第117話 侵略者と守護者
燃え盛るバッタの大群により屋敷が燃えてもいいとアサナが発言したため重症者が居る場所の隔壁を閉めるように指示したイレン。
サキは疲れており二人の話を全く聞いておらず物思いにふけっていた。
頭に流れる映像をサキは見ていた。
そんなサキはある場所に目をやり、そこへ連れていってくれるようにアサナ達に頼む。
今戦っている五人が苦戦しているからというのも理由の一つである……。
バッタの大群は一分間に百匹以上が上から降ってくる。
そのバッタをパラレとサカイルが打ち落としアサナとサキが切り刻んでいく。
無限に来るような恐怖感を払拭しながらサキの言った場所までたどり着いたアサナ達。
「サキ様、これって大木の切り株ですよね。」
「そうです。」
アサナの顔に赤みくなっていき、サキは切り株の周辺でなにかを探す。
「切り倒したってことよね。」
「そうかもです。」
アサナの眉が上に強ばっていく。
「誰が切ったのよ。」
「わからないです。」
「そうよね、わからないわよね。それでここになにしに来たのよ、サキ様。」
切り株でなにかを探すサキ。
「あったです。」
「それなによ、サキ様。」
サキ様が青い果実を見つけて喜んでいるのよね。
それほどのものには見えないわよ。
「必要なものです。」
戻るです。と言うサキの言葉を聞きサキと共に進んでいたアサナたちがイレンのいるバリケードが作られた場所まで戻ってきた。
「イレン、ここの種とこの実を合わせられないですか。」
ローザ様はできるって言ってくれるです。イレンに聞いてみるだけ聞いてみるです
「無茶よ。いくらなんでもそれは無理よ。そうよね、イレン。」
そうかもです、アサナ。本当にできるかわからないです。サキは嘘をついているような気持ちになり顔をふせた。
イレンはローザ様ならできるの、それなのにやらないで無理とは言えないのと思い、覚悟を決めたがサキさんの不安そうな顔を見て決意が揺れた。
「これでなんとかなるの、サキさん。」
「なると思うです、イレン頑張ってです。」
サキに頑張ってと言われたためにやる気に燃えるイレン。
「わかったやってみるの。」
青い果実とイレンがローザからもらった種を合わせようとするがそもそも方法がわからなかった。
サキが言うには目に見えないほどに小さくさせてくっつけるです。と言われたが方法がわからなかったイレン。
しかし、ものは試しと奇跡の力を二つに注いでいき小さくなれと願った。
・・・
少したって小さい光る物体が飛び交うような状態になったため果実と種を合わせようとする。
しかし、二つを合わせた瞬間、その場所だけ黒く染まったため慌てて離したイレン。
二つはなにもなかったように青い果実と茶色い種として残っていた。
「ダメなの。」
「頑張ってです、イレン。」
気落ちするイレンをサキだけが鼓舞する。
サキが発案したものの誰にも賛同をしてもらけず唯一賛同をしたのがイレンただ一人。
そんな不安しかないことをやろうとするイレンをアサナ達は期待せず見守っていたが、不思議なことが起きて呆然と立ち尽くしていたアサナ達。
そんなアサナ達を無視してイレンは二度目の合成を試みる。
先程失敗した小さな光が飛び交う状態になった。
それを見届けていると小さな光は種と果実を包みこだ次の瞬間そこにあったはずの二つが消えてしまった。
しかし、イレンには二つを持っている感覚は残っている。
そのため二つを合わせる。
すると青い果実に網目の白い模様ができた。
「こんなのでいいの。」
イレンが不安を口にする。
「それでいいです、アサナに水ってあるですか。」
「どれくらいの量よ。」
「紙コップに水を二つ分です。」
「あると思うわよ……ちょっとみてくるわよ。」
アサナはイレンを見たが合体するのをするので疲労困憊そうでなにも言わず戦っている戦士に水がどこにいるか聞きそこに紙コップを持って行く。
アサナに二つ頼んだけどです、もう一つ必要なのです。
「やっぱり一緒に行くです。」
アサナが近くにいた人に水のありかを聞いていた時サキはアサナの元へとむかった。
サキとアサナは3つの紙コップを持って、イレンは青い果実に網目が付いた物を持ち、サカイルとパラレそしてテンギネトラの三人が護衛として切り株へと行った。
切り株にサキ達は着いた。
「イレン、その果実は切り株の上に置いてです。」
「わかりました、サキ。」
イレンはサキに言われた通り青い果実に網目の白い模様がある物を置いた。
「アサナ、これに水を一気にかけるです。」
「わかったのよ。」
アサナとサキが隣同士に立ちせーのと掛け声をして水を垂らす二人。
「この後どうするのよ、サキ様。」
「逃げるです。」
「わかったのよ。」
「そうなの。」
そのままイレンとサカイルとテンギネトラはそこに立ち尽くしていた。
そんな彼らにゴゴゴと音が聞こえた。
怖くなって三人も逃げ出す。
そして果実は無くなり切り株が失くなりただの樹木へと変わった。
「これどうしてこうなったの、サキ。」
「偶々です。」
頭に流れた映像があったからこうなるじゃないかとは思ったけどできてよかったです。
「そんな、それだけで頼まれたのサキ。」
「そうよ、イレン苦労したのよ。偶然は言いすぎよ。なにかあったのよね。」
「自信はあったです。イレンが成功してくれることもです。今ある樹木になることもです。」
よかったです。
「それで穴は塞がったなのね。」
「どうだかわからないな。」
「そうなの。」
「わからないです。」
穴は塞がったのにバッタが下りてきたらここまでやった意味ないです・・・。
「先程も言いましたけどサキ様、イレンがんばったのよ。」
わかってるです。成功してて欲しいです。
ロダラン荘興国内にいる燃え盛るバッタを駆逐していく。ロダランの戦士達とアサナ達。
・・・
だいたいロダラン荘興国内に燃え盛るバッタを駆逐し終えた時ある異変に気づく。
燃え盛るバッタが降ってこなくなったのだ。
「これで一時的に被害は抑えられたってことよね。サキ様。」
一安心と言った顔のアサナ。
アサナとは正反対に不安そうなサキ。
「そうです。」
「あれが来なくなったのになにが心配でもあるの。」
「テンちゃんかわいいです。」
「う、うるさいの。はぐらかかすんじゃないの。」
「それでサキ様はなにが心配事があるんだろう。なにが心配なんだ。」
サカイルの言葉に反応無しなサキであった。
「サキ様、気持ちはわかりますけど無視はダメなのね。」
「わかったです。」
「それでよサキ様、なにが不安なのよ。」
サキはアサナを見て俯いた。
「アサナ様も無視されたやった。自分だけじゃなかった。」
「なに言ってるなのね、サカイル。」
狼のような獣にサカイルは襲われるのだった。
テンギネトラはアサナを見て驚愕した。
「怖いものを見たの。」
テンギネトラの驚く顔をみて笑いながらアサナのことを話すイレン。
「アサナ様はあんな風ありますの。お姉さんとしていますの。」
楽しそうに話すイレンをテンギネトラは見ていた。
「そうなの。うらやましいの。」
「そんな人はいないのテンギネトラにはいないの。」
「お兄さんがいたの。」
「そうなの、お兄さんがいたの、私としてはお兄さんは怖かったの。」
「そうなの。」
「でも大丈夫なの、ローザ様の方がテンギネトラと同じ人だったの。」
「ローザ様はアサナの母親なのです。」
「そうなの、うらやましいの。」
・・・
敵がいる場所を把握し高台から狙撃を狙う。
アサナとテンギネトラ。そして自分がいるの映像が頭に流れるサキ。
しかし、何者かによって殺されてしまう。
「どうかしたのか。」
「なにがです、サカイル。」
「顔色が悪いぞ。」
下を向いてある一点を見ながら
「サカイルの気のせいです。」
下のある一点を見ながら答えるサキに不安を覚えたがそっとして置いた方がいいだろうと思ったサカイル。
「ならいいんだ。」
とだけ言ってサキの元を離れた。
サキはサカイルに落ち込んでいることを気づかれたため深呼吸をして笑顔を作ってアサナののところへと向かうサキ。
そんなサキをサカイルを見て健気だなと思ったのは言うまでもないだろう。
「アサナ、ちょっと話があるです。」
「どうかしたのよサキ様。」
「あの燃えてるのを出してる宿主がわかったです。」
「それはよかったのよ、それでどこにいるのよ。サキ様。」
「塔が見える場所にいるです。」
「塔の近くにいるのよね、ならだいたい場所はわかるわよ。」
「でもです、上には燃えてるあれがいっぱいいるです。」
「そうよね。でも大丈夫よサキ様。なんとかなるわよ。」
「それだけじゃないです。アサナが死んじゃうかもしれないです。」
「私は今こうして生きているわよサキ様。」
泣きじゃくるサキの頭をアサナは撫でた。
私は今ここにいますよ。とサキに伝えるために。
サキが落ち着きを取り戻した時にはイレンやパラレなどの全員がサキとアサナの回りにいた。
「それでなんとかなるっ言うの、アサナ様。」
「なんとかなるはずよ。」
「なんの話ですアサナ。」
「上にいる悪い奴らをやっつけようって話よサキ様。」
やっぱりこうなるですか。でもです、死なせないです。
燃え盛るバッタを産み出しているもの達を倒すためとサキはアサナとテンギネトラを殺させないためにアサナとサキ、そしてテンギネトラは塔を上っていた。