第10話 サキ編④ 休息をいただきます。アサナが怖いけど
長すぎて気分が悪くなる地獄な階段を登り続けて、
やっと半分についた…………かな……というところ。
日がないため時間経過も曖昧な三人。
でも、なぜか二日だと思っているアサナ。
「二人ともまだ、2日で半分もいってないですよ。」
半分ってどこにあるの。ね。
と苦し紛れに言う二人。
後百は上がったところ。宿が見えない。と答えるアサナ。
「宿だー。やったー。布団だー。べとべとの肌もお風呂に入ればもう大丈夫だー。」
「やっとね、横になれるね。よかったね。」
という足取りは軽い二人。
教えてあげたくないけど休まないからね。
この先、まだまだあるからね。
そして、2日経った登りはじめてから4日が経過した五日目の朝。
「二人とも、まだ半分ですよ。早く上にいきますよ。」
えー、ヤダー。
ここにいるからね。
と言う二人。
「なんで上がらなくていいのになんで上に行きたがるの。アサナ。」
はぁ、誰がローザに会いたいと言ったのよ。
あなたですよね、サキ様。
「階段を上がらなくても、明日か明後日には降りてくるって言ってた。宿の受付の人が言ってた。」
「そうなのね、宿の女将さんだったかね、番頭さんだったかがねいってたよね。ローザは泊まりに来るって。」
来ないよ。階段でなんかねって思ってるのわけ。
そうかもしれないけど昇降機壊れてるのよ。今。
あの頭いたくなるほどのキンキラキンの昇降機。
そうです。アサナ。上がらなくていいのに上がりたくない。
「二人とも、ラプオビにいきたくないの。」
行きたくない。のね。
と言う二人。
そ、そう。
と二人が隅に逃げたのが久しぶりに動くのを見たということの驚きが大きくて反論できないアサナ。
「はぁ、わかったわよ。ちょっと待ってなさいよ。」
と引戸をを開けてどこかへ行こうとするアサナ。
えっ!と引戸を閉めた音と驚く声が聞こえた。
ナタレと見つめあい、首を傾げる二人。
引戸が開く音が聞こえて聞こえた方を見る二人。
えっ!と言うと二人は見つめあい、えーー!と叫びだす。
「こんにちは、そしてはじめまして。こんにちはでいいかわからないけどね。二人とも私が誰だかは知っているわよね。」
顔を合わせて客人を見て、首から取れるんじゃないのというぐらいに首を振るナタレとサキ。
「はい、知ってますのね。ローザさん。」
「知ってます、ローザ様。」
「はい、ローザです。ペルシアに、アサナの母に聞きました。ロドンは渡せませんのよ。」
「それは知ってるのね、私たちは危機を知らせにね来たのね。」
「そうでしたか。それでしたらもう終わりましたよね。ここにいるということはまだ何か用事があるのですか。」
ナタレは笑顔になった。笑顔だったが悪そうな笑みだ。
「ローザさん、あなた超能力者ですよね。なんですか。」
「それは彼に、聞いて。」
ーーバタン!
「眠ったな。じゃあな。ローザ。」
「バイバイ。セヴト。」
と手を振るローザ。
セヴト、あなたの超能力ってなんなのでしょうか。
「どうも、久しぶりだな。アサナ、ナタレ。」
「久しぶり。」
ふとなにか気づいたようにアサナを呼ぶサキ。
「カントレス王国って故郷なの。」
なにいってるのと言いたそうな二人。
そうよ。そうなのね。
というアサナとナタレ。
どういうこと。と首を傾げるサキ。
それを見て首を傾げるアサナとナタレ。
「カントレス王国で母さん達に勘当されてここに来たのよ。それでペルシアさんが私を育ててくれたのよ。」
なんでかね。
「カントレス王国でもういい大人だったんじゃないのアサナ。その後すぐにペルマム王国にいたんじゃないの。」
「大人だったけど、まだまだ未熟だったのよ。私は。だからペルシア母様に一人前になるために教えてもらったのよ。ペルシア様は師匠だけど一人前まで育ててくれた母さんなのよ。サキ様。」
「そうなんだ、変なことを聞いたね。ごめんねアサナ。」
ふふふ。そうなのね。アサナちゃんとペルシアちゃんはそういう関係だったのね。ふふふ。
笑える二人よね。本当に笑えるわね。
ンッフン!と咳払いをするセヴト。
あ!と三人は思い出してセヴトを見る。
怒ってない。セヴトと思う三人。
「セヴト、ごめんね忘れてたのね。それでね、セヴトはローザちゃんのね、超能力知ってるのよね。それがね、なになのか教えなさい!なのね。」
「本当にわからないか。ナタレ。俺を見ても。」
……あ!
あーね。そういうことね。
「蘇生かな、なのね。」
違うぞ。それはユリースだろ!と変なことをいうセヴト。
いやいやなのね。ユリースはね幽霊になる復活というものなのね。ユリースのはね、死んでる人やね、死にたい人をね魂だけの存在のね、幽霊にするのなのね。だからねある意味悪魔なのね。
とセヴトに言うナタレ。
……死んでる者の魂を幽霊として呼び出す……。
そう考えると同じだな。ユリースと。
「ローザのは……「ローザ様の超能力は蘇生じゃなくて、人形作りよ。ナタレちゃん。」……。」
人形作りね、なにそれなのね。
「人形作りですか。ちょっと違います。ローザの超能力は魔法人形を作ると言うものです。」
……どこが違うんだ。
「じゃなくて、記憶から人物を連れてこれるっていう超能力。みたいです。」
なんでわからないの。サキちゃん。
これ。と貼り紙を指差すサキ。
「そのようね。それもね、この空間もねローザの超能力みたいね。どういうことなのね。アサナちゃん。」
「はい、人形というのは言い過ぎね。ローザ様は薔薇という超能力で一つがこの空間。二つ目が……「俺たちか。」そう、記憶からコピーを作り出すのよ。超能力者だけをね。」
「セヴトは能力者なの。アサナ。」
サキの言葉を肯定するセヴトとアサナ。
「それでね、コピーものなのね。」
ナタレの言葉も肯定するセヴトとアサナ。とちょっと笑ったサキ。
「セヴトはどんなの。」
「俺か、俺は、夢世界。」
「眠るときの、それとも憧れの。どっちの夢世界。」
サキ様。それはどう考えても眠る方だと思いますよ。
それは、うーん、うーん。どっちだ。
悩んでるね。 ええ、悩んでるよ。
なんで。なんでなのね。
「両方だよ。その人の憧れなりたいと思う方の夢はそれになれるのだ。すごいだろう!」
「「「微妙。」よ。」なのね。」
がっくりするセヴト。
「それででないの。」
「出れない。」
とセヴト。
「…………。うん。はーー!ふざけないでよ。なんでよ。なんで出れないのよ。なんで、私以外なにも言わないのよ。」
アサナを見て、
いいかなってね思うからね。とナタレ。
この世界を楽しい楽園世界にしたいの。とサキ。
「そうですか。なら、楽園を作りましょう。」
と切り替わるアサナ。
まずなにを作りますかサキ様。と聞くほどに出れないことに興味がないようだ。
う、うん。と思ったけどサキ様に会わせているだけのようだ。
うーん。海を作るー。
というサキ様。
どうやって。と思う三人。
「そんなのでいいんですか。」
というアサナ。
そして、三時間後。
海ができている……なんで。
次の課題を聞くアサナ。
労力というものでもないようだ。
「うーんとね、あれ、あれがみたい。い、クラーケン。」
それはねいくらアサナちゃんでもね無理よね。よね。そうよね!
さすがに、無理だろ。海作ってって言われて三時間で作ったやつだけど無理だろ。
「クラーケンね。わかりました。サキ様。ちょっと待っていてください。」
というと机と椅子にスタンド照明がある場所に行きその椅子に座るアサナ。
ちょっと時間が経って戻ってきたアサナ。
そして、アサナが椅子に座ってから五時間。ないもおこらない。
ナタレちゃん。はいこれ。紅茶です。
あ、サキ様、おかわりです、どうぞ。
紅茶をもらうナタレとサキ。
そこにセヴトがたどり着いた。
「ここなんだよ。」
「ここですか。見た通りですよ。」
見た通りか。……島。だが、目の前には横に広い屋敷。後ろには川。その向こうには森が広がっている。……。なんだこれは。
「夕食の準備をしてきます。できましたらお呼びしに参ります。では私はここで失礼します。サキ様、ナタレ様、セヴト様。」
「……どういうことだ。これはーー!」
「うるさいわね。あなたね、もう一度川に頭冷やしに行きたいのね。わかったのね。」
といって、セヴトを軽々持ち上げ蹴飛ばして川に入れるナタレ。
スーと紅茶をすするナタレとサキ。
「まだ、わからん。」
今のこの状況への理解に苦しむセヴト。
日暮れになり紅茶セットやガーデンテーブルや椅子を片付けるナタレとサキ。
いい香りだなと思うセヴト。
「いいにおいだね。サキちゃん。」
「うん、ナタレちゃん。」
そこへアサナがやって来てご飯ですよサキ様、ナタレ様、セヴト様という。
目の前にはロングテーブルと6個の椅子が対に並び、そして1脚ずつ対に並ぶ。
合計14脚がある食堂に当たり前のようにサキ達は横一列に並び。一脚しかないところに邪魔なところに燭台が置かれている。
その座りかたで食事を食べる。四人。
そこに声がかかった。
「時間ですので戻しますよ。」
と言われると三人は光って消えていった。
「ありがとうございました。ローザ様。」
「はぁー楽しかったね。」
「羽伸ばせてよかったね、アサナ。」
「しっかり休息をいただけたようでなによりですわ。セヴトはどうしたのです。」
三人は顔を合わせて、置いてきたという。
どういうこと。と聞くローザ。
「椅子に横並びに座ってる人を連れ出してって言ったの覚えてまずか。ローザ様。」
覚えていますよ、その通りに呼び出すようにしましたから。それがどうしたのですか。と言われる。
わからないの。そうなの、ですか。