第18話 わからないわ
六カ国同盟の陣へとミシマでやってきたソフィアが扉を開くと兵士が囲んでいた。
攻撃の意思はないと伝えるソフィアに兵士達は抑えつけ暴行を行っていた。
そわな怒りの頂点な兵士達をかきわけて出てきたローザとハルコートの二人が出てきた。
ロダランペラトルの女王とカルディオス王国の王の二人が揃っていることにソフィアは驚いた。
兵士は危険だからと二人を逃がそうとするが二人は抵抗しミシマで攻撃もせずに乗り込んできたソフィアに話を聞くこととした。
「まずはその傷ついた体を癒すとしましょう、いいかしら。」
「ふざけるな、コイツらに何人やられたと思ってる。」
「私はこの戦争はできる限り死者を出したくないからかしら。死者数が多くなりすぎたら次はこの土地の権利を主張しますから。カルディオス王国の領地でも主張するのではないかしら。」
ハルコートは辛そうな顔をした。自分達だけで取り戻すべき領地をわざわざ他国との連合軍で取り戻そうとする理由を頭からスポンと抜けていた自分に気づいたからだ。
兵士達は考えこんで口を閉じた。
やっと自覚したかしら
「さぁ、行きましょう、ソフィア。」
えっ!とソフィアは驚いた顔をしながらもローザの後をついていく。
ローザは一室にソフィアを案内して鍵を閉めた。
ローザは最初になぜここに来たのかしら。とソフィアに聞き、ソフィアはここには敵兵調査とカルディオス王国を解放するのでゾイフィア帝国には攻めこまないでほしいという降服宣言であった。
ローザはそれを聞き考える。
ローザは戦争はしたくはなかった。
ソフィアの言う言葉は本心かわからないわ、彼女がここに来たのは……どうしてかわからないわ。
考えてもわからないことが多すぎるわ。
これだから戦争は嫌いだわ、ここで間違った選択をしたら私たちは滅ぼされるかもしれないわ。
英雄姫誕生の理由は滅びから救うためだわ、そしてその起因はゾイフィア帝国であるとアキリン様やウノーラ様、そしてアグル様の三神様から警告を受けているわ。
早く決断しないとなにも残せないわ、英雄姫の一人は絶対にアサナになるはずだわ、娘が英雄姫になるかもしれないと思うと心が潰れてしまうほどに苦しいわ。
アサナに辛い思いをしてほしくないわ。
早くこの戦いを終わらせて彼女たちにこの戦いのことなど知られたくはないわ。
「わかったわ、私はあなたの降服宣言を受け入れるわ。ゾイフィア帝国には攻めこまないわ。それでお願いがあるわ、あなたも手伝っていただくわ。」
そう言ってローザがソフィアに振り返った時。
・・・
「それでなんでここにいるんだカフィナ。」
「なに言ってるのシルビアよ、カフィナって誰かしら。」
クスクスと目を閉じて笑うシルビア。
アルブトは兄のバゼブトがカフィナに今回の件を教えられてカフィナはここへやってきたのではないか。
「しらばっくれるのもいい加減にしてシルビア。」
「わかったわ。」
そういうとシルビアはウィッグを取る。
服装も顔立ちも先程とは変わっておりチェック柄の服を着た銀髪のシルビアから青い服に青髪のカフィナへと姿が変わっていた。
「そう私はカフィナだわ、ソフィアには一瞬でバレてしまったみたい。宿屋で話が弾んだわ。」
「ソフィアが来た時の話し声ってソフィアとカフィナだったのか。」
「そうだったわ。」
アルブトはカフィナになぜ来たのか聞くべきかソフィアがなぜ出ていったのか聞くべきか迷う。
顔に出ていたのかカフィナがどうかしたち聞いてくる。
僕はなんでもないと言って歩きだした。
カフィナぎ待たなくていいのと聞くがアルブトは無視して少し速く歩いた。
カフィナはそんなアルブトの姿を見て変わったわ。と嬉しそうに笑ったその時扉が開く音がした。
カフィナはアルブトが行った道へ向いそそくさとその場を後にした。
扉を開けたクレアとダリアは恐怖心にさいなまれたが扉を開け廊下へと出てきて扉を閉めた。
床には全身鎧を着た戦士の姿が描かれている、彼がポログであることを彼らは知っていた。
「無理みたいよ、クレア。」
「そうみたいだなダリア。」
クレアは怒りを露にするため床を蹴った。
それでどうするのとクレアを見て言うダリア。
クレアはダリアを逃がすことしか頭になかった。
ダリアはクレアを信頼していた。彼女は今の現状に不安はないためただクレアについていっているに過ぎなかった。
そんなダリアとクレアの前にアルブトが現れた。
二人は驚きクレアはダリアを守るためナイフを取り出しアルブトに向けて刺そうとするがそれを天井に張り付いていたカフィナが止めクレアの腕を掴み動けなくする。
ダリアはなにが起きたのか理解できず逃げ出した。死ぬのが怖かったからだ。
「どうする追う、それとも殺す。」
カフィナはそう言ってクレアから奪ったナイフをチラつかせる。
それを見たクレアは抵抗するが片手で抑えつけるカフィナから逃げ出せなかった。
「どうするか、放置してみよう。」
「いいのアルブト、放置していいの。」
カフィナはアルブトの決断に驚く様を見たクレアはその異常な反応に心配して抵抗を強めるが逃げ出せなずより力が強くなっていくだけだった。
クレアは知らずの内に涙を流している自分に気づいた。
ダリアはひたすら逃げたが広場のような場所の前で立ち止まり、監禁された部屋へと戻った。
少ししてクレアを連れたアルブトとカフィナがやってきた。
「よかった、生きててよかった。」
クレアはダリアを掴み崩れ落ちた。
「ごめんなさいなの、クレアごめんなさいなの。」
崩れ落ちたクレアにダリアは謝った。
謝るダリアにふざけるなと言いそうになったが押さえ込むクレア。なぜ自分がそんなことを口走ろうとしたのか自分でもわからなかった。
謝るダリアを止めるために口を開く。
「ダリア、なんでここに戻ってきたんだ。あのまま逃げればよかったんだ。」
逃げろよ、せっかくあんなこと言った俺の立場がなくなる。
ダリアはクレアに謝り続けた。
また、ふざけるなと言いそうになったが踏み止まり悪かったとダリアに言いクレアは浴室に向かった。
「まだ泣くみたいだな。」
「そうみたいなの。」
「ごめんなさいクレア。」
クレアはシャワーを浴びながら考えていた。ダリアは逃げ出せなかった理由はわかる。それは周囲の目だ。
それに殺される可能性は否めない。
よって逃げることもできない。助けが来ることもないだろう。果たしてなにが正解なのか……。
「あのアルブトさん、お願いがあります。私をアルブト様の部下にして下さい。二重スパイになりますから。」
アルブトは驚き沈黙が走る。
アルブトは考える、ダリアを信用していいのかそして受け入れたとして僕はなにを頼めばいいのか。肝心な利用法方がわからない。
・・・
要求を受け入れると振り返ったローザ。
その時ソフィアは青い髪となり自分をいじめていた一人が持っていたナイフを持ちローザに向け大きく振りかぶった瞬間だった。
ローザはソフィアの腕を握り1本背負いをした。
地面に叩きつけられたソフィアの腕を後ろに回し縛り上げた。その間にナイフを奪い取りことは忘れてはいない。
「どう言うことか理解できないわ、ソフィアあなたどうしてこんなことをしたか教えなさい。」
ローザは睨むがソフィアはしゃべらずローザを睨みつけた。
これは無理だわとローザは諦めどういうことか理解しようた考えるしかし答えは出ない。
その時ソフィアは自分を縛るロープを外し外へと逃げるために窓に手をかけ外へと出ていった。
キャー!と女性の悲鳴が聞こえローザはソフィアが居た場所を見るがおらず窓が開いていることに気付きそこから外を見るがソフィアはいなかった。
まずいわ、ソフィアを逃がしてしまったわ。誰かが彼女を殺す……わ。と思いそれは違うわと思ったローザ。
しかし、誰かを傷つけるかも知れないのは変わらないため外に出てカルディオス王国の王であるハルコートの元へ向かう。
ハルコートにこの陣内の王達に警戒するように言わないとだわ。
息を切らしてハルコートのいる砦へやってくるとそこには火の海が広がっていた。
どうやってここまでひどい有り様になったのかわからないがローザは歩みを止めることはなかった。
ハルコートがいる砦は木と土で作られた土壁でできた高さ3mの壁が200m程並ぶ場所。
中に入りハルコートがいる二階建ての20坪の家に入る。
私がいる家とはまるで違うわと嫌みなことを思いながら走り続けハルコートの部屋に入るとそこにはハルコートとコラルの二人がいた。
ハルコートは考え込んで知恵熱が出ているわ、コラルは私が入ってきたことに気づいていない。
今回の件の意図でも考えているのかはたまた今日の夕食をなににするか決めているのか。またはここに私が来て私の処分を考えているのかわからないわ。
全くこれだから戦争は嫌いだわ。
ソフィアがあそこにいるのわからないわ。どうしてなのかどうやって上ったのかわからないわ、天井に張り付いている意味がわからないわ。
・・・
カフィナの助言でクレアが来るまで待つことにした。
クレアがシャワーを浴び終えダリアに離れろ!と叫ぶまで三人は紅茶タイムとなっていた。
「さぁアルブト様どうしますね。」
「クレア、ダリアは僕の部下になりたいそうです。あなたはどういたしますか。」
「僕はローザ様にダリアを守るよう命を受けています。またダリアが間違った判断を下した場合彼女を叱咤するようにと命を受けています。そのため少しの間二人だけにして頂けますか。アルブトさん。」
微笑みが怖いクレアとアルブトは思った。そしてクレアの意思を尊重しクレアとダリアだけにした。
ありがとうごさいます。と言うクレアの瞳には鬼が宿っていた。




