第127話 親と娘
瀕死のベビロトと自分を逃がしてほしいフォルトト。
しかしそれをレインとソクキナレは許さなかった。
殺そうと決めた時ローザが声を上げて私が倒すわと言った。
ローザは扇子に着物を被せ3mの巨大扇子にして横に凪払う。
すると竜巻が発生しベビロトとフォルトトは飛んで行った。
それを見たレインはローザの胸ぐらを掴み今にも殴りかかりそうだ。
「なにしてるね。」
「あい娘らにトドメをささなくても大丈夫だわ。」
「それはわからない。」
「わからないね。」
「喧嘩はそれまでーー!」
レインとローザの間に入って止めるウノーラ。
「邪魔な人達は消えたからこれで決めようーー。」
そう言うと刀を見せつけるウノーラ。
「そうね。」
「そうだわ。」
「やるですーー。」
ソクキナレは無言で草木に隠れる。
こうして四人の対決は続いた。
一方サキとアサナ、そしてクラノス達はというとぐっすりと眠りこけるクラノスをアサナが膝枕していた。
なかなか起きないクラノスに痺れを切らした時サキもアサナの膝枕で眠りについた。
あんなのよ、この状況。とアサナは思っていた
そんな時ナタレ達がサキ達の元へやって来た。
「なにしてるのね、アサナ。」
ニヤニヤと笑みが止まらないナタレ。
「二人が膝枕で寝てるから座ってるのよ。」
笑わないでよ。
「冗談なのね、そんな泣きそうな顔しないでいいのね。」
アサナはサキとクラノスの顔を見てサキの頭を撫でる。
「ナタレ様。」
なんでアサナがサキのお母さんみたいに見えるのね
「どうしたのね、アサナ。」
「人っていきなり成長して怖いよ。」
突然のアサナの発言に驚きと安心感を抱くナタレ。
「気持ちはわかるけどそう言うものね。」
「ナタレ様はどうやって克服したのよ。」
そんな期待した目で見られたってわからないのね。
「今も見てる途中ね。」
ナタレはそう言ってアサナの頭を撫でる。
「あなたは頑張っているのね。大丈夫ね。」
そう言いながら。
「ナタレ様は子供とか興味とかどうなのよ。」
「な、なにね、いきなりビックリしたね。」
いきなり、子供とか驚くのね。
「ハクタクとそういう仲なのよ、それぐらい聞いていいじゃないよ。」
「そうね、子供ね。今はパラレがいるから考えたことないね。」
ハクタクと仲が良いのかわからないのね。
「寂しい時ってどうするのよ。」
「あなたやパラレの顔を浮かべるのね。サキちゃんは癒しだからね、浮かべる時もあるね。」
そう言ってサキの額をつつくナタレ。
「そうよ、サキ様は私の癒しよ。いつまでも一緒にいたいのよ。でもよ、サキ様と離れないと行けない時はあるのよ。子離れと一緒よ。」
「そうね、子離れしないとよね。お互いにね。」
そう言ってアサナの頭を撫でるナタレ。
「泣いてるのね。」
「泣いてないわよ。目にごみが入ったのよ。」
「はいはい、わかったのね。」
強情ね。
穏やかな時間が流れるナタレとアサナの二人。
そんな二人に復讐に燃えた人物がやってくる。
その名はワレストド。アゼトが好きな恋する乙女である。
しかし、アゼトはナタレとレインの二人が斬り殺した。
それを艦に乗り合わせたレトロトという占い師に教わり、その人の力を借りて遅れてアケノメデス星にやって来た。
また、アゼトを殺した者がここに来ることも教えてもらいやって来たワレストド。
「ナタレとレイン、見つけた。」
そう言うと倒れるワレストド。
「ワレス!」
倒れたワレストドの元におじさんが向かう。
「大丈夫なのね。」
ナタレが倒れたワレストドが心配で声をかけた。
「喋りかけてくるな、人殺し。」
初対面で人殺しと言われたナタレ。
「ごめんなさいね、大丈夫そうね。」
そう言ってアサナの元へ戻ってきた。
おじさんはワレストドを背中に抱き抱えてアサナ達の元へやって来た。
「先ほどはすまなかった。娘が倒れたものでついカッとなってしまった。」
「別にいいね。余裕がなくなるのはわかるね。」
「あんたにも娘がいるのか。」
チラッとアサナ達を見るおじさん。
ナタレはアサナ達が自分の娘だとこのおじさんは思ったのだろうと察した。
「違うからね。」
「そうなのか。」
「義理の娘はいるけどね。」
「そうなのか。」
「そうね、それでね。あなた達はゾイフィアの生き残りよね。」
口を慎むおじさん。
答えないのね。わかってたのね。
なにもしゃべらないことに納得するナタレ。
「今攻めてきた理由もなんとなくわかるね。」
「どう言うことよ、ナタレ様。」
わからないなんてまだまだね、アサナ。
「そのままの意味ね。樹木の守護が消えたからこいつらゾイフィアの生き残りが攻め込んできたのね。」
正しくは生き残りじゃなくて避難者だと思うけどね。
「まるでそれがわかってたみたいじゃないのよ。」
「そうね、アサナ。彼らはわかってたのね。」
あの日からあれや今日が来ることを知っていたのね。
「あなた達の長、ゼブラに会いたいのね。」
アサナはナタレの話を呆然と聞き入っていた。
「口を慎め、貴様!貴様が口に出して良い名ではないぞ!」
おじさんの突然の叫び声に驚き瞬時に下の二人を確認するアサナ。サキとクラノスはグッスリと眠りこけっていた。アサナはサキの頭を撫でた。
「そんなに怒鳴ることないのね。それにあの子達が起きるのね。」
ナタレに言われた方を見るおじさん。
「すまなかった。」
「わかってもらえればいいのね。」
やっぱりゼブラは生きているのね。
誰も殺していないから生きてる可能性は捨てきれなかったけど死んでいて欲しかったね。
「ナタレ様。」
「そうね、あなたどっか行きなさいね。」
おじさんの肩を叩くワレストド。
「失礼する。邪魔をした。」
そう言っておじさんは去ろうとする。
「待つです。」
「待ちなさい。」
サキ様。
サキはアサナの膝枕から動き出した。
「サキ様。」
起きてましたのなら退いて欲しかったのよ。
「ワレス、起きたのか。」
ワレストドはおじさんから降りた。
「ナタレは殺す。」
「なにを言い出すんだ。なら今一度作戦を考えよう。」
「あんたは口を出してこないで。」
ワレストドにそう言われて口を慎むおじさん。
「本気で言ってるのね。」
「そう、本気。早く武器を構えなさいナタレ。」
ワレストドにおじさんはなに言ってる。
となぜか反対の態度をとるおじさん。
そして、またワレストドにあの言葉を言われて黙った。
「親子ってあんなに格差あるですか。」
ちょっと面白いです。パパがいたらあんな風になってたかもです。
「あるわよ、私は母さんの従属のようなものよ。」
「そう……だった……です……ロダラン荘興国のローザ様と……そんな関係だった……かもです。」
自分が体験した覚えのない記憶が頭に流れ込んできたサキ。
「そうよ。」
「そうね、アサナとローザはそんな関係ね。」
ナタレはアサナがサキのことを愛おしい者を眺める顔が少しだけおぞましく見えた。
「早く私と戦いなさい、ナタレ。」
ワレストドにそう言われてどうするか考えるナタレ。
「どうしようね。」
「ナタレ、どうするのよ。」
「考え中ね。」
「そうよね。」
アサナは考え中と言ったナタレを尻目にクラノスを抱えて木の影に向かった。
「なんでこっちに来たですアサナ。」
「ちょっとあそこにいるとあの女の子に攻撃されそうだったのよ。」
こっちに着た時背にしてたからもっと危険だったと思うです。
こっちを人質にしなさいよ。
アサナはワレストドのことを挑発していた。
・・・
「面倒よね。」
ナタレは少しだけあきれたように木の影に向かったアサナを見た。
「ワレストド、いけないやめた方が言いと思う。」
腕を掴みそうなだめるおじさん。
しかし、ワレストドはそれを振り払った。
「あなたは黙ってて。」
復讐に燃えたワレストドの目にはずっと炎が燃えていた。
「そうね、ワレストド。やめにした方がいいね。親の言うことは聞いた方がいいね。」
「ふざけないで。ふざけないで。」
ふざけないでと言うワレストドの迫力に並々ならぬ感情があることを察したナタレ。
「仕方ないね、戦ってあげるのね。」
そう言ってナタレは鞘から剣を抜く。
ナタレの剣は氷の刃となった。
「やっとたたかってくれるの。ありがとう、やってやる。」
そう言ってワレストドはナタレに飛び込んだ。
そしてナタレと剣を交えた瞬間に凍りついたワレストド。
「私には勝てないのね。親の言うことは聞いた方がいいのね。」
「ワレス、ワレス!ナタレ、ふざけるなー。」
ワレスの次におじさんがナタレに突っ込んだ。
「ふざけないで欲しいのは私の方ね。」
ナタレはそう言うと次はおじさんに向けて剣を袈裟斬りに斬った。
その答えはなにもない、無と言ってもいい。
「ふざけないでよね。」
・・・
木の影に向かったアサナとサキはナタレとワレストド達との戦かいを見守っていた。
クラノスは今も眠っている。
「ナタレちゃんすごいです。」
「そうよ、ナタレ様は強いのよ。恐ろしく感じる程に強いのよ。」
そう言うナタレの顔は幽霊でも出てきたかのように恐怖の感情で染まっていた。
「そうです。アサナの言う通りです。でもです、あれがナタレちゃんです。」
そう言ってにこやかに笑うサキ。
サキの心にはナタレの様に誰かを守るれる強い人になりたいと憧れに胸を高ぶらせた。
サキを抱き締めたいという衝動にかられたがそれを振り払うアサナ。
「サキ様。」
「どうしたです、アサナ。」
「なんでもないのよ。」
ドン!と大きな音と共に穴ができた。




