第22話 青い空とクルトの種
アルブトはコラル達奪還者が撤退したため安堵のため息を吐く。
人数も減らせて敵の奪還作戦の動向もわかりやすくなったが、唯一とも言える司令塔ソフィアがいなくなってしまった。
このままここでこんなことして大丈夫か。
「考え込んでるけどどうしたのアル。」
カフィナが考え込んでいると話しかけてきた。
「ここをどうするか考えてるんだ。」
キョトンとした顔で首を横に傾けるカフィナは他人事でしょと言いたいのがわかる。
「放っておけばいいの。」
カフィナの言葉を聞きわかるというのがアルブトの答えだ。
そもそもここに自分がいる理由はマシドの薬を作る方法だ。
それを使ってしまったため俺の手元にはない。もう……ない。
「気持ちはわかる、敵もいなくなってよかった。マシドの薬をあげたのは後悔してる。もう使わない。」
「そうした方がいいと思うの、今後あれがどうなるかわからないの。それで彼らをどうするの。」
「それを考えてる。」
カフィナは納得した顔をして悩み始める。
それを見てアルブトも真剣に考える。
マシドの薬を与えたのは八人なのに二人の踊子に変わったことも驚きだが本当にどう処理したものか。
考えがまとまらず今のところは放置ということでまとまった。
翌日、踊子二人が黒と青の巨大な種になっていると知らせを聞き兵を10人ほど出して警戒しながら地下牢に二つを入れた。
翌日、二人の種から人が一人ずつ出てきたと聞き二人を尋問する。
二人は最初混乱していたらがすぐに落ち着いたため事情を聞くと二人はマシドの薬を飲んだ状態で前線にたち相手の殺意を感じると異常な殺人欲求が涌き出て来て自身を保てなくなったという。
それからの黒い霧となり敵を倒した記憶はないという。
しかし、二人は青髪で青い肌の女に朝顔の種の様な物であるクルトの種を渡され、怪しむとその姿が治ると聞いてそれを飲むと酷い眠気に誘われ今まで眠っていたそうだ。
なんとも信じられないがアルブトの考えだったが聞いた本人も真実を言っているのかわからないという。
なぜならクルトという植物を聞いたことすらない。
また、種というのも怪しいとアルブトは思った。
しかし、尋問した二人とも全く同じ内容だったため真実なのではと疑っているが可能性程度である。
不思議な現実に頭を抱えていると敵がまた攻めてきたという。
ミシマを使って追い払うようアルブトは言った。
兵達は城壁は残っていたためそれを使い敵に広範囲攻撃ができるミシマと戦車を使って攻撃した。
戦車は踊子達を出したときに盗んだ物だ。
アルブトは後を任せると引き留められたが飲み物を取って来ると言って、一人になるために城の自室へやって来た。
ミシマがあるから大丈夫だろう思い、自室から地下を通って宿へと来ると金を払い屋上へ向かう。
屋上でマシドの薬を入れた酒を飲むアルブトは空を眺めながら頭が空になって最高だなとアルブトは思った。
カフィナは屋上への階段から眺めていた。
酒を一杯飲み終わり一室へと戻ろうとするアルブトにカフィナは追加の酒を渡す。カフィナの手には二つのグラスがある。自分も飲んでいたのだ。
カフィナに見られてばつが悪そうな顔をするアルブト。
仕方ないという表情のカフィナは言う。
「目を瞑るの。でも飲みすぎないでくださいなの、その薬。」
「わかってる、そうする。お前も酒はほどほどにしとけ。」
そう言うとサッと隠すように後ろにグラスを持っていくカフィナ。
「わかってますの、目を瞑るので酒を奢ってくださいなのアル。」
「仕方ない。」
そう言って二人は夜の町に光が輝く中へと入っていく。
宿の店主が二人が来たことに嬉しそうに空になったグラスを見て酒を渡す。
それは二人の声が聞こえており、まだ飲むことに喜んでいるのだ。
「それでカフィナ、どうしてここがわかった。」
「つけてきたの。」
アルブトは考える道順を。どう考えても二回鍵を使ったことを思い出す。恐怖を覚えたが削除する。
なぜならカフィナだからとわりきった。
「そ、そうか。それでお前何杯目だ。」
「三杯目でも美味しいの。」
そうかとアルブトは思った。
「よかったの、敵を彼らだけに任せてよかったの。」
痛いところをついてくるなと酒を一気に飲むアルブト。
「よくないかもな、でもここにある武器は優秀だし使う彼らも優秀。それで敵をなんとかできる。」
カフィナは考え込むとそれもそうねと言ってグラスの縁をなぞる。
アルブトはおかわりをもらわずお金を払い城へと戻る。
カフィナも酒を一気飲みしてアルブトの後を追う。
カフィナの会計とアルブトの会計は一緒だった。
宿から城に帰ってきた部屋の扉を叩く音が聞こえ扉を開けるとカフィナと一緒だったために叩いていた軍服を着た部下はアルブトとカフィナの男女二人でいたために邪魔をしてしまったと思い顔を真っ青にする。
アルブトは部下の顔色が変わったことなど気にせず疑問を問う。
「どうした。敵襲が城の前まで来たか。」
宿の屋上で見ていた限り平気そうだったが……。
「敵襲はミシマと奪った戦車で対処しました。」
そうか、それでなんのようだかわからず佇むアルブト。
「報告に参りました。」
部下にそう言われ目を見開いて驚き頼むと言うアルブト。
それだけでわからず部下が戸惑ったがカフィナが説明してなのと言ったためわかりましたと部下は言った。
「敵襲はミシマと戦車で対処しました。今後いかがなさいますか。」
部下はそう言うがなにが聞きたいかわからず悩むアルブト。
アルブトはふと思い出した。自分はここを壊すために来たが、指揮官を設置しようと考えている。
その変化に少し怖さのような親しみを感じたアルブト。
「もう夜だから寝ればいいの。明日になってから考えるの。」
悩むアルブトに助け船を出すカフィナ。
部下が部屋を出ていったためカフィナはアルブトにタスキセレア海国をゾイファア帝国が攻めているという衝撃的なことを伝えた。
アルブトは理解できず唖然としたがカフィナにそれを伝えに来たのかと確認する。
「どうでしょう、アル。」
カフィナはとぼける。
事実、カフィナはアルブトがカルディオス王国の領地を占領し生活している彼らを追い出すために来たのに一ヶ月どころか3ヶ月も帰ってこなかったためカフィナはマースに言われて戻ってくるように言うために来たがアルブトが家にいたときよりリラックスしていたため言い出せずにいた。
しかし、部下にタスキセレア海国を攻め落としたことを知ったこととソフィアが消えたことが重なり考えたがアルブトはゾイファア帝国の王であるため帰って来るように言おうと確信したのだ。
「アルブト様。」
「いきなり改まってどうしたカフィナ。」
「帰りましょう、アルブト様。」
アルブトはカフィナのその言葉に笑った。
「それ言いに来たのかカフィナ。早く言いなよ。明日今来たやつに指揮官を頼んで帰ろう。」
「わかりましたそれでお願いしますアルブト様。」
カフィナは言いたいことが言えてホッとして肩の荷が降りた。
「カフィナはここにいつまでいるわけ。」
「昔から一緒だったでしょう。」
「そうか、おやすみカフィナ。」
「おやすみ、アル。」
「アルの方がいいからそう呼んでカフィナ。」
「わかりました。」
アルブトは布団に入り眠りについた、カフィナは椅子に腰掛けた。
・・・
一方その頃コアクマはというとウノーラに連れられてカルディオス王国の聖地と呼ばれる場所にやって来た。
ウノーラさんにここでこのクルトの木を育ててコアクマと言われた。
クルトの木は1mの木で枝が地面に埋まりそこから木がまた生えてくるみたい。
地下径の様な木でどうして種がいるのか、気になり連れてきたウノーラさんに聞くと繁殖息を広げるために種を作って鳥に運んでもらうためみたい。
種は他の木々が枯れている冬場に出きるみたい。今は冬場じゃないのに種をウノーラさんが持っていたのは種は実っていなかったみたい。でも聖地にいる人たちが持っていたみたい。
ウノーラさんがそう言ってたからそうみたい。
食べられるか聞いてみたら食べられるみたいだけど数が取れないみたい。
そんなに美味しくもないが保存食としは重宝するため育てているみたい。
寒くて食べ物がならない冬に種がなるのはうれしいのはわかるけど数が取れないなら意味があるのかわからない。
ウノーラさんに育て方を聞くと枝を埋めれば新しく枝が生えるから栄養と他の木や葉、後は雑草を捨てていけば生えてくるし冬になれば実を作るから頑張って作ってとだけ言ってどこかへ消えてしまった。なんとも大雑把。
今は春なのにそんなにかかることに驚きます。
まだ始まってないけどやりたくない。
カルディオス王国の聖地に住む人達の顔は怖いけど枝を埋めてそこらに落ちてる落ち葉や雑草と思うものを拾い適当にまぶして蒔く。
それを1日に二回やっているが嫌がらせで集めてまばらに蒔いた落ち葉などを捨てられたりするが根気よく続ける。
これもマシドの薬を作っていた報いだと思ってがんばっていく。
住民が厳しくて嫌になることもあるがそれよりも償いの気持ちが強いため続けるコアクマはカルディオス王国の聖地の人達は聖地に他人が入ってきたために村八分なこともある。
しかし、それは違うとコアクマは気づいた。
村八分なのはもう一人を養うほど村に余裕がなく一人で生活するのも厳しいことを知っているため早く出ていってほしいためだ。
そして、それは落ち葉を撒いた後見張っていると落ち葉を埋めている人達がいたためこの人達は根は真面目な言い人達ではと思ったからだ。それから迷惑だと思いながらも他人を気遣うために見るようになったコアクマ。
これをもっと大量に作って食材としての役割を果たせばいいと前向きなコアクマ。
しかし彼女は嫌な事であるクルトの木を育てる作業から逃げ出すことに必死なだけで、償いと言う理由もただ育てることは嫌気がさすためだった。




