第133話 殲滅と破壊
メフザトの放送を聞き艦長室にやって来たアン達であったがサタセトが扉の前に佇んでおり殲滅か撤退かを質問しアン達の答えは三対三の同率となったがそれはユワトが票を最後に入れたため。
そのことに怒ったユワト。であったが最後の一人メフザトは殲滅であることを知るサタセトがユワト達を扉の向こうには行かせないと立ち塞がる。
果たして勝つのは・・・。
撤退のサタセトか。
殲滅のユワトか。
答えは二つに一つ。
その開戦の火蓋はアンが執り行い手を下にさげ開始の合図を送った。
結果は一瞬の一撃で決着がついた。
ユワトは炎を前に放った。
サタセトは能力を使わず防御に専念した。
その結果敗北したサタセト。
攻撃しないそれこそがサタセトの意思でありゼベドの意思だった。
ゼベド戦うことから逃げることはもう叶わぬ夢だったと思う。
リリワトを戦いから遠ざけようとしていたはずなのに戦いに参戦させたばかりか最初に殺されてしまった。
なにが間違いだった。教えてくれリリワト、俺は間違いをおかしたのか、なぜお前が最初に殺されなくてはならなかった。
もっと早く戦うことの無意味さを知っていればよかった。
そう涙を流しながら思うサタセト。
「なに泣いてるサタセト。倒したんだから参ったと言え。仲間を殺すのは気にくわない。」
「え、俺燃やされたじゃないのか。」
「レトトがいるんだからそれぐらい治せる。」
「あんまりむちゃされたくはありませんが覚悟は伝わったそうです。それがあなたが生きている理由ですサタセト様。」
「そうなのか、ユワト。」
「さっきも言った通り、仲間を殺すのは気にくわないただそれだけ。」
「そうか、そうなのか。感謝する。」
ユワト。
「この扉の先はその選択の覚悟が本物か試される。しっかりとメフザトの話を聞きなベビロト。」
「なんで俺だけ。」
「ちょっとサタセト。せっかく少しは落ち着いてきたのにワザワザ大きくさせないでくれない。」
「悪かった。」
小声で話し合うデウストドとハバロトの二人。
「気持ちはわかるよな。」
「そう言いたくはなる。」
「二人とも静かにわからない。」
そうフォルトトに言われベビロトを見るとまた少し大きくなり10m近くまで大きくなっていた。
そのためレトトがユワトに頼んでベビロトにアメを舐めさせる。
「鎮痛剤を打つんじゃないのかしら。」
「まだ打ってから時間があまりたってない。」
「だからってアメで大丈夫なの。」
「大丈夫、もう一回打ってるから。」
それは大丈夫なの、レトト。と思うフォルトトとアンの二人。
「もう開けて入ってもいいよな。」
「いいじゃないかしら。」
アンがそう言うと扉がいきよいよく開き壁まで開いた。
「やっぱりアンさんだ。もう、艦内放送までして待ってたのに、なかなかはいってくれなかったんだもん。ほらみんなもそんな鳩がマメデッポウ食らった見たいな顔してないで中入ってきて。」
「メフザト。」
「なんですか、アンさん。」
「扉閉めてみてくれない。」
いいですよ。と不安げな顔をして扉を閉めながら中に入るメフザト。
みんなの心配の元であるユワトは顔を真っ赤にして鼻を押さえていた。
それを残念そうに見るアン達。
バン!とまた扉が壁まで開く。
「もう、どうしたのみんな。早く入ってきてよ。」
メフザトのふざけてない真剣そのものな顔に笑うものもいたがメフザトに言われるがまま部屋の中へと入っていくアン達。部屋に入る前にユワトに謝ることを忘れずに。
「よし、みんな集まったね。一人興奮しすぎて鼻血出した人がいるけど気にしなくて大丈夫だと思うから話をはじめるよ。」
「謝罪しろよ。」と叫ぶユワト。
それを見て周りは楽しそうに笑っていた。
周りを見まわ巣メフザト。
「ごめんね、なんのことかわからないけど謝っておくよ。」
メフザトは笑いながらからかうような態度をとったためより怒ったユワトだったがアンになだめられ抑えこんだ。
「じゃあ本題に入るとするよ。もうサタセトには言ってあるけどってあれみんな聞いた。」
「殲滅作戦やるか撤退するかの覚悟を決めろとは言われた。」
デウストドがメフザトの質問に答えた。
「そうなんだ。それじゃ呼び出した内容を要約するよ。星を殲滅する兵器を稼働するからその礎、生け贄の方が正しいのかな。それにみんなにはなってもらいたいんだよね。でもアンさんは別だよ。みんなどうする。」
・・・
しばらくの沈黙の後メフザト以外は声を上げた。
「ふざけたことを言うな。」
「そうだ、なに言ってるのかわかってるのか。」
「賛成しかねる。」
ユワト、デウストド、ハバロトと言った順番でメフザトに向けて怒りの感情を放った。
アンはソファーに背中を預け腕を組んだまま微動だにしない。
その隣に座るフォルトトはプルプルと震えていた。
それを見たベビロトも怒りをメフザトに向ける。
「どういうつもりだ。」
そう言ってメフザトを掴むベビロト。
レトトは観察することにしていた。
「うん、そうよね。三者三様ってところよね。」
「どういうつもりだ。」
「もうわかったから下ろしてくれない。ベビロト。」
そう言われてもずっとメフザトを掴み続ける。
仕方ない、メランコリブ。
メフザトがそう言うとベビロトがメフザトを地面に下ろした。
下ろされたメフザトは着ていた服に傷や破れてないか確認する。
「それでもっと詳しく聞きたくないの。」
「ああ、是非聞かせてくれ。」
「そうだな、要約だけでは理解できない。」
「説明してもらうとしよう。」
「・・・」
一人は興味を示さず、一人は怯えて廃人寸前。
一人は観察。もう一人は自分の手をじっと見つめている。
そして三人が問いただし、一人は意気消沈。
「一度しか言いませんからよく聞きなさいよ。」
「なに、一度しか言わないのか。もっとたくさん言ってくれ。」
「わかったわよ、ベビロト。今回は一回にだけしか言いたくありません。質問も最後に聞いてください。よろしいですか。」
「わかった。」
了承を示すユワト達。
「先ほども言いましたがあなた方には生け贄となってもらいます。」
それは聞いた。
「なぜだ、なぜそんなものにならねばならん。」
「ベビロト様落ち着いてください。それをいまから聞きますから。」
ベビロトはフォルトトの座るソファーの隣の地面に座る。
「わかった。」
「話をはじめますよ。まず、皆様には艦に乗ってもらいます。その艦をミシマの配置に動かします。そしてこの爆弾トキョコをエンジンに設置してもらいます。」
「それを爆発させるのか。」
「その通りですユワト。このトキョコ爆弾をミシマの位置で爆発させます。そのミシマで広がっていく爆発をアン様にこの艦から全主砲を能力である無責任を付与していただき星に与えると言った方法です。なにかご質問はありますか。」
「艦に俺達が乗っていなければならない理由はなんだ。」
「いい着眼点ですよ、ユワト。まさしくそこがこの作戦の肝で面倒なところです。」
「トキョコ爆弾を発動するには電力と人がいないといけなかったかしら。」
「その通りです、アンさん。ですので艦内に人がいてほしいのです。」
「それでミシマ配置ってどういう位置のことだか教えてくれないか。」
ベビロトが質問する。少し呆れたようにユワトが答える。
「ジグザグに等間隔にいる配置だ。」
「ジグザグ。」
意味がわかってないようにそう言葉を発したベビロト。
「斜めに右や左にいる配置のことだ。」
「なるほど。」
「そんことしたって威力は変わらないって言うのになぜそんなことをするのですか。」
泣きそうな顔でフォルトトが口を開いた。
「その方が星の人達を殲滅できるだろう。」
ユワトが冷静に答える。
ユワトのその一言にフォルトトは叫んだ。
「殲滅、なにを言っているのですか。これは星の破壊行為です。殲滅ではなく破壊です。それをやるならそのトキョコ爆弾を星の至るところに設置した方が効果的です。」
「そうは言ってもフォルトト、敵が地下に逃げて避難していたら意味はないじゃないかしら。だからと言って星を破壊出きるほどの衝撃を与えるのはやりすぎとは思うと言ったところかしら。」
「その通りですが、やっぱり賛成できません。」
そう言って部屋を出るフォルトト。
フォルトトに付いてるから話し合いを続けてくれ。
フォルトトを一人にするのもいいと思うけど今は愚痴を言いたいだろうからフォルトトの愚痴を聞きにいこうかしら。
そう思いながらアンも部屋を後にした。
フォルトトの説得に動揺して他の人に意見を聞くメフザト。
「あの二人は置いといて、賛成してくれる人はいないの。」
「フォルトトには悪いと思うが賛成する。あいつらが殺せるならそれでいい。」
「そうだな、ベビロト。俺も賛成するぞ。」
メフザトは信用できないがこの際作戦が思いつくまでは仕方ない。
「ベビロトとユワトは賛成してくれたけどフォルトトとアンは反対みたい、それで他はどうかな。」
「フォルトトの言う殲滅ではなく破壊だという意見もわかるが襲撃するにしてもこの人数では厳しいと思う。」
デウストドは考えていた。
「自分はこの作戦には反対です、メフザト様。」
そういったハバロトはデウストドを見る。
「デウストド様はどう思っているのか聞きたい。」
「わからない。この作戦に賛成すべきか反対すべきかわからない。」
「なるほどね、デウストドは反対ってことにするとしてハバロトは反対。ユワトとベビロトの二人は賛成。フォルトトとアンさんは反対。
反対が五人に賛成三人。自分も入れても決行しないと思ったメフザト。




