第122話 鬼神ウノーラ
城の中でレヴゼトが拷問されているのを見た後に外に出てアキリンが磔にされているのとアキリンに似た人が隣にいるタヒリキオを見たナタレ達。
「やっぱりね、あなたが一番冷酷非道ね。そして残忍ね。」
タヒリキオ。
あなたはわかってないね、それの意味をわかってないね。
「あなた方は僕がしたことがわからないのですか。」
わからないのね。ふざけないでなのね。
こんな所業をできるなんてタヒリキオさん。すごいです。
「理解できるとわかるは話が違うタヒリキオ。」
そこまでするほどの相手であることは理解できます。
君がやる必要性があったとは思えない、そこまでやる必要がわからない。磔にするほどの人とは思えない。
「なんですか、僕が頭がおかしいと言っているのですか。」
「違う、お前がやり過ぎてることにムカついてるだけだ。」
そこまでやる人を見ると自分の心の弱さにムカつくのです。
「レイン、あなたソクキナレになにしたのね。」
ソクキナレ、磔にされたアキリンを見てあんな風にいうなんて相当なことをやったと思うのね。
「アウルがいるラプオビの遺跡ごと町を破壊してもらったね。」
なるほとなのね、レインも過激なのね。
「そうなのね、レインも意外としっかりやってるのね。ミズキに無茶をさせられなかったのね。怖かったのね。皆、しっかりやってるのね。」
タヒリキオも、レインとソクキナレの二人。皆役目をまっとうしてるのね……。
ムカつくのね、ソクキナレの言う通りなのね。
「仕方ないね、敵は一つとは限らないね。自分も敵であるからね。」
「そうなのね、少し落ち着いてタヒリキオのことは・・・。」
「何てことしてるのね!」
話をしてアキリンが磔にされていることを忘れようとするナタレだったが怒りが抑えられなかった。
「まだ無理みたいね。」
「そうなのね。」
二人がタヒリキオのことを整理していて、タヒリキオを見たときタヒリキオの胸に剣が突き刺さった。
「え、タヒリキオ。」
タヒリキオが殺られた姿をただ呆然と眺める四人。
タヒリキオを殺したのは隣にいたアキリンだった。
「おまえさーー、うるさいんだよねーー。命令されるの嫌いなのにさーーふざけたことすんじゃねーー。マジムカつくーー。死ねーー。死ねーー。死ねーー。」
そう言ってタヒリキオに何度も剣を突き刺すアキリン。
その光景をただ呆然と眺める四人であったがミズキが悲鳴を上げた。
「イヤー!もうやめてー!もう、やめてー!」
「うるさいな。命令されるの嫌いなの。」
アキリンの次の狙いはミズキへと代わった。
ミズキの目の前にいるアキリンにナタレとレインは刃を突きつける。
ナタレは水の剣をレインは白い炎の剣を持っていた。
ナタレとレインは交差するアキリンの姿に驚いた。
ないはずの首の傷が付いていた。
いつものアキリンにはそんなものはない。
「あなたは誰なのね。」
「あなたは誰ね。」
「ウノーラっていうからーーはじめましてーー。」
「「ウノーラ」」
疑問の目で見るウノーラと名乗った者を見るナタレとレイン。
「ウノーラ、タヒリキオはどうしたのね。」
「そうね、タヒリキオはどうしてるね。」
「なに言っているのーー。もうーー死んでるからーー。あんなやつ生きてる価値ないしーー。」
興味ない物を見るようにナタレとレインを見るウノーラ。
「どいてくれないかなーー。そいつムカつくからさーー処分させてーー。」
本当に邪魔者扱いをするように笑いながらナタレとレインと斬り合うウノーラ。
「嫌だっていったらどうなるのね。」
「決まってるーー。君もーー処分するーー。」
そう言って笑顔を見せるウノーラにナタレは一瞬怯んでしまった。
あと少しで首を斬りきられそうなナタレはレインにより助けられた。
ナタレとレインがウノーラと問答しながら剣を交える間、タヒリキオに拷問されていたレヴゼトに二人が寄り添っていた。
一人はレヴゼトを抱き抱え顔を叩きながら涙を流している。
「レヴゼト、レヴゼト。起きろ、起きろよ。」
「フェルゴザト、レヴゼトはもう無理だ。助からない。」
諦めてくれ、フェルゴザト。
こんなところに長居したくない。
「そんなわけない!マロト。レヴは大丈夫きっと大丈夫。」
フェルゴザト、叫ばないで。気づかれてないだけで奇跡なんだから、あの人達に気づかれたら俺たちもレヴゼトと同じようになるんだぞ。
「本当にそう思ってるのか。」
「当たり前、レヴゼトは生きてる。」
そんな傷だらけで生きているなんてありえない。
刺し傷が21箇所はある、それに顔にだって刺されている。それで生きてるなんてありえない。信じるなら仕方がない。
「そんか傷だらけで生きているなんて本当に思っているのか、マロト。」
「思ってる、レヴゼトは生きてる。」
生きてるか、なら仕方ない。レヴゼトを連れてここを離れようここは危険だ。
そうか、なら信じるぞマロト。
「わかった、レヴゼトをつれて逃げよう。」
「そうする。」
逃げようとするマロトとフェルゴザトの二人の背後から迫る人影があった。
「あなた達ーー二人さーー、逃げるのは違うわよねーー。」
二人の元にやって来たのはウノーラだった。
ナタレとレインの二人と相手しているはずのウノーラだった。
それに驚き目に涙を浮かべる。
「嘘だろ。」
泣きたくて動きが止まり石になったようなフェルゴザト。
マロトはレヴゼトを抱えて前に進む。
「逃げきる。絶対にレヴゼトと逃げきって見せる。」
やめろ、マロト。そんな足手まとい置いておけマロト。
やめてくれマロト。
「あーーあ、あのこ壊れてるわねーー。そう思うよねーー。」
あーー、こっちも壊れちゃてるわーー。
二人共もう生きていなくていいわよねーー。
「君たちは処分ねーー。」
そう言ってウノーラはマロトとフェルゴザトを粉々に切り刻み殺した。もちもん、マロトが持っていたレヴゼトも一緒に。
「処分終了ーー。」
この隙にアキリンを助けるのです。
「ナタレさん、レイン様。アキリンを助けませんか。磔のままではかわいそうです。」
アキリン、まだ磔になっていたのね。
「そうなのね、助けるとしますのね。」
「アキリンね、そんな人助けてどうするね。」
レインにとってはなんともないのね。
アキリンを磔から解いたその時、マロト達を殺し終えたウノーラがやってきた。
「次はあなた達よーー。」
あなたね、今忘れてたね。
「それね、あなたと戦うのはあとでね。」
プルプル震えるウノーラ。
「あとでーー、ふざけないでよーー。」
ウノーラ、叫ばないで欲しいのねうるさいのね。
「わたしはあなた達と戦うのをやめるつもりはないわーー行くわよーー。」
目がいってるね、戦わないといけないみたいね。
戦いたくなんてないけどね、ウノーラ。
「仕方ないわね、ナタレ、ミズキ。あなた達は逃げるね。ウノーラはわたしが相手するね。」
え、どういうことなのね。レイン。
言っている意味がわからないのね。
「逃げるってなに言ってるのね。」
「レイン様。」
どういう意味なのね、レイン。
「あなた達には見せたくないからね、アキリンを連れて逃げてね。」
「レイン。」
「レイン様。」
なにを言ってるのね、レイン。
「なに言ってるのね。」
申し訳ありません、レイン様。お任せいたします。
「ナタレさん、レイン様に任せましょう。」
ミズキ、なにを言っているのね。
「本当にそれでいいのね、ミズキ。」
レイン様に任せます。
「いいのです。」
ナタレとミズキの二人は逃げ腰でレインに手助けしようとしない二人に苛立ちを覚えたソクキナレ。
「そんなこと許しません。このソクキナレがこいつと相手します。レイン様達はお逃げください。」
「ソクキナレがこう言ってるのね、レイン。あなたも一緒に逃げるのね。」
「そうね、ソクキナレ。」
ソクキナレの隣に立ちソクキナレを撫でるレイン。
「一緒に戦かおうね。」
「はい、レイン様。一緒に戦い勝ちましょう。」
あなたにこの人と戦って勝てるとは思えないね。
そう思いレインはソクキナレをナタレの方へと投げた。
「ナタレ、皆を連れて逃げなさいね!」
ナタレにそう叫ぶレインにウノーラが一太刀を与える。
袈裟斬りをするウノーラにレインは左手で受けた。
「レイン!」
「「レイン様!」」
「任せなさいね、わたしはこの人と戦って負けはしないね。」
「ナタレさん、ソクキナレ。アキリンを連れて逃げましょう。あれとの戦いに私たちは邪魔なのです。」
「そうなのね、アキリンを連れて逃げるのね。アキリンは連れていくのね。ミズキはソクキナレを頼むのね。」
「わかりました。行きましょうソクキナレ。」
「ふざけるな!レイン様を置いて逃げるなど万死に値する。このソクキナレ、ここでレイン様の戦いを見届けましょう。」
「ソクキナレ、そのレインがあなたは逃げなさいと言っているのね。逃げるのね。」
「……わかりました。逃げるとします。」
「ミズキ、船を作って欲しいのね。」
「わかりました。」
ミズキの力の船を使いナタレ達はウノーラから逃げた。
「レイン様、ソクキナレは必ずあなた様の元へと帰って参ります!わたしは一生あなた様の道具であります!」
「ソクキナレ。」
よかったのね、レインには忠誠を誓う人がいるのね。
レインはあのウノーラとどう戦うのは見てみたかったけど仕方ないのね。
私たちはサキちゃんのために存在するのね。
そのためにサキ以外の誰かに殺されるのは意味が違うのね。
「これで邪魔者はいなくなったね、ウノーラさん。」
命令されるの嫌いーー。
「うるさかいから追いかけるわーー。」
そうなるわよね。
「そうよね、追いかけないはないわよね。」
「そうだよーー。」