第43話 キルドが消えて3年①
キルドがいなくなってから3年後。
サキはツサキクが帰って来てくれてうれしくて笑顔で玄関で出迎える。
「ママ、お帰りなさい。」
「よかったよかったサキ。」
ツサキクはサキを抱きしめる。
「ママ、どうしたのです。」
サキは驚きもあったがうれしくて涙が流れるがツサキクを抱きしめ返す。
ツサキクにサキは棚から取り出された粉薬をもらい飲む。
その日サキは複数人により神殿へと連れていかれそうになるが力を使って吹き飛ばしてツサキクに頼む。
「ママ助けて。」
「当たり前じゃない。あなたは私の大切な娘じゃない。絶対に助けて見せるに決まってるじゃない。」
サキに笑顔を見せるツサキクは吹き飛んだ者達を無視して村を出る。
ツサキクは追手に追われ数の優位に負けて夜の眠りについていた間にサキを盗まれそうになっているのを気づく。
ツサキクはサキを連れ戻すために火を放つ。
追手は目を細め怒声する。
「おいツサキク、わかってるのか。この森が消えることはお前も見つかりやすくなるってことだぞ。」
「今あなた達に捕まりはしないじゃない。」
「そうだけど。それでいいのか。ツサキク。」
「当たり前じゃない。あんた達に娘をあずけるよりましな方法がこれしかないんじゃない。」
「そうかよ。わかった。」
追手が氷を出す能力を使いツサキクを足止めする。
脱出に戸惑うツサキクに追手の仲間達が迫る。
「ふざけるんじゃない。私は絶対に娘を守ってみせる。」
「なら俺は絶対にツサキク、お前の娘を奪ってやる。」
襲い掛かろうとした追手達だったが全身を氷で覆わされたツサキクに触れると低温火傷で触ることができない。
「ちょっと、痛くて触れることもできなくなってる。どうするつもり。」
「サキだけでも連れていけないのか。」
「触られたら私たちは痛くて手を離さないといけないのにそんな恐ろしいことできない。」
「それもそうか、俺がやる。」
そう言ったリーダーらしき人物は黄色く燃え上がりサキに近づく。
「サキに近づかないでぇ。」
ツサキクが叫び近くに五人いたが誰にも気づかれず一瞬でサキを抱えて逃げ出す。
抱えられたサキも何が起きたのかわからない。
「ママ一体なにをしたのです。」
「しゃべると舌を切るかもしれないからしゃべらないでサキ。」
「わかったですママ。」
でもママ、気になるです。ママ冷たいです。
ツサキクは森を抜ける前に木の側で休憩することにした。
「これでアウルにサキを利用されることはない。サキ今までごめんなさい。」
「ううんママ。パパがいなくなってママも心配してただけだとお思うです。」
「そう、ごめんなさいサキ。」
「気にしてないです。」
「少し飲み物飲んでです。」
サキに渡されて水を飲むツサキク。
サキに返してサキにも飲むように託す。
ツサキクに返されて水を飲むサキ、すぐに倒れて目が赤く染まり起き上がると体に光をまとい解き放ってしまう。
「サキどうしたの。」
ツサキクはサキに心配で倒れたサキを起こそうとするが起き上がらない。
そのままサキは眠り起き上がると夜になっていた。
「ママおはようです。」
「おはようサキ、体大丈夫どこか痛かったりしない。」
「大丈夫ですツサキク。」
「そう、ならよかった。」
森の外に出るため歩き始めるツサキク。
壁に当たり痛がるツサキク。
「なにこれ。どういうこと。」
わけがわからずにいると森からラプオビの者達が現れる。
「これで俺達の手柄か、ニヒヒヒ。」
「なにを言ってる、まだ捕まえていない油断するな。」
真面目そうな人物に睨みをきかせるニヒヒヒと笑った人物。
「ジャユニ、お前は真面目過ぎるあんなガキと女になにができることなんて限られてるだろ。」
「ボス、それはそうですが森の外に出て来れたと言うことはあのアウルとかいうやつを出し抜いたことになります。気を張ってください。」
アウルと言う名前にボスことパトリウムとジャユニの二人は怯えている。
「わかった、仕方ねぇ。」
サキとツサキクに大人の男二人が迫って来て怯える。
「へへ、良い顔してくれる。」
サキにボスが触れようとするのをツサキクが手を掴み停止させて蹴り飛ばす。
「いってぇな、女お前は容赦しねぇ。」
ツサキクを睨みつけるボス。
「大口叩いてないで慎重にやるべきだったんだボス。」
「悪かった、もう手加減しない。」
氷を放ちツサキクを拘束しようとするボスだったがツサキクは一瞬で消える。
その間にボスやジャユニではない一人黄色の炎を発する一人がサキに手を差し伸べる。
サキは武器を探して木の枝を強く握る構える。
黄色の炎を出して笑みを浮かべる。
「かわいいな。」
サキが木の枝に触れていると火と壁と翼と反復横跳びの様な絵が四人それぞれに見えるため反復横跳びの絵があるママに触れるサキ。
ツサキクを追い詰めようとしていたパトリウムボスとジャユニの二人に黄色の炎の球が飛んでくる。
それはサキを追い詰めていた黄色の炎を出す男が出したものだった。
「あぶねえだろ!なにするんだ。」
炎が飛んで来た方を見た時にツサキクが倒れているのを見て驚くパトリウムボスとジャユニの二人。
「そいつは俺らの獲物だ。お前らは黙って俺らによこせ。」
ボスはやって来た黄色の火を纏うラプオビのタンジーを見て一歩下がるがすごむために睨みつける。雇い主に渡すがそんな命令に従えるか。
「お前に命令される筋合いはない。」
ボスはサキを捕まえようとするが一瞬でボスの前から姿を消してタンジーの目の前に移動する。
サキはこれってママの能力と思う目の前にいるタンジーに火の絵が見えて触れる。
タンジーは一瞬で目の前に現れるサキを見て驚くが捕まえようと手を伸ばす。
サキはタンジーの前から姿を消す。
「サキだけでも逃げてというツサキクの声が響く。」
サキはツサキクを見て心配で立ち止まり、森の外へ行くと見えない壁に当たるかもしれないと思い森の中へ行く。
「ママ、ごめんなさい。ママ、ごめんなさい。」
ママ……一人で怖いです。ママを助けるべきだったです。
サキはツサキクを助けるために戻って来て黄の炎を放つ。
「あぶねぇだろ、考えろ。」
ボスがそんな声を発するがタンジーはそんなことをしていないと思った。
サキはツサキクの元に行く。
「逃げるです、ママ。」
サキは手を握ってツサキクを村の方に向かう。
「チッおい、ジャユニ。壁を出して足止めしろ。」
ボスはジャユニ命令する。
「あの距離は無理。」
「仕方ねぇ。」
舌打ちをうち使えねぇと思いボスは自分の力を使うことにする。
ボスは天使の様な白い羽を生やしてサキ達を追うが早すぎて見失う。
村にやって来た瞬間誰かにぶつかる、顔を見上げるとそこにいたのは・・・。
神殿内の一室でサキは目覚める。
そこには10人の子供がいるがツサキクはそこにはいない。
サキは恐る恐る声をかける。
「はじめましてサキです。どうしてこんなところに集められているかわかるですか。」
「わからないわよ。知ってたらこっちが教えてほしいわよ。」
「そうですか、すみません。」
「謝らないでよ。」
彼女はため息をつきサキに手を差し伸べる。
「ワベキアよ、よろしくサキ。」
「ワベキアさんよろしくです。」
サキはワベキアに差し出されたに手を合わせて握手する。
アウルがサキのいる一室に入ってくる。
アウルはサキを見つけると腕を掴み連れて行く。
サキがワベキアを見ると怯えて手を体に回して膝を立てて小さくなっている。
「どこに行くです、アウル。」
「気安くアウルと呼ぶな、アウルさんかお義父さんかアウル様と呼べ。」
お義父さんとは今後呼ぶことはないですアウル。
「わかったです、アウルさん。」
「お義父さんではだめかサキ。」
なぜそれでいいと思ったか謎ですアウル。家に帰してくれるなら話は変わるです。
「家に帰してほしいですお義父さん。」
「それはできないサキ。もう一度言ってくれたらもしかしたら家に帰してあげるかもしれない。」
「お義父さん、ここに集められた子供をみんな家に帰して欲しいです。お義父さんお願いです。」
「それは無理だサキ。」
「そうですか、わかったです。」
サキはアウルにどこに連れていかれるかわからないまま腕を引かれて連れていかれる。
「お義父さん、教えてです。追手は誰でなんのために逃げていたママや私をここ連れて来たのですか。」
「聞きたいか。」
「聞きたいです、お義父さん。」
ママと一緒に来たのにママがいないです。なにがあったです。
「それは君の異常を調べるために人を送ったのに君や君の母のツサキクが抵抗した。まさか戻って来るとは思わなかった。そのままこのラプオビから逃げると思っていた。」
「異常ってなんです。ママはどこにいるです。」
ラプオビからは壁があって逃げれないです。あれもあの時見た江から力である異常かもしれないです。異常ってここにいる人達もその異常を持ってるです。
「異常って言うですけどお義父さん。みんなもその異常な力を持ってるです。」
「その通りだが君はしゃべることも歩くこともできないのに力を使っていたことが異常で報告で君は自身を力強くするだけでなく瞬間移動や火を操ることができたと聞く。」
それは異常かも知れないです。でもです、自身を力強くは今はできないです。
・・・
手術室に着いたため話を中断する。サキは無理やり手足を縛られ手術台に寝かされて逃げられないようアウルにされる。
「今からサキの異常性の調査を開始する。」
「嫌です、死にたくないです。お義父さん死にたくないです。」
「少し痛いだけだ我慢しろサキ。」
アウルはサキにそういうとサキの腕をメスで切ろうとするがメスの刃が真っ二つに割れてしまう。
アウルは血を採るために注射器を取り出しサキの腕に入れようとするが注射器の先端が折れ曲がり使い物にならなくなってしまう。
アウルはサキの異常性を調べるためにサキを傷つけることにする。
サキを風呂に入れ蓋をして放置される。サキは一瞬で風呂場を離れて服を取り隠れる。
「あの女にも復讐したいかったなぁ。」
「拘束された状態なんだからいつかできるんじゃん。」
「そうかもなぁ。」
「のどかわいたんで飲み物買ってきます。ボスもなにか飲みたいじゃん。」
「じゃあ頼む。」
「了解じゃん。」
ジャユニは飲み物を買いに行く。
「チッ変なやつと一緒になっちまったなぁ。」
悪態をついている所に髪が濡れているサキを見つける。
「チッ、なに逃げようとしてんだ。アウルに怒られたくないだろ。ここでじっとしてろ。」
「ボス、コーヒーもらってきたん。」
サキは口を押えて隣の部屋で息を潜める。
なんでタンジーのやつじゃなくて俺に頼みやがったアウルのやつ。わからなくてイライラするなぁ。と思うパトリウムボス。
「ありがとうよ、ジャユニ。」
「中に誰かいるんボス。」
「みたいだな。」
下を指さすボス。
「こいつサキじゃん、俺達にやられた仕打ちをこいつにやるっていうのはどう思うんボス。」
「それもいいなぁ。やるかぁ。」
ニヤニヤと笑うポトリウムボスとジャユニの二人にどんなことをされるかわからない恐怖で涙を流すサキ。
二人に暴行を加えられ叫び声をあげるがサキは四肢を切断された状態までされて失神する。
四肢がないサキだったが翌日どこからか出て来た石を拾うと元に戻り四肢がある状態で起き上がる。
四肢がなくなったためサキは起き上がることができたが再生した四肢を触ると冷たい。
まるで死んでいるかの様に……。
死んでしまったと思い自分の顔を触ると温かくて体の心臓部分を触ると温かくしっかりと鼓動がある。サキはホッとする。
しかし、またあの二人に襲われるのではないかと怯えるサキは外に逃げようと思ったが怖くて外に出るのではなく実験室内を調べて箱が気になり開けるときれいに透き通る水晶を見つける。
それに触るとピキンと石になったように固まってしまうが体が崩壊するように黄色く燃え上がりサキの目の色が青く輝き三つの出来事を目撃する。
一、ワベキアが動かなず両手足がない姿を目撃する。
二、ツサキクが拘束されているのを目撃する。
三、今まであった出来事と似ているが違うワベキアと遊んだりどこかへ知らない人と向かう自分を目撃する。
その三つが現実なのかそれともただの夢なのかわからないサキ。




