第42話 ナスターク帝国⑨ゼウト編完 セレナの母と革命
貝城こと貝塔へやって来た。セレナの母に会うために……。
「女王との謁見か。」「……。」
「下見て思ったけど……、革命。終わってるよな。ジア。」
「ええ、終わってるわ。」
・・・
やはりそうか……。ここの牢に中に人がいなかった。
「…なんのために革命するんだ。」
「それが答えだったからよ。なんのために革命を起こしたのかわからなくなったから。元の王族主義の国に戻そうって動きが多いのよ。」
「なぜだ。」
「ここは、元々王族たちが至福をこやして民は貧しい。そう国民は思っていたのよ。この国って奴隷以外に収益なかったから。
それ以外で国益を作ろうと奴隷を国民として国が管理する。民は国の奴隷となった国になったの。」
「だから、それを廃止しようと革命をしたのか。王族を奴隷にするために。」
「そうよ。」
「なにか変わったのか。」
「なんにも。そんなことする意味がなかったように。人はなかなか変わらないから……ね。」
「それで、ジア。どうするの。」
「ほら、こい。」じゃらじゃら。
「連れてきたぞ。ほれ。」
「キャ!」
「大丈夫お姉ちゃん。」
「ジア……か。」
「……はい、そうです。お姉ちゃん。」
ギリギリと歯ぎしりがいつのまにかしていた。「……なにをしている!なぜこの国に戻ってきた!ジアよ。」
「この国にはきたくなんてなかっった。
お前に会いたくなんてなかったからな。」
「……久しいなゼウトよ。」悲惨なやつだな。
「……。すまなかった。」
「はは……はは……ははは。なにを言っているのだ。君は。どうだジアは……私の妹は……。どうだやはりかわいいか。どう思っているのだゼウト。やはり好きなのだろう。」
「好き……なんだそれ。そんなこと思わない。」
・・・沈黙がその場を包んだ。
「はは、ははは。妾は貴様に騙されたのか。」
「そうだ。俺は、あんたが好きだった。」
「え!」
「ふ、フフフ、はっははは、はは!やっと、姉ちゃんのその顔を見れた。」
「まさか、ジアお前知っていて子供まで作ったのか。 」
「当たり前じゃない。……。!、お姉ちゃん、ここにいるのになんでそんなことまで知ってるの。」
「そんなことはどうでもいいだろうジアよ。」
それがどうでもよくはないとは思うが……。
「こいつのことは度胸が気に入ってな。妻にしたのだ。すごいのだぞ。ジアは、お前を殺さないためにこいつが首を差し出してきたのだ。は、は、は。」
「どういうこと、ジア。」
「仕方ないじゃない。お姉ちゃん。」そう、そう。
お前がやるべきでないことをするからな。お前の首を守るのに疲れたな、あのときは懐かしい。
「私もお姉ちゃんも、もうこの国にいたら死んだ方がいいと思うほどの苦しみを味あうに決まっていたの。それを無くす方法を私なりに考えて他国のこの人に頼んだの。偽善者の国と言われていたロダラン荘興国のこの人に。」
「……ジア。……ごめんなさい、ごめんなさい。……ごめんね、情けないお姉ちゃんでごめんね。」
「お前を殺す許可を俺はもらっている。こいつ、ジアもな。」
「なぜ、他国のあなた方が持っているの。」
「はぁ、わからないの。お姉ちゃん。まだ私たちは王族として他国に国を売ったのよ。」
「嘘、ロダラン荘興国にナスターク王国を売った……。」
「そうよ、お姉ちゃん。」
これは、ロダン様に聞いたことだけどね。
「……。」
「どうする、イサナ・ナスターク。」
「なにをよ!この姿よ!こんな姿なのになにを望めって言うのよ!こんな滲めな姿で……。」
イサナ。「お姉ちゃん。」
「私は、今とても幸せ。でも、毎日足りないと思っていたの。この人のせいで。」
「俺のせいではないけどな。」
「何でよ!」
「……イサナは、ある運命を抗えなかった。すまないと思っている。」
「お姉ちゃんがなにに抗えなかったって言うの。」
「王族としての誇りよ。ジア。」
「王は国を売ったけど私は国を守りたかったの。あなたの国の人たちを信用できなかったの。
それが今はこの通りよ。王族と言うだけで……。」
貝塔の一室で死にたいと思うほどの生活をしてる。それはもう裕福な生活を……。今すぐに手放したくなるほどの生活を……。
「ねぇ、ゼウトさん。私は間違いだったの。
この国の人たちを奴隷にしてしまった王族としての責務は死ぬことだったのにあなたたちのせいで私はこんな生活……。毎日監視され味のしないご飯を食べてこんな服を着て……。なんで、なぜ!お父様とお母様と一緒に殺してくださらなかったの!ゼウト!」
「そんなの決まってるいます。イサナお姉ちゃん。ゼウトは……お姉ちゃん……。
お姉ちゃんは、王族の生き残りとして生かし続けて革命など意味がないと国民に知らしめるためにお姉ちゃんを助けてくれる人を待ったの国のために……。お姉ちゃんのために……。
お姉ちゃんは国に身をあげた人だから……。
国のために、お姉ちゃんのために、革命を起こしてくれる勇者を探したの。」言えなかった。
私が言うべきような言葉ではないから……。
「国王から国を任されたものとして一度聞く。イサナ、革命軍は必要か。」
「いるけど革命軍は国民でなければいけないのよ!前もそう言ったでしょ!」
……。そうか。前に君から聞いた言葉は全く違った言葉だった。妹を思う言葉だったはず。
でも、君のお母さんの王妃様からはそうきいた。ふっ、王族か……。これでよかったのか……。
王族を……。いや、もう終わったことだ。
「イサナよ。シェリフと言う名前に聞き覚えはあるか。」
「……私の使用人。」
顔をそらさなくてもいいだろうに。「そうか。」
「そうだったの!」
「もう、昔のことよ。私はもう、おばさんだから。」
「そうだな、53ぐらいか。」
「失礼な人ね。」その通りだけど。
「もうなにもかも遅いのだ。」……お姉ちゃん。
「そうか、お前の娘はそうは思ってなさそうだったぞ。そうだろジア。」
「そうね、まだ遅くは無さそうだった。」
「遅い。もう、王族など必要ない。上に立つ人間は変わらないことを望むのだ。現状維持をな。」
「……そうねお姉ちゃん。だからって奴隷国家のままで言い分けないじゃない。監視し続けていいわけないじゃない。」
「いいのだ、もう、自由など……。」
「もう要らないっていうの。お姉ちゃんは!それが王族としての誇りだって!」
「そうだ。」
「……お姉ちゃんの、お姉ちゃんのバカーー!もう、
知らない。」
いくよ、ゼウトさん。と言われた。
いくよってこのまま放って行けって言うのか。俺に。腰砕けなふくよかな顔に引き締まった体。そこそこ育った胸。垂れてないなぜなのか気になる。
違う違う……いいのか。このまま別れさせて……。
「ジアはああ言っておるが、どうするのだ。娘にもう一度会いたくはないのか。夫には会いたくないのか。一緒に暮らしたくはないのか。」
「……帰って。帰って!」こんなになった姿の人に言う台詞じゃないか。
「そうか。邪魔をしたな。最後の奴隷、イサナ、ナスタークよ。」
そして、最後の魔女の末裔よ。
「俺はもう船に戻る。なにかするならもう遅いぞ。イサナの言うようにな……。」
ああ、もう革命などしている時間はないぞ。英雄の国。
「……。」泣いてるジアに今帰ろうといったら怒るだろうな。でも、声をかけるべきじゃないか。
地面に座っているジアの隣に座った。
ジアに寄り添った……。
ーーーーー
「よかったのですか……イサナ様。」
「そんなこといいから、早くこれ外して。」手錠を出すイサナ。
「すみませんでした。イサナ様、今外します。……え!……えーーーーー!は、外す……。えーーーーー!」うるさいわ。もういいの。
……ジア。私がしたことは間違いでしたか……。
「外していいんですか!」
「いいわよ。足はもう外したでしょ。」
「そうですが……。象徴としてそれは一生外さないと言っていませんでしたか。」
言ったけど言わないでよ。恥ずかしい。
「早く外しなさい。」
「ダメだ!外すことは許さない!」
「なんでよ。」
「君の名前を言うのだ。」
「イサナナスターク。」
「……。」なにか言ってほしいわね。こういうときに沈黙されるといやね。
沈黙ならいいということ。なのかも……。
「ほら、今の内よ。手錠を外してちょうだい。」
「……いいのでしょうか。イサナ様。」
「いいって私が許可を出しているのよ。外しなさい。 」
「わかりました。こんな物、あったことが異常だったのです。」
鍵で外します。
ガチャン。
「これで外せたと思います。イサナ様。」
「……うん。ありがとう。」
手錠を外せた、これでよかったのですか……。
お父様、お母様。
「それで、あなたは、なにをしているの。」
「なんのことですか。」
「アヤミ、だったかしら。あなたはなにをしているのですか。」
「いつから気づいていらしたのですか……。」
「一年ほど前から見たことのある人物が私の看守になったと思っていただけです。」
「そうでしたか、いかがなさいますか。」
「いかがなさいますか。とはどういうことですか。」
「手錠を外しました。あなたは自由です。」
「早く私を牢に戻しなさい。アヤミ。」
「セレナ様にお会いになってはいただけませんか。お願いいたします。」
「……。どうしようかしら。」
「もう少しだけ待ってくださる。セレナには我慢して欲しいと言ってちょうだい。アヤミ。」
「わかりましたわ。牢に戻させていただきます。」
牢の中にイサナ様を戻しました。
・・・
しかし、これでよかったのです。そうではありませんかジア様……。
ゼウト編はこれにて終了。次からサキ編に戻ります。