第43話 ナスターク帝国⑩ 植物園迷路
「私が知ってるのはソハギとアキリンに助けてもらったことと月花って子が私の命を狙っているってことだけです。」
「そう、そうだったの。」
「はいです。」
コンコン!
「ごめんなさいです二人とも忘れていたです。」
「サキ様、そんなことはいいのよ。それより早くいきましょう。植物園迷路に。」
早いよサキ様。まだ私、なにもしていませんよ。
ノックをしただけですよ。それだけわかったのですか……すごいですわよ。サキ様。
「そうね、行きますかね植物園迷路にね。」
「はいです、行きますです。レバナ。」
それ以上に聞きたいことがあるです。
「はい、ご案内致します。それでなのですが……。お二方……スピラ様は……どこへ行ったのですか。」
「監視塔に行ってたわよ。」
よくスピラの居場所がお分かりでアサナ様。
「ここまでは地下鉄でやって来たですがどうやっていくですか植物園迷路。」
「また、地下鉄で行くのもよろしいのですが、飛行機に乗れない方は……。」
いらっしゃらない。
「お城には入れないので飛行機で行きます。」
行きますよ飛行船で。
飛行船に乗って植物園迷路に来たみたいです。
「植物園ってどこです。レバナ!ここ、どう見てもお城なのです。」
「サキ様のおっしゃる通りお城ですわよ。」
「はい、植物園迷路というのはお城です。」
……お城が植物園迷路。通路は迷路かもしれないけど。そんな呼び方は作った人がかわいそうなのです。
「そうだったの、ナタレ。」
「どう思うね、私はすごいと思うけどそうは思わないねアサナ。」
「城が植物で囲まれていたら燃やしてくださいと言っているようなものですわよ。」
「そうです。これでは、燃やすためにあるようなものです。」
「それが燃えなかったらどう思うのね。」
「燃えない……ですか。」
「そうね絶対に侵入不可能なね城を作って欲しいってね今の王様が言ってね。この有り様ね。」
「入るのは難しいかも知れないけど、過去の異物である飛行機なら余裕じゃないのよ。」
「それがね、そうでもないのよね。特攻しないとね城に入れないからね。意外よね。」
特攻って城に激突しないと入れないってことです。爆発力がないといけないってことです。
「特攻もいいわよ。どれくらいのサイズが特攻して入ったのかは知りませんよ。」
「そうです、どれくらいです。」
特攻するつもりなのね。サキちゃんとアサナ……。バカじゃないのね。二人ともね。
私がここに来た理由はここの特殊性なのね。……でもね、特攻もいいのよね……。特攻しようかしらね。
船も飛行機も今ないけどね。だからしないのねレバナ。そんなに言わなくてもいいと思うのね。
やっぱりアサナはわざと言ったのね。サキちゃんは本当にソハギに会いにね来たのかね知りたいのね。
「それでね、本当にね特攻するとしてもね。特攻する道具がないのね。」
「……!」
あっ!っていう顔はやめてよね。
「特攻してあの城の一部が壊れるのを見たかったのよ。だからレバナ、そんなに怒らないでよ。」
「そうはまいりません。もう少しこのままでいます。反省してください。」
「レバナさん。聞きたいことがあるのですがいいですか。」
「何を、サキさん。」
「ここ猛獣出たりするのですか……。」
「ええ、でます。この世界で最も怖い者が出ますわ。」
あれね。
絶対にあれよ、いつも思うけどそんなことするいみないわよ。怖いわけないじゃないのよ。
あんな娘が怖いわけないわよ。
「い、いき、い……」
「サキ様!」気絶しちゃったわね。
「気絶しちゃったじゃないのよ!どうしてくれるのよ!レバナ!」
ここまで怖がれるとは思えませんでした。驚きです。
「……。」どうするのか見ものね……レバナ。どうかしらね。
「わかっていないみたいね。アサナ。」
「なにをよ!」シーとレクチャーするナタレ。
「なによ、ナタレちゃん。」
「バレちゃいましたか……。ナタレちゃん……。」
「どういうことよ。」「……あ!」
左を見ると巨大な鎌を持ったフードを被った尻尾がある生物。
・・・
ゾクッ
「ぎゃーーー!」
「キャーって言わなかったわね。」
「やっぱり怖いです。」
「レバナは何に見えるのね。」
「カラメロ。雷を纏った亀みたいな化物です。ナタレさんはどのように見えるんですか。」
「……一番最初に殺した赤ちゃんね。」
「ナタレさんの方が怖かった。驚きです。」
何百倍も怖かった。
「そういうレバナはそんなに怖がってなかったけどどうしてね。」
「雷を放ってるです。近づきたくないね。」
「雷がね、レバナはね。へーそうなのね。」
ソッーーとナタレさんから離れていく。あんなのよりナタレさんの方が怖い!なぜかナタレさんから雷が出てるように見えるのね。怖いーー!
「ちょっとね~なんで逃げるのね~。」
怖いからに決まってるでしょーーー!
今、レバナは気づいていない。その雷の化物は化け物であることに……。
「ちょっとねーー!レバナ!」
私は赤ん坊を思いっきり蹴った。
「!……申し訳ありません。ナタレさん。あれに殺されるところでし……キャーーーー!。ナ……ナタレ……さん。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい私のせいでごめんなさい……。」
「いいのね。人助けが今では生き甲斐だからね。いいのね。大丈夫よね、レバナはね。怪我はないよね。」
「はい、ナタレさんの……おかげ……でず。」
痛いわね。やっぱり。雷なんか蹴ったらそうよね。でもなんでね。
「ねぇ、レバナはあれの真の姿がみれるのね。」
「はい……、あれは首に装飾品があると幻影が見える仕組みです。」
首にね……装飾品ね。私は首に装飾品はつけない主義なのね。
「首に装飾品ね。着けてないわよね私。」
「いえ、手首の腕時計がそうです。」
なるほどね。そういうことなら早くいってくれるとよかったのにね……。外さないとなのね。
「アサナとサキちゃん。なにか装飾品着けてなかったと思うのね。」
「着けてました。サキさんは先ほどの一件で緋色の涙を首から下げております。」
そういえばそうね、着けたままねサキちゃん。
「ミレンタラタラね。」
「どういうことですか。」
「なんでもないね。アサナはなにか着けてた。」
「いえ、なにも……ですから不思議なのです。なぜヘビに見えたのか。」
「さぁ~ね。なぜだろうね。」
蛇ね、あれねマフラーだと思うね。
「レバナに幻覚が見えてないなんてねどうなってるのね。」
「ミーちゃんが作ったこれで幻覚が見えないのね。」
「ミーちゃんって誰ね。」
「ミーちゃんは緑ちゃん。ここのメイド長ね。」
・・・
城のメイド長と知り合いなんてね。どういう仲なのかね気になるのね。
「あ、どうしましょう。ナタレさん!サキさんとアサナさん見失いました。どこに行ったかわからないです。」
そうね、あんなのがいる場所に二人を放っておくとどうなるかわかったことじゃないね。
「なんとなくね、アサナが走っていった理由がわかった気がするね。」
死地に赴くとしても使命を絶対に全うね。それがアサナだからね。
「どこに行ったかわかりませんか。ナタレさん。」
「わかるわけないね。地道に行くのね。」
「はい、そうですね。わかりませんか。しかし、その傷を癒してから向かうとしましょう。」
「……。」意識がもうろうとしてきたのね……。
「ナタレさん!」レバナ、ありがとうね。
大丈夫……だからね。少し時間がたてば治るからね。
「ナタレさん、ナタレさん。死なないでください。」涙流してそんなこと言わないでよね。本当に死ぬみたいじゃないね。あれ、なんで片方よく見えないのね。
「え、あ、ああああーーーー!」
「ナタレさん!」
「ないね、ないね。私の顔が顔が目がないね!う、そね。嘘ねーー!」顔が、無くなるなんてね、なんてね威力なのね。
「ナタレさん……。死なないでください。」
「!……ふふふ、ふはははは……ふはははははぁ。……ねぇ、レバナ。」
「はい、ナタレさん。」
「誰か来たみたいね。」
「え、誰ですか。」
「ナタレ。」
「え、えーーーーー!あ、あ、アキリン様ー!」実在したのですか!
「アキリン。こんな姿で会うなんて情けないね。」
「な~~に~~ナタレ~~。そんなこと言って~~。全く大丈夫じゃなさそうだけど大丈夫~~死なない~~。ナタレ。」
「私……。」正直わからないね……。私、死ぬのかねどうかわからないね。
「ナタレ、どうする~~。早く決めないと~~もう無理かもしれないよ~~。」
アキリン。
「アキリンはどうすればいいと思ってるのね。」
「い~~い~~ナタレ。私は観測者なの~~だから~~見守るよ~~。忠告したり今みたいに助言はするけどね~~。」
アキリンはね、アキリンね。私は私のようにね。
「アキリン、聞きたいことがあるのね。聞いてもいいなのね。」
「……。人探しするなら~~協力はしませんから~~。」
「サキちゃんとアサナを探してほしいではないね。もうね、私は死ぬのなのね。」
・・・
「死ぬとナタレは思う~~。」
「思うね、教えてなのね。」
アキリンに頭を撫でられた。「ナタレ、あなたは……。」
「レバナ、この人はあなたのお客様ですか!」
え、レイジェストさん。いつからそこにいたのですか。
は!「は、はい!レイジェストさん。」
「そうか、少し待っていろ!」
「先ほどの方はどなたですか。ナタレさん。」
「アキリンね。レバナも知っていますよね。」
「主神のアキリン様ですか。」
そうね、アキリン教の主神のねアキリン様ね。
「そうね。」
「どのような関係なのですか。アキリン様と。」
「友達よ~~私とナタレはね~~。」
「……アキリンシャマ!」
噛んで赤くなった~~。かわいいわ~~レバナ~~。
「アキリン。私ね死なないよね。」
「……大丈夫~~。レイジェスト~~って名前の~~この国の騎士団長様のお陰よ~~。感謝しなさ~~い。」
レイジェストのお陰ね。・・・。ものすごくいたな予感がするね。