表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴールドナイトは畑に還りたい。  作者: 竹世 原野
生誕編
1/24

第1話 夢?怪我?そしてでかいトカゲ

「◇〇※§°か? ◇〇※§るか?」 


?ん?んん?俺は寝てた・・・のか?博士課程最後の研究発表がどうにか終わって(農高の時親父が倒れてそれでも無理して院にまで進んで、畑が荒れて組合ににらまれて…ああホント苦労したなぁ…)すぐに畑作業したいからって逃げるみたいに畑に帰って、無理してトラクターを畦から下ろそうとして(こんなことなら次の日にしとけば良かった・・・)トラクターが倒れてきて…(あ~組合から借りたトラクター… 組合長に怒られんなぁ…)って?どこだここ?ここは俺の畑じゃないよな?地面は妙に滑らかな石の感触だし、やたら薄暗いのにまるで影絵のように周囲の輪郭だけやたらはっきり見える・・・。肥料混じりの畑の匂いもしない。きりりと冷えた冬の朝のように澄み切った空気・・・ほんとどこだここ?


「§Λぅお~い 起きζ×たかねぇ?」

ぬっ!と視線の前を大きな影が遮った。


?!!でっ でか!トカゲ!! 反射的に飛び起きようとしたが、まるでしびれたように体が動かない。


「おグわぁ ウわわぁ来んな! あっち行け! 来んな!うあぁあ!」とにかく逃げよう避けようと本能のままに取り乱すも全く思うようにならん。いや、思うようにならないどころか気持ちと体が何一つ噛み合わずどうにもできやしない!うがぁぁっ食われるー!


「死ぬ!食われるる ギャァ ギーアァ-!!!!……」


 「!?Λ§け  ?Φ..落ちつけよ 食わないよ 落ち着けって」


トカゲがしゃべった!?もうだめだ!もうトカゲがしゃべったらとにかくダメだ!死んだ!とにかくこれは死んだ!


 「おいいい加減に話わかるかぁ?」


ああぁぁートカゲがしゃべってる… ああやっぱりもうこれは本格的にダメなんだ… 畑に帰してくれ!カブ育てるから!もうピーマンばっか育成しないから! 農業が、農業はもうダメなのか!荒野が…荒野でもカンラン(※キャベツ)育てたい…走馬灯はカンランか…もうおさらば…


 「ちょ!おま!おま!とにかく落ち着け!話聞けってば!」


…………………………

……………………

………………



「なんだよそれ?俺死んだの?死んだのとちょっと違う?特異点のミミズかレンゲを探していたら俺を見つけたってなんだよ…結局トカゲの餌かよ?」


「農仙だって言ってるだろ! トカゲじゃないって!こんなトカゲいるのかねぇ?君の元いた世界にねぇ!?

…いるの?」


「おいトカゲ!“元って”なんだよ!俺のいたところは農家だよ!こんな変な薄暗い石の世界じゃねぇよ!畑だよ!俺の畑!」


「・・・繰り返すけどそろそろ落ち着いたかねぇ?さっきまでの話 理解できてるかねぇ?」


…ん?さっきの話?あ、え~と いや一端落ち着け、とにかく...ここは一度落ち着け俺。

冷蔵庫に仕舞った種みたいに落ちつくんだ…春を待つ気持ちだ...


...このトカゲの話が仮に夢じゃないとして、俺は既にトラクターの下敷きで実際はアウトだと、で、魂がこのトカゲに拾われた・・・つまり俺はもう幽霊みたいなもんか・・・。

いやいやまだ明晰夢の可能性もあるはずだ...それとも...本当にお陀仏で最後に頭に残った映像でも見ているのか...。


いや、これはそういう夢だ。(そうあってくれ!)子供のころから現実だと思う明晰夢ってあったよな。(これがそうだよな!)夢の中では現実だと思うが、起きるとやっぱり夢だったってやつ。

.....素直に夢に浸ってればそのうち目が覚めるよな。(覚める・・・よなぁ・・・)


......................

......あっそ。このまま俺は生まれ変わるけど、記憶はそのまま残りそうだ…と。

ほ~そうかよ。ありがちな夢だよな。


で、生まれ変わったらその後好きに生きてヨシと。


...なんだよ夢にしてもテキトーな話だよな。


「なぁトカゲ なんでこんなガイダンス?チュートリアル?が要るんだ?」


「農仙な!そして今君としているのはガイダンスじゃないからねぇ!

何度も言うけど君の元いた世界からここに引っ張ってきたことのお詫びを言っているだけだからね!

トカゲじゃなくて“農仙”が!ね!」


トカゲ...まぁなんとも丁寧にハッキリクッキリした夢だな。

…しかしまぁ最後の記憶を考えてもどうせ今頃、現実の俺はトラクターの下敷きなんだよなぁ…

いやだなぁ。起きたら手とか足とかボッキリと…

サイアク病院で目を覚まして見知らぬ天井…。

うわぁっつつ。痛そ!あーいやだなぁ目を覚ますのが憂鬱だ...


「…人よ 次なる世界の特異点となり得る者よ 

君には本来もう関わりのなかった世界なのかもしれなかったけど、悪魔と精霊王があまりに揺らし過ぎて天秤が揺れ落ちそうなんだ。神が創り出した命たちが、このままでは精霊力と魔力の影響を受け過ぎて壊れそうなんだよ。


震える魂たちが消えてしまわぬように、どうかこちらの世界の理を頼むよ。

こちらの世界なら...精霊界、魔界の特異点と並べる君ならば、報われぬその世界よりずっとクワを振るえるのだから。」


トカゲ…トカゲが感動的な事を言ってる感じだが、正直わけがワカラン…まぁ..どこであろうが俺はクワを振るうぞ。ああ、クワはいい。クワは最高だ...

とか考えていると目の前が暗くなった。

さてさていよいよやっとの夢落ちだな…。


…………………………………

……………………………

………………………


「さぁ、幾星霜を超えてやっと農仙ζ§ΛΦ・・・が今一度この世界に誕生するねぇ...」


なんだかそんな声が聞こえた気がした.......


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ