第121話 リリワト
ローザとテンギネトラはロダラン荘興国に戻ってきた。
「ローザ様。」
「久しぶりイレン。」
ローザはイレンに微笑みかける。
「お久しぶりです、ローザ様。それでなにをやっているのですか。」
ローザ様がこんなことやるなんて見損なったのです。
ローザは辺りを見回してイレンに微笑む。
「見てわかる通りだわ。」
「そうですか。ローザ様。なら、なんでこの国の住民を虐殺してるのです!」
「それは・・・。」
ローザはイレンの言葉で涙を流した。
「それは・・・教えないわイレン。」
イレンはローザが扇子を取り出すと腕や足が取れ驚いていると首が取れた。
ロダラン荘興国の民達も死んでイレンも死んだわ。
これで皆救われたわ。
ローザの涙は止まらなかった。
そんなローザに声が聞こえた。
「なにしてるの、ローザ。」
「なにテンギネトラ。」
少し安堵するローザ。テンギネトラのことをまだ自分が邪魔だと思っていないからだ。
「この国の人々はローザを慕っていたの。それなのになんてことしてるの。」
イレンまで、殺すなんてなにしてるの。
「そんなこと気にしなくていいわ。」
本当になにしてるの。
「それに、あなたを消すこともできるわ。あまりわたしを怒らせない方がいいわ。」
ローザ、イレンはあなたを本当の母親のように慕っていたの。それをあんな簡単に殺すなんて酷いの。
「わたしが消えたらあなたは死にますの。それでもいいの。」
ローザは怒りを露にしながら外へと繋がる場所へと向かう。
「そうでしたわ。」
そんなローザのいるロダラン荘興国の近くで空から人が降りてきた。
倒れた二人を起こす降りてきた一人。
「リリワト様。」
「リリワト様、死んだはずなのになぜ我々は生きているのですか。」
他にも人がいたきがするけどそれは今は言わなくていいかな。
「私の力で甦らしたん。誰にやられたん。」
美しい、リリワト様。
「少女にやられたな。」
「少女にやられましたリリワト様。」
「そうん。」
少女にやられたん。カッコ悪いんだけど大丈夫なのか気になるのん。
「どうしたんだろうな。」
「あれじゃないか、俺たちはやっぱりやられ役のまま終わるべきだったってことじゃないのか。」
やられ役な、そうかもな。
「そうかもしれないな。それにしてもリリワト様ってほとんど裸だよな。」
「ああ、あんな紐だけで隠すべき所隠してるのか、変わってるのだか。おしゃれなんだか。俺らにはわからない。」
「でもな、女性人気が以外と強いんだよな。」
「確かに、きれいだから妖艶っていうか、濃艶っていうか。」
「そうだな、豊艶かもな。」
「それは違うと思うけど。」
「そうかな。」
「二人共、無駄話しないん。国の中に行くからついてきてん。」
「はい、わかりましたリリロト様。」
「一緒に行っていいのかな。」
「さぁ、わからない。」
「そうだよな。」
二人共、甦ったのに楽しそうでよかったん。
ロダラン荘興国の方にやってきたリリワト達。
そこで見たのは誰かが人を殺す瞬間だった。
近づいていくとそれがローザだとわかるリリワト。
ゾイフィア帝国が戦争していた時に散々苦しめられた敵の一人だからリリワトは覚えていた。
「なにやってるん、ローザ。」
「あら、リリワトじゃない。懐かしいわ。
あなたの娘が教祖でリリウム聖国なんてのもあるわ。」
あなたがなんで一緒に連れていってくれなかったのかってよく言っていたわ。
「そうん、あなたは私と同じことを繰り返すつもりなん。ローザ。」
「あなたと同じことなんて繰り返さないわ。もう終わりなんだから少しは羽目をはずしたいわ。」
それが同じって言ってるん。
「それ同じじゃないん。」
「そうかもしれないわ、娘に会わせる顔がないのも事実だわ。甦ったらなにもかもどうでもよくなっちゃたわ。あなたは違うの、リリワト。」
「私は娘に謝ってきたん。それで罪が消えたなんて微塵も思わなかったん。それでもあの娘はリリウムは許してくれたん、涙を流して許してくれたん。あなたのやったことは許されることじゃないん。それでも正直に話せば許してくれかもしれないん。だから羽目を外し過ぎないでほしいん。」
「そう、あなたは許されたの。」
救済が間違ったことだとは思わないわ。死ぬなら最愛の人に殺してもらいたいと私は思ったから誰もがそれを望むと思うわ。でもアサナはそれをよしとはしなかったわ。
わたしが夫の胸にナイフを突きつけるのを見て怒っていたわ。
あの時はわからなかったけどその後すごく反省したわ。
救済をするならこの後、娘のアサナとそのあなたを慕うサキ達を救済を名目に殺さなくてはならなくなるわ。
「今からでも間に合うかしら。」
「間に合うと思うん。」
そうかしら。
「あたしは娘のためにそして娘を慕う人たちのためにあなたを倒すわ。」
「かかってくるがいいん。」
扇子を持ったローザはリリワトに向かって扇ぐと葉っぱが三枚飛んでいった。
リリワトは右手を開きお皿も持ち上げるような仕草をすると死体が動きだした。
そして右手の人差し指をローザに指すと死体が全てローザに襲いかかる。
リリワトはローザの三枚の葉を近くあった棒で受け止めた。
ローザは扇子を使って死体の体を斬っていく。
それでも近づいてきて足を掴まれたが掴んだ腕を切り落とし難を逃れる。
その合間にリリワトへと葉を飛ばしていた。
一見リリワトの方が優勢に見えるがリリワトは常時頭の回転が限界を超えていた。
10体近い死体を操っているためだ。
そのため短期決戦に強いが今は長期戦の兆候が強い。
そのためリリワトは先ほど甦った二人をローザへと突きつける。
ローザに突きつけられた二人は炎弾を使って攻撃するが味方の死体に当たるだけでローザには当たらなかった。
「本当に強いな。」
ローザは強いな。
「強いか。負けるに決まっているか。」
これはローザに負けるか。
「そうだな。」
ローザは二人を細切れにした。
「やりすぎじゃん。」
「そうかしら、これぐらいじゃないと死なないと思っただけだわ。」
次はあなただわ。
二人が最後だったためローザはリリワトに扇子の狙いを定める。
「そうなん、それならいいんだけど本当なん。」
リリワトは武器という名の死体を失い逃げ出した。
「あらあら、守ってくれる味方がいなくなったら敵前逃亡するなんて呆れたわ。」
リリワトはローザになんと言われてもただ逃げた。
しかしローザの扇子から飛び出す葉っぱが体を突き刺していった。
「これで最後だわ。」
ローザがそう言うとリリワトの胸を突き刺した。
「逃げたすとはいがいだったわ。」
床に倒れたリリワト、その体には複数の刺し傷があった。
「ダメだったごめんなさいん。リリウム、マロト。そしてサタセト様、全てを助けることはできませんでしたん。」
あなたも苦労してるようね。
「感謝するわリリワト。わたしを思い出させてくれたこと感謝してるわ。」
リリワトは最後にローザを見て笑ったのだった。
「ありがとう、リリワト。本当に感謝してるわ。テンギネトラにも感謝してるわ。」
「過去は変えられないの、イレンをローザが殺したことは変えられないの。進むならそれは忘れないで欲しいの。」
「突然どうかいたしました、テンギネトラ。」
「ローザ様は反省するべきだと思ったの。」
「そうかもしれないわ。わたしはイレンをてにかけた、それは変えられないわ。それはわたしが受けいれないといけない真実だわ。」
そしてあなたがわたしを支配した事実でもあるわ。
「そうなの、ローザが正気に戻ってよかったの。」
テンギネトラがよかったと言ったがそれにローザは反応しなかった。
「どうしたの、ローザ。」
「この国は壊しておくわ。罪を忘れるためとアサナとサキに見られないために壊すわ。」
「そうなの。」
「止めない理由はなにかしらテンギネトラ。」
「ローザがそれでいいならいいの。」
涙まで流してる人の邪魔はしたくないの。
「さようなら、わたしが愛した国。」
ローザが葉っぱの扇子を扇ぐが風が起きただけだった。
「それだけなん。ローザ。」
死んだはずのリリワトが甦り驚くローザとテンギネトラ。
「生きてるなんて驚きだわ。」
「なにを言っているん、あなたに殺されてるん。これは能力の過剰付与ねん。」
「それは残念だわ。あなたをもう殺せないなんて残念だわ。」
「言わなかったん、能力の過剰付与ねん。」
そう言うとローザは後ろから強い衝撃が迫った。
蹴り飛ばされるローザ。
「やってくれるわ、ローザ。」
本当に残念だわ、もう二度と戦えないなんて残念だわ。
「テンギネトラ、あの巨人を倒せる方法ないかしら。」
「ありますの、代わって欲しいの。教えるの。」
「いいわ。代わってあげるわ。」
体の主導権をローザからテンギネトラへと代わった。
テンギネトラは着物を脱いで扇子にかける。
すると、30cmほどの扇子が3mまで伸びた。
その扇子を扇ぐと竜巻が発生し瞬く間にロダランペラトル興国は荒れ地とかし、巨人も体を細切れにされ倒された。
「やりすぎたの。」
「いいわ、自分でやりたかったけど仕方ないわ。」
「やるねん。」
ローザとテンギネトラが威力に呆然としているとリリワトが声をかけた。リリワトもそのふざけた威力に呆然としていた。
「そうだったの、あなたと対戦していたの。行くの。」
テンギネトラは3mの扇子を扇ぐ。
「その馬鹿げた風でやられないん。」
そう言ったリリワトだったがテンギネトラが扇子を葉の剣へと変化させて細切れにされた。
「やりすぎの。」
「そうだわ、殺すなんてやりすぎだわ。」
「ごめんなさいなの。」
「やりたかったわ。」
「ごめんなさいなの。」
そんな二人にサキとイレンが作り出した守護の樹木が空から降ってきた。
テンギネトラはそれを避ける。
すると、地面を突き破り大穴が空いたのだった。
大穴は100mぐらいの巨大な穴へと変わった。
大穴の100m下、そこにはリリワトとイレンを抱えた男がいた。サタセトである。
二人の墓を作りロダラン荘興国を去るサタセト。