第32話 信じた先には
「・・・」
「アサナお姉様。最後までもう少しだと思うほど歩きましたがここカミールに地図盗まれたところですよね。」
「アーネの言うとおりだと思うよ。サキ様はどう思う。」
戻ってきちゃった。どうしようアーネが怒る。
「戻ってきたと思う。」
「サキ様。どうしますか。」
「どうしようね。」
「わからないのですね。」
「うん。」
ヴァーーーー!っと叫ぶ声が・・・
「アーネは頼りになるわけがない子をあんなに信頼してたんだね。」
「そう…みたいですよ。」
サキ様。
アーネはサキ様を信頼してたからこそあのウサギを信頼したのにまだここにいるからウサギにあたってもやもやを解消したいんですよ。…無理だと思いますけど。
「どうしようアサナ。」
「なにをですか。」
「アーネに謝ったほうがいいかな。」
「ウサギさんがかわいそうと思うのであればそうしたらいいと思いますよ。」
うん。決めた。・・・
・・・
「なにか言ったアサナ。」
「ウサギがかわいそうなら謝ったほうがいいですよって言ったのですよ。」
「そうだよね。」
帰りかたわかったかもしれない・・・その前にウサギさんかわいそうだからアーネに謝ってこよう。
・・・行きたくないなー。
「ごめんなさい!」
サキ様が謝ってくれた。なぜ謝ってくれたのかわからない。
嬉しいから気にしないけどね。
「ありがとうございます。サキ様。しかしなぜ謝ってくださったのですか。」
「怒ってるみたいだから…。
ウサギさんについて行こうって言ったし…あと!ウサギさんがかわいそうだったから。」
照れながらそういうサキ様は本当に可愛い。
「言い訳するならよそよそしくしないで堂々とすること!いい!」
強めの口調で言うと顔を伏せてシュンとなったかと思うとすぐに顔を上げて笑顔になっていた。
アーネ。大丈夫になったね。うん、ならここから出ようかな。
「サキ様、アーネ秘密の入り口があったのでそこからこの洞窟を出ましょう。」
「洞窟を出るのじゃなくてこの洞窟のお宝を取って帰りたいな。」
「なにも…。」
「無くはないよ。水晶がここにひとつあるから。そういえばだけどね。」
「そういえばそうでしたね。」
「サキ様がんばってください。」
「任せてこれだけなら誰にも負けないから。」
みんなより小さいけど…。
「サキ…ト…イウモノ…ハ…スバラシク…ブキヨウナノ…ダナ。」
「どういうことでしょうか。ウサギさん。」
笑って我を抱くアーネといったかはオーラのようなものに殺意が宿っておる。
怖い怖い。
ブルブルブルブル
「ウ……ウム…ワレノ……オ……オモイチガイノヨウダ…シカシ…ナゼ…オヌシラハ…アノオナゴ…ヲ………オイ!…アブナイデハナイカ!」
あんたがサキ様のことをバカにするからでしょうが。
「あんたがしゃべるとなんかムカつくのよ。」
「静かにアーネ、ウサギさん。」
「フッ、オコラレテル。」
「静かにして殴るわよ。」
「モウ…ナグラレテル。」
「あんたがよけいなこと言うからよ。」
あ!
静かにしないと平常心。平常心。
ふふっ、以外といいコンビかもしれないよ。アーネ。
サキ様も笑ってると思うよ。…………全く顔が変わらないからどう思ってるかわからないけどね。
「オイ、マダ……ナノ……カ。」
「静かにして。」
「ナゼ……シズカ……ニ……スルン…ダ…。」
「サキ様は未来が見れるの。でも集中しないとよく見えないのよ。」
えっと、最初に紫の宝石がついた扉。
その次に水色、オレンジ、青、黒、緑、黄、ピンク、赤、白の順番に進むってメモして、出発。
「ムリミ…タ…イ…ダゾ。」
「なに言ってるのよ。このウサギ。」
「そうですよ。なにを言ってるの。」
サキ様が無理なわけないじゃない。
「ねぇ二人とも帰るため行き方わかったから行こう。」
「さすがです!サキ様。」
「すごいです。サキ様。」
水晶が帰りかたを教えてくれたからすごいのは水晶だけどね。
まずは紫の宝石。
「赤い宝石がある扉じゃないのですか。サキ様。」
「紫だったみたい、ごめんなさい。」
あっているかわからないけどね。
「次はどこ行くのですかサキ様。」
「えっと。」
どこまで行ったか忘れちゃった。
「前の扉の宝石はどこなの。」
「ピンクダガ。」
「違うよ。ウサギ。赤だよ。」
「私はウサギさんに賛成。」
「なんでですか。アサナお姉様。」
「ウサギさんにしたがって…………アーネにしたがって白に行こう。」
あれ、最初に戻っちゃった。
「またまた戻って来ましたよ。」
「もう一回だけお願い。」
「いいですよ。サキ様。」
えっと、ムラミズオレアクミキモアシ。
「紫の宝石がある扉を進む。」
「次は。」
「水を進む。」
「本当に水を進むのですか。サキ様。」
「水色を進みたいの。だから水の中を進めばいいんじゃないの。」
「水色でしたらありますよ水があるところから3つ目の扉に。」
えっと、1、2、3。……本当にあるね。よし進もう。
「ダイ…ジョウ…ブ…ナノ…カ。」
「ここが水色の宝石がある扉。」
「そうですよ。サキ様。次はなに色ですか。」
えっと、ムラミズオレアクミキモアシ。だからえっと、ムラミズオレだよね。えっとムラミズは終わったから次はオレだからオレが付く色って何色。
「オレ……色。オレがつく色だよ。」
「オレ色。何色ですかサキ様。」
「アサナお姉様。オレンジ色ですよ。」
「あーオレンジね。」
「オレンジオレンジー……ないですよサキ様。」
「え!嘘なんで。」
えっとムラミズオレアクミキモアシ。だから……あれ!洞窟の中に入って最初に進んだのが紫、次が水色次がオレンジ、その次が赤じゃなくて青、その次が黒、次が緑、その次が桃色じゃなくて薄い方のピンク、その次が赤まで進んであの場所だったんだ。ってことは次は白に行けば…………あの場所に白はなかったけど……う~ん。
考える前にムラミズオレアクミキモアシでオレンジまで行ったからこっちの続きをしよう。
でもオレンジ色の宝石がないんだった。どうしよう。うん。戻ろう。
「えっと次は・・・。」
「アカダ。」
「オレンジだから。」
「オレンジの扉はありませんよ。サキ様。」
「う~ん。なら一回戻ってよく考えよう。」
「はい。サキ様。疲れましたのでなにか食べるか飲みませんか。」
「食べ物何てないよ。」
「なにを言っているのですか。サキ様。ここに美味しそうな生き物がいるじゃないですか。」
「ウサギさんはやめたほうがいいと思いますよ。」
「ウサギさんよりそこにいる猪のほうが美味しいと思うよ。」
えっ!猪!
「猪ですか。いいですね。サキ……様。」
逃げよう。そうですねサキ様逃げましょう。目でそうアサナとアイコンタクトする。
「サキ様やっぱり猪なんていませんよ。このウサギに……。」
気配を……影が見えたから後ろ向く。
アーネが巨大猪が五メートル後ろにいるのを見て口をあんぐり開けて呆然としてる。
「アーネ!」
アサナはアーネの名前を叫ぶとアーネに向かっていった。猪と当たりそうになって怖くて目をつむった。
「アーネ。大丈夫そうね。」
そういうとアサナは目を閉じた。
アサナ。
「大丈夫ですよ。サキ様。アサナお姉様は疲れて眠ってしまっただけですよ。」
アーネの言葉を聞くと眠気が襲って来たのでそのまま意識を手放した。
目が覚めてると知らない場所に……。