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世界は一度終わっている  作者: 小松ちゃん
第三章世界大戦 1節戦闘と討論
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第3話 逃走と決闘

神殿の地下牢を脱出したアウル達。

彼らは村を抜けて森へと入っていく。


「ちょっとどういうことなのキルド、説明して。」

「すぐにわかるからついていこうじゃないか、ツサキク。」

アウルが髪をかき上げながら言った。

「あんたは黙っててアウル。」

アウルはそう言われて一番後ろを歩く。


「ねぇどうしてなのキルド。……どうしてサキを探さないで森の中に入ってきたの。」

「それはこのシロが説明しましょうツサキクさん。」

そう言って現れたシロをツサキクがげんこつを食らわせた。

げんこつを食らったシロは頭を押さえて痛そうにしゃがんでいる。

どういうことなのか説明してシロ。とツサキクが怒鳴るとシロが倒れた。

アウルが蹴ったためだ。

「いたいじゃないですか。アウルさん。」

「うるさい、早く案内しろ。」

アウルもシロに怒っていた。

シロはなんでアウルさんまで怒ってるのかわからなかったが仕方ないから案内することにした。


シロに案内され連れてこられたのはあいつらのところだった。シロはあいつらの治療をしていたのだ。


「どういうことなの。説明して。」

森の人達を治療するシロを見て説明を求めるツサキク。それに答えるキルド。

「シロに聞いたらゾイフィア帝国はまだ滅んでいない。これから最後の戦争が始まる。それに参戦させようとしてるのがここにいるやつらだ。」

しかし、説明が足りなかった。

「だから。」

ツサキクの言葉に意味わからなそうに復唱するキルド。

「だから……だから……あいつらが協力してほしいと言ってるわけだ。」


「だから。」

「だから……だから……少しは協力すべきと考えてるんだ。」

「そうだったの、だからって賛成しない。私はサキが心配だから牢に戻る。あなたがそうしたいなら私たちを巻き込まないでほしいの。」

「待て。ツサキク。今戻って捕まったら次どうなるかわからないぞ。それでもいいのか。」

「どういうことなの。」

シロを見て言うアウル。

「あいつが怖いってこと。」

シロを見て、先日の村の会議を思い出しどうなるかわからないことが理解できるため静かに座り込むツサキク。

「離して、私もここに残る。」

「わかった。」


・・・


キルドに罵詈雑言を浴びせる難民達。

「何用で来た。」

「食料を分ける気にでもなったか。」

「人殺し。」

シロは怪我人の治療に向かっている。


キルドが土下座する。

「俺はここに謝罪しに来た。すまなかった。謝って許されることじゃないこともわかるがこれ以上村の代表としてすることはできない。本当にすまない。」


「なに!」

やってんの!とツサキクがキルドの態度に怒ろうとするのをアウルが止めた。

「離して、アウル。」

そう言ってアウルの制止を振りほどいてキルドのもとまでやって来たツサキク。


「キルド、なんで謝ってるの。そんなことしたらどうなるかわからなくなるの。その覚悟でやってるの。」

ツサキクは怒っていた。それはこの場所に来た時からずっと。そして今はそれ以上にブチギレていた。


しかし、キルドは何も話さない。

「・・・」


「アウル、シロ、キルド。ごめんなさい。私は村に戻るの。サキが心配だから村に戻ってるの。ごめんなさいなの。」

ツサキクが難民達を睨んで村へと戻っていった。

それでもキルドは土下座したまま動かなかった。

シロは怪我人の治療にいそしんでいる。

「ツサキク。」

アウルはツサキクの名前を言うだけで立ち止まっていた。


「アウル、そこで立ってないでツサキクを追いかけて。それとこれも一緒に持っていって。」

シロに命令されるのはしゃくだがシロに渡された物を見て気が変わり急いでツサキクを追いかける。


シロとキルドの二人はアウル達二人に託すことにした。

この後起こる二つの大戦の勝敗を。


・・・


「予想通りの展開になりましたげどどうですか、キルドさん。」

お前にはずっとムカついてんだ。シロ。

「お前の掌に脅されるほど二人は甘くはないぞ。」

「そうですか、さてどうなるでしょうか。」

本当にお前ムカつくだよ。


「我々の部隊が貴様らラプオビの村人を殺すに決まっている。」

難民の若リーダー、お前はゾイフィア帝国を手に入れてなにをするつもりだ。


「久しぶりだ、若様。シロに伝言を頼んでゾイフィア帝国を攻めるのになぜ俺らの力がいるんだ。お前らだけで十分だろ。」

今の弱体化したゾイフィア帝国ならお前らと他国の連合軍が協力すれば滅亡させるのは容易なはずだ。

それなのになぜこんなことをするか。

それは……。

「黙っていろ。操り人形になるやつに話すことなどない。」

「お前らに一つだけ忠告があるんだ。知ってると思うがこの星は増えすぎて生存権のトップを勝ち取った者達に容赦はしないんだ。覚悟するんだ、若様。」


もう役目は終えた。皆この星から逃げるんだ。

頼んだ、ツサキク。アウル。お前らはラプオビ神殿の希望だ。シロ、すまない。


「それが遺言でいいか。」

「好きにとらえればいいんだ。こうなったらどうなるかくらいわかってたんだ。」

「そうか。」


・・・


ラプオビへ戻ってきたアウルとツサキクの二人。

「どうするか考えないといけないの。あれは神殿の装備の一つの壁なの。」

ツサキクが言ったようにラプオビの周囲には人が入りづらいように周囲に8メートルはある塀ができていた。


「ああ、あれをどうにか乗り越えないといけないし、壁の周囲にいる難民達にバレてもダメ。面倒。」

「わかってるから考えてるの。」

もう一つ、アウルの言ったようにその周囲に難民達が陣取っていた。それをどうやって攻略するか考えるアウルとツサキクの二人。

そこへ、誰かが木を伝ってやって来た。

「そうか、ならお前らを生け贄にすればいいよな。」

そう言われてから後ろの追手に気づいた二人。


アウルがツサキクと合流した時点で難民達の策に気付き戻ろうとするのを必死でアウルが止め、二人で追手を倒していた。

「まだ生きてる人がいたの。ビックリなの。」

「全く。俺の完璧な仕事に……泥を……塗るな!」


そう言ってアウルに放り投げられた難民の追手が壁に穴を開けてしまった。

「ちょっとなにしてるの、アウル。仕方ないからあそこから入るっていくの。」


アウルが開けた穴から入ってきたアウル達。

少しして穴が埋まった。その間に少し時間があり難民が二人埋まり、二人が侵入に成功した。後一人、壁を開けた者はアウルが壁の外に戻した。


「やっぱり入ってきたじゃないの、アウル。」

「穴開けたらダメか。」

さらに穴開けたら大変なの。

「当たり前じゃないの。」

「わかった、任せて。」

任せてというアウルを殴ってあんたに任せられるわけないじゃないのというツサキク。


槍を持つ二人と素手で戦う二人。

槍を突く前に急所を叩いて壁の外へと追い出す。


追放が終わったため神殿の地下へと進む二人。


やっと来たと歓迎される。

シロとキルドは来ないと指示されていたそうだ。


「ここまで人が入ってるのはちょっと予想外だったの。」

「外に人がいないから当然だろう。」

地下には20人もの人達がいた。

村人を人質に取ってるといわれたために素直についてきたアウル達。


「全員捕まったの。」

「ああ、何とかしないとだけど。策はないな。」

「そうなの。どうしてなの。」

疑問に思って聞いたら村人の一人が話してくれてシロが壁を起動したのを合図にどこからか難民達がラプオビ内に出てきて神殿を占拠したそうなの。

それからは武器がないからなし崩し的に捕まり地下牢に全員入れられて今に至るそうなの。


「なるほどなの。」

そう言うとツサキクが立て膝をついて手を合わせて祈りを捧げた。周りの人達も同じ姿勢で祈りを捧げる。


それを見張りが見るが無視した。

それが自分達にどう影響するかしらずに無視してしまったのだ。


一人の子供が動き始め、村人達を見張っていた見張りの二人を大人にも見えない速さで瞬時に横に倒し、続々と地下の見張りを倒していき全員を壁の外へと追い出した。

「なんでなの。」

帰って来た一人の子供にツサキクが言った。それはサキだったのだ。その現実にツサキクは後悔した。

前は自分がそうだったのに自分の子供が奇跡になってしまったことに悲しむツサキク。


サキに戦う術を村の皆で教えて1日、森へキルドを助けにアウルとツサキク、そしてサキの三人で進む。


森の中に入ってすぐにサキは疲れて眠ってしまった。

徹夜漬けはさすがに一才にもなっていない子供にはキツすぎたようだ。


そもそもこんな小さな子供に村の命運をかけて鍛練させるのもどうだろうかとも思ったものもいるだろう。


・・・


森で難民達と会うツサキク達。

「命乞いでも言いに来たのか。」

難民の若様は笑みを浮かべながらそういった。

それを見てツサキクも笑って声を出す。

「その薄ら笑いはまだ早いんじゃないの、若様。」

若様と言われた難民のリーダーは笑みをピタリと留めツサキク達を品定めするように睨み付ける。


「気持ち悪いの。」

「ああ、気持ち悪い。嫌な視線だな。こちらの力を目で探ってるのがよくわかる。」

二流、いや三流と思いアウルはまばたきをする。


「なんでサキがここにいるんだ、ツサキク。」

「貴様!誰の許しで声を発している!」


懐かしい声が聞こえて安堵するツサキク。サキは目をパッチリと開けて声のした方を見た。

そこには、首輪を付けられ犬のような四つん這いの姿勢でいるキルドがそこにはいた。


「難民のリーダー若様、決闘を申し込むの。」

「ツサキクがやるのか。俺がやるぞ。」

なに言ってるのと言った視線でアウルを見るツサキク。

「条件は。」

「取引なの、こちらの要求は不可侵と仲間を生きて返すことの2つなの。」

「それだけでいいのか。わかった。」

「いいの、あなたが勝ったらそう言うことになるの。」

「は!なに言ってる。お前が勝ったらだろ。」

「いいえ、あなた方が勝った場合ですの。」


「そういうことならこっちも条件を加える。お前らが勝ったら全員俺の手下だ。いいな。」

「それではこちらの要求も変えさせてもらうの。あなた方が勝ったらあなた方は私達の手下ですの。それでどうなの。」

「了解した。」


「さぁ始めよう。」

若様が前に出たがツサキクは出ていかない代わりにサキが出ていった。


「この二人で決闘を始めますの。始めなの。」


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