第17話 二人と疑惑
宿の隣の家の屋上からソフィアとアルブトの寸劇を見ていたクレアとダリアの二人。
羨ましそうにソフィア達を見るダリア。
「あの二人ってそう言う関係なのかな。」
そんなダリアを見ながら自分達がやることをどう思ってるのか気になるクレア。
「そうじゃないか、ダリア。」
羨ましそうにソフィア達を見るダリア達だったが突然ソフィア達がどこかに消えてしまった。
二人は立ち上がった。
「あれ、いなくなった。」
なんでか気になり周囲を見るが見つからないクレア。
「なんでよ。」
「簡単、こっちにソフィア連れて来たから、どうしたの二人とも。」
「ちょっ、ちょっと!なにしてるの!アルブト!この二人、ロダランペラトル荘興国の最強の二人ダリアとクレアよ。こんな二人が侵入してるなんてだ、誰かーー!助けてーー!」
ソフィアは驚きながらも叫んだ。
嘘っぽいから真剣なのかわからないアルブト達。
「かわいらしい人ね。」
「確かに面白い人だ。」
ソフィアを微笑ましそうな目で見るダリアとクレア。
アルブトはまた始まったと辛そうにしている。
「落ち着いたソフィア。二人は害だけどまだ害じゃないよ。」
ダリア達はアルブトの一言に唖然とした。
ソフィアは危険じゃないのよ、と思った。
それはクレアとダリアも思った。
「えーー、気づいてたの。」
「それ言っちゃダメよ、クレア。」
「あ、ごめんダリア。」
はぁとため息をつくダリア。
「なにしてるのよアルブト、私達を殺すために来たのよ、そうなんでしょ。」
アルブトの胸ぐらを掴んでいるほどパニックになっているソフィア。
「まぁ、落ち着けソフィア。な。」
ダリア達のせいで変な誤解受けている。
ソフィアをクレアがダリアがアルブトを引き離した。
「あなた達私達を殺すんでしょそうなんでしょ。」
と叫ぶソフィア。
「はぁ、ちょっとアルブトどうすんのよ。」
ソフィアがそう言った時にはアルブトの目に殺気が宿っていたためまたため息をつくダリア。
そんなアルブトはクレアに問うた。
「なにしに来たんだクレア。」
クレアは笑みを浮かべながらアルブトの質問に答えた。
「なんだと思うアルブト。」
質問に質問で答えるクレアに一瞬苛立ちを覚えながらも答えるアルブト。
「俺を殺しに来たんだろ。」
クレアはアルブトがそう答えたことに喜ぶように笑いクレアの左後ろにいるソフィアを狙うように左手を後ろに回して言う。
「正解、暗殺に来たってわけ、それで一騎討ちしてくれない。」
ニコニコと笑顔のクレアに警戒しながら見つめる二人。
「こっちにそれを拒否する方法ないけどな、ソフィアが恐怖でああなってるから。」
クレアが振り返りソフィアを見て哀れな人を見る顔をしてそうだなと笑って振り返る。
あれ、アルブト助けに行かないのか。とクレアは思ったが、アルブトはソフィアを助けに行ったら目の前のクレアがなにをするかわからないためその場でじっとしていた。
今こんなことをしているのはソフィアが理由であるため、ソフィアになにか言われるとぶれてしまうためだ。ソフィアは僕がこんなことをしてある意味がわからないと思う。それは僕も同じだけどなぜか安全な気がする。そんな気配がするから。
「わかった、隣に行って始めよう。」
ん、と首を傾げたクレア。
「ここじゃダメなのか。」
視線でソフィアを見るアルブト。
「ダメだ。」
クレアはソフィアを見たことをアルブトの視線でわかった。
「そうだな、隣に行くか。」
そうして隣の宿の屋上に行くアルブトとクレア。
短剣を左手に持つクレア。
剣を持つアルブト。
「はじめようか、アルブト。」
「ああ、クレア。」
「行くよ。」
「ああ、クレア。」
その時雷がクレアに落ちた。
「クレア!クレア!」
ダリアはクレアと叫び心配しながら近づく。
「クレア大丈夫。」
家に潜んでいた伏兵達が出て来た。
「アルブト様、ソフィア様大丈夫ですか。」
「ソフィア様、アルブト様大丈夫。」
クレアとダリアを囲む伏兵達。
「大丈夫だ。」
「大丈夫じゃないわよ。」
「ソフィア様、アルブト様危険です。この二人は我々が対処します。」
伏兵達6人は剣を二人に突き付ける。ソフィアとアルブトはその円の外に出して守る。
「やめるんだ。こいつらにその意志はない。」
「しかし。」
「危害は加えられていない。そいつらは危害を加えていないんだ。そんなやつに危害を加える考えは捨てるべきだ。そいつらは生かす価値があるんだ。」
「わかりました、ですが拘束させていただきます。」
アルブトは怒った顔をしたが納得する。
「それでいい、頼んだ。」
「いえ、あなたご自身で行ってください。」
アルブトはそんなことを口走る伏兵の男を睨んだが躊躇なくわかったと言う。
アルブトはクレアとダリアの二人を伏兵達にもらった縄を使い縛り拘束し終えたアルブトが二人に聞く。
「二人はどうしてここにいるんだ。」
「ミシマの性能調査ってところよ。」
決めつけて言ったソフィア。
「違う、ただの独断でやってきた。」
そういうクレアの顔には覚悟が決まっていた。
「なんのためによ。」
暗殺に来たのよと呆れた様子で答えるソフィア。
「知り合いにあいさつに来たの、シルビアさんって知らないか教えてほしいの。」
「ここの宿の主がシルビアさんだ。」
「シルビィい他国の友達がいるなんてしらなかったわよ。」
「あなたが知らなかっただけなの。」
「そうそう。」
立ち上がろうとしたクレアを兵士が抑えつける。
「宿の主人に会わしてくれないか。アルブト、ソフィア。」
「そうしてくれると助かるのお願いしますの。」
「わかった宿の主人に会わせる。」
アルブトがそう言うとソフィア達は驚きなに言ってるんだと反応したがアルブトが強行した。
シルビアは宿の主人で1階で受付をしているため、クレアとダリアの二人を連れて降りてきただけだった。
「ダリアさんとクレアさん。どうしました。」
宿の主であるシルビアはアルブトに最初に聞くのではなくダリア達に聞いた。
「あんたに会いに来た。」
クレアが言った。
「照れてるのクレア。よろしくシルビィ。」
ダリアが珍しく親しげに話せる友人である。
「もう少し早く来るようにいいなさいダリア。」
「今度からはそうするの。」
「いつもそういうじゃない。それにその姿で来られてもいい迷惑。」
シルビアがそういうのも無理はない。なぜならダリアとクレアは縄で手を縛られた状態でここに来たからだ。
「悪いが二人は拘束させてもらわないといけないからだ。」
アルブトは不服そうにするシルビアを横目に言う。
二人は申し訳なさそうな会釈した。
「なんかあるなら早くしなさい。」
それにお客さんにその姿を見られたら迷惑だわ。
「シルビィさんはああ言ってるの、何回ってあげればなのクレア。」
クレアは気まずそうにシルビアを見たり附せたりとせわしなかった。
1分ほど経ってダリアがアルブトにもう行こうかと言う。
アルブトはクレアを見てもう行くぞ。と言うがクレアは待ってくれと言いもう1分待ったがなにも言わなかったので城へとやってきた。
アルブトは来たくなかったが仕方なくやってきたのだ。
宿の玄関から行こうとしたアルブトにそっからは危険だから他から行かないとダメ、アルブトさんとシルビアに言われ踵を返し屋上に行くとソフィアがミシマを一台呼んでおりそれに乗ってアルブト達は城へとやってきた。
アルブトは来る気がなかった城に来たため貧乏ゆすりをしている。
ソフィアはルンルンでクレア達に問い詰めているが二人はなにも答えなかった。
「ふざけなてないで教えるの。」
ソフィアはそう言うと二人に近づきこそこそと小声でなにかを話した。
二人はソフィアの言葉を聞き驚きながらも小声で二人は答えた。アルブトには三人の会話は聞き取れなかった。
次の日、ミシマ一台が城壁の外の陣地へと出ていった。
それはアルブトが宿の屋上で夜景を楽しんでいるときだった。
ミシマが一台屋上に降りてきた。ミシマの扉が開き出てきたのはソフィアだった。ソフィアはアルブトに会うと泣いて抱きつくのだった。そしてまた中に戻っていった。
その不思議な光景を見たのは誰もいなかった。
ミシマの中にもソフィア以外誰もいなかったからだ。
ミシマが旅立つのを見た後アルブトは宿の私室へとやってきた。ソフィアから渡された紙を見る。
それは封筒だった。
アルブトさん勝手なことをしてごめんなさい。
私は私の正義のために向かわなければなりませんお許しください。
とソフィアの字で書いてあった。
その封筒の中には他にも薬と石が入っていた。
それはマシドの薬とそれを治すための石だった。
袋にはソフィアの字でソフィアと書かれていた。
ソフィアもマシドの薬を服用していたということだ。
それとミシマで出ていくことと関係あるのか。
そんなことを考えていると受付まで来ていた。
そこにはシルビアがマシドの薬を飲んでいた。
アルブトは疑問に思った。ソフィアはこれを飲んでいたのか。
・・・
一方クレアとダリアの二人は城の一室に監禁されていた。
地下牢に入れられているわけでないクレアとダリアの二人は自分達が舐められているのか不安になるほど雑な警備だと思ったが違う部屋などの周囲に10人いるため視線を感じる違った不安が二人にはあった。
二人が監禁されている部屋にアルブトが二人の護衛を連れてやってきて、ソフィアがなにを二人に言って驚いていたのか聞くが答えてもらわなかった。
ソフィアの目的はなんなのかわからない。あれはどういう目的……わからない。
そうかと言って部屋を後にするアルブト。
アルブトが王の間に向かう途中にシルビアと会った。
「悪かったな、手伝わせて。」
「いいけどまさかソフィアがあんなことするなんてちょっと予想外。」
「そうか、アイツが気づいたとしたらわかるだろ。それでなんでここにいるんだ。」
シルビアはなんのこと、と目を閉じてニコニコと笑った。




