第28話 不思議
「どうかしましたサキ様。」
「扉を開けて少しの間夢を見てたと思うんだけどどんな夢だったかわからないの。」
「あっ、それ私もです。サキ様。」
「そう…なの…ですか…ハァハァ、サキ様、アーネ。」
「「お姉様。(アサナ。)どうしたの。」」
「なんか疲れて、ハァハァ。休んでからでいいですか。」
「大丈夫ですよ。お姉様。」
「先に進みたいけど、アサナが体調悪そうなんだから休むね。」
「そうですか。なら、よかったです。」
「暇だねー。」
「・・・。」
「二人とも寝ちゃった。本当にそっくり。」
「ふぁーあ、寝よう、おやすみー。」
「おやすみなさい、サキさん。」
なにかいるような感じがして辺りを見渡す。
20㎝ぐらいの小人がいた。
ニッと笑うとだんだん大きくなっていった。
「美味しそうな人間。」
「な~んてね。どう。びっくりした。」
「ええ、したわよ。」
「そう、ならよかった。」
「うわっ!ビックリした。いるならいるって言ってよね。マラティさん。」
言ったよ。舞王様。
「ラティって呼んでよ。」
なんでよ。マラティでいいじゃない。
「いいでしょ。どちらでも。」
「ラティの方がいい。」
「じゃ、その、マラ……ラティ。」
舞王様。恥ずかしそうにして面白いな。
「マラティでいいでしょ。たまに言われるから嬉しいいんだから。」
「そう言われるとそうね。」
「それでなんのよう。」
「サキちゃん殺しちゃった。ごめんなさい。」
「ふざけすぎ。もちろん無事よね。」
「ええ、無事です。」
「ならいいよ。でもやりすぎは絶対ダメだからね。」
ふざけないでよ。マラティ。それもう、アウトだからね。絶対怒られることだからね。もうやめてよ。
「はーい、ごめんなさい。」
「もういいよ。どこ行ったの。」
「その扉。」
「あー、この扉。それでなんの意味があるの。」
「えっ、舞王様わからないんでしたっけ。」
「そうよ。なに、おかしいの。」
「いや、勘違いじゃなくて舞王様は忘れちゃったのね。」
「そういうことかもね。いつのはなし。」
「12年くらい前。」
「そんなに前なら覚えがないよ。二、三年前だと思ったんだけど違った。」
「その時はこの扉の話してないからよ。」
「そう、ならそうね。」
そうかな。
前来たときはえっと、ここがどこか聞いて帰ったんだ。
なら、聞いてないね。
「えっと、扉ってどういう意味があるの。ラティ。」
「ラティって呼んでくれた。」
殺意のこもった目でこちらを見る舞王様。
「ごめんなさい。扉はここで起きたことは全部忘れるのと、ここじゃない世界に行く二つ。」
「サキさんたちは二つ目が目的だけど、どうやってここにくるの。」
「懐中時計を全部集めるとある所の地図になるからそれを使ってこれる。」
「へーそうなんだ。なら、懐中時計探さないとね。」
「ちょっと違って、かいじんけんってあるでしょ。」
「会心剣でしょ。」
「そうそう、かいしんけん。その剣がないと地図が完成しないんだって。」
「誰がそれ言ってたの。」
「もちろん。舞王様…じゃなくて、アキリン様です。」
「そうなんだ。そういえばなんだけど、サキさんたちってあとなんこなの。」
「あと、後三個。」
「そうなんだ。じゃあね。マラティ。」
「驚かせてしまってすみませんでした。」
「いいわよ。もうそんなこと。」
「・・・。」
「どういたしました。サキ様。」
「えっ!ちょっと考え事。」
「そうでしたか。」
「舞王さんのお城に来たけど本当に立派ですね。」
「ええ、まったくです。」
「それで、なんで2回目もここにいるのですかね。」
俺からしたら三回目だがな。
「じゃあ、頑張ってな。」
「はい。トカゲさん。」
弱気だねぇ。
まあ、しゃねえけど、進んでるはずなのに一歩も進んだ気がしねえよな。
そういうところだから、舞王様は地下から上がるのが普通になってるけどな。
その入り口も知ってるけどわざわざ教える仲でもねぇしな。
「えっとこの階段を曲がってここを右に行って・・・。」
「「「キャーー!!!」」」
「ちょっと待っ・・・。」
「行っちゃた。」
三人は知らない。今見た人がこのいつ終わるかわからない地獄を終わらせてくれる人であることを。
「ハァハァ、怖かった。」
「なにあの顔。」
「本当にすごい顔だよ。」
「すぎょいわ。目が普通の人の二倍あって、口は腫れてますよって言いたくなるほど大きかったし、髪なんて100本あるかないかぐらいしかなかったよ。」
「そんなに酷くない。」
「アサナに賛成。」
「アサナお姉様に一票。」
「ちょっと、聞いてもいい、カミール。」
「どうぞ、サキ様。」
「あれ誰。」
「誰ってだれですか。サキ様。」
「なんの話ですか。サキ様。」
「目が二倍あって片方が赤くて右に向いてて、口が腫れてますよっていいたいほど大きい、髪が100本ほどの人のことですよね。サキさん。」
「そうだったかな。170㎝の優男じゃなかったでしたか。」
「両方だよ。どうも、雪哉って人知ってますか。」
「聞いたことだけなら。」
「そうですか。先程見たという優男ですが手放さない方がいいですよ。サキお嬢様。では、失礼します。」
雪哉を探している人はどうやってかはわからないけど消えるように帰っていった。
▽
ピッ・・ピッ・・ピッ
「この人だれなんですかね。」
「まったくよ。早く起きてほしいわ。この病院ただでさえ小さくてベット数も少ないっていうのに。」
「先輩もし・・・。」
「芽依さんが来たらって言うんでしょ。大丈夫よ今は…。」
「今は彼氏といるからって言いたいのよね。美沙ちゃん。」
「!」
「すいませんでした。芽依さん。」
「いいわよ。そんなに加奈ちゃんのこと睨み付けさえしなきゃね。」
うっ!
「はーい。ごめん、加奈。」
「珍しいですね、美沙先輩が謝るなんて。」
「加奈より謝る機会多いと思うわよ。」
「そうなんだけどね。気持ち的にね。」
「そう。」
▽
「なんだったの。あれ。」
「さぁね。知らないわよ。」
「それより、優男を手放すなって意味わかんないこといってたよ。」
「うん、意味わかんない。あの人は手放すわよ。」
「逃げるなってことだと思いますよ。サキさん。」
「でもね。」
「そうですよね。手放すなとだけ言われても意味わからないですよね。サキさん。」
「そうなのよ。・・・。」
後ろを向く。
「「「ギャーー!」」」
「皆さんお待ちください。話をお聞きください。」
ハァハァ
「あなた、名前は。」
「名前ですか。識別するためにミホと呼ばれています。」
「本当に識別。」
「はいそうです、いえ、違います。ただ可愛かった子の名前が実歩という名前でしたのでその名前を借りました。」
「そう…。あなたはなんなの。」
「簡単です。宝石です。」
「宝石!宝石ー!」
「はい。宝石です。」
「!…宝玉の涙まさか。」
「はい、そうです。あの水晶は写し鏡というものです。」
「あなたの写し鏡ってこと。」
「はい。」
「懐中時計を探してるの。どこにあるの。」
「あの~~サキさん。」
「なに、カミール。」
「アサナ様とアーネさんはどうしたのですか。」
「この人の催眠術にかかったのよ。違う。」
「はい。そうですサキ様。」
「ふぅー、あなたが雪哉さん。」
「違います。ミホと名乗りましたよね。サキ様。」
「そうだったわね。雪哉はそもそも男の名前だそうだしね。」
「そうです。サキ様。」
「それでなんだけど、懐中時計のありかとか描いてある本を知らない。真っ白で紫色の字で解きすでに遅しってタイトル欄みたいなところに書いてある本なの。」
「なにそのタイトル。」
「そうよね。」
「解いたときには全てが終わってるってことだろ。」
「なにそれ。」
「例えば、この世界が終わったとします。すると、全ての糸が繋がり世界は世界が危機に陥ったときに戻るのです。」
「・・・・・・。」
「全く意味不明。」「わからない。」
「ごめん。ちょっと間違えちゃったから言い直しますね。世界が終わるとその世界の終わりを無くす道は見える。もう終わりが解ってるから遅いということ。」
そこじゃない。まぁいいけどね。
「なんとなくわかったわ。」
「う~ん。ちょっとよくわからない。」
「世界が終わらないと終わることすらわからないってことよ。」
「そうなんだ。」
「はい、合ってます。サキ様。」
「本当は少し違うってアキリン様が言ったと思いますよ。サキ様、カミール、えっと…。」
ミホですと女性が言った。
「勘違いですよ。それは。」
「なにが……どこがですか。」
「なんと言えばいいでしょうか。」
「どういうことでしょう。」
う~んとミホと名乗った女性は悩んでいる。
「たぶんだけど終わったら終わりだから、終わりかけで解き方が見えるってことなんじゃないって思ったけど。……違うのかな。」
「そうです。サキ様、あなたが言った本はある一つの時代や種族、そして、人が終わりを迎えそうになった時になければ一つだけ願いが叶うというものです。」
可能性は極めて低いですが。
低すぎて本がどこにあってその本に書かれた文字をどのように読むか忘れるほどに…。
「見たいみたい。見たいーー。ねぇ、アサナアサナ。見たい見たい。」
「ですが、サキ様。そんな危機には陥ってないのに見つかるわけないですよ。」
「そうです。サキ様。」
「そうです。さきさん。ここはどうしてもひかないといけないところです。」
「カミール。」
「はい、なんです。サキさん。」
「用は済んだよね。」
「いえ、済んでませんよ。」
「どんなようでここにいるの。あと、いつ戻ってきたの。」
「ずっといましたよ。サキさん。」
「そう……なの。カミールも解きすでに遅しって本 みたいでしょ!」
いた…絶対いなかったでしょ。
「いえ、全く。」
なんでよ。みたいじゃないの。