第42話 キルドが消えて4年
キルドがいなくなり4年後。
「サキ、出て行って。あなたと目も合わせたくない。」
ママはあれから会いに行っても目も合わせてくれない。
「ママ。」
「出て行ってお願い、出て行って。」
「ママ。」
サキはツサキクの服を引っ張って呟く。
ツサキクはサキを振り払ってもう一度出て行ってと突っぱねる。
しかしサキはママと呼んで離れようとしない。
「わかった。サキはここで待ってなさい。」
そう言うとツサキクは家を出て行く。
「ママ待って、嫌ママ。」
寂しそうに泣くサキ。
ママ、寂しいです...。
涙を流すサキ、棚を見ると棚の上に花柄の箱があったそれを手に取るとツサキクの声が響く。
「サキごめんなさい。」
ツサキクが買い物に行くとそこにはアウルがいた。
「どうだ決まったかツサキク。」
「・・・ふざけないでアウル、あんたの言うことなんて聞けない。」
キルドが倒れたのに嬉しそうなアウルに怒りを覚えた記憶と悲しみで彼の行動に興味がなかった記憶がある。他のラプオビの人達は慰めの言葉をくれたのにと思った記憶があるツサキク。
「ツサキクさん、お願いですアウル様に協力してください。」
ラプオビ村の食材など様々な物を売っているマーケットで働く一人が言った言葉にアウルが村の村長の立場になってると戸惑うツサキク。
「アウル、考えさせて。」
「わかった、一度神殿まで来てくれ。」
「それも考えさせて。」
ツサキクはアウルのことだから神殿に行くと決まってしまったと思った……。
ツサキクは買い物を済ませるとサキが心配で急いで家に戻って来る。
サキはツサキクが帰って来てくれてうれしくて笑顔で玄関で出迎える。
「ママ、お帰りなさい。」
玄関で待っていたサキの目が赤くなっていてツサキクはサキもキルドのことを思って悲しいということを今はじめて思う。
また、ツサキクは出かけていた間にサキが神殿に連れていたかれたのではないかと思い心配していたので出迎えてくれてうれしくなりサキを抱きしめる。
「よかったよかったサキ。」
「ママ、どうしたのです。」
サキは驚きもあったが、うれしくて涙が流れているツサキクを抱きしめ返す。
ツサキクはサキに感謝して頭をなでると棚に向かい棚の引き出しから取り出した粉薬を渡す。
サキはツサキクからもらったそれを飲まずにポケットにしまう。
・・・
「ママただいまです。」
ツサキクのいる家に帰ってきたサキ。
「お帰りなさいサキ、大丈夫。」
「大丈夫ですママ。今日、友達ができたですワベキアっていうです。」
「そうなの。」
ツサキクはサキを心配するが声には出さなかった。
サキが毎日外に出かけているため心配だったがサキのためだとグッとこらえる。
ツサキクが心配しているとは知らずにワベキアに会いに出かけるサキ。
ツサキクは心配で張り裂けそうになった。
ワベキアに会ったサキはイェーイとハイタッチする。
「なにやるですワベキア。」
「かくれんぼは二人だとつまらないし、いつものでいいんじゃない。」
かくれんぼじゃなくて鬼ごっこだったら二人でも楽しいと思う。
それに秘密基地みたいな場所見つけたからそこで一緒にいたいですワベキア。でも今は教えないです。
「わかったです、ワベキア隊長。」
「うん、サキ隊員行くよ。」
「は~い。」
「ちょっとサキ、そんなダルそうに返事しないでよもう~。」
「はい、わかりました隊長。」
ワベキアに敬礼するサキは笑っておりワベキアも笑う。
もう~、サキに合わせてそれっぽくしたのに極端なんだからサキはもう~。とワベキアはサキに思った。
ワベキアとサキの二人はラプオビにある家々を見ていく。
「この家とかいいんじゃない。」
「子供二人いたらいいかも2階に三部屋あってそれぞれ子供部屋にして一室を物置とか客人の部屋にするのはどう。」
「それいい、それで下は広いキッチンがあってダイビングとリビングが見えるし玄関から来た人も見れるっていうのは素敵じゃないサキ。」
「それもいいかもしれないけどやっぱりプライバシーはいるんじゃない。広いとは思うけど。」
そうと相槌をうつサキ。
ワベキアはこの家に住みたそうにいい、サキはこの家はこういう内装じゃないですかといった風に家を見てどんな内装か二人は話している。
ワベキアと知り合ったのは買い物に行く途中で家の前で独り言を言っている変わり者がいるのを発見して声をかけたのが知り合ったきっかけだった。
「ここが私の家です。」
サキは自分の家を教える。
ワベキアはそれを聞き村長の家だと思う。
ワベキアは中に入るべきか考える。
「ワベキア、どうしたです。」
どうしたって言われても……。
「中に入るってことサキ。」
「そうです。」
「中に入ってどうするの。」
「見てきた家々を書いて見るってのはどうです。」
「ちょうど家に帰ってきたならもう帰るでいいんじゃない。」
「わかったです。」
サキはワベキアにそう言われて落ち込む。
ワベキアのことは仕方ないです。と思い手を振って帰る。
「ママただいまです。」
「お帰りなさいサキ。」
「どうしたのよ、寂しそうにして。」
「ううん、なんでもないです。もう少し話したかったです。」
「サキ何かいった。」
「なんでもないです、ママ。」
そう、リンゴジュース持ってきてサキに渡すツサキク。
「これ飲めば元気が出るのよ。」
「はいです。」
サキはツサキクが持ってかたリンゴジュースを飲む。
・・・
ツサキクは今まで拒絶していたサキと今までの生活を補う様に生活を過ごすが数日しか続かなかった。
その日、サキが目を覚ますとツサキクの姿がなかった。ツサキクを探すためラプオビ内を探し回るがツサキクが見当たらない。
家の中でママ来ないかなと待つ。
「サキ、ごめんなさい。ここで待ってて。」
「ママ待って置いてかないで嫌ママ。」
目を覚めるがツサキクはいなくて寂しさが溢れて涙を流し疲れて眠り、ツサキクに置いていかれる夢を見るサキ。
ママ、寂しいです...。
・・・
神殿内の一室でサキは目を覚ます。
「え!どういうことです。」
サキは両手足を縛られベットに寝かされて体が動かなかないため、両手足を動かして動けないか試すが動くことができなかった。
研究室サキの異常状態を調べられるために採取したサンプルから調べる。
ウイルスなどの異物を血液を入れたり爆発させると紫の一層がサキから採取した黄色い血液の層を侵食する。それが異常性だと思い紫の層をアウルは紫団と呼ぶことにする。
アウルは異常性を誰かに移植できないか考え適合者を調べるためにラプオビの者達の血液を集めるが誰も適合者はいなかった。
もちろんツサキクも採取したが誰も適合者はいなかった。
アウルはサキの異常性を調べるためにサキを傷つけることにする。
サキを風呂に入れ蓋をして三日置いていかれる。サキは蓋をひっかいたり叩くが誰も助けてくれなかった。
サキは目を覚ます。
アウルは次にサキを手術台であるベットに寝かせて、血を大量に採るがサキは失神する。
翌日の朝、サキは目が覚める。
アウルはラプオビの村人に頼みサキに暴行を加える。
「痛いです、痛いですやめてですお願いです。嘘です、嘘ですやめてです。それだけはやめてです。」
サキは叫び声をあげるがサキは四肢を切断される。
翌日には目を覚ますが数年生き続けるが誰も助けてはくれない。
それらのテストを受けサキは心を無くす。
十年の時が経つ。
そこは木々が並ぶ森の中、サキは森を進みどこかへと向かっている。四肢はなぜかある。
サキは自身の四肢を見て触り涙を流すが温かい温もりを感じる。
サキは泣き疲れてその時は眠ってしまったのだろう誰かの膝の上で眠りについている。
サキがその人物の顔を見ようと上を見上げるが胸が大きくて顔が良く見えない。
起き上がり顔を確認するがそこにはサキの母であるツサキクではなかった。
そこにいたのは知らない人物だった。
「サキ様、はじめまして。ツサキクさんに頼まれてあなたをあの村から連れ出したアサナと言います。そして隣にいるのが師匠のナタレです。今後は私がサキ様の世話役となります。ふつつかものですがよろしくおねがいします。」
「ママは、ママはどこにいるのですか。」
「ごめんなさい、サキ様のママ様はもうどこにもいません。あなたを助けるために犠牲になりました。」
「そうですか。ママに会いたかったです。それでどこに行くですか。」
アサナとナタレは顔を見合わせる。
「私たちの国ぺルマム王国へ向かいます。サキ様。」
「そうなのですか。これからよろしくです。」
ママに会いたいです。とサキは思ったが母のツサキクが犠牲になった時の記憶がなく、起きたことが思い出せなかったがサキ達を乗せた車は真っ直ぐ進んで行くがアサナとナタレの二人の顔に秘密がありそうな影をサキは見逃さなかった。




