第36話 ナスターク帝国③闇に触れる(真実)
ナスターク聖王国にある監視制度に驚愕するサキ様。
「子供は……子供はどうなんですか!」
「子供も例外ではありません。20点以下であれば両親と離れさせ100点をとるまで勉強です。」
「何歳から対象なのですか。」
「五歳からとなっています。」
五歳……ですか……。
「大変な世界なんですね。」「はい。」
「サキ様……。」哀れみのような微笑ましいような子供の成長を喜ぶべきか悲しむべきか悩む母親のような姿がアサナから漂ったのね。
「そんな場所へ向かうのですからお客様を連れてなどいけません。よって、私が取ってきて参りますのでここにいては下さいませんか。」
「……どうするです。アサナ、ナタレ。」
「「そんなの決まってい(るね。)わよ。
サキ様が決めてくださいよね。」
私が決めるですか。二人は私が行きたいと言えば言ってくれると言うことですか。
迷うです。
・・・
「私は行きたいです。そんな場所があるなら見ておきたいです。」
「そうよね、わかりましたわよ。行きましょうよ。ナタレ。」
「わかったね。」
こうなるわよ、私達は。そんな場所があるなら見てみたいなんて言うなんてビックリしましたよ。サキ様、私はここで待ってるって言うと思いましたよ。
私達に聞いたのに行くと決めるとは思わなかったねサキちゃん。しかしね……サキちゃんそれはレバナには苦しい選択でもあるのね。それを忘れないでね。
「よろしいのですか……。」
「なにがよ。」「そうね。」
「なにがって……。」
「そんな風に言わなくていいじゃないか。お客様は行きたいと仰っている。ならば、どうするべきだ。案内人レバナ。」
「……、案内人として、エリア外ですが……案内させていただきます。」
「よろしい。私が責任は持とう。シェリフに連絡しておくその後に本部に連絡する。」
「はい。お願いします。」
いいのでしょうか……。私の家などに行くなんて……。
・・・
「無理じゃないわよね。」
「どうなのね。」
「もう少し待ってください。シェリフさんは大丈夫だと思うそうですが本部はどう判断するかわかりません。」
「そうよね。」「そうなのね。」
どうなるです。
「サキちゃん。レバナの家に行く前に一つだけいいね。」
「いいです。どうしたです。」
「サキちゃんはどうしてレバナの家に行こうと思ったのね。」
気になってサキを見る四人。
「レバナさんの住む所はソハギが生きた所と同じだと思ったから……ソハギはなにを思ってたのか知りたいから……です。」
「サキちゃんはレバナとソハギには繋がりがあると思ってると言うことね。」
頷くサキ。
「本部の方も了承しました。」
行くってことですか。私の家に……。
「下向くな、お客様は行きたいと仰っているのだ。そんなお客様が今から行く場所がどういう場所かわかっているなら下を向くのではない!」「はい!」
レバナの家に来たです。
街に入ってから家の外はカメラばっかりだったです。不気味です。
「どうぞ、お茶になります。」
「ありがとうです。」と会釈するサキ。
どうもねと会釈して一口なめる程度に飲むナタレ。
ありがとう。と微笑むだけで、いただくわよ。
と一口飲むアサナ。
レバナが物を探している間……。
「ねぇ、アサナ。」「なにか気になることでもあったのよね、サキ様。」
コクンと頷くサキ。
「この家にカメラなんてないです。」
衝撃の一言を発するサキに戸惑う二人。
よく見ると確かにカメラはない部屋のなかには一台も。あるのは外だけ……。
「どう言うことだかわかりますかです。」
「それは、どういうことなのよ。ナタレ。」
「これは壁をすり抜けて見えると思うのね。」
「そんなのがあるのですか。」
「あるのだからあると思うね。」
「でもなにか隠せる対策があるはずよ。これじゃあずっと筒抜けで夜も寝られないわよ。」
「疲れるから眠ってしまうです。」
そうね。
「でもね、そうとは限らないわね。」
「どういうことよ。」
「そうです。ここに居続けなければいいんじゃないですか。」
「そうね、まさにね。私が言いたかったのはサキちゃんが言ったことね。」
「そんな……そんなこと……いいわけないわよ。」
「なんでそう言いきれるのね。アサナ。」
「だって……。信用されてないってことじゃないのよ。そんなの悲しすぎるわよ!」もっと尊重すべきよ。人は誰かに見られることをどう思っているのかをよ。
「……あの……これが母がもらった緋色の涙です。」
「これね、あなたのお母さんがもらったね緋色の涙ね……。」
「ちょっと違うです。」
そうよ、違うわよ。サキ様がもらったのは直径5㎝の球状がネックレスに繋がってるのよ。でも、これはひし形になってるわよ。
「どういうことよナタレ。」
「それはね、これは両方ともね緋色の涙でね、両方とも効力失っているように見えるね。」
見えるですか。効力なくなってるです。
「はぁ、そうかもしれませんね。サキちゃんのヨミは間違えていないということね……。」
「どういうことよ。」「言っている意味がわからないです。ナタレ。」
「簡単な話ね、この緋色の涙はあいつを連れ戻す鍵になるのね。」
「鍵ですか……なら鍵穴はどこに……。」
「そうよ、相手は死人よ。鍵なんてあってどうするのよ。」
「それが答えね。ありがとうアサナちゃん。」
「え……っどういたしましてよ……。」
でいいのよね。
「どうしたです。ナタレ。」
「これはね死人の声を聞くために作られたあいつのね、最後に伝えたかったことね。」
「「最後に伝えたかったことですか。」それはなんて伝えたかったのでしょうか。」
「そんなのわからないわね。本人に聞いてみないとね。あいつのね墓がどこにあるかってわかるわけないわよね。」
「緋色の涙を作った人のお墓でしょうか。」
「そうね。」
「お墓は…………えっと……ごめんなさい……。」
レバナは涙を流しながら一室に入っていった。
「どうしたです。わかるですか。ナタレちゃん。」
「そうですね、あまりハッキリとは言いたくないね。こういうことはね。」
「もうソハギは死んでしまったです。それはもう知ってるです。会ったときにソハギは……。
死んだのに君にだけは会わなければならないって言われてよそれで君に会いに来た。
といってたです。だから、なにかあるんだと思ったです。ここに来るようにとも言われたです。自分の娘に会うようにって言ってたです。」
「その続きになにか言伝てを頼まれましたよね。最後にあった人物なのでしょサキ様はよ。」
「はい、頼まれたです……。」
「そうね、私たちに向けて頼まれた言葉じゃないね。ほらアサナ。レバナとサキちゃん二人だけにしましょうね。」
「ええそうしますよ。サキ様とレバナだけによ。スピラの所に行くとしますよ。ナタレ。」少々気が引けますのよ。
「ありがとうです。二人とも……。」
ありがとうです。いいのですか。ソハギさん。
・・・
これは言っていいですか。
泣き声が時々聞こえる部屋の前で迷っていた。
また会えるかも知れない人の言葉を今から私が言ってもいいのですか、それとも言わなくていいのでずか。
「……。ヒッ……サキさん。」その声は弱々しく聞き取りずらいですが聞こえたです。
「はい、サキです。レバナさん。」
沈黙。話が続かない。
サキの覚悟が決まらない。
「……サキさんはどこであの緋色の涙をもらったのですか。」
「少しは落ち着いたのですか。」
「はい、サキさんの声が少し震えていましたので……。」
「そうです、ちょっと昔を思い出してたです。」
・・・
深呼吸をした。
「あのレバナさん、一つだけサキに言いたいことがあるです。言っていいですか。」
「……はい。大丈夫だと思います。……教えてください。」
「……あ……私は……ソハギさんの……ことを……父のように慕っていました……。」
「そうですか。」「ごめんなさい。」
「なにがですか。」「今言ったのは少し嘘かもしれないです。」「それ以上は言わなくてもわかります。好きだったんですよね。サキさんはソハギのことを。」
「はい。」
「そうですか。ふふ、そうなんですね。私も好きです。ソハギさん。」
「そうですの。」
「はい。 それだけですか。」
「……続き、聞きたいですか。」
「聞かせてくれませんか。サキさん。」
「私がソハギさんにあったのは二十年前のことです。あの時はおっとうとおっかあが死んでしまって毎日森で泣いていたんです。……そんな時です。ソハギにあったのは、ソハギは私に優しくしてくれたです。
おっとうとおっかあが死んでからはじめてだったです。おっとうとおっかあが死んでしまって私は施設に入ったです。その施設に入ったということは能力者と言うことだったそうです。……そうだとソハギに聞いたです。施設に入った能力者の中でも私は能力が発動しない無完と施設で呼ばれたです。施設では施設長以外にいじめにあってたです。」
「……。」わたしはサキさんの淡々と言う言葉を聞き続けた。どこかわたしのことのように言われているようだった。
「施設は私にとって地獄だったです。施設の外の村も……です。ソハギは楽しかったです……。
ソハギは自分を夢の一部だと言ったです。
私の夢ですと……でも夢とは違っていたです。」
「どういうこと。サキさん。」
「もう、涙は止んだみたいねです。……ソハギは私を自殺させないために生まれた私の自制心を作る存在として甦ったのです。」
「え!……それってなんで……。」
「それは……。ソハギが前の存在を殺してしまったのです。」
「ソハギが殺した……どういうことサキさん!」
扉を開けて出てきたレバナ。その顔は怒りに満ちていた。
「ソハギは……私を殺したのです。」