第4話 ゾイフィア帝国の双子
ゾイフィア帝国に双子の兄弟が生まれた。
その双子はエリス学園に通っている。
その一人が左腕から一直線に振り落とされた剣を左に避けながらさばき喉笛に突きつける彼はバゼブト。
病弱でベットから動けなかったため、母親に本を読んでもらっており、本の虫となったアルブト。
エリス学園でも図書室に毎日通って本を読んでいる。
授業はあまり受けていないがテストの点数が高いため今の形で学園にいる。
その日はバゼブトが学園で十二人の同じ授業を受けるクラスメイト達と他クラスの人達と総当たりの模擬戦をしていた。
緊張感が学園内の闘技場内を支配している。
バゼブト含んだ12人と相手側の12人が開始の合図を待ちながらはじめての大人数の模擬戦にそわそわしていた。
「では両者準備はよろしいか。」
2クラスの面々を見る審判の先生。
頷いたのを確認すると生徒達の武具や防具の動作確認をする審判先生二人。確認が終わると審判員ではない先生が闘技場の観客席へ移動し小さな端末を操作し、他がまだ開始ではないことを告げる。
他に校庭ともう一つの闘技場の二会場ある。
バゼブトの相手のクラスはムチ使いが二人に槍使いがが三人、杖使いが二人に剣士が三人、扇子を使うのが二人といったようになっている。
バゼブト達は剣士が三人に槍使いが二人、杖使いが二人、棍棒使いが二人。グローブを付けてるのが二人。
この24名が闘技場内にいる。
バゼブトは中距離のムチ使いがいないことに懸念を抱いていた。
これらの武具には付属で特殊な効果を付与すふことができる。
例えば杖であれば相手が痺れる程度の電気を出すことができる。それ以外にも火や水や光を出すことができる。
また、ムチは電気を通して熱を発する装置にもなりうる。
と言った様に電気を使い色んな付属ができる。
バゼブトはクラスのみんなは付属をなににしたか気になるな。と思った。
見方にも隠すのはどうかと今になって思っているバゼブト、しかしその方が面白いとバゼブトが思い他の者も賛成したため今の形となっている。
全会場での準備が整いはじめの合図が出された。
バゼブトに向けてムチが向けられる。
しかし、ムチは少しずれた。
「少しは本気でやってはくれないかな。」
「でも、バゼブトさんとは……。」
「セレナ、これは試合だからな真剣にやってくれよな。」
「でも……。」
「そうか。」
セレナに向かうバゼブトにもう一度ムチが向かうが手にしていた剣で受け止め巻き取っていく。
そのムチが温度を開け赤くなっているのを横目に使役者の元にたどり着き、ムチが巻き付いた剣を掲げ当てるふりをして参ったと言わせた。
巻き付いたムチを剣からはずしてるさいちゅうに槍使いの一人がバゼブトの横腹に向けて放たれたがバゼブトは華麗にかわし槍の柄を持ち、それは反則では。と言うのだった。審判員が無視しているためそうでないことはわかる。
バゼブトは槍を引き寄せ裏拳を決めるのだった。
槍使いが立ち上がり向かってきたところをグローブを付けた女に壁まで吹っ飛ばされた。
バゼブトは味方のグローブを付けた女に感謝を述べた。
バゼブトは剣に巻き付いたムチをすべて取り払い二人を拘束した。
なるほどね。と思ったグローブを付けた女はもう一人のムチ使いを背負い投げをして驚いた隙にムチを盗み拘束した。
二人がムチ使いを拘束している間に剣士二人と杖使い一人が倒されていた。
しかし、杖使い二人と扇子使いと剣士を一人を倒していた。
バゼブトは格闘家かな。と思ったのだった。
そんなことを考えていると剣士二人組に前後を挟まれていた。
それを見て剣を構えるバゼブト。
バゼブトは素直に面前の相手と戦う。
剣を左下から上にあげ相手を切り上げる。
相手は縦にふり下げ対応した。
そんなバゼブトの背中を狙う。
しかし、それを格闘家の女がぶっ飛ばした。
戦闘中の二人は唖然としたが戦いを続ける。
バゼブトの前に雷が落ちた。
横を見ると扇子持った男がいた。
あの扇子で電気を操ってるのかな。
怖いな……怖いな……先に倒そうかな……。
そうバゼブトがよそ見をしていると目前に剣士の剣が首筋に向かっていた。
バゼブトは顔を殴って倒してしまった。
微妙な顔をするバゼブト。
怒っている杖使いのこ、そのこは格闘家の女に倒された。
残りの三人は槍使いが倒していた。
その間にもう一人のグローブの男が倒されていた。
5クラスと戦い、戦果は1引き分け、4勝。
しかし、他は高くても2勝が多かった。
バゼブト達の強さがよくわかる。
「バゼブト様、かっこいい。」
模擬戦が終わり、そう言って来たのはナスターク帝国の王女セレナ。
彼女はバゼブトとではなくアルブトと同じクラスのクラスメイトである。
「ありがとう、セレナ。セレナも可愛かったからな。」
そう言ってセレナを撫でるバゼブト。
「やめて、恥ずかしいじゃないのよ。」
「そうか、すまなかったな。」
「なんてね。嬉しかったよ。それとバゼブト様のかっこいい姿を間近で見れて幸せだったよ。」
そう言うとセレナはハッとして恥ずかしそうに顔を両手で押さえた。
図書室から自室へと向かうアルブトが通りがかった。
バゼブトの戦う姿とセレナとの仲を見て世界の違いから壊したいと思うアルブト。
そんなアルブトを見かけて羨ましいと思うバゼブト。
・・・
その日の夜、王様と王妃である双子の両親から手紙が届いた。
成人したのだから城に戻ってこい。
手紙にはそうかかれていた。
バゼブトとアルブトは明日の誕生日で13歳のため成人となる。
城に行き父と母の言葉を聞きたくはないと思いながらも王族としてそして息子として行かなければならない。
そのため無理言って学校を休み城へとやって来たバゼブト。
王冠を被った国王とティアラを付けた王妃である父と母に呼び出され謁見の間へとやって来たバゼブト。
「バゼブト、お前も今日で成人だ。わかっているだろ。」
「そうよ、バゼブト。あなたは王子なのよ。理解しなさい。」
バゼブトが謁見の間に来て両親が最初に言った言葉がこれだった。
バゼブトはわけがわからず問い返した。
「なんの話でしょうか。父様、母様。」
「退学しなさいって話よ。」
バゼブトは驚きのあまりえっ!と情けない顔をした。
しかしすぐに顔を正し考え込むアルブト。
「待ってください、母様。」
「言ったでしょう、あなたは退学よ。」
バゼブトに突き刺さる現実の刃よりも妄想に駆り立てられるバゼブトは母の話を聞かずに矢継ぎ早に言葉を続ける。
「違います、母様。アルブトはどうなのですか。」
「ああ、アルブト。あのこも退学にさせるわよ。でもまだ本が全部読み終わってないって言ってたから読ませてあげてるの。それまでは退学は見送りよ。」
バゼブトには理解できなかった。
「なぜですか、なぜアルブトだけ特別扱いするのです。」
「特別扱いではない。アルブトには本をたくさん読ませ他国の力を図っているのだ。本はいいぞバゼブト。お前も本を読んだ方がいいぞ。」
本を読んだ方が言いと言う王冠を被った男に睨みをきかせる。なぜならこの中で一番本を読んでいないのはその王様だからだ。
「あなたは黙っていなさいよ。」
「そ、そんなこと言わないでくれ悲しくなるだろ。」
「あんたが悲しんだところで誰も悲しくないわよ。」
「酷すぎだろ、それでも俺の妃か。」
「それだけよ。」
始まった、いつもの二人だ。俺は退学するのか。
バゼブトとアルブトの二人がエリス学園を退学した。
・・・
数週間後。
ナスターク帝国へゾイフィア帝国が攻めてきた。
双子が成人したという理不尽な理由で。
ナスターク帝国の砦の一つミモザ。
ミモザの防壁の上に立つ兵士に向けて200メートルは離れたところから剣を投げるバゼブト、剣は放物線を描きながら砦の防壁の上にいた四人の体を引き裂いた。
「当たった、兄さんすごい。」
「このままでは剣が無くなる一方だがな。」
「弓矢は。」
「馴染まなかったからこれが一番だな。」
「矢だけ投げる。はい。」
アルブトがバゼブトに弓矢の矢を渡す。
バゼブトは戸惑いながらも的に向かって投げ込む。
なぜか三人を貫いたが見なかったことにした双子。
「矢、効率良し。」
「そうだな。」
「敵地攻めない勝てない。」
「そうだな。お前はもう少し話せるように会話をしないとだな。」
「うるさい、兄さん。」
「悪かったな、でも誰かと会話しないとダメだからな。アルブト。」
「それより、前。」
アルブトに言われ前を見るバゼブト。
「敵来た。」
敵軍が迫ってきていた。
弓兵に指示を出し矢を放たせる。
敵兵が次々と倒れていくが一番前の弓兵の側まで来たため後ろに移動させ槍と盾を持った兵士を前に出させる。
そうして半分程やって来た兵士が倒れたのを確認し少しホッとしたバゼブトの元に一本の剣が投げられた。
それはバゼブトが投げた剣だった。
バゼブトは頭の上を通りすぎたそれを拾い上げた。
うずくまるアルブトを見て疑問を問いかけた。
「なぜアルブトはここにいるのかな。」
アルブトは怒って言葉を返えした。
「仕方ない、僕の役目。」
しかしアルブトにまだ疑問が残るバゼブト。
「そうかな、ならなんで前線にいるのかなアルブト。」
「仕方ない、兄さん一緒の方安全。」
アルブトはうずくまりながらもそう言うため納得できずにいるバゼブト。
「説得力がないな。」
アルブトにあきれるように言うがその表情は笑っていた。
「兄さんいいの。」
「なにがかな。」
「兄さん、セレナさん殺せる。」
そんなこと考えてたのか、はぁ。殺すわけないだろ。
そこまでしなくてもナスターク帝国を落とす方法はあるからな。
「殺さない。でも仕方ない状況ができたらそうなるかもな。」
「兄さん、わりきれる。」
「現実はわからないけど今はそうかな。」
「そうなら僕、この状況なれないといけない。」
意気込んだアルブトに向けて雷が落ちたがバゼブトが剣を投げてギリギリ当たらずにすんだ。
「なにする!兄さん。」
助けたんだがな……。
「行ってくる。」
アルブトはミモザ砦へ向けて進んだ。
バゼブトはアルブトが心配で叫んだ
「俺も行く!」
そんな心配を余所に叫ぶアルブト。
「兄さん待ってて僕一人だけ十分。」
「わかってる、護衛としてついていくだけだからな。」
「わかった。護衛よろしく兄さん。」
「おう、まかせとけよな。」
本当は一人だけでは不安なアルブトはバゼブトの同行を許可した。