・・・怒ってないよ」

嘘だ。私は怒っていた。あんな言葉を真に受けている自分自身に。こんなの八つ当たりだった分かっていた。二人は何も悪くないのにこんな態度をとってそれがさらに私の心をイラつかせた

「鈴蘭ホントにどうしたの?」

「なんでもないよ」

「嘘つかないで何があったか言ってよ桜は私の肩に手を置いてきた」

ビクッ

「何でもないって!」

バシッ

私はその手を振り払ってしまった。桜は私の声に驚いて尻尾の毛が逆立っいた

「あっごめん」

私は布団に潜り込んだ。絶対嫌われてしまった。もしかしたら本当私は人を傷つける存在なのかもしれない。それなら傷つけてしまう前に自分から縁を切らないと。そう思っているうちに私は寝てしまった

次の日の朝

私は普段より早く目が覚めたので先に顔を洗い制服に着替えて六時半になると一人で食堂に向かった。食堂につくと

「あれ?めずらしいね鈴蘭が一人なんて」

雪柳が話しかけてきた

「あっ雪柳おはよう」

今日も顔がこわばっていた

「鈴蘭眠いの?」

「いや別に眠くないよ」

「そっか。なんか眠そうに見えて」

「眠くないから大丈夫。それより食べよ」

「うん。いただきます」

「いただきます」

私と雪柳が朝ご飯を食べ終わる頃に桜と桔梗は食堂に来た

「あ!鈴蘭ちゃん何でも先行っちゃったの?」

「いや、何となく・・・・ごちそうさま。ここあくから座りなよ」

「う、うん」

私は食器を片付け部屋に戻り授業に向けて支度をして教室に向かい、自分の席に座り本を読んだ

「おはよう鈴蘭」

「あっおはよう紫陽花」

「どうしたの?いつも私が入ってくるとすぐ気がつくのに何かあった?」

「別に何もないよ」

「そっか。なんかあったら言ってね相談乗るから」

「ありがとう」

そして桜達とは会話することなく授業中が始まりいつのまにか放課後になった。今日はスイ(時雨)に力の使い方を特訓してもらう約束で部屋に荷物を置いて校長室に行った

コンコン

「時雨入るよ」

「あぁ」

ガチャ

私は校長室に入った

「鈴蘭なんかあったか?」

「えっ?」

どうして皆わかるんだろうと疑問に思いながらも口を開いた 

「何でもないよ気にしないで」

「そうか。なら行こう」

「うん」

私はスイの力で猫の姿になりスイに抱きかかえられた

「ニャニャンニャ?」(今日はどこ行くの?)

「ん?今日は菫山だ」

「ニャ〜ン」(ふ〜ん)

そして私とスイは山に降り立ちスイに人間の姿に戻してもらった

「今日は小さい的に攻撃を当てる訓練だ。今から俺が石を投げるからそれに当ててみろ」

「分かった」

ヒュッ

スイが石を投げた

「水の矢」

スカッ

私が攻撃を打ったが外れた

「もう一回お願いします」

ヒュッ

「水の矢」

スカッ

また攻撃は外れた。その後何回やっても攻撃は外れた

「もう一回!」

「それくらいにしておけ猫の姿になるぞ。どうした心が乱れてるぞ」

「ごめん。何でもないよ少し・・・一人にさせて」

「分かった」

スイは飛んで行った

「どうして・・・・覚悟は決めたはずななのにどうしてこんな胸が苦しいの・・・桜、桔梗」

我慢していた涙が溢れてきた

「おや、こんなところでどうしたのじゃ?鈴蘭」

「えっ?あっフウ」

私は急いで涙を拭いた

「今、スイに特訓してもらってたんだけど心が乱れてうまく力が使えなくて」

「何かあったのか?」

「ちょっとね」

「桜達には相談しておらんのか?」

「出来てない。それどころか変な態度とっちゃった」

「そうか。お主はそれで何がしたかったんじゃ?」

「・・・・どうしたかった?」

私は急に分からなくなった。自分が何をしたかったのか

「私は何がしたかったんだろう?わからなくなっちゃった」

「ならまずそれを明確にすることじゃな」

私がしたかったこと。私は何がしたかった?分からない、分からない、分からない!そう強く思っているといつのまにか私を水が包んでてみずが引いたときには何もかも水に流されてしまったように何も分からなくなり楽しいという感情も悲しいという感情も無くなった。フウはそんな私を見て笑顔を浮かべた

「さて桔梗や桜は心の閉ざした鈴蘭にどうするかみものじゃの」

フウは飛び去っていった。フウと入れ替わりでスイが来た

「!鈴蘭どうした?」

「・・・・・」

「何があった?」

「・・・・・」

「完全に心を閉ざしてる」

スイは私を猫の姿にして抱き上げると学校に戻るとスイは私を人間の姿に戻し、寮の部屋に送ってくれた

ガチャ

「おかえり」

「?鈴蘭?」

「桜、桔梗ちょっと」

時雨が桜と桔梗を呼んだ

「「はい」」

桜達は部屋から出てしばらくするとまた戻ってきた

「ねぇねぇ鈴蘭」

「・・・・・」

二人は顔を見合わせた

「鈴蘭ちゃん私達が誰か分かる?」

「・・・・・桜、桔梗」

私はボソッと言った

「じゃあ自分の名前は?」

「鈴蘭」

「記憶はなくしてないみたいだね」

「・・・・」

「鈴蘭何か抱えてるなら教えて」

「一人で抱え込むのは鈴蘭ちゃんの悪い癖だよ」

「・・・・・」

スッ

ガチャ

バタン

私は黙って部屋を出た。私が向かったのは図書室だった。図書室で心についての本を読んだがよく分からなかった。しばらくそこで色々な心についての本を読んでいたすると

「やっぱりここにいた」

「本当だね」

「・・・・」

私は図書室の窓から逃げた。それから数分後もういいだろうと思って図書室に戻った。すると

「「確保!」」

私は二人に腕を掴まれた

「・・・・えっ?」

「反応おっそ!」

「・・・・・」

「時雨校長。鈴蘭ちゃん捕まえたよ」

するとドアから時雨が現れた

「よし。ありがとう」

ポン!

私は猫の姿になった

「これなら簡単に逃げられないね」

「やっぱりこの姿可愛い!」

「鈴蘭には暗示をかけておいた。心を開くまでこの姿のままだ」

「・・・・・」

桜は私を抱き上げて桔梗と部屋に戻ろうとしたしかし私は桜の腕から抜け出してまた逃げた。どうして?桜達にいるとこんなに悲しいのにこれは何?桜達から逃げると心が引き裂かれそうで謝りたくてたまらなくなる。自分の中でいろんなものがぐちゃぐちゃになっているようだった。走っていると曲がり角の影からうさぎの耳が見えて来た道を戻ろうと立ち止まると後ろから抱き上げられた。上を見上げると犬の耳が見えた。桜だ

「・・・・」

バタバタ

私は抵抗したけど逃げ出せなかった

「鈴蘭もう逃さないよ」

早く早く逃げないと何かが溢れ出してしまいそう

「どうしてこんなに逃げようとするの?」

「・・・・鈴蘭ちゃんもしかして戸惑ってる?」

「そうなの?」

「・・・・・」

「んー私の勘だから何とも言えないけど」

「・・・・・」

「鈴蘭黙ってちゃ分からないよ」

「・・・・」

「はぁまぁいいや部屋に戻ろう」

「そうだね」

結局逃げられないまま部屋に連れ戻された。私は部屋から逃げられる場所を探した

「鈴蘭どうしてそんなに逃げたがるの?」

「・・・・・・」

「もう!黙っててもわかんないよ!!」

ビクッ

桜の声で体が跳ねた

「あっごめん」

桜だは私を撫でようとした

「シャー!」(来ないで!)

「!」

桜の尻尾が垂れ下がった。落ち込んでいるようだった

「桜ちゃん一回鈴蘭ちゃんと二人で話させてもらっていい?」

「うん」

桜は部屋から出ていった

「鈴蘭ちゃん少しだけでいいから話してくれない?ほんの少しでいいの話したくないことは聞かないから絶対に約束するから私は鈴蘭ちゃんが大切だから鈴蘭ちゃんが苦しい時は私も一緒に背負うよ。一人で抱え込んじゃうのは鈴蘭ちゃんの悪い癖だよ。鈴蘭ちゃんが人に頼るのが苦手なことはちゃんと知ってるよ。でもたまには頼って欲しいな。私も桜ちゃんも鈴蘭ちゃんと一緒に悩んだりしたいからさ」

そう言って桔梗は笑った。とても優しい顔であぁそうか私は守りたかったんだこの笑顔を、優しさを、桜と桔梗を。そう強く実感した

私の周りに水が漂い、私は人間の姿に戻り、心も取り戻した

ギュッ

私は桔梗に抱きついた

「ごめんなさい桔梗」

「どうして謝るの?」

「私が思い詰めたりしなければあの人の話をまに受けたりしなかったら桔梗や桜に迷惑かけなかったのにごめんなさい」

いつのまにか私は泣いていた

「迷惑だなんて思ってないよ。鈴蘭ちゃんは一人で抱え込むからたまには私や桜を頼ってね?まぁ私じゃ頼りないかもだけど」

「そんなことないよ。私、桔梗のこと頼りにしてるから」

しばらくすると桜が部屋に入ってきて泣きすぎて少し目の腫れている人間の姿に戻った私を見て驚いていた

その日の夜

私は部屋を抜け出して中庭の木に登って座り満月を見ていた

「桜達と出会ってもう一年か・・・」

ザッ

「!あっ、桔梗」

音がして下を見ると木の下で桔梗がこっちを見ていた

「よくここが分かったね」

「何となくね。私もそっち行っていい?」

「いいよ」

桔梗は植物の力を使うとこっちにきた

「ねぇ聞いてもいい?」

「ん?何?」

「どうして一昨日あんなに様子が変だったの?笑顔がぎこちなかったし、声も震えてたよ」

「あ〜それ言わないとダメ?」

「できれば教えて欲しいかな」

「いいよ。・・・・・あの女、母さんにあんたの存在は人を傷つけて苦しめるって言われちゃった本当に私の存在は人を傷つけるんじゃないかって怖くなったの」

「そんなの嘘だね。鈴蘭ちゃんの存在が人を傷つけるなんて絶対ないよ。どっちかと言うと皆の心を守ってるよ」

「ありがとう桔梗」

「で、も、それで鈴蘭ちゃんが無理してるから意味ないね」

「うっ、ごめん・・・・・心配してくれてありがとう」

「どういたしまして。なんか真っ向からお礼を言われると恥ずかしいね」

「そう?でも頬緩みすぎじゃない?めっちゃニヤけてるよ」

「ごめん、ごめん・・・・ねぇ鈴蘭ちゃん」

「何?」

「これからは私や桜ちゃんを頼るって約束してくれる?」

「この会話何度目だよ。これからは頼るように努力はするよ。でも約束は出来ない」

「どうして?」

「今まで人をあんまり頼ってこなかったから急には無理だからさ約束は出来ない」

「それなら・・・・」

「ニャッ!」

桔梗は私の首に手をあてると猫掴みしてきた

「本当に首弱いんだね」

「ちょっと離してよ」

「約束してくれるならいいよ」

「それはいやだね」

「ふ〜んじゃ〜あ・・・・・」

「ちょ、ちょっと桔梗?」

コショコショコショ

「ふふアハハハ桔梗やめて〜」

「約束してくれるならやめるよ」

「わかっ、分かったから」

「ならいいよ」

そう言って桔梗は手を止めた

「桔梗、最近桜に似てきたよ」

「えぇ〜そうかな?」

「もう!二人して無理矢理言わせるんだから」

「だってこうでもしないと鈴蘭ちゃん約束してくれないでしょ?」

「・・・・・」

「鈴蘭ちゃん?目を逸らさないでくれます?」

「だってそんなこと言われると否定できないから目逸らすしかないじゃん」

「鈴蘭ちゃんって不安だとか図星だったりとかするとすぐ仕草とか顔に出るよね」

「そ、そんなことは」

「あるでしょ?」

「はい。あります」

「やっぱり私、鈴蘭ちゃんのこと結構分かるようになったんだよ」

「・・・・・・そっか」

「今の何?」

「何が?」

「少し間が空いたところ」

「いや〜あれよ。分かるようになったら桔梗に隠し事できなくなっちゃうなって思って」

「何それ。まぁ私には隠し事しないで欲しいんだけどな」

「分かったよ。あっ、桔梗にはもう言っておくね。私、突然変異の子達を完全に人間にする薬を作ろうとしてるの」

「人間にする薬を?」

「うん。私にはやっぱり無理かな?」

「そんなことないよ!絶対大丈夫私が保証するよ」

「ありがとう。私、頑張るよ」

私達は満月を見上げながら二人で笑った。中庭には私達の笑い声や話し声が響いた

〜それからな約七年後〜

「出来た!」

私はあれから研究を重ね色々な薬を作っていた。そして今日六十七個目試作品の薬が出来た

「明日は桔梗の二十歳の誕生日。もう失敗はできない朝顔こっちに来て」

「はい。鈴蘭博士」

朝顔はパンダの突然変異で私の助手だった

「これを飲んでみてくれる?」

「博士。今度は大丈夫ですか?前は薬で一寸法師みたいに小さくなったし、その前は動物の姿になって危うく戻れなくなるところだったじゃないですか」

「お願い。レポートとりたいから」

「もう仕方ないですね」

ゴクッ

朝顔は私が渡した薬を飲んだ。するとスウッとパンダの耳と尻尾が消えた

「・・・・成功なのかな?」

「きっと成功ですよ博士!」

「やっと出来たんだね。朝顔、桔梗を呼んできて」

「はい。博士!」

朝顔が出て行ってしばらくすると朝顔が桔梗を連れて戻ってきた

「博士お呼びしました」

「薬できたんだっておめでとう!」

「ありがとう桔梗。それでねこれを飲んで欲しいの」

私は桔梗に薬を渡した

「これを飲めばいいの?」

「うん」

ゴクッ

桔梗が飲むと兎の耳と尻尾が消えた

「桔梗。力を使ってみて」

「えっ?うん。花の舞!」

何も起きなかった

「力が使えないってことは」

「やっぱり成功だ!」

「本当に良かったですね博士」

「うん桔梗の誕生日に間に合って良かったよ」

「鈴蘭ちゃんは飲まないの?」

「まだあんまり量がないから誕生日が早い人に残りは渡してまた作るつもり作り方は覚えたし材料費もまだ残ってるから。それ私の誕生日は二月でまだ先だから大丈夫だよ」

そして私は薬をたくさん作って多くの突然変異の子達を人間にした。そして私の誕生日の前日

「博士もう明日は博士の誕生日ですよ早く薬飲まないと」

「・・・・朝顔。私が動物の姿になってしまったら頼みたいことがあるの」

「えっ?何言ってるんですか?博士。博士も早く薬飲んでくださいよ」

「私って馬鹿だよね。皆の分の薬は作って自分の作り忘れるなんて」

「そんな・・・・今から新しく作り直しましょうよ!」

フルフル

私は首を横に振った

「もう材料がないの。それに私は幸せだったからもういいの。それよりこのレシピは朝顔に託すから私より年下の子達に作って飲ましてあげてね」

「博士〜」

桜は泣きながら抱きついてきた

「泣かないで朝顔」

「グスッ私、桔梗がさん達を呼んできます」

朝顔は部屋から出ていった。私は窓の外を見た

「今日は満月か」

私は部屋から出て中庭の木に座った

「入学した時はあんなに満月が怖かったのに〜今じゃ大切な思い出の日なった」

さてあと少しで十二時これで人間の姿とはお別れ。そう思うと少し寂しくなった

「鈴蘭!」

「鈴蘭ちゃん!」

「桜、桔梗、どうしたの?」

「どうして?じゃないよ!薬飲んでないんだって?」

「うん」

「どうして?」

「もう薬は残ってないし、薬を作る材料も残ってない」

「なら今から材料を見つけようよ」

「無理だよ。材料のユリも彼岸花ももうこの時期には咲いてないし、温室で育てていたものも全て使い切っちゃった。それにもう時間がない」

〜十二時まで残り二分〜

フワッ

私は木から降りて二人に近づいた

ギュッ

私は二人に抱きついた

「二人ともありがとう今まで二人のおかげ私、しあわせだったよ」

「これでお別れなんていやだよ」

「桔梗。お別れじゃないよ私は動物の姿になっても二人のそばにいるから」

「鈴蘭」

「鈴蘭ちゃん」

〜十二時まで残り十秒〜

「本当に今までありがとう」

「こちらこそありがとう」

「鈴蘭ちゃん今までありがとう」

「いつまでも二人のこと大好きだよ」

「私も大好きだよ鈴蘭ちゃん」

「もちろん私もだよ鈴蘭」

ゴーンゴーン

十二時の鐘がなり私は光に包まれ人間の意識はそこで途絶えた。

猫の姿になった鈴蘭を桜は抱き上げた

「鈴蘭・・・・」

「博士あれだけ研究に励んでいたのに自分に薬を使えないなんて」

「ねぇ朝顔ちゃん動物になってしまった突然変異の子を元に戻す薬はないの?」

「今のところはありません。博士は七年もの時間をかけて人間にする薬を作りました。私は博士の意思を引き継いで突然変異の子達を人間にして動物から突然変異の人の姿に戻すことができないか研究していきます」

「ねぇ朝顔。鈴蘭の事私達が引き取ってもいい?」

「はい。博士もその方が喜ぶと思うので」

「ニャ〜」

鈴蘭は一鳴きすると桜の手の中に収まった

「「「フフフ」」」

三人は笑い合った。そして鈴蘭は桜達に引き取られ大切に育てられた。息を引き取った後は土地の守り神となった。朝顔は医師となりたくさんの突然変異を助けた。桔梗はソラナムと結婚してしあわせに暮らし桜は学校の先生となった

                                完


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