第21話 黒い霧と青白いドレス
シアとハルコートとコラルの三人は奪還するために作戦会議するため夕食を食べる楽しんでいる。
シアがどうやって壁を越えるか聞く。
ハルコートはかち割ってやればいいと言ってワハハと豪快に笑う。
コラルは爆発させればいいといい二人にキョトンとされる。
ハルコートがコラルに意外と思ったが彼らは自分の民じゃないことを思い出した。
「そうだな、元住民はあそこにはいないからあそこは爆発させてでも奪い返そう。」
覚悟のこもった顔で言うハルコート。
コラルは笑みを浮かべた。
シアは美味しそうにパスタを食べているとステージにダンサーが踊ってコーラス隊が歌うショーが行われた。
・・・
翌日
大砲を大量に国から仕入れて来たコラル。
「もともとそのつもりだっただろコラル。」
コラルはハルコートにそう言われて当たり前だろ、城攻めするからな。と当然のように答えた。
ハルコートは五時間ほどで30台ほど持ってきたことに驚いた。
戦地へ向かう三人。シアはへっぴり腰でコラルとハルコートの後ろを歩いている。
前にひどく強気に言っていたのにこの人は情けない。とコラルとハルコートの二人はシアに思った。
大砲を大量に並べて砲撃する。
・・・
朝食を食べていたアルブトの目に砲弾が飛んで来るのが見える。
砲弾が地面に刺さり地雷が爆発していくためアルブトは地雷を設置したことに怒られる。
外を眺めて地雷が爆発して町が消えていく様を見るアルブト、城以外に残ったものはなかった。
・・・
ハルコート達奪還組が攻めて行くために砲撃で壁に穴を空ける。ハルコートが先頭に立ち攻略しに行くがコラルとシアは砲台で様子を伺っている。
「何が起こるかわからない警戒して攻めていき奪還するぞ。」
お~と小さな相づちが響くが気にせず進むハルコート。
ハルコート達が攻め込む中、六人のゾイフィア帝国兵が立ちふさがる。
彼らの髪は青く輝いている。
彼らはマシドの薬を使い過ぎて中毒になっているもの達だ。
彼らにさらに薬を飲ませたがなにも起こらなかった。
しかしハルコート達の殺意に当てられ彼らは溶けてしまい黒い霧が漂い青白い光がたまに輝く。
ハルコート達は訳がわからず武器を構えて黒い霧で回りがよく見えないが隣に立つ人の顔は見えるため安心してなにが起きるかわからないため辺りを見渡しながら待つ。
黒い霧から青白い男が現れ一人を食い始めたためギャーと叫ぶ。
回りにいたもの達が声のする方にどうしたか駆け寄るとそこには青白く姿を変えていた死体があるだけだった。
血は流れていない。
ヒッと恐怖のあまり声を出すそれを見た者。
ハルコートもそれを見てヒッと悲鳴をあげ鼓舞する。
「背中を合わせろ敵が来るのを全員で確認しろ。」
背中を合わせるハルコート達であったが遠くに青いドレスを着た婦人が躍りを踊っていて腕を広げて誘っているのが見える。
ハルコートはあれはなんだと疑問視してよく見つめるハルコート。
そんな中、一人が近づいて行き手を伸ばす。
アイススケートの服の様なきらびやかで青いドレスを着た踊子は満面の笑みだがその笑みには不思議な恐怖が含まれていた。その踊子は仲間の一人を連れて黒い霧の奥へと消えてしまった。
ハルコート達がその疑問的なことに驚きと不安にかられる。
先ほどまでとは異なり少しだけ寒気がする。
気のせいなのか、冷や汗なのかハルコート達にはわからなかった。
ドサッとなにかが落ちる音が聞こえたため見ると連れていかれた男がシワシワのミイラのような姿に変わっていた。
目を見開き驚きの顔をするハルコート達。
ハルコートは恐る恐る近づきその男に大丈夫か訪ねるが反応はない。目も虚ろで焦点がさだかではなかった。
しかし、可能性を信じて体を揺さぶるが力なく体が倒れその者が死んでいるのがわかる。
そんな中、また青いきらびやかなドレスを着た踊子の婦人が現れた。彼女と同じようなきらびやかな青い服を着た男も一緒で彼女達は華麗に社交ダンスをハルコートの回りで踊り始めた。
二人の華麗な姿を見ているといつの間にか二人の演技が終わっており二人はハルコート以外に残った二人を誘うために手を伸ばす。
しかし二人は彼女達の手を取ったらどうなるか知っているため手を取ることを拒み続けた。
すると諦めたのか彼女らは消え去った。
しかし彼女達の変わりに彼女達に誘われた二人の足が捕まれる。
捕まった二人は地下に吸い込まれていった。
踊子の二人は笑みを浮かべている。
その顔に禍々しさを感じて恥ずかしさもなくハルコートの仲間の一人が外に出るために走り始めた。仲間を見捨てて。
捕まった二人は今も地中へと連れ込まれている。
「助けてください。ハルコート様。」
「俺たちの希望だ、頼む。逃げてくれ。」
そう言って男は笑い、もう一人の女は驚愕の顔を浮かべる。
「あんたなんてこと言ってるのよ。」
女は怒鳴っている。
そんな二人の光景を見ておかしくなったんだと思った逃げた一人はそれが罠だと思い怖くなって霧に向かってあてもなく剣を振っている。
ハルコートは必死に二人を助けようとするが地下へ連れ去る力が強すぎて不可能だった。
下半身が埋まった時に二人がギャーと声をあげいきたえたのだ。
ハルコートに女は生きてね、ハルコート様と笑った。
もう一人の男は光悦な顔で幸せそうだった。
ハルコートは男は死ぬ瞬間は幸せだったのかとその表情を見て思い納得し安心感が浮かんだ。
しかしすぐに不安と死への恐怖に押し潰されそうになる。
「なんでだよ、なんでこんなことになるんだよ。俺たちがなにをしたって言うんだよ。」
ハルコートの目には涙が浮かんでいた。それは仲間達の死への涙だった。
ハルコートが涙を流していた頃、逃げた者は剣を振り過ぎて疲れていた。
肩で息をしているとなにかが当たったため蹴飛ばした。
コロンコロンとなにかが転がる音がしたため、不思議に思い見ると骸骨が転がっていた。
キャーと悲鳴をあげハルコートの方へ逃げる途中に青白い男に見つかり逃げようとするが後ろにもおりその者は引きつった顔をして涙を流した。
逃げ出した者が青白い男にやられている時ハルコートに立つように仲間が言い、そうだな生きなければとハルコートは思ったが立つように促した者は青白い男に連れ去られ食べられていた。
ハルコートは仕方ないと思った。
「俺が盾になるからみんなは逃ろ!」
そう叫ぶと残っていた30人の内10人が逃げ出す。
ハルコートは残った者達になにをしている早く逃げろと叫ぶが彼らは動かない。
「頼むから逃げてくれよ。」
そういうハルコートの体は恐怖から震えていた。
それを見たハルコートの仲間達はハルコートを守るために行動しているのだ。
「俺達もここに残る、最後は一緒だ。」
ハルコートは涙をぬぐいわかったやるぞと意気込む。
そしてまた青白い男が現れた。
ハルコートの仲間がそいつを切ると左胸から右下がりに切れた跡はついたがそいつは襲ってきたため足を切り落とすためにも切りつける。
他にも二十体が現れそれらを対処するが一人ずつ数が減っていく。
そんな中、男の踊子が現れその不思議な笑みに一人が連れていかれそうになるがハルコートは手を掴み待て行くな。と呼び掛けるがその手を振りほどかれ踊子についていってしまう。
ハルコートはアッと手を伸ばすがもうその者は黒い霧の中で次にハルコートが連れていかれるかもしれないと思った仲間がハルコートの手を掴み引っ張ってくる。
「なにしてるの、切り替えな。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
ハルコートと彼女の二人しかいない。
二人で攻撃が来るのを静かに待つが少しだけ目がボヤけてくる。これも黒い霧の影響かそれともただ集中力が切れただけなのかわからない。
そんな二人の前に青白い男達と二人の踊子が現れ二人の周囲を回るように踊り出した。
「なにが来るかわからない背中を合わせろ。」
「わかったわ。」
ハルコートともう一人の彼女は背中を合わせる。
二人の周囲を回りながら踊る青白い男達や二人の踊子。
二人はなにが起こるかわからずドキドキしていた。
絶対に助かって見せるとハルコートは思っていた。
もう一人の彼女はハルコートを助けると誓っていた。
ダンスも佳境に入り踊子の二人が抱き合いキスをかわした。
すると二人に青白い男達と黒い霧が吸い込まれていった。
黒い霧が消えてハルコートと彼女の二人は嬉しそうやったーと叫ぶが喜んだのも束の間、二人を踊子の二人は睨みつけた。
二人は地面に出てきた手に捕まれ地下へと吸い込まれて行った。
「嫌々こんな死に方はいやよ。」
「ふざけるな俺はここで死ぬ人間じゃねえ俺はゾイフィア帝国を滅ぼすんだ。」
そうしてハルコート達は消えた。
戦地に残された踊子の二人に攻撃するようにシアが仕切る。
コラルがお前が言うなよといった顔をしたが声にはださなかった。
彼らに向かって突っ込んでいくカルディオス王国の軍人達。
しかし彼らの前に消えたはずの黒い霧がたちこみ黒い霧から青白い男が現れ次々に食われていった。
ハルコート達がなにがあったかはハルコートの二人まで見えなかったが軍人達は見ることができたためコラルが撤退命令を出す。
シアは顔が引きつれ立ち止まっていた。
そんなシアをコラルが連れ出し、ハルコートを失ったカルディオスの軍人達は涙を流しながら撤退する。
すみませんハルコート様と言う声がコラルの瞳から流れる涙をぬぐうりゆうとなった。
コラルは決心した決してゾイフィア帝国を許さないと。
その決意をして後ろを確認すると踊子の二人は動かない。
あれが強者の余裕かとコラルは怒りが沸いた。




