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The letter   作者: 犬神刃
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プロローグ

初めての作品なので少し読みにくいところなどあると思います。ご了承ください。

楽しんでいただけると幸いです

「おはよっす!なぁいきなりなんだがハル?今日町外れの黄昏の館行かね??」

朝から雨で憂鬱な登校を終え、一時限目の用意をガサガサとカバンから取り出し終え一息ついていると不意に後ろから声をかけられた。聞き慣れた元気な声、誰が声をかけてきたのか察しつつ俺は後ろを振り向く。案の定声の主は親友の仁だった。

「おっす、おはよ…んだよいきなり。どういう状況?」

突拍子もない誘いに俺は少しおどろきながら答える。

「いやさ、うちの部活の先輩が見たんだってさ…例のアレを…」

「アレ…?なんの話だ?」

「かーっ何ってアレしかないだろ?…ゆーれーだよ…ゆ・う・れ・い!」

「は、はぁ…」

何当たり前な事聞いてんだよ…と言いたげな仁を横目に俺は呆れる。

町外れにぽつんと建っている洋館、誰が付けたかわからないが外観が黄昏時のような不気味な色で塗装された…そんな理由から周辺に住む子供たちは口を揃えて洋館のことを黄昏の館と呼んでいた。そこには白いドレスを着た少女の幽霊が出る……そんな噂がまことしやかに囁かれてはいるのだが…。

「んで?部活でじゃん負けで誰かが調査することになって、一人負けして流石に一人は心細いから俺に泣きついてきた…ンなところか?」

仁から聞いた話を噛み砕いて確認のため反芻する。それを肯定するかのように話の主は首を縦に振った。

「頼むっ!この通りだ…」

「めんどくさい。拒否する」

顔の前で両手を合わせ可愛いと自分では思っているのかよくわからないが上目遣いに潤んだ目をしながら懲りずにこちらを見続ける。

「そんな顔してもめんどくさいものはめんどくさいの。っていうかまず可愛くねぇし…はっきり言うと…あれだ、キモいぞ…」

ガーンという文字がいかにも出ていそう顔をしてぶつぶつと「キモい…キモい…だと…っ…」とおちこんでいる仁を横目に昨日の晩から読んでいるラノベを取り出ししおりの挟んでいるページを開いた。さて読もうか…とページに目を向けようとしたのだが急に目の前が真っ暗になった。目隠しをしている犯人に少し無言で圧力をかけたのだが離す気配がなかったので

「読めない。離せ」

冷たく、かつ少し語気を強めて言い放つ。 すると少しずつ目の前が明るくなった。

「ちょっおまっ!?怖いって…お願いだって…たのむよ…」

しつこく食い下がる仁に苛立ちながらもそれを落ち着かせるために一つため息を吐いた。

「はぁ…めんどくさいっていってんだろ?時間の無駄、というかさ第一幽霊なんているわけないし」

「いやいや、いるんだって!見たって言ってたんだからさ!」

「んなもん信用出来るわけないだろ?作り話だよそんなの。その先輩だっけ?誰かと一緒に居たって言ってたか?もし居たならその人も見たって言ってたか?」

「ぐっ…一人だけだったって言ってた…。だけどよ!?浪漫っていうものが…」

「無いな」

「即答かよ!?」

押し問答がしばらく続いたが予鈴が鳴り、腑に落ちない顔をしつつも仁はしぶしぶ自分の席に戻っていった。俺はやっと解放され一息ついたが…それも束の間だった。

その日は毎休み時間ヤツは俺の席に来て勧誘をしてくる。何度も何度も…何度も何度も…。昼休みの時間がいつもは近づいてくるのが嬉しいのだが、今日ばかりは憂鬱だった。

そして昼休み。予想通りというかなんというかやはりヤツは来た。ただ、前回とは違うのはあるものを持っているということ…。

「なぁハルぅ…お願いだって…」

そう言いながらあヤツは昼飯を食べている俺の机にブツをおもむろに置く。

「これやるから…何卒っ…何卒お願いいたすで候…」

わけのわからない言葉を言いつつ頭を下げるヤツこと仁は今日何度目かわからない勧誘をしてくる。目の前に置かれた1日限定10個のカレーパン…大好物の魔力に惑わされながらもあと一歩で踏みとどまっていた。

「だーかーらー!ひまじゃないっつーの。他当たれ」

ブーブー文句を言いながら仁はカレーパンと一緒に買ってきたであろうフルーツ牛乳のストローを咥える。そしてふと、何を思いついたように顔を上げた。

「ははーん?ハルさてはお前…ビビってんだろ?怖がりさんめ〜」

「は?何いってんだよ!?ンなわけねぇだろ??」

「いやいや、シンユーの俺にはお見通しだっ!!幽霊なんて非科学的ぃ〜とか言って実際怖いんだろ??しょーがねーなぁ〜ったく…。ならまぁ諦めてやるか…」

煽るような口調で言ってくる仁。ここでビビリ認定されてでもやめておけばよかったのだがあまりにも悔しくてついつい言い返してしまった。

「ビビリじゃないっての!?はっ!なら行ってやんよ!!黄昏の館だっけ?ビビリじゃないこと証明してやんよ!!」

そこまで言って俺はハッとした。嵌められた…と。その証拠に顔を上げると目の前の顔はしてやったりというようにニヤニヤと笑っていた。

「今…行く…。行くとおっしゃられましたね…ぬふふ…ぬふふふふふっ…。言質取ったり!かかったなハルっ!!」

「はっ!?んなこと言ってねえ!?あと、笑いからキモい」

「笑い方はほっとけ!?言いました〜んな?聞いたよな?お前ら?」

聞いたぞー。頑張れよー。などと無責任な声が教室の隅でたむろっている外野から飛んでくる。

味方をつけられてしまってはもう逃れられない…俺は堪忍して肩を落とした。

「はぁ…しゃーねぇ付き合ってやるよ…。だがな」

せめてもの嫌がらせとばかりに仁が一度俺が要らないと言ったので食う気満々になっているカレーパンを奪い取り頬張ってやった。

カリカリでほんのり甘い生地にぎっしりと入れられたカレー。その中で存在感を放つ肉の塊…大きいながらもしっかりと煮込まれているのでホロホロと崩れる柔らかさ。カレー自体もしっかりと肉の旨味を閉じ込めていて美味しい。

学校の購買でこのカレーパンのために毎日戦争が起きるのも無理はないだろう。この逸品を手に入れるため壮絶な戦いを食堂で繰り広げたたであろう元の持ち主に

「これでお互い様だな」

と満面の笑みで言ってやった。

「クソガァぁぁぁ!!!」

恨みがましそうにこちらを睨見ながらズルズル

とストローを吸っている仁を横目に最後の一口を口に入れた。



「はいっ!今日の授業はここまでとします。今日やった公式はテストに出るのでしっかりと復習しておくように!」

五時間目終了の鐘が鳴り一気に緊張した教室の空気が解け、部活に向かう生徒や今日オフで遊びに行く生徒で騒がしくなった。自分も早く荷物を纏めて教室を出ようとした時先生に声をかけられた。

「あ、水無月君ちょっといいかしら?今日使った教材を化学準備室まで持ってきてくれないかしら?」

そう言いながら両手を上に持ち上げる先生。その両手は今日回収された課題のノートで塞がれていた。今日にはもう殆ど人は残っておらず先生を手伝えそうな人は自分しか残っていなかった。少しめんどくさいなとも思ったが、先生の好感度は下げたくなかったので黙って手伝うことにした。

「わかりました。第一準備室でいいんですよね?」

「そうよ〜ろしくね」

ホームルーム教室から少し離れているため少し小走りで、しかし教材のビーカーや試験管をぶつけて割らないように気をつけて急いだ。

「よいしょっと…」

机の上に教材を乗せて今度は何も持っていないため全速力で走った。廊下に貼ってある「廊下を走らない!」というポスターが目に入ったが無視する。息を整えながらカバンに教材などを突っ込み最後に乱暴にチャックを閉めた。

下足室に向かうと既に仁は自転車を駐輪場から持ってきており、自転車に跨りながらスマホをいじって時間を潰していた。

横から覗き込むと最近人気のオンラインゲームである「アルカディア・オンライン」通称AOの闘技場で遊んでいた。悪い待たせたという俺の声にあぁとだけ軽い返事をしただけだったので集中しているのがわかった。邪魔をしないようにバトルが終わるまでそっとしておくことにして俺自身もログインをし、掲示板などを漁り始めた。しばらくして

「くっそ負けたぁ…」

そう言いながら悔しそうに両手を広げる仁。

「お前が負けるなんて珍しいな?誰に負けたんだ?」

「あぁ…マッチングがクソだったんだよ…あの絶影だぜ?勝てねえっての…」

「絶影かぁ…ならしゃないわなぁ…。あの人廃課金者なんだろ?」

「まぁそれもあるんだけどさ、psもやばいんだって。夏イベの方割とかつかつなスケジュールだからそっちに集中してると思ったんだけどなぁ…昨日の時点ではまだPvPランキングいなかったからランク1つ上げれると思ったんだけど…。あの様子だと終わったクセェな。よりによって今日から本気モードとかないわぁ…」

「なんでわかるんだ?」

「ん?あぁ、さっきのバトルで完凸の配布武器使ってたから。しかも早速フルカスタマイズ。廃課金者はやっぱちげーよ」

課金もしているヘビーユーザーの仁が口にしたその名前で納得した。AOのユーザーなら一度は聞いたことのある名前、一端のユーザーである俺でも聞いたことのある超が付くほどの有名人。毎回のPvPランキングでベスト3に入っていてAO最強とも名高いネームドユーザーとのマッチングに少し同情した。

クソゲーだわぁ…無いわぁ…と文句を垂れている仁を宥める。

「さてと…んじゃ行くか。乗れよ」

落ち着いたのかはたまた萎えたのかどっちかはわからないがゲームをタスキルしてスマホをポケットに直しサドルに座り直した仁そういうと荷台の部分をこちらに向けた。

乗ったかどうか確認するためにこちらを一瞥すると黄昏の館に向けペダルを漕いに始めた。

朝から降っていた雨が上がり空には虹がかかっていた。

お読みいただきありがとうございました。

前々から投稿しようとは思いつつも少し時間が経ってしまいはや3年…うん、引っ張りすぎですね(笑)

こうしてここに投稿する勇気をくれた先生、改めてありがとうございます。

そして、沢山ある中から読んでくださった読者の方々本当にありがとうございます。

今回は前日談となっていて内容薄かったと思います…ですが、次から始まる本編へ少しでも興味を持っていただけたなら嬉しいです。

2〜3週間ペースでチョロチョロと書いていこうかと思います。

改めまして

お読みいただきありがとうございました。

感想がありましたら是非お願いします。

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