第19話 盗み食いのイレン
えっ!なんでサキちゃん(サキ様)叫んでるのね(のよ)。
「ごめん、なさい。」
「大丈夫よ。サキ様。ちょっと驚いただけだから。」
「うん。ありがとう。なら、質問に、答えて、くれる。」
と上目づかいで聞いた。
「「「可愛い~~!」」」
そんな三人の反応を呆れて無視を決め込んだパラレは先客がいることに気付き声をかけた。
「あのすいません聞きたいのね。」
「何をかしら。」
おさげだったから女性かなと思って聞いたらハスキーボイスでがかえって来たので驚いて固まるパラレ。
「お嬢さん。大丈夫。お嬢さん。」
と優しい言葉がハスキーボイスでかえってくる。石になったと自覚するほどに固まるのね。
それを聞いていたサキたちも驚いて固まっていた。
最初に戻ってきたのはアキリンだったというよりアキリンはずっとみんなが動かないからノリで動かなかっただけなのだが。
「ね~~、名前なんて言うの~~。」
「イレンって言うの。あなたのお名前は。」
「アキリンって言うの~~、よろ、しく~~。」
「よろしくお願いします。」
背中を曲げてお辞儀するイレンと名乗った人。
「イレン、イレンっていうの~~、なんで~~ここに~~いるの~~。」
「恥ずかしい話なのですが食堂の食べ物を盗みました。なので、ここに。」
恥ずかしいかな。
「どうかしたの。サキ様。」
「いつからいるのかなって思って。」
「私が……ですか。」
「聞いてもいいなら。」
「1ヶ月間ここに入っています。」
「食べ物盗んだだけで1ヶ月ここにいるってことなのね。もしかしたら半年ここにいるってことになるのね。いやなのね、いやなのね、いやなのね。」
「食べ物盗んだら1ヶ月は普通だと思うけど違うの。」
「1ヶ月は普通ね。長いところだとね、3年から6年ね、牢屋に入っていることがあるからね。」
「3年。」
「あなたたちは3年間もここにいることはないよ。でも、1ヶ月はここにいるかも。」
「1ヶ月ね~~それなら~~全然~~入れる~~。サキちゃんと一緒ならね~~。」
「アキリンさん。何年いれますか。」
「ん~~ん、4年~~ん~~4年かな~~。」
「4年なら良かった。20年とか言われないかビクビクしてたから。」
「20年~~サキちゃん見てると飽きちゃうから~~4年たったら~~1年会わない~~でも1年サキちゃんと会わないのはいや~~だから半年間休んで~~4年会う方がいいから~~そうやって20年サキちゃんと付き合っていく~~。」
サキはん~~、と悩んでいる。
なんでアキリンさん、気持ち良さそうに寝てたのに起きて話に入ってきたのかなと思った。
「どうかしたのね。サキ様。」
「疲れちゃったから寝る!おやすみー。」
「「「おやすみなさい、サキ様!」」」
もう寝るんだと思いながらもおやすみと言った。
「ちょっとい~~い。」
「なにね。」
「ここどこ。」
「「えっ!」」
時間結構たったのね。なんでここがどこだか知らないのね。アキリンさん。ほんとうにサキ様が可愛いのかななのね。
「ここはロダランぺラトル荘興国ね。」
「ロダラン~~それとも~~ぺラトル~~どっちなの~~。」
「ロダラン荘興国です。アキリン様。」
「ロダラン荘興国~~やなとこ来ちゃた~~。どうしよう~~、どうしよう~~。」
「アキリンさん。年貢の納め時なのね!」
「なんで~~。」
「アキリンさん。本当にアキリンさんなのね。」
「そうよ~~!なに言ってるの~~。パラレ~~。」
アキリンさんの言う通り、なに言ってるのね。年貢の納め時ってほんとうになに言ってるのね。恥ずかしくなってきたのね。・・・どうしようなのね。
「起きたね、アキリンさん。もう大丈夫。」
「サキちゃん成分もらっ…ではなく~~、可愛い子に会ったから気分よくて~~はめはずしちゃった~~。テヘ。」
このな普通の二倍ある胸にサキちゃんの残念…ヒィ!怖い!怖い!、はあー、貧乳ちゃんには押し付けられ続けられるのはつらいよね。アキリンさん、サキちゃんの反応わかっててやってたね。
「アキリンさん。」
「な~~に~~。」
「サキちゃんのこと、サキちゃんの反応がおもしろいから遊んでたわけじゃないよね。」
「なに言ってるの~~。」
よたったね、サキちゃん面白がられてたわけじゃないみたいでね。
「おもしろいからに決まってるじゃん~~。」
・・・えーー。アキリンさん。えー。そこは嘘でもちがうって言ってあげないとダメだと思うね。
ゴメンね。サキちゃん。
サキちゃんよりアサナちゃんが怖い。
「なんでここがどこかなんて聞いたの。アキリンさん。」
「ここがどこだかわからないから~~。」
「サキ様にしか興味がなくて。」
「そうよ~~。」
そんな軽い感じでいいの…。そうは思ってもアキリンさんだからいいのか。いいの、かな。
「アキリンさん。そんな軽い感じで今までいじめあわなかったの。」
「いじめ~~ないない。だから~~大丈夫だよ~~。」
「無視されてたってことはないよね。」
「無視は~~よくされてたよ~~。うざいからだと思うけどね~~。」
「無視はあったわけね。」
無視………は…………あったわけね……。無視してない人が何人いたのか気になるね。
「これ、どうぞ。」
野菜たっぷりのスープが入った鍋と人数分のお皿を渡されたね。
渡してきた人はお皿を一つ取って鍋に入ったスープを盛り付けたね。
「いただきます!」
なぜか紙のスプーンで食べ始めたね。
「自分も食べるのね。案内人さん。」
「・・・」
そこじゃないと思うよ。パラレ。スプーンの方聞いてよ。
「これ食べてもいいのね。」
「・・・」
黙々と木のスプーンで鍋に入ったスープを人数分お皿に入れていくイレンさん。
「いただきます。」
木のスプーンを使ってスープを飲むイレンさんね。
「パラレ、はい。」
「あ、ありがとうなのね。」
鍋に入ったスープが入ったお皿を渡されたのね。
「「「いただきます!」」」
「食べ終わったね。」
「終わったのね。」
使いずみのお皿が積み上げられている。鍋は後一皿分入っている。
「ちょっと~~残ったみた~~い。」
「そうか、そこの寝てる、え…とサキ…だったか。その子は食べなくていいのか。」
「寝てるからね。食べたくなったら起きるからね。」
「まだいらないってことか。」
「そうだよ~~。」
「なら、置いておこう。」
「ロリアルさん。お皿持ってこないといけないと思うよ。」
案内人はロリアルと聞いて、声のする方を向くと目を見開いて驚いていた。
「ロリアルさん。」
「イレンさん。ここでなにを。」
「ここでなにを、なに言ってるの。盗みをしたからここにいるのよ。」
それを聞いて驚いて唖然とするロリアル。
「イレンさん。ロリアルってこの人の名前ね。」
「そうよ。」
「イレンさん。ここ出てもいいって20日くらい前に言わなかった。」
「言っていました。」
ならなぜここにいるのっと起きているイレン以外が思った。
「ここにいないで家に帰ってください。」
「いいじゃない。まだここにいたって。」
「イレンさんがいいなら良いですが。」
「イレンさん。ちょっと。」
と言って手招きするアキリンさん。
先程までの~~がないからどうしたのね。
「なんでしょう。アキリンさん。」
「イレンさん。ロリ…アル邪魔だから~~どっかやって~~。」
「お皿とスプーンを持ってきてもらってからで良いですか。」
「今すぐでもいいよ~~。サキさん。まだ起きないと思うから~~。」
「そうですか。」
ヒソヒソとロリアルに聞こえないように話し合う話も終わり、ロリアルに向き直るイレンさん。
「ロリアルさん。鍋もっていっていいよ。」
「わ、わかりました。」
と言うとまだ驚いており、たまにこちらを見ながらも鍋とお皿を持っていった。
「なぜロリアルを追い出したの。」
「冷静に聞いてね。イレンさん。」
「あ、はい。」
冷静よ、言われなくても。でも、大声を出してしまうようなことなんだろうなとナタレちゃんと呼ばれる人が真剣な顔で言うし、アキリンさんも真剣なので真剣に聞こうと背筋を伸ばす。
「いいね。」
寝ているサキちゃんを除いて全員が頷いたね、話すのはアキリンさんだけどね。
「アキリンさん。なにか話があるよね。」
「・・・」
白い目で見られているけどね、気にしないね。
「二人とも話すよ~~。」
「どうぞなのね。」
ナタレさんが話すわけないってロリアルを追い出したことからわかるのにナタレさんを見てはかわいそうですよね。
「良いですよ。」
「サキさんを
・・・・・・。
しようと思ってるの~~どう思う~~。」
イレンとパラレはポカーーンと驚いて声も出せずにいる。
「冷静にね。」
思い出したように言った。
「冷静にって大丈夫なの。」
「大丈夫だよ~~。」
「大丈夫なら、いいよ。」
と笑顔に答えるアサナ。
それでいいのね、と思うナタレ。
パラレとイレンの二人はまだ思考の渦から抜け出せていない。
「なんで最初に言ったことやらないといけないのね。」
まだなっとくしてないようだけど抜け出したパラレは言った。
「それは・・・。」
「なんでそんなことするんですか!!ひどいです!ひどいです!」
と怒っているイレンさん。
「大丈夫よ~~、一流だから~~。」
「それで納得できないですから!!」
泣きそうになりながらも怒るイレンさん。
「そんなの可愛そうよ。」
と呟くと泣き出してしまった。
「どうしよう~~。」
「どうしましょうね。」
「どうするよ。」
「サキ様大丈夫なのね。」
「大丈夫~~、大丈夫~~。元気元気~~。」
「元気元気なのはアキリンさんだけね。でも、大丈夫なのはほんとね。」
「ほんとうに大丈夫なのね。」
「大丈夫ね。」
たぶんね。と言ったらね、イレンさんに続いてパラレまで泣きそうでちょっと怖いね。