クリーム色のマフラー
「これ、落としましたよ?」
くるっとした巻き毛の青年が、バスから降りてきて私のピンクの携帯を届けてくれた。
その携帯には、最近別れたばかりの彼氏にもらった星型のストラップをつけたままだった。
「すみませんっ。わざわざ・・・・・・」
「そんなことないですよ。じゃあ・・・・・・」
私が受け取ると、彼はバスの向かっていった方向へ足を進めた。
そのとき、まだ冬の雰囲気の残る風が吹いた。
「寒っ・・・・・・!」
私は、あまりの寒さに首をすぼめた。
青年は、行こうとする方向に向きかけた足を戻し、首に巻いてあったクリーム色のマフラーを取っていた。
そして、彼は片方の口元を上げて微笑み、私にそれを差し出した。
「これ。使ってください」
「えっ・・・・・・でも・・・・・・」
どこかで時報の鐘の音がした。
「やばいっ!遅刻する!」
そう言うと、無理やりごつごつした大きな手で私の手に押し込んできた。
彼は走って行ってしまった。
どこか変わった笑い方の青年の後ろ姿に私の心にまだいる姿が重なった気がした。
「また明日・・・・・・バスに乗って返さなきゃなぁ・・・・・・」
独り言のように呟いた私は、クリーム色のマフラーをぎゅっと抱いていた。
この小説を読んでいただき、ありがとうございます。下手ではありますが、楽しんでいただけたらうれしいです。




