第46話 キルドが消えて三年④食事と後悔と十年後
キルドが消えてから十年
・・・
コンコンコン、ノックする音が聞こえてアサナが部屋の中に入ってくる。
「失礼します。サキ様、起きてましたか。」
申し訳なさそうな顔をしたアサナが部屋に入って来るとツサキクがムッと扉を睨む。
サキならもう起きてるわよとツサキクは思った。
「ちょっとアサナさん。返事してないのに入ってくるものじゃありませんよ、失礼ですよ。」
「すみません、ツサキク様。朝食はどうしますか。」
アサナに睨みつけていたツサキクだったがサキに朝食をどうするか聞くために笑顔を向ける。
「どうするサキ、サキが決めていいよ。」
サキとアサナはツサキクの変貌に驚くがなにも言わない。
「なんの話です、ママ。」
「朝食なににするかって話よ。」
「ママのごはんか城の朝食か悩むです。」
ママのごはん食べたいです、でもお城のごはんも食べたいです。どうしようです、迷うです。
「迷ってるなら食堂へ行きながら決めましょう。サキ様、ツサキク様。」
「サキ迷ってるなら食堂行こうよ。」
「もう少し考えたいです、食堂行きながら考えるです。」
食堂に行き席に着つサキとツサキク、まだどうするか決められずサキは迷う。
「ママと城のコック、二人のごはん食べたいです。」
「朝なのにそんなに食べられるのサキ。」
「それは、わからないです。」
アサナはサキに食べられないなら手伝えばシェフ二人分の朝食を食べられると思う。
「残ったら変わりに食べますよサキ。」
「それはちょっとキモイわよ、アサナ。」
「すみません、常識ががありませんでした。」
サキのために言った台詞だったのに謝らなければならない状態になって後悔するアサナ。
そんな重ぐるしい空気に食堂がなってしまいお腹いっぱいになってしまうサキ。
「私達もツサキク様のお食事をいただきたいのでこの城のコックサフランと料理対決などしていただいてもよろしいでしょうか。」
「それいい案です。やってほしいです。」
アサナに祈るほどうれしくなる。
「サキがそれでいいならやりますよ。」
ツサキクはアサナの提案にサキがノリノリだからノルかることにする。
「サフランはどうしますか。」
「朝食作ってリアクションしてくれればそれだけでうれしいのでそんなことしていただくのはおこがましい限りですがおねがいします。」
ツサキクも賛成してくれてうれしく思うアサナ。
「それで冷蔵庫にあるので作りますか、それとも買い物に行って買って来たもので作りますか。」
早速提案してくれるサフランに驚きがありながらも納得しながらもサキの反応を期待するアサナ。
「作ってほしいです。」
「そうですかサキ様。ツサキク様一つ頼みがあるので別室まで一緒に来ていただいてよろしいでしょうか。」
ツサキクはサキと一緒にいられる時間が短くなるためアサナを睨みつけるがお願いされて仕方ないと思いアサナについて行く。
「どうしたのよ。」
「サキ様ってもう少しで誕生日ですよね、なにかプレゼントしましょう。」
「それいいと思うけど、それでいいのかサキに聞かないとダメよ。」
「わかりましたサキ様に聞きましょうツサキク様。」
「ええ、サキに聞くわよ。」
しかし、アサナはプレゼントをサキに聞いていいものか考える。
サキの誕生日でどんなプレゼントを選べば喜んでくれるか考えて内心ウキウキなツサキク。
食堂で二人きりにされたサフランとサキ、サキはなにをどうすればいいかわからず頭を曇らせる。
「気になりますか、サキさん。」
なにも思わないです、それがサキの悲しみだった。
「気にしないことにしてるです。あの二人がなにか企んでいる時はうれしくて笑顔になる時と決まってるです。」
「そうだといいですね、サキさん。」
ムッと頬を膨らませるサキ。
親子でそんな所似なくていいんじゃないのよとツサキクとアサナは思いながら扉を開く。
サキとサフランにとっては救世主のようでうれしかった。
「買い物に行って買って来たもので勝負がいいんじゃないってツサキク様と話してなったのだけどどう思うサフラン。」
「それはサキさんの話なのでサキさんに聞いてください。」
そうだけどツサキクに誕生日のプレゼントなににするかサキに問いただされる前に買い物に行きたいのよ。
ツサキクはアサナの言葉を聞いてサプライズがいいかも知れないのよと思う。
「待ってるです、ママ。」
サキはそれでいいとは思うが悲しそうに了承する。
「決まりましたが城内の人達に作る食事のチェックが料理長としてあるのでアサナさん買って来てくれませんか。」
サフランは自分は買いにいけないのでアサナに買い物を頼む。
アサナは願ってもない言葉にうれしかった。
「わかったよ、買って来るわよ。何買ってくればいい。」
「決まってますアサナさん、ツサキクさんと同じものです。」
自分が作りたいものじゃなくていいのとサフランにアサナは思うがツサキクが妙なことをしないか監視しないといけないと思い決断を早めることにする。
「それでいいの、わかりやすいからいいけどそれでサフランはいいの。」
「ええ、お願いしますアサナさん。」
「どうします、ツサキクさん。」
「私に聞かないで今考えてるのよ。」
「わかりました。」
アサナはなにを買うかツサキクに聞こうと思う。
ツサキクも考えている途中ならサフランが作る料理のお題を考えてくれた方が良かったんじゃないのよとアサナは思う。
・・・
市場に来たツサキクとアサナ。
「全然、料理対決ってなにを作ればいいかわからないのよ。」
「私はそもそも料理がからきしなのでお題なんてわかりません。」
なんでアサナが来たのよ。とツサキクは思う。
市場の食材を眺めながら歩くアサナとツサキクの二人でお題は決まらず日が昇り昼になってしまう。
結局二人は屋台で串に刺さった焼き鳥を食べる。
なにをしにここに来たのか疑問に思うツサキク。
料理対決のお題を考えながらサキの誕生日プレゼントを買うことも思い出して時間を節約するためレストランに向かう。
「なにかレストランで食べますかツサキク様。」
「料理対決のお題を決めに来たのよ、オムライスってどう思う。アサナ。」
「サキはオムライス好きなのツサキクさん。」
ツサキクはアサナにサキが好きか聞かれてサキが好きな料理をお題にすればよかったと後悔するツサキク。
「サキのために作るからサキの好きな料理をお題にすればよかったのにこんなに時間かかった。」
「ハハハ。」
アサナはツサキクの後悔する姿に笑う。
サキが好きなのはオムライスだからそれでよかったのにと思ってアサナとツサキクは材料を買いに向かう。
ついでのサキの誕生日プレゼントをどうするか考える二人。
料理対決のお題や食材を選んだりサキの誕生日プレゼントを考えていて夕方になっていたアサナとツサキクの二人は長くなり過ぎてサキになんと言ったらいいか悩んで帰りづらくなっていた。
・・・
日が暮れて空が赤く染まった夕方に帰って来る。
ツサキクとアサナは遅くなったためにサキとの時間が短くなって後悔する。
「サキもう夕方だからもうご飯食べたよね。」
「サフランが城の人達にご飯作ってるの見て羨ましくて食べたです。」
そう、こんなに時間経つなら作るだけ作ってアサナに少し食べてもらうようにすればよかったわよね。
「そう、遅くなってごめんねサキ。」
「遅いです、もう食べ終わったです。ママなんて大嫌いです。」
サキの顔は悲しみに暮れて違う部屋に閉じ籠ってしまう。
ツサキクとサフランがクッキーを作ってそれぞれをバスケットに入れてツサキクがサキに渡そうとする。
しかし、サキが無視するのでツサキクは扉の前に置く。
「扉の前にクッキー置いて置くから食べたくなったら食べてよサキ。」
それはママに無理を言って頼まなければ料理対決にならなくて、ママと一緒にご飯食べれたのにとサキは後悔したためだった。
夕食ツサキクとサフランがオムライスを作る料理対決をする。
アサナは部屋で閉じ籠るサキに言う。
「夕ご飯ができました。」
「わかったです、それならです。アサナ達でたべればいいです。」
「サキ様、私が一緒に行くように頼みました。悪いのは私です。すみません、いえごめんなさいサキ様。」
サキは顔をふせて扉を開ける。
「サキ様!」
扉の近くにあるバスケットに入った二種類のクッキーを食べる。
「美味しいです、夕ご飯の前におやつ食べたけどツサキクは許してくれるです。」
「はい、許してくれると思います。私を許してくれますかサキ様。」
「なんの話です。」
「ツサキクを連れて行ったのは私という話ですサキ様。」
「許したくないけどおいしいママの手料理を食べさせてくれたのはきっとアサナのお陰です。ゆるしてあげるです。」
「ありがとう、夕ご飯食べに行きましょうサキ様。」
「はいです。」
「はい、これオムライス。」
「サフランが作ったオムライス。」
「二つあるけど食べるです。」
二つもオムライスがあることに驚くがオムライスをスプーンを使って一口食べるサキ。
「おいしいです。」
「よかった。サキ、出て来てくれてよかったよ。」
「ごめんなさいですママ。」
「サキが謝ることなんてないわよ。謝るのは私の方、ごめんなさいサキ。サキを寂しくさせて本当にごめんなさい。」
「もう大丈夫です。おいしいオムライスを食べられるならいいです。」
「勝者はツサキクってことでいい、アサナ。」
ツサキクとサキの楽しそうに食事する姿を見て、サフランは勝敗をアサナに笑って提案する。
アサナはサフランの提案を保留してほしいと言って保留となった。
「次が本番なので待ってほしいのよ。」
「わかった、もう聞かない。私は城の人達の夕食の仕込みをしてきます。」
アサナはサキになにか言われるのではとヒヤヒヤしていたのでサフランが追求して来なくて安心してホッと胸を撫で下す。
しかし、仕事の邪魔したサフランに申し訳が立たず手伝うことにする。
「私も手伝います、ツサキクさん。」
「変なことしないのであれば手伝ってくださいアサナ。」
「手伝いますよ。」
ツサキクはサキと自室に戻る。




