第3話 旅立ち
少し長いですが、お願いします。
二人が起き上がったのはサキの部屋だった。
「なんでいるの!」
ムカッと聞こえてくるような声でサキは言った。
「サキ様と寝たかったから」
「あれーサキ様がいるのは分かるけど、二人がなんでここにいるのね。」
「「!」」
とサキとアサナともう一人が石のように固まってしまった。
最初に帰ってきたのはサキだった。
「え!えーーとナタレさんですよね」
「あっあのーナタレさん」
「あっ!私か、ごめんサキ。い、いやサキ様。」
「知ってるの、サキ様?」
「え!アサナ知らないのナタレちゃんの…えっと、娘さんのサフランさんです。」
「ん!サフランさんサフランってもしかしてウィロ・サフランじゃない…サキ様。」
「「!」」
「サキ!ちょっと」
と言って手招きしてきた。
サキはサフランに近づき、サフランさんごめんなさいと言いながら手を合わせて謝っている。
「サフラン!こっちに来なさい。いや、サキ様にも言いたいことがあるからそこで待ってて。」
怒こられると思って待っているとアサナが近づいて来て、我が子を可愛がるように頭を撫でられた。
え!何で!と二人は顔で疑問をぶつけた。
「二人ともおはよう!」
と満面の笑みでアサナが言った
「おはようございます。アサナ隊…いえ、アサナ様。」
「おはよーアサナ。」
「おはよ~ございまーーす。」
「おはよクラノスのバカ」
「アサナ様、クラノスのバカではなくクラバカでよろしいと思います。」
「いいえサフラン、バカンスでいいですこんな変態」
「確かにサキ様の言う通りよ!クラヘン貴方早く自分の部屋に行きなさい!」
「ここはーー私の…部屋に違いないですけどーアサナ………ん!……ん!…アサナ!何でここに私は寝ているんだーー!」
「簡単よクラヘン。貴方がこの部屋に自分の意思で入ってきたのよ。ね!サフラン。」
「はい!その通りですね!アサナ様。クラノスさんはこの部屋の近くにやって来てこの部屋に入って来たのですね」
「その設定もういいでしょ。サフラン。」
「分かりました。アサナ様。」
「それでなぜサフラン、あなたがここにいるの」
「それはナタレ様が…その…そうしろって。」
「ナタレちゃんがホントに」
「はい!アサナ様。アサナ様とクラノスさんの邪魔にならないようサキちゃんを連れて来てと頼まれました。」
「ん~。それはほんとーーーにナタレちゃんが言ったのサフラン。」
「はっ…はい、いっ…いえ。ナタレ様が言ったのはアサナ様とクラノスはまだラプオビに行く道を考えているだろうからサキちゃんだけに話があるから連れてきてと頼まれました。」
とサフランはアサナの威圧感に圧倒され自分が少し盛ったことをばれてしまった
「へー、サフランってナタレちゃんと違ってそんなにかなーと思ったけどやっぱりナタレちゃんの娘ってことね!でもサフランってたしかこ……」
「はい!孤児ですアサナ様。教会に拾われたのそれとも……」
「ナタレちゃんに拾ってもらったんだよアサナ。」
「そうだったのね。教会に捨てられたタイプじゃなくてよかったよ。」
「ナタレ殿は優しいから戦争とかで親を亡くした子をたくさん拾ってきたり、教会から預かってきて育ててるって聞きました。」
「クラノス、話に入れるような立場だった。」
「アサナ、怖いよ。」
「誰が怖いって!」
「え!ん!アサナ、じゃあなんで………」
「今言うこと、クラノス!」
「それでは失礼しましたサキ様。アサナ殿。」
とクラノスは部屋の扉に手をかけ言った。
「ええじゃあまたクラノス。」
「クラノスさん自室に戻るのですか。」
「当たり前でしょここはサキ様の部屋ですよ。」
「そうでしたね。アサナ様。」
と言うサフランの言葉を最後に聞いたクラノスは扉を閉め部屋を後にした。
「アサナ、さっきクラノス何て言おうとしてたの。」
「サフランがなぜナタレの娘なんだっていようとしたのよ。」
「そうなんだ…。サフランさんなにもって来たの?」
「紅茶と朝ごはんのパンとハムエッグです。サキ様。」
「わー私の好きなものだ。」
と子供に戻ったかのようなサキは言った。
「朝は軽いものがいいからハムをどかしてっといただきます!」
と言いながらハムをサフランの皿に入れている
「アサナ様……いえ…何でもないです。」
「どうしたのサフランさん。」
「そうよサフランどうしたの。」
「サキこのハム食べる?」
「自分の分だけで十分だからいらない。」
「ナタレちゃんってたくさんの子供と一緒にいるけど大丈夫なのサフラン。」
「大丈夫ですよ。アサナ様。子供に慕われていますから、サキさんとアサナ様のように」
「今思ったのだけどなんでサフランはサキ様がさん付けで私が様付けなの。両方じゃないの。」
「サキさんは友達なのでさん付けですがアサナ様は師匠なので様付けがいいと思ってますので。」
「「「ごちそうさま!!」」」
「そう言うこと、じゃあね、サフラン。」
「サフランちゃん、サカイルとパラレって人達、どこにいるかわかる。」
「サカイルさんは釣りしてると思うけど、パラレはどこにいるかわからないです。アサナ様。」
「もう終わったのか。」
「終わりましたがどうかしたのですかクラノス。」
「アサナ殿、そんな恐い顔しないで聞いて欲しい」
「恐い顔してる?ただ笑ってるだけよ。ね、サキ様。」
「ん~、ちょっぴり怖いと思うよアサナ。」
「そう、サキ様に言われるとちょっとショックだけどそうなのね。それでなにクラ、じゃなくてクラヘン。」
「クラヘンじゃなくてクラノスだアサナ、さっきのは私が悪かった。そんな事よりサカイルとパラレだがサカイルは近くで釣りをしていたがパラレは図書館で見かけた。アサナ殿。」
「そんな事ってなによ、クラヘン…」
「ありがとう。クラヘン。」
「サキ様まで…」
と少し落ち込んでいるクラノスをほっといてサキとアサナ、そしてサフランは部屋を立ち去った。
「え~と、クラヘンが言うには図書館に行くか釣り場に行くかですが、どうしますか。サキ様。」
「えっ!サフランがナタレちゃんがようがあるから来てって言ってたって言ってなかった?」
アサナはポカンとした顔をしている
「アサナ?ホントに。」
「サフランが言ってたね。ほんとに。えーと、あの時怒ってたから少しそっちに気持ちが移ってたから忘れてたよ。」
「サキ様ナタレちゃんがどこにいるかわる?」
「分からないけど、よく行くところがあるからそこにいるよ。」
とサキが来たのは教会で、ここで大会でもやるのかなと思うほどの大きさあった。
「……?……」
「ここですかサキ様。」
「ナタレちゃんだから。」
と言ってサキは呼び鈴を押した。
インターホンから聞こえたのは男の人の声だった。
「ここになにかご用ですか。」
と出てきたのは白髪の髪でスラッとした体型で優しそうな赤い瞳でこっちを見る美青年と言った見た目の人だった。
「ナタレさんはいらっしゃいますかハクタクさん。」
「ん!サキ様でしたか少々お待ちください。今呼んで参ります。」
「さっきの人がいつもナタレちゃんが言っている人サキ様。」
「そうです、アサナ。変ですよねえーあんなかたっっくるしーーー人。」
「そうかな~…」
「えっ!どういうことですか。」
「あ!クラノスは知らないのか。ってえっ!なんでクラノスがここにいるの」
「サキ様、クラノスはどこ行くのか私が聞いたときに追い付いたぐらいだったのですよ。」「クラノス、さっきの青年はナタレの夫のハクタクさんよ。」
「えっ!えーーーーー !さっ…さっきの人がナタレの旦那!嘘だろあんな良さそうな人が…」
とどううことだなんでナタレと夫婦になったんだと言ったクラノスとその通りホント不思議よねといった顔をしていたアサナ。
「ハハハハハーーーー。」
と笑っているのはサキとナタレだった。
「「そんなの簡単だね。(です。)」」
「「だって子供が大好きだから ね!(です!)」」
とサキとナタレが言った。
「「全然意味がわからないんですがどういうことですか。」」
とクラノスとアサナが言った。
「ここは教会であの人は神父で私はシスターなんだよね。でも、私昔は結構有名な賢者だったんだけどそのようすじゃ知らないわよね。」
「そんな賢者がなんで神父と夫婦になったの?」
「そんな事よりだなアサナ。なんでナタレが賢者だったなんてことになるんだ!」
「クラノス。それは本当よ。しかもただの賢者じゃなくて大賢者だけどね。」
とアサナが言ったがそれをクラノスは理解できずあんぐりと口を開けたまぼーとしている。
「きっと信じられなかったのよ。無視して大丈夫よ。ナタレ、サキ様。」
「アサナの言っていた私と神父がなぜ夫婦になったのかって質問の答えだけどね、それはね、私が教会に捨てられた子を引きとろと思ってここに来て彼に一目惚れしたからね、こうなったって話ね。」
「へーそうなんだ。」
とアサナはイケメンに会いに来たのかそれともこどもたちのことが心配だったのか、ナタレが教会に来た理由がよく分からずそんな適当な返しをした。
「アサナどうしたの?」
とサキに言われハッとしたアサナ。でもハッとしたのはアサナだけではなかった。
クラノスがどこを見ているのか分からず、ぼーと突っ立って居ただけなのになにか言ったからだ。
「クラノスは無視して、ナタレ。サキ様にようがあるって言われたけど。」
「そうだったね、こっちに来て」
とナタレに言われ、教会に入っていく入ってすぐ右に曲がり、そのまま進んでいき左に曲がると階段があり、階段を降りた。そこは教会より少し大きなぐらいの空間で爆撃機なんじゃないかと思うほどの航空機とオフロードカーがあり、その辺りから2人の人影がいた。
「あの人たちは?」
「あの2人だったら三人とも分かると思いますけどね。」
「えっ!もしかしてあの2人って…」
ピカーンとこちらを向いたオフロードカーのライトがひかり、2人がこちらに来て敬礼した。
「私は《わたくは》サカイル・マンクス大佐であります。サキ様、アサナ様、クラノス殿、宜しくお願い致します。」
「私は《わたくしは》パラレ・ナタレ、中尉であります。サキ様、アサナ様、クラノス様、同行させていただき誠に感謝いたします。」
二人は敬礼した。
クラノスが先に敬礼を解いた アサナは敬礼の姿を解き、大丈夫ですよね、この船襲われないよねと言った。
アサナそれ今じゃないとだめとくいくいとアサナの袖を引きながらサキが言った。
「パラレさん、サカイルさんよろしくお願いします。」
と言いながら膝を小さく曲げた。
「サキ様、お久しぶりです。 」と言いパラレは一礼した。
「久しぶり、パラレさん」とサキは小声で言った。
「ごめんなさい。私のせいで………。」と言いパラレは俯つ向いた。
「なに俯いてるのよ、大丈夫に決まってるでしょ。ねぇーサキ様。」
「えっ!えーそうです。でも……。」
「ごめんなさい。サキ様・・・私ってばすいません。」
「もうさすがに帰ってきたよね、クラノス。」
「えっ!」
「何の話ナタレちゃん」
と咄嗟に言われ驚いているとナタレが、あれよよく見てね、アサナちゃんと頭を振ってあれあれと言われ、そっちの方を見るとぶっとふきだしそうになった、なぜならあんぐりと口開けたままクラノスが突っ立っていたからだ。笑いそうになるのを我慢してクラノスを見ていると笑い声が聞こえた。ビクッして回りを見渡すとサキ様が笑っていた。それを見たアサナも笑い、その笑いの和は広がりあっという間にクラノス以外の全員が笑っていた。
そしてクラノスが帰ってくると同時に笑い声も止んだ。
「ナタレ殿これはどういうことでしょうか。」
「これとは何のことでしょうね。クラノスさんね。」
「なぜこのような場所があるのでしょう。ここは神聖なる場であるはずです。ちがいませんか。」
「はい、違いますクラノス様。ここは王国が所有する倉庫でもあるのですから貴方の言った聖なる場とは正しいですが建前だけということです。」
とパラレが言った。
「アサナ、どうやってここからラプオビに行くの。」
とくいくいとアサナの袖を引きサキが言った。
「サキ様、えっと、……どうやって行くのナタレ。」
「そこに飛行機あるよね、あれに乗ったら外に出る滑走路みたいな出口を出すのねそれで行くって事ね。これで分かった、ね!。サキちゃん。」
「うん、分かりましたです。」
と本当にこれで行くんだと言うようにサキはアサナの方を向き言った。
「そんなことよりなぜここがこのような施設になっていることをだな………」
「クラノス様、もういいではないですか。」
とサカイルが口を開けた。
「そうよ、クラノス。もうその話はやめて、お願い。」
とアサナが顔を附せながら言った。
「分かりました。もうそのことはいいです 。ですからもう出航しましょう。サカイル殿、パラレ殿。」
「はっ、はい…そうですね。もう話もこれくらいにして出航するとしましょう」
「じゃあね、サキちゃん、アサナさん。」
「なんでさんづけなのナタレちゃん。」
とアサナが言うとナタレは笑っただけだった。
サキが、またねナタレちゃん。と言い飛行機に向かって歩いていくのを見て、アサナはナタレに、
「じゃあね、ナタレ。また帰ってきたら、ちゃんづけにしてよ。」
と念を押してサキの後をアサナが追っていった。アサナはナタレに不信感が少しあったが気にしないことにした。