第29話 クラノス編12 大木に会うクラノス
・・・
青い横線の扉を通ったクラノス。
扉を開け続けていった。
そして、最後の絶望と書かれた朝日が扉に描かれた扉を開いた。
・・・
ん、ふはぁー寝た。
なぜ外にいるんだ俺は……。
どうせ、ムラサキが邪魔だから追い出されたんだろうな……。はぁ、プニカに会ったのに何してるんだろうな。俺は……。いやいや。なに諦めてんだ。俺は。
「見ぃーつけた。」
ビクッ!なんだこの寒気は……。いつも受けてるアサナのとは少し違うぞ……。
なんだこれ。
ドッドッド!
ドン!
「クラノスさーーん!会いたかったよーー!」
・・・
え、誰!
なんで俺に抱きついてきたんだ……。どういうこと。なにさっきの寒気。
「クラノスさん、クラノスさん。あー、あなた様に会えるなんて私は幸運なんだ。ここにきて誠に良かったです。」
怖い、
ような。
嬉しい、ような。
『クラノス。いいのですか、そうですか。
そんな人間だったのですか、ガッカリです。』
うん、サキ様が言ってた。クラノスにはガッカリです。って誉められたり煽てられて喜んで信用したら。……よく言ってた……。
……。
なんだ。急に眠気が……。
だから言ったんです。油断したらダメです。
はいはい。そうだったそうだったそうだ。ここは知らない土地の危険地帯。そんなところで油断したのかフッハッハッハ。ダメだなこれじゃあ。変わらないと変わらないと……。変わらないといけないのか。
いいや、変わろう。少しでも生きるために。
剣でかするぐらいに自分を切って目を覚ました。そして、ちょっと怖い変なやつを昏倒させて逃げたクラノス。
だからって、洞窟の中に入ったけどなんだったんだ。
さっきの状況は……。
・・・
「がああ。がああ。」
自我がないみたいだけど大丈夫なのかこいつら。
そして、洞窟内もなんだこの状況。
「がががあああ!」
あ、ヤバい気づかれた。
逃げ……逃げるにしても曲がり角なんてない。
逃げ道なんてないのに逃げてなんになるんだ。
片付けて逃げた意味は探さないとだ。
ザシュ!ザシュ!シュン!ザシュ!
片付いた……、三十はちょっと多い。
「が、」は!もう次。
早く行こう。
「……。」
はぁはぁ。
できるだけ体力消耗を抑えたいのに遭遇率高すぎる。
なんとか逃げてきたけどここどこだ。全くわからない。
「……なんでまた会うのよ。」
「え、希樹姉さん。ここでなにしてるんだ。」
「それはこっちの台詞!なんであんたここにもいるの。なに追いかけてきてるの!」
「そんな器用なこと俺ができるわけないだろ!」
「……それもそうね。それでどうやってネネを無力化したの。」
怪物はムラサキ様が無力化してその後プニカに会ったことを希樹姉さんに話した。
「ならなんでここにいるのよ。」
「そんなことわかるわけなだろ!」
「……それもそうよね。それであの危険な集団はあなたの知り合いかなんかなんじゃなのよ。」
「知るわけないだろ。」
キーン!
なんだまた剣が重なったのか。
「え!巨大な蛇。え、どういうことだ。」
「クラノス、今まで黙ってたけどこれが私の本当の姿よ。あなたは私が拾った子なのよ。
あなたは私達の兄妹じゃないのよクラノス。
さぁ、いきなさいあなたにはいくべき場所があるんじゃないのよ。」
……サキ様、アカネに会いたいと思う。
でも、アカネっていう新たな目的ができたんだ。誰が逃げるか。
シルヴァスには悪いとは思ってないから。
巻物あるか。
うんある、よかった。見て確認。中身も変わってない。
「クラノス、それどうしたのよ。」
「ムラサキ様からもらった。」
「……そう、なるほどそういうことよね。私はもうここには必要ないのよ。バイバイクラノス。」
そう言って希樹姉さんは地面を潜って去っていった。
この状況どうしたらいいんだ……。
ガアアアっていうやつら多すぎるだろ。百人はいるぞ。……逃げよう。
いや、切っていかないと逃げるにしても無理だ。やってやるぜーー!
「行くぞ!」
・・・
なんとか逃げ切ったクラノス。
逃げた先は外のような空間で大木が一本生えていた。なんだここ。
「君どうかしたか。ん。なんということかのぅ。どういうことかのぅ。」
どういうことだ。
言っている事の意味がわからないんだけど。
「ここはなんなんだ。」
「ここは君。私のために作られた場所でな、だから住み心地がものすごくいい。いるだけでポカポカするいいところだろう。夜がないから時間がわからないのが難点なんだ。」
いやー、いいんだ。ここは。私の……。
これを三回も聞いた。
同じ話を三回も聞くのはつらい。
「同じ話を何度も何度もうるさいのよ!もう行くわよ。じゃあね、ドラゴナ。」
「あれ、希樹姉さん。ここでなにをしているんだ。」
「は!なんでクラノスがここにいるのよ!クラノス、本当は私をついて来てるんじゃない。」
そんなわけないだろ。
なにいってるんだ、希樹姉さん。
「希樹よ、もう帰るのか。」
「そうだよ、なにあんたからすればいいことじゃないのよ。 」
「その通りだろうなぁ、しかし、希樹よ。君には会いたかった人がいるんじゃないのか。そして、知りたいことがあるなら知るべきなのではないか。」
「どういうことだ、希樹姉さんはなにをしにここに来たんだ。」
「この場所は迷える者を連れてくる。迷い人の森と呼ばれるほどにここにはたくさんの木々があった。それが今では……ご覧の通り一本だけの悲しい姿へとなってしまったのだ!ーーー!」
こんなわけわからない大木は放っておこう。
「なぁ、希樹姉さん。こいつはこういう性格なのか。」
「歳をとりすぎたのよ。涙もろいし同じ話は何度もするしのただのおじさんよ。それで、クラノスはなにか悩みごとがあるんじゃないのよ。
ここは悩み事がある迷い人を守るための場所でもあるから、ここにいる理由を聞いてるのよ。」
「迷ってることはないぞ。」
「あるのよ。クラノスには迷ってることが。」
「迷い事……。」
迷い事なんて……ない。
・・・
「ムラサキになにかもらったって言ってなかったクラノス。」
「……この巻物のことだろ。これなんのためにシルヴィスは頼んだんだ。」
「さぁ、わかんないわよ。聞いて来てもいいわよ。」
「頼まれたのは俺だから自分で聞くからいい。」
「そう、それちょっと見せてもらってもいい。」
希樹姉さん。
「これ、カタナスじゃんないのよ。」
「カタナス……。なんだ、カタナスって。」
「カタナスっていうのは、英雄が作ったアイテムの一つのことよ。」
「英雄が作ったアイテム……。もしかして他にも英雄が作ったアイテムってあるんじゃないのか。」
「あるよ。一つがこの巻物とこの大木。後は異霊館よ。」
「それ以外にもどれぐらいあるんだ。」
「全部で30個ぐらいよ。アイテムって言っていいのかわからないものもあるのよ。英雄は変なやつばっかりだったけどそれを反映するようにいろんな物があって面白いのよ。」
「へー、それ全部集めたらどうなるんだろうな。」
「どうなるって破滅よ。」
「え、破滅。……そんななんでだ。壊れるってなんでだ!」
「なぜって強力な力は反発を生むのよ。それで膨大な力を生むのよ。それで破滅するのよ。」
「大きすぎる力は反発しあい破滅を生む。」
なるほど。
「そして、この巻物を使えばこの大木を封印じゃなくて崩壊することができるのよ。」
「大木を壊す意味なんてあるのか。」
「そうだぞ、破壊してよかったのか。希樹。
破壊しないでください。お願いします。消さないでください。」
いきなり変わったけどなぜ破壊されたくないんだ。破壊しない方がいいってことには賛成。
「そうだ、破壊したらダメだろ!」
「いいのよ、あの大木は生きている意味がないのよ。だから一度壊して直すのよ。」
「だからって弱体化させる意味があるのか。」
「だからこそよ。こいつが壊れてくれないと二つに分断できないのよ。」
「なら余計に弱体化していいのか。」
「だーーかーーらーー!壊すのよ!そのためには弱くしないと無理なのよ。あれは強すぎるのよ。」
「強大だから弱くして破壊するのか。」
「そうよ、それも人の力で壊さないといけないのよ。」
それは大変だ。
「だから頑張ってなんとかするのよ。」
その方法がわからなくて悩んでたらここに来なくてもよかったと思うのよ。
この大木へはどうやって行こうか悩んでいたのにやって来れたよよかった。
それにしてもクラノスはこいつの中入ろうとしてるけど正気なのかな、理解できないよ。まったくはぁ。
あ、戻って来た。
「あれの中どうなってるんだ!希樹姉さん。」
「そう思うなら見てきなよ。」
「そうだな、見てくる。行ってくる。」
……なんだよあれは。
「一緒に来ないんだ。」
「行くわけないじゃないのよ。」
そうか……。
ここが大木の中か……。部屋だな。
「それで入ってきたけどなにをするんだい。やっぱりソファに座るかい、それとも寝るかい、それともなんか食べるかい。」
こんなとこにある食べ物なんか体調悪くなりそうで食べたくないんだけど。
「どうですか居心地はいいでしょう。外もきれいでしょう。見てて楽しい。いいところなんだよ。」
あー、そうなんだー。
それじゃあ、出ていくとしよう。さいやくだ。
こんなにも居心地が悪いところがあるなんて驚いたな。
よし、出ていこう。
ガチャン!
「あれ、出れない。」
なら、剣で切って切って切って切りまくろう。
「ギャー、ギャー。痛い痛い。」
ちょっと切りたくなくなるけど出れそうになるまではきるとするか。
「ギャーギャー。」
ギャーギャー。うるさいけどなんなのよ。
ガチャ。
あ、開いた。
よかった。
「どうかしたのか。希樹姉さん。」
あれ、希樹姉さんいない。