第44話 ナスターク帝国⑪幻覚か妖術か
幻覚を見せる亀、カラメロ。アサナは巨大な鎌を持ったフードを被った尻尾生物。
ナタレは子供に見えた。
レバナは雷を纏った亀の姿を、それがカラメロの真の姿。
さて、サキはどのように見えたのか……。
レイジェスト団長はサキさんを諦めナタレだけを連れて行くことに決めた。
レイジェスト団長と医務室に行ける扉に向かおうとしたとき……「ナタレちゃん。」
かぼそい声でサキちゃんの声が聞こえたね。
「サキちゃん。……レバナ、サキちゃんどこにいるね。」
サキさん。「向こうにいます。」
……サキさん……!
「どこに行くきだ!レバナ!」
「サキさんを連れて行くんです!お客様を置いていけないじゃないですか!」
「もう、遅い!諦めろ!」
「カラメロがいるのにもかかわらず置いてけというのですか。レイジェストさん。」
「そうだ。もう、間に合わない。カラメロはもう目を覚ました。もう……遅い。ここにいたら危険だ逃げるしか、もうないのだ。」
「……。遅くても……遅いとしてもおいていけません!離してください!」
レバナの気迫に圧されレイジェストは手を離した。
「待て!レバナ。死んでもいいのか。」
「助けられるかもしれない人を助けずに逃げたくありません!なにもせずに逃げるなんて嫌です!」
「……そうですか。すみませんレバナ……。」
首を叩いて気絶させるレイコウ。
「これでよかったのでしょうか。レイジェスト団長。」
「……どうだろうな。私にはわからない。」
「サキちゃん!」
「サキ……さん。サキさん……を連れ戻す……。」
サキはもう、目覚めていたカラメロに抱き抱えられていた。
「サキさんを連れ戻す……。」カラメロを見たレバナ。抱き抱えられいるサキさんを見つけた。
「サキさん!」「サキちゃん……。」
「諦めろ!もう遅い!」
「そうですレバナ。死に急ぐことありません。」
世の中気に入らないことはたくさんあるのですから。諦めるということも大切です。
「助けられたかもしれない人を助けずに死ぬなんて嫌!助けられる人がいるなら絶対に助けるそれがたった一人でも。」
ここは植物園迷路だが、ここは王城だぞ。
そんな所にいるやつが悪いわけないだろう。
わかったら諦めて医務室に行くことだ。大丈夫だから。
「あきらめないねレバナ。でもね、時にはね諦めた方がその人のためになることもあるからね。」
「ナタレさん……いいのですか……。」
「大丈夫ね……サキちゃんを@#☆☆♪$☆#&&#♪$
%&♪$&&☆@☆@#%##ないはずだからね。」
なんと言いましたかナタレさん。
一方、逃げ出したアサナはというと……。
わたし、逃、逃げ出してしまったのよーー。
「あ、ああ、ああああーーーー!」
お、怒られるよ。ナタレに怒られるよ。そして、サキ様が寂しがっているよ。どうしましょう。どうしましょう。
「サ、サキ、サキ様ぁぁーーーー!」
サキ様、今気絶しているのでした!早く隣に行ってあげなねればああああーーーー。
ーー
『なんとなくね、アサナが走っていった理由がわかった気がするね。』
死地に赴くとしても使命を絶対に全うね。
それがアサナだからね……。
ーー
そんなことを思っていたナタレは間違っていたのかもしれない。
ただ恐いものを見て逃げ出した怖がりな女の子の姿がだった。
しかし、それも一時的なもので死地に赴くとしても使命を守るそれは間違っていなかった。
可哀想な……悲しいような……そんなアサナは、使命を守るため逃げてきた道を戻っていくのだった。
アサナは最高な……最悪なタイミングで戻ってきてしまった。
カラメロがサキを抱き抱えられて連れ去ろうと一歩前に左足を前につきだしたタイミングで……。
アサナは動けずにいた目の前でサキ様を連れていかれそうなのに体が言うことを聞かないのだ。
使命を全うする……今アサナの頭は使命感でいっんぱいだった。
その頭の中にサキ様のアサナと笑って呼ぶ声が見えた。大丈夫です、といい残した……。そう思ったアサナは立ち尽くしていた……自分はもう必要ないのではないのか……サキ様はもう私などと一緒におらず誰か他の人と一緒にいるべきではないのだろうかと……。
「ナタレさん。アサナさんが戻ってきました。」
「レバナ、もういいのね。行きましょうね。」
「はい……。」力なく頷くレバナ。
絶対使命を全うするねでもね。
その思いを凌駕するものをね見たらもうね、逃げるよね。そこにいたくないからね。
でもね、アサナは使命を絶対に遂行するだから大丈夫ね。……ごめんなさいね。
「アサナさん。協力していただけますか。」
「……。」
「アサナさん。」
「なによ。」
「サキ様を強くしたいと思います。ご協力をお願いできますか。」
「あなたを信用できないのよ。」
「そうかもしれませんがここがどこだか今一度、考えていただき、私達に協力してはもらえませんか。」
「なら、サキ様を渡してよ。」
「逃げ出しませんか……。」
「……。」逃げるに決まってるじゃないのよ。あなたは私の一番信用できない人の姿なのよ。そんな人を信用しなさいって方が難しいのよ。
「信用できない気持ちはわかります。しかし、お願いします。ご協力してはもらえませんか。」
「信用できない。ならなんで、あなたが私の一番信用できない人の姿なのよ。」
「わかりません……。私も、なぜ私を見ると信用できない人になるのかはわかりません。しかし、お願いしますここがどこだが今一度考えていただき、私達に協力してはもらえませんか。アサナさん。」
「……。」自分が他者に信用できない人に見える理由がわからないなんてことあるの……。
わかるものじゃないよ、今ので信用しようなんて思わないわよ。あなた、ここがどこだか考えてっていっているけど、ここはナスターク帝国よ。
嘘と偽りと疑いを国の信念に掲げるような忌まわしい国よ。
極めつけは王城よ王城と言えば王族よ。虚栄心が衣を纏った自己中心的な人たちの集まりよ。
そんな場所にいるあなたを信用する……そんなことできないわよ。
「サキ様を渡して。」
「……私達に協力していただけますか。」
「あなたに一つ質問よ。」
「なんでしょうか。」
「あなたの協力者はなんでサキ様を強くしようなんて思ったのよ。」
「私は、サキさんを連れていくように頼まれただけなのです。理由は詳しくはわかりません。」
……怪しいよ。こいつを倒してでもサキ様を連れていきたいけど地の利は相手にある。
打つ手なしよ。しかし、私も連れていくと言っているのよ。……なら、この人を。利用して相手を探るわよ。
「そう、サキ様が起きたときにあなたみたいな人が持っていてら昔の辛い経験よみがえってしまって鍛練なんて困難になってしまいますよ。それでもいいってこと。」
これは罠だ。
しかし、私が持っているとまた気絶される可能性が高くなるから仕方ない。
「……そうか。……わかった渡す。」いつか……。
「痛!」な。
「アサナ、サキはもらっていくよ。」
気絶したか。
・・・
は!
「いない……いないよ。サキ様が……いないよ……。ふざけないでよ!」
「うるさいから黙って。サキってその娘のこと。」
「……え。」
「わかったら休んでな。」
「なぜよ、なぜサキ様がここきいるのよ。連れていかれたはずよ。」
「はぁ、さっさと連れてきて欲しかったわ。ねぇ……。」
「知らん。」
「知らん顔するんじゃないの。わかっているの。
サキさんとアサナセットで連れてきなさいって私は言ったのよ。拐ってきなさいとは言ってないの。」
「……。」
グゥの音も出ないみたいね。
「待ってくださいあんたは誰よ。教えてもらわないと安眠できないのよ。」
「私は緑。」
「メイド長、レバナが言ってた人よね。
……なんでサキ様を連れてきたのよ。」
「その通り。緑です。アサナさん、質問があります。」
「なによ。」
「私は拐うつもりはありませんでした。さらって来るように頼んでいません。連れてきて欲しいとは言いました。しかし、ここまで無能とは思いませんでした。すみませんでしたアサナさん。」
「なぜ、サキを連れてこようと思ったのですか。」
「あ~~それはね~~連れてくるように頼んだから~~。」
「アキリンさん。ここでなにしているのよ。」
「頼みに~~来たのよ~~。殺しの~~頼みをしにね~~。」
「最近、わからないことがあるのよ。」「……。」「あなたは、女王がどうなったのか知っているのよね。アキリン様。」「なんの話~~。」
「アキリンは、ナタレちゃんとどういう関係なのよ。」
「……私は~~私~~。ナタレは~~ナタレ~~。」
「……。生きる目的はなんですのよ。アキリン様は……。
「アサナ~~それは~~教えませ~~ん。」
私は……サキ様を守る……一生サキ様に捧げます。
「私はいつ、消えるかは知ってますよね。アキリン。」
「うん、わかるよ~~。アサナが消えるときは~~。教えないけど~~。わかるよ~~。」
そうよねアキリン。あなたはそういう人だから……。
その言い回しでなにか知っていそうですよ。
絶対に教えないということはわかりましたよ。
聞くのが怖いかったのよ。
しかしですよ、もっと怖いことを聞いてしまいましたよ。
「それで、誰かを殺すとはどういうことですのよ。」
「やっと~~聞いてくれた~~遅いよ~~アサナ。」
「ごめんなさい、アキリンさん。今機嫌が悪いのよ。」
「そうみた~~い、ちょっと怖いわ~~アサナ。でも~~これなら~~ちょうどいいわね~~。」
「どういうことよ。」
「はいこれ~~あなたにあげる~~。ここの~~国宝の~~一つ~~の~~燈陽よ~~。わ~~。」
「……。」もらっていいとは思わないわよ。
メイド長が怖い顔してるわよ。もらっていいわけないでしょ。
燈陽はトウヨウと読みます。