第132話 賛成と反対
艦内放送が入り艦長室へと向かうアン達。
「みんなはなんで呼び出されたと思うかしら。」
「フォルトトとベビロトが回復したことの通知のため。」
面倒だから早くすませて欲しい。
レトトは2人の回復の通知のため。他の人はどう思ったのかしら。
「そんな二人はどう思うかしら。」
「べぜドが亡くなったから追悼式でもあるのかなって思う。」
ベゼドの追悼式ではないかしらっていいこと言うじゃないかしらフォルトト。
「星のやつらを一掃する計画を実行するため。」
ベビロトは星で酷い目にあったから復讐したいってところかしら。
ふふ、それはいい考えだと思うじゃないのかしら。
「他はどう思うかしら。」
「俺はフォルトトに賛成だな。」
デウストドも追悼式のため、さすがは右腕の一人ってところかしら。羨ましいと思ったけどどうなのかしら。
「自分はわかりません。ベゼド様の追悼式と星への作戦。そのためフォルトト様達の回復通知と言ったところでしょうか。」
全員の意見を反映にした影響されやすいハバロトらしい回答と言ったところかしら。
つまらないハバロトらしいなとデウストドも思った。
デウストドがアンに聞こうとした時突然やってきた男に遮られた。
「アンはどう思うんだ。」
「私は……。」
そう声をかけてきたのはユワトだった。
そんなユワトはデウストドは面白くないと言った顔をする。自分が言おうとしていた台詞をユワトに取られたからだ。
ユワトの登場にアンは気にせず考える。
放送したのはメフザト。あれもゼベドが死んだことに少しは悲しんでるのかしら。気になるところかしら。
今は少しは悲しんでるけど任務が大事ってところかしら。
考えるとしたらそんなところかしら。
それなら・・・。
「追悼式はないんじゃないかしら。メフザトは星の殲滅作戦について考えるって考えられるからそうじゃないかしら。こう思うけどあなたはどう思うかしらユワト。」
アンはユワトを見つめる。
ユワトはアンに見つめられ恥ずかしくなりソッポを向き答える。
「アンと同じで殲滅作戦じゃないかって思ってる。」
ゼベドがなにを思っていたかは知らない。けどここにやって来た目的はアゼトと話してたのを聞いたから知ってる。
故郷の星の奪還。それはここにいる全員の総意だと信じてる。
「そう、それで今までどこ行ってたのかしら。」
「少し席をはずしてた。」
ふーんと笑みを浮かべるアン。
アンはユワトの視線の先に行きユワトの見える位置で問いただす。
「どうしてかしら。」
「アメを取りに行ってた。」
沈黙が流れた後笑い声が響いた。
「へー、意外。常時アメ持ってるユワトがアメ取りに行くなんて。」
顔から火が出そうなユワトであったが、お前は黙ってろと言いたそうな顔でフォルトトを睨む。
「クリームソーダ味をなめたくなったんだ。」
そうユワトが言うと嘘だ、と一瞬でわかった。
しかし、わからなかった一名がフォルトトの袖を引く。
「いつもアメもってるのなんでか、知ってるかフォルトト。」
面倒なこと聞いてこないでベビロト、答えてあげなくもないけど。
「前にアメもらった時は好きな人がアメが好きで常時持ってるって言ってたけど今は好きな人変わっただろうからよくわからない。」
前の好きな人は知らないけど今はアンさんでしょ。
そう考えると今もなぜ持ってるのかよくわからない。
アンさんは昔アメが好きなんて聞いたことない。
ベビロトはフォルトトに驚いた顔を向ける。
「そうなのか。」
フォルトトは無表情を浮かべてベビロトのことを見ずにいた。
「そうね。」
そんなフォルトトの近くにデウストドとハバロトがやってきてデウストドが声をかけた。
「ユワトの好きな人は昔から変わってないと思うけどな。」
疑問視するフォルトト。
「そうなの。」
デウストドに賛成するハバロト。
「俺もそう思います。」
ますます疑問が大きくなるフォルトト。
ベビロトは早く終わらないかなと思っていた。
「なんで、アメ舐めなくなったの。」
「子供に甘い物あんまり食べさせない方がいいって言うだろ。」
「ああ、なるほど。」
「そういうこと。」
少しずつ大きくなっていたベビロト。
「どうしたの、ベビロト。」
「なんでもない。」
半笑いしながらベビロトに話しかけるデウストド。
「それは嘘だろ。ならなんでそんなに大きくなってる。」
「たまたまだ。」
「そうか。」
デウストドは頷くだけだった、それを疑問に思ったハバロトがデウストドになぜ追求しないのかと聞きただす。
しかし、アンが早く行こうと言っているから行こうと言ってはぶらかされる。
艦長室の前までやって来ると扉の前にサタセトが佇んでいた。
「ここでなにをしているのかしら、サタセト。」
アンに話しかけられドアの前で仁王立ちするサタセト。
「聞きたいことがあるから待ってた。」
「聞きたいことって。」
「死人がこんなに出たのにまだこのまま星のやつらと戦い続けるのか、諦めて撤退しよう。」
「何言ってるのかしら、戦い続けるのは当然じゃないかしら。」
当然、そういうものか。
「他はどうだ。」
アン達を見まわすサタセト。戦いに忠誠を誓った人が多いんだな。
ベルゼルト騎士団だから期待はしてなかったけど戦い人が多すぎじゃないかな。
「アンさん、戦うことが当たり前な訳ないじゃないですか。」
「そうだよな、よかった常識人がいたレトト。」
そう言うとレトトの胴体に抱き着くサタセト。
「フォルトト、あれ見て醜く見えるんだけどどう思う。」
「どうって。」
こんな近くにいるから言えないからおかしなこと言わないでベビロト。
アンがため息をつきベビロトを叩く。
「ふざけたこと言って彼女を困らせていいわけないんじゃないかしら。」
「それでアンさんとレトト以外はどう思ってる。」
「なんの話。」
ベビロトふざけてない。聞いてないなんて。
ベビロトに怒ってるフォルトトを見て、見ていられなくなってきたアン。
「星の人たちを殲滅を続けるのかって話。」
「それは殲滅し続けるに決まってるから聞いてなかった。ごめんごめん。」
ベビロトの言う通りかもしれないな。
「ベビロトも殲滅か。故郷奪還が最終目標って考えると殲滅が普通か。話合いとかで決めてほしいところだったけど……。」
小声をはっするサタセト。
「なにか言ったかしらサタセト。」
「声出てた。」
「声でてたからサタセト。」
「そう他はどう。」
「私は殲滅には反対かな。撤退か、話し合いは今は無理だと思うから撤退。」
フォルトトは撤退、これでレトトと二人目。
ベビロトとアンの二人が殲滅が必然って考えか。
そして自分の考えで撤退が三人目。ハバロトとデウストドとユワトで残り三人か。
もう一人、メフザトが殲滅で三人目。これで三対三、答えを聞いてないのが後三人。
ハバロトもデウストドもユワトも殲滅に入れるに決まってるからもう決まりか。
やっぱりトウセンボして散るべきかな。
「俺は、ゼベド様には悪いけど殲滅に賛成。」
「そうデウストド様も殲滅に賛成。これで撤退が三人、殲滅も三人。」
ハバロトはメフザトの意見を知らないから三対三か。
ハバロトは思った。
同率、あの星にいる人達は全員生きてる、生活してる。それが答えになるって信じてる。
現実はたった一つしかないっていうけど本当はその人が生きた時間分存在してるそれが生きてるってことであって見えてるのに見えない世界のこと。
今はその見えない者がどうなってるか考えないといけない時、可能性が消えないようにすべき時。
正解は生還か奪還かそれとも全てを壊す破壊か。
・・・
ほとんど決まってるけど生還が一番いいに決まってる。
「そう言うハバロト、おまえはどうなんだ。」
決めました。
「ゼベド様が争うのはよくないとおっしゃっておりましたから撤退こそが正しい選択であると信じ賛成すること決まっています。」
そういうハバロトを険しい顔で見るアン。
「ハバロトは考えてたって言えるのかしら。」
アンの肩に手を置くデウストド。
「ちょっとアンさん、ハバロトが意見を言ったんですからそれでいいじゃないですか。」
アンはデウストドの言葉に嫉妬したような羨ましいような顔をする。
その二つではなく嫌悪感だったかもしれない。
「デウストドはいつもはハバロトに意見する方なのにそういうなら仕方ないからそういうことにしてあげようかしら。」
まだ決定じゃないのかと口に出しそうになるのを必死で耐えたデウストドとハバロト。
「そうしてください、アンさん。」
「そうしてくださるとうれしいです。アン様。」
「仕方ないかしら。そうしようかしら。」
アンは自分達の考え、殲滅が負けたと思った。
「ふざけるな!なにまとまったみたいに言ってんだよ!俺たちはここに故郷を取り戻しに来たんだぞ!星に人がいるなら全員殺すに決まってるだろう!」
ふざけるな!と怒るユワト。
「ユワト・・・。」
「ユワト、なら俺を倒せ。それができたら星の人たちを殲滅、全員殺せばいい。」
それがゼベド様に対する答えだ。
サタセトを睨みつけるユワト。
「そうか……わかった。」
「怖w」
ユワトの睨みに笑ってしまうアン嬢。
「さすがに怒りすぎじゃないかユワト。」
それ以外の人達も薄く笑みを浮かべている。
「怖すぎて笑えないな、ユワト様。」
ハバロト以外はであるが。
「誰が審判やりますか。」
「俺がやる。」
ベビロトが審判と言う言葉に反応したがフォルトトが睨む。
「ベビロト、黙ろうか。」
ベビロトはまた少しも大きくなったが黙ることにした。
「ベビロトに鎮痛剤打たないとじゃないか、レトト。」
「なに大丈夫だろう。」
「レトトがそういうなら大丈夫ってことにしようかしら。」
「アン様がいいならそれでいいですが、このまま大きくなり続けたら艦が持たないのも事実です。」
「いたいことをハバロトは言ってくれる。」
そう言ってアンを見るレトト。
すると頷かれたため仕事がまた一つ増えたと思うレトト。
「審判はここにいる全員がそう。だから二人とも手加減しろとは言わない。艦には傷をなるべくつけないでほしいと言ったところかしら。」
「では……はじめ!」