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世界は一度終わっている  作者: 小松ちゃん
第二章世界樹 8節侵略者
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第128話 戦いと選択肢

パピザトとキザトは艦内でアンに鍛錬させられている。

そんなアン達をユワトは眺めていた。


そんなユワトに一人の男が声をかけた。

「ここでなにをしている。」

「デウストド、いや、アン様美しいなと眺めている。」

アン様は本当にお美しい。戦う姿は華麗だ。


ユワトの恍惚とした顔を見てデウストドは声をかけたのだ。

「そうか、だがわかっているだろうな。」

「アン様はお前の元カノってことか。」

ユワトがデウストドを見る目は怒りと嫉妬心の塊のようであった。


確かに自分はアンとそういった仲になったことはある。

しかし、今そんな話はどうでもいいのだ。

「違う。」

「え、でも。」

「その話ではない。アン夫人はゼベド様と夫婦であることをわかっているのかということをだ。」

そんなにアンを見つめていたらゼベドに怒られるぞユワト。


「そんなことわかってるに決まってる。」

「それならいいんだ。」

そう言うと足音をたてながら怒ってデウストドは去っていった。

ユワトはそんなデウストドのことは気にもとめずアンを見つめていた。


鍛練を終えたアン達。

「やっと終わった。」

「やっとおわったの。」

疲れて倒れる二人。

「やり過ぎではないか、アン様。」

「それ思ったの、素手で戦うなんて古典的なの。こんなことして意味なんてあるの。」

水を持ってきたアンは二人にあげた。


「あなた達そんなこともわからないっていうのかしら。」


「わかるか。」

「わからないの。」

体を起こして水を飲みながらそう言う二人。

二人の姿を頷き言おうかしら。そう思ったアンが話し始めたがしかし。


「それは・・・。」

「相手の次の行動を予測するための鍛練だ、そうではないですかアン様。」

ユワトに全て話されてしまった。


悲しそうな顔を一瞬見せたが普通にユワトに言葉を返すアン。

「そ、その通り。よくわかったといっていいのかしらユワト。」


「アン様の台詞とったの。」

「ああ、気持ち良さそうだったのにかわいそうだ。」



・・・


シュインと自動ドアが開いた。

「艦長ご報告します。」

「デウストド、なんの話をするかわかっているが聞かせてもらうとするか。」

ゼベドはモニターを見ていた。

「ワレストドさんとおじさんが亡くなりました。」

「そうか、あの二人が亡くなったか……。」

もうここにとどまる選択肢と敵討ちをするためとどまり戦い続ける選択肢しかないか。

「……逃げてしまうとするか。」


「「ゼベド様。」」

艦長室でゼベドと一緒にいたメフザトとデウストドの二人がゼベドに声を上げた。

「待ってください。」

「ゼベド様、ここで亡くなった方達に申し訳がたちません。とどまってください。」

「そうか、戦死者のためにも戦い続けるか。」

そうか、それでよかったのか。

戦死者のためにも戦い続ける選択肢と一度逃げる選択肢の2つあるが。ダメか。


「ワレストドが死んだか。」

ワレストドの親父も死んだか……。そうか。

「はい、亡くなりました。」

少し苛つく台詞と間を付くのがメフザトだったか。

……そうか。


「他の奴らはどこにいるのか。」

気になるというものだが。


「この艦内にいるのはパピザトさんとキザトさんとユワトさん。アン様とゼベド様とメフザトさん。そして私デウストドであります。」


「計七名です、ゼベド様。」

メフザト、それはわかっているのだが。

「そうか、他の奴らはどこにいるんだ。」

「サタセトとレトトとベビロトとハバロトの四人おりますが、どこにいるかは私はわかりません。ハバロトさんに聞けばわかると思います。」

そうか、デウストドは知らないか。必然だが。


デウストド、お前には聞いてないんだが。

「そうか、それでメフザトどうなのか教えてくれないか。」


「サタセトとベビロトとフォルトトはアケオメデス星に今もおります。」

サタセトはまだ艦内にいると思ったのだが。

「サタセトはまだ向こうにいたのか。」

「一度艦に戻って来たんだがまたアケオメデス星に向かったんだ。」

「そうなのか。」

リリワトにはお別れしたということかサタセト。

彼女を亡くしたのにすぐに離れられるとはすごいなサタセトは・・・。


「しかし、フォルトトはまだ生きているのか。」

「生きていると思います。」

そうか。あれを見た限りフォルトトよりもベビロトの方が怪しいかもしれないか。


「フォルトトか、それ以外の奴らがどこにいるかわかるか。メフザト。」


「レトトとハバロトの二人は艦内にいますゼベド様。」

そうか。レトトは艦内にいるのか。


「そうか。」

「レトトさんは今もここにいるとは知らなかった。」

「まだ、デウストドいたのか。」

「まだデウストドいたんだ。」

二人はデウストドを見て驚いた顔した。

悲しそうに俯くデウストド。

「はい、いました。」


そうか。

元々25人いたのだがもう11人しかいないのか。


「半分もいないのか。」

そうか、少ないというものか。


「計11名、少ない。」

「もう11人だけしかいないと考えると少なくなりました。」

ちょっと長くないか、デウストド。


「ゼベド様、今後どうしますか。」


・・・


いきなりではないか、メフザト。


「どうするか、やはり一度逃げてしまうのがいいのではないか。」

「「ゼベド様。」」

「それはもう冗談じゃすみません。」

「そんなこと言わないでください。」

「そうか、すまなかった。」

逃げ出したい。

精鋭だと思っていた者達が半分もいなくなったから一度逃げてしまいたい。

なぜこの二人はそんな当たり前な感情がわからないのか。


選択肢としてないのが気にくわないのだが……。


深呼吸をしようか。熱くなっている自分がいるから。


・・・


「もう一度聞きますがゼベド様、いえゼベド様。この故郷の星を奪還しに来たのです。早く奪還しましょう。」

「メフザトの言う通りです、ゼベド様。戦うべきです。」


ゼベドは考える。

本当に戦いを続ける選択肢でいいのか、一度逃げ出す選択肢の方がいいのか。どちらが今、得策であるか。


二人はゼベドに期待の眼差しを送る。


・・・


「父上、いつまで待つつもりですか。」

ベゼドを睨みつけるアゼト。


アゼトを思い出したゼベド。

「アゼト。」

ボソッと口に出てしまったベゼド。


そうか、アゼトも死んだのか。

ならばもう選択肢は残ってなどいなかったか。


「そうか、メフザト。」

名前を呼ばれて驚きながらも返事をした。

「はい、ゼベド様。」

「お前はこの艦に残っていてくれ。そしてデウストド。共に戦地に足を踏み入れようじゃないか。」

「「ゼベド様。」」

「もうこの戦いはやめることなどしない。進むしか道はないのだ、進み続けようでないか。」


進むしか道はないのだ。


「ゼベド様。よくぞ言ってくれました。」

そう言いながらデウストドは泣き出した。

「ゼベド様、早速戦地に赴き地獄を見せてやりましょう。」

そう言うメフザトは扉の前でゼベドを呼んでいる。


「しかし、この艦に誰もいないのは考えられないからメフザト。すまないが留守番を頼みたい。」

「わかるりました。」

と言ってトボトボとゼベドの前にやって来たメフザト。


「どうかしたのかメフザト、制御室にいかないのか。」

「制御室、わかりましたゼベド様。」

「それとハバロトに皆を作戦室に集めるように言ってくれないか。」


「それでしたら艦内放送がこのマイクにありますので第一でも第二でもどちらかをしていすれば言いと思います。」

メフザトは沈んでいるか、どうしたものか。

「メフザトも作戦会議に参加して欲しいのだが、そこで艦内放送の方法を詳しく教えてくれないか。」

メフザトは、もう一度ゼベドの前にある机のマイクから艦内放送を送る。


「第一作戦室に艦内にいる人は来てください。これは艦長命令です。」


放送を切りメフザトは艦長室を出ていった。


「メフザト、少しは機嫌直ったように見えたからよかった。」

「ゼベド様、一つお聞きしてよろしいですか。」

「どうかしたか、デウストド。」

「フォルトトとベビロトの二人はどうします。」


「もちろん連れてくるように手配する。」

「では、私が連れて参ります。」

「そうか。」

制御室へ電話を繋げるベゼド。


「もしもし、お疲れ様です。どうしましたか。」

「ハバロトか。」

「はい、ハバロトです。」

まだハバロトが制御室にいたことに少し驚きながらも電話を続けるベゼド。


「ハバロトにお願いがあって、フォルトトとベビロトを艦に連れ戻して欲しいんだ。」

「そんな、一人では厳しいです。」

やっぱり謙遜したか。

「そうか、ならデウストドも連れていってくれてかまわない。それならどうだろうか。」


「少し考えさせてください。」


・・・


「わかりました。フォルトトとベビロトを連れてきます。」

「そうか、それならデウストドど頼む。」

そう言ってベゼドは電話を切った。


「そう言うことだからデウストド、ハバロトと一緒にフォルトトとベビロトを艦に連れ戻しに行ってくれ。」


「あのゼベド様。お言葉ではありますがハバロトさん一人でも二人を連れ戻るのは十分可能なことではありませんか。」

「そうかもしれないが仕方ないじゃないか。」

行く必要ありますって顔するな。デウストド。


「仕方ない。わかりました。いちようハバロトさんと二人で迎えに行ってきます。」

「いってらっしゃい。と言いたいところだがデウストド。」

「なんですか、ゼベド様。」

「三日以内に頼むんだが。」

「三日ですか、ハバロトに言ってやってみます。」


デウストドも艦長室から去った。

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