第142話 船と海賊と戦争と
二人が連れて来られたのは扉その奥は船の中だった。
それはムラサキがこの世界へとやって来た宇宙船だった。
「これがあなたがここで女王として君臨する理由。」
「そうじゃ、ここが我が家じゃ。ここになる医療技術や調理技術でここの人達の心を奪ったのじゃ。」
どうじゃとドヤ顔をするムラサキ女王。
「ムラサキ女王はどこにいてもお人よしなのーー。」
「うるさいのじゃ。そういうウノーラはこんなところで姿をさらしてなにをしておるのじゃ。」
ムラサキ、もう一回言わないとわからないのーー。
「さっきも言ったのーー。」
サキの似顔絵を見せたウノーラ。
ムラサキはそれを見てウノーラの目的を理解しした。
「その娘はカシン王国のニスフルって種族の国にいるのじゃ。」
「ニスフルにサキがいるのーー、わかったのーーありがとうなのーー。」
「ちょっと待つのぅ。」
ムラサキは話してる間作っていたものをウノーラ達の前皿に盛って出す。
「この人が作った物を食べたくないの、ウノーラ。」
「チャーハンなのーー、いただきますなのーー。」
ウノーラが提供された食事を食す。
「ちょっとなにしてるのよ、ウノーラ。」
「やっぱりムラサキの作った料理はおいしいのーー。」
そうして食べ終わったウノーラ。
アンは終始食べなかった。
「先に失礼するわ、ウノーラ。」
「待つのじゃ、食事を粗末にするなんてなに考えてるのじゃ。」
「ごめんなさい、私それは食べれない。自分で食べて。」
「アンはこういってるのーームラサキ。許してなのーー。もうアンと一緒にニスフルに行ってるのーー。」
「いってらっしゃいじゃのぅ。ウノーラ。」
アンもなのぅ、あなたたちには期待してるのぅ。
「やめなさいなのーー、ムラサキ。」
ムラサキがアンを羽交い締めしようとしたのをウノーラが腕を掴み止めた。
「ちょっとぐらいいいじゃないかのぅ。」
ウノーラの目はつり上がり歓喜に満ちていた。
それを見るウノーラはムラサキの海賊として一面を垣間見て恐怖と怒り。
そしてなによりウノーラが思ったのは感謝だった。
「いいわけないじゃないのーー。」
「ウノーラ、どういうこと。」
アンは軍人の一人だったのにそのみる影もないくらい乙女になってるのーー。
「あんたはここで捌かれて売られそうになってたのーー。」
捌かれて売られるって、え、どういうこと。
「ここはキッチンなのーー。そしてここが解体場所なのーー。」
そんなところで食事なんてできないの。ウノーラ、ムラサキ。
食事を提供されても食べられないからね。
「それで食べたくないね、ウノーラ。」
「そう言わないのーー、だから殺されそうになってたのーー。」
うん、それはごめんなのウノーラ。
「うるさいね、ウノーラ。」
アンの手を安心させるために持つウノーラ。
「そう言うことだからもういいかななのーー、ムラサキ。」
「反省の色が全く見えないし君の顔が見えないのじゃ。それでもいいのかのぅウノーラ。」
好戦的なのーー、怖いのーームラサキ。
「当たり前なのーー、アンとムラサキから逃げてみせるのーー。」
「やっとここからでれる、こんな墓場になんか二度と来たくないの、ムラサキ女王。」
「ほう言ってくれるのぅ。では号令じゃ!この者達を殺すのじゃ!さらばじゃアン、ウノーラ。」
アンとウノーラは蹴られ船から出され、船は扉を閉めた。
退路は一本の廊下だけ。逃げられるか自信があまりないウノーラ。アンは絶望的ね、ウノーラと思った。
「大丈夫なのーー。」
・・・
ウノーラは上に向かって飛び上がり剣を両手に持って切り捌く。
「上も大量なのーー。」
ロープを降ろすウノーラ。
アンはそのロープを登って行く。
ウノーラは上の敵を殲滅していく。
少しずつ床に刺したロープの固定具が動いていくのを止めるがローブの耐えられない程に人が上がってきた。
切れそうなのーー。
そう思いウノーラは下を見るとアンは半分ほど登ったところだった。
ウノーラは決意を固め下に降りた。
アンは驚いてキャーと叫んだ。
「うるないのーー。」
ウノーラがアンのいる場所までやってくると横の壁を切り砕く。
「行くのーー。」
「はい、ウノーラ。」
ウノーラは道を作りながら進んでいく。
・・・
ウノーラが道を作って進んでしばらくたったの。
後ろにはウノーラの使えなくなった剣がたくさん埋まっていて、地面を安定させている。
「そろそろ限界よ、ウノーラ。自分も傷付けてたら意味ないの休憩しないといけないの。」
「うるさいのーー、なんでこうなってると思ってるのーー。」
あなたのと言うウノーラの顔を見ながら後にある剣を抜くアン。壁は崩れずそのままを保っており剣はアン達の元へと全て戻ってきた。
「あなたのせいね、ウノーラ。もう少し他人を信用しなさいね。自分任せだけじゃ意味ないの、ウノーラ。ムラサキみたいに人に頼るべきは頼らないとダメなの。」
戻ってきた剣をウノーラに渡しながら説教するアン。
「そうなのーー、その通りなのーー。少し休憩するのーー。」
休憩という名の作戦会議を終え上登るウノーラとアン。
そこには敵が待ち構え炎を空いた穴に打ち込まれていき下には地面と剣を突き刺した剣山をせり上がらせていく。
地面が上りきったときそこには誰もいなかった。
アンとウノーラはアンの力を使い違う穴から出てきた。
「行くの、ウノーラ。」
「また会おうなのーー、アン。」
二手に別れて逃げていくウノーラとアンの二人。
ウノーラは人を見かけたら切り殺して行き、アンは壁を作って逃げていった。
合流地点はこの建物の最上階。それだけ決めたウノーラとアン。
上階へ上っていくアン。
外から頂上にやって来たウノーラ。
ウノーラは頂上で敵に狙われていた。
敵兵が炎を放っていく。
敵兵の一人がゆっくりとウノーラに近づいていく。
「おい貴様なにをしている!」
「殺すなら直接殺すべきだ。」
そう言って近づく兵の一人。
ウノーラはその兵に進んでいき喉をかっきった。
「ウノーラ、痛い。」
「いいじゃないのーー。」
ウノーラを狙っていたのはアンだったのだ。
アンは喉を切られた。
しかしそれはアンの能力によりできた顔で首まで覆っていたのでアンは死なずにすんだ。
「生きてたんだからいいじゃないのーー、アン。それより逃げるのーー。」
アンに空に道を作ってもらいカシン王国はニスヘルに向かうウノーラとアン。
・・・
カシン王国のニスフルへとやって来たウノーラとアン。
サキを探そうとするが紛争で人を探すどころか人に話しかけるのが困難だった。
「本当に紛争中ね、ウノーラ。」
「そうなのーー、サキが見つかってほしいのーー。」
サキ死んでるかも知れないのーー。こんなに激化してるとは思ってなかったのーー。
ニスフルは対岸と戦争をしていた。
「ここから先は前線みたいだから引き返そうウノーラ。」
「敵国に行きたかったのーー。」
サキがいるかもしれないのーー。
「戦争中に気軽に隣国にはいけないの、ウノーラ。」
「そうだけどなのーー。」
サキが心配なのはわかりますけど今はカシン王国は大変な時期なことも理解してくださいウノーラ。
「でも行けるところはあったのーー。」
「あそこら辺は同盟国みたいね、ウノーラ。この対岸は敵国だから行けないみたいね。」
なんであんなに同盟国の将軍と話してたのにそんなこと言えるのか不思議なのがウノーラね。
「どこも人が少ないのーー、本陣がどこかにあると思うから探したいのーー。」
そこまでしてサキを見つけたいのウノーラ。
気持ちはわからないでもないけどやりすぎじゃないのウノーラ。
「なにいってるの、ウノーラ。戦争しにきたわけじゃないのわかってるの。」
「うるさいのーー、サキを探すには権力者に会うのが一番なのーー。」
なに言ってるの、意味わからないウノーラ。
サキを探すのに権力者に会うことって意味わからないのウノーラ。
「この国なにかあるの、ウノーラ。」
サキに関してなにかあるの。
「あるのーー。ここは一時停戦状態になってたのーー。それがサキがここに来た時、つまり暗闇の世界からこの世界にくるまではこの国も平和だったのーー。」
「どうしてサキが来たら国が荒れるのウノーラ。」
「それはこのカシン王国は全員が王じゃないのーー。王は一人ユキヤなのーー。」
「あれ、ユキヤさんってあの森林共和国にいるユキヤさん。」
「そうなのーー。」
そんなユキヤさんが王様ってどういうことなのウノーラ。
「どうしてユキヤはカシン王国って自分の国があるのに森林共和国にいるの、ウノーラ。」
「それはユキヤの趣味なのーー。」
ユキヤは森林共和国にいる種族のエルフが好きらしいのーー。自国の政治をサキが選んだ人に任せるなんて身勝手なこと言ったのーー。
それで意味を理解するために占い師に聞いたのーー、サキがいつかやってくるから誰がいいか決めようって話し合いをしてたけど決まらなかったのーー。
そして時がたちサキがやって来たのーー、それでサキを探しててそのために賊国を利用してサキを連れてきてサキを求めて領主たちは自分が王だって言って今紛争してるのーー。
趣味ってかわいそうなのウノーラ。
「趣味でも国に帰ってこないとダメじゃないのウノーラ。」
「そうだけどなのーー、ユキヤはこの国の主はサキが決めた人って決めたのーー。」
ますます自国にユキヤ本人がいたほうがよくなったの、ウノーラ。
「アンの言いたいこともわかるのーー、でもなのーー、ユキヤも譲らなかったのーー。それでこの王国の人達は考えて占いに頼ったのーー。」
「それでサキがいつか来てサキが選んだ人が次期王になるって決まってサキを賊国に頼んで連れてきて紛争中ってことなの、ウノーラ。」
「その通りなのーー。」
理解したの、それならどこかに行けばサキの居場所がわかるかもなの。
「ちょっと聞いてくるの、待っててなの、ウノーラ。」
「わかったのーー。」
「なんなの。話聞いてみたら向こう岸に行く方法がないだけで行ってもいいみたいなの。それにそこにサキがいるかもなの、ウノーラ。」
サキのことも聞けたの。向こう岸に花嫁の格好をしたお嬢さんが身投げしたそうなの。
絶対にサキなの。
「そうなのーー、なら行くのーー。」
「行くの、ウノーラ。」
そう言ってアンが向こう岸に向かって橋を架ける。
その橋を意気揚々とわたっていると船に囲まれてしまったアンとウノーラ。