第129話 ベルゼルト騎士団のパピザト
「フォルトト様とベビロト様を掴みました。」
そう言って天に掲げるハバロト。
いきなり轟音と共に現れたハバロトに驚きながらも警戒するアサナ達。
「それであなたは観察してどうするつもりなのね。」
ナタレは近くで身を潜めていたデウストドに声をかけた。
「バレてしまった、なにもう帰る。なぁハバロト。」
誰もいない自分の横に声をかけたデウストド。
「はい、デウストド様。」
デウストドの横に突然と姿を見せたハバロト。
ハバロトの腕には生き絶えそうな男女二人。
「この二人をこんな姿にした者に裁きを与えたいところですが今は急いでおりますので後にします。行きましょうデウストド様。」
「ああ、頼む。」
デウストドがそう言うとすぐに消えてしまったデウストドとハバロト達。
「消えてしまったのね。」
「これでもっと危険が増したのよ。」
「そうね。」
「アキリン戻ってきて欲しいです。」
「アキリン。」
思い出したアサナとナタレ。
その顔を見て大丈夫なのか不安に襲われるサキ。
「隠してあるのよ。」
「なに言ってるのねアサナ。リリウム聖王国に治療を頼んできたのね。」
アキリンのことを忘れていたアサナとナタレ。
「クラノスのことはほっておいてアキリンさんを……え、そんなの知らなかったわよナタレ様。」
あんたには教えたはずね。
そう思いため息をはくナタレ。
「アサナには教えたのね。」
・・・
艦長室でデウストドがゼベドに言われてハバロトと迎えに行ってから二日が過ぎた。
フォルトトとベビロトを連れてハバロトとデウストドが艦に戻ってきた。
「かわいそうなの。」
「やり過ぎ。」
「ベビロト、フォルトト生きててよかった。」
「アンの言う通り生きていてよかったがレトト。治療を頼んでいいか。」
「はい、わかりました。」
今一瞬ガッツポーズしなかったかレトト。
そんなレトトは二人を連れて医務室まで向かった。
「二人が心配だが、作戦は前に伝えた通り皆頼む。」
了承の意を示す作戦室にいたもの達。
「あなた、気をつけて。」
「わかっている。アン、この艦の艦長はお前になるしっかりと務めをはなしてくれ。」
「はい、あなた。わかった。」
涙を必死に堪えるアン。
一斑がアケオメデス星に行く時間となった。
今回の作戦で3つの班に別れている。
一斑はベゼドとデウストドとユワトの三人。
「行くぞ、デウストド、ユワト。」
「はい、ゼベド様。」
体を伸ばすユワト。
「やってやります。」
見ていてください、アン。
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二班のキザトとパピザトの二人とハバロト。
この三人の二班が出立する時となった。
「次はあなた達かしら。キザト、パピザト。」
「はい、アン様。」
「そうか、僕の出番か。僕は女性の瞳を盗むために生きている。」
「そんな向上はいいキザト。早くベゼド様達に続こう。」
「そうなの、キザト行くの。」
震えるパピザトを見たキザト。
「俺がついてる。」
そうなのと思い、キザトを見て笑みを浮かべるパピザト。
そんなパピザトの仕草にドキッとした自分が照れ臭くなりそっぽを向くキザト。
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大丈夫なのかしら・・・。
不安そうな顔をして祈りを捧げるアン様。
「アン様、そこまでしなくても大丈夫です。」
そんなことしたら本当に二人が死にそうです。
「そうかしら、それに二人だけにした訳じゃないからいいんじゃないかしら。」
「それならいいかもしれないです。」
しかし、この二人がこんなにも死にそうな姿になって帰ってくるとは送り出した時には夢にも思ってなかったのにな。
・・・
ベゼド達一斑はウノーラ達戦士を見つけた。
「ここまでやるのか。」
ベゼドはウノーラ達三人が戦い合う姿に憧れを覚えた。
「楽しみで爆死しそう。」
ハバロトもキラキラと憧れを持ちつつ参加したくて堪らず暴走しそうであった。
それとは対照的にデウストドは怯えていた。
「それはやめることだ。」
「ハバロト、やめとくべきだがよるのか。」
「ベゼド様、彼らと楽しみたい。」
「そうか。」
そうか、ハバロト。飢えているのか。
そうか……そうか。
・・・
一方、二班のキザト達はサキ達の元へとやって来た。
「サキさん。あなたの蝶のような美しい姿を見にやってきました。」
「キザト、やめるの。」
キザトがパピザトになぜそんなこと言うのか疑問に思いパピザトを見るともう一人の顔が視線に写った。
そのもう一人ユワトの顔は鬼の形相であった。
怖すぎてギャー!と飛び出してしまったキザト。
「あ。」
「「「「あーー!」」」」
キザトとサキ達は驚きで声を上げた。
その光景を見てため息をつくパピザト。
「はぁ、やっちゃたの。」
「気づかれたなら仕方ない。」
待っていてくださいアン。がんばります。
泣き出すキザト。
「すいませんでした。」
そう言ってパピザトはキザトを回収した。
「君たちには報いを贈ってやるから覚悟しろ。」
キザトがパピザトによってはけた後にユワトがやって来た。
「なにやってるんですか!」
パピザトの叫び声が辺りに響き渡った。
ユワトはパピザトの声には耳を向けず目の前のサキ達と対峙する。
「警戒するです。」
「そうよ、演劇でも始まったのって思ったけどそう言うことよ。」
「アサナ頼んだね。」
バカバカしいのね。
そう言ってナタレはクラノスの側に座った。
「あんたは早く起きなさいなのね、クラノス。」
アサナがサキを守るようにして前に立つ。
サキはユワトがどうやって攻撃してくるか様子見をしている。
「なるほど。」
そう言うとユワトは煙を上げながら高く飛んだ。
それで500mの高さにいるユワト。
それを見てキョトンとするサキとアサナ。
そんなキョトンとしているサキ達にドン!と爆発音が響き渡り、木の近くで爆発した。
その爆発したのはナタレの後ろだった。
そして、木がナタレに向かっていった。
ナタレはクラノスを助けて木が直撃するのをなんとか逃げた。
それを見て呆然と佇むサキとアサナの二人。
「あれなんとかしないといけないです。」
「そうよ、なんとかしないといけないのよ。」
このままいたらという恐怖心があるのと死が見えるサキ。
そして、死が見えるけどなんとかしないといけないと思うアサナ。
「死ぬかもです。」
「そうよ、死ぬかもしれないわよ。」
上を見て息を飲む二人。
「サキ様、待っててよ。」
上にいるユワトにどうやって攻撃するか考えながらも言った。
上を見ていたアサナとサキの二人が氷の水晶のような玉がユワトに向かって行った。
「どうしてよ。」
「ナタレがやってるです。」
氷の弾がユワトに当たった。
攻撃手段を考えていたサキとアサナだったがナタレのお陰で攻撃手段ができた。
それに感謝しつつも少しだけ恐怖心を感じたサキとアサナ。
「ナタレ、本当にすごいのよ。尊敬するのよ。」
涙を流しそうなくらいに目をうるうるさせるアサナ。
よかったという安心感と歓喜がアサナを襲った。
・・・
「ユワトは昇り竜だった。」
「どうすればいいの。」
話し合いで決着をつけたかったパピザト。
そして、サキに会いに来たキザト。
「パピザト、ユワトすごいんだな。」
「それは思うの。」
でも、猪突猛進なの。
昇り竜はいいけどこの後どうするの、ユワト。
正直教えて欲しいの。
キザトもそういう節あるの、キザトは許せてしまうの。
ユワトはもう少し考えたらって怒りたくなるの。
あれ、キザトも怒りたくなるかも……。
笑いそうになるパピザト。そんなパピザトが偶然見た方向にナタレがいた。
「あれ誰なの。」
そう思ったの。
そしたらその人の近くで爆発が起きたの。
その人に向かって木の破片とか木自体が向かったの。
その人身体能力がすごくてもう一人倒れた病人だと思うの。わからないけどいたの。
その人を抱えて木の破片とかから逃げたの。
それも無傷だったの。
驚いたの。
その時にキザトが言ったの。
「ユワト、危ないことしてない。」
私はしてるって思ったの。
「してるの。」
そう思ったからそう言ったの。
それでその人が腰に剣をさしてたの。
その腰を鞘から抜いて上に向けて、一回引いて上に向かって剣を突き刺したの。
何をやってるんだろうって思ったの。
その後、もう驚いたの。
剣から水晶玉が出てきて、水晶玉がユワトに向かって行ったの。
本当に驚いたの。
その時声が出てたのかもしれないの。
「どうかした、パピザト。」
キザトが聞いてきたの。
「なんでもないの。」
キザトにはそっけないことを答えたの。
キザトから視線を戻してユワトを見たらユワトが落ちてたの。
それはユワトに当たったからだと思うの。
落ちてきたユワトは地面に落ちていってギリギリ着地したの。
それでよく見たらユワトが少し凍ってたの。
そうなんだって思ったの。
ナタレは第一世代の能力を武具に付けて攻撃するのだと思うの。
第二世代が私達元ゾイフィア帝国なの。
第三世代っていうのがあるの。
それが自分の能力を武具に込められるって人達なの。
この三世代がいるの。
その三世代でゾイフィア帝国が滅びた要因は第三世代じゃないの、第一世代なの。