第116話 燃え盛る国と奇跡の人
クラノス無茶したと思うです。とサキは言った。
しかし、止められなかったのよね。とアカネは言うのだった。
そんなアカネにアサナは簡単よ、怒ればよかったのよ。
余裕そうに言うのだった。
「怒ったのね、でもサキのような意外性もアサナさん程の迫力もありませんなのよね。」
優しく猫の姿で怒れば意外性も迫力もあると思うわよ。
寒気がしたためアサナを睨みつけるアカネ。
「あんた達、殺しに来たの。」
サキ達を見つけて殺そうと思ったのか聞くテンギネトラ。
テンギネトラの迫力に圧倒させるサキであったがテンギネトラに本音を言う。
「テンギネトラさん違うです。」
サキの言葉に疑問に思ったのでそのまま発言するテンギネトラ。
「なにしに来たの。」
「里帰りに来たのよ。」
アサナは里帰りと言う嘘をついた。
「そうなの。」
「そうだったですか。」
アサナの里帰りと言う言葉に驚くテンギネトラとサキの二人。
「サキも驚いてたのはなんでなの。」
「アサナの言葉は驚いたです。テンギネトラに会いに来たです。」
サキはアサナの嘘なんて気にせず本当のことを話すのだった。
「そうなの。」
テンギネトラはアサナの方を見るのだった。
「そうです。テンギネトラはなにしに来たです。」
サキはテンギネトラに会えたことに少しだけ嬉しくて話しかけた。
「ここには来たくなかったけど来たの。」
テンギネトラはサキ達がいたことに驚いて早く終わってほしいと思った。
「そうだったですか。」
パラレとサカイルの二人は誰だかわからなかった。
「サカイルあの人誰なのね。」
サカイルはパラレの言葉に聞いていなかったのかと思った。
そのためパラレにそっけない態度をとった。
「テンギネトラっという方ではありませんか。」
テンギネトラが二人の言う敵だと思ったため親しくしている姿が許せなかった。
「なんでなのね、サキさんとアサナさんとは親しくしてるなのね。」
「あまり気にしなくていいと思うぞ。」
サカイルに気にしなくて言いと言われたがパラレはテンギネトラをじっと見た。
それにより、パラレはわかったことがあった。
気になっていた違和感が払拭されるのだった。
ローザ様とテンギネトラの二人が瓜二つであったこと。
ロダラン荘興国には聖地と聖人がいる。
それがロダラン荘興国であり、ローザであったが今はイレンのことである。
それは守り神の恩恵であった。
守り神は生命神であり、・・・・・・である。
「ローザ様はなんでアサナさんじゃなくてイレンに頼ったのかわかった気がするなのね。」
彼女を見てそう思ったなのね。
サカイルはパラレの言葉に驚き質問を投げかけた。
「どうしてそう思ったのか教えてもらえないかパラレ。」
パラレは同じことを言う。
「イレンは見てるなのね。アサナは我が子のように慕う人と母親のように慕う人に一つの決まった考えがあるなのね。」
「どういうことだ。」
「アサナは固いけどイレンは多方面に視野を向けれるってことですサカイル。」
「サキ様、いつから聞いていましたか。」
「ローザさんの名前が出た時です。」
「本当なのね、サキ。」
「本当です。」
「それでよ、教えてほしいのよ。」
「なにを教えてほしいの。」
「ここになにをしに来たのよ、それを教えてほしいのよ。」
「ここには用事があってきたの。」
アサナの言った意味を理解して話し始めたテンギネトラ。
「この国に来たときには奴らが来た後だったの。」
「奴らってなんのことよ。」
「バルゼム騎士団の生き残り」
「バルゼム騎士団って知らないわよ。」
「本当に知らないの。」
「知らないわよ。」
「アサナさん、バルゼム騎士団はゾイフィア帝国の生き残りのことなの。」
「そんなわけないわよ。逃げた者と死んだ者しかいないはずよ。生きてるなんてありえないわよ。」
「そうなの、彼らは空からやって来たの。」
「どういうことです、イレン。」
「彼らは宇宙からこの国にやってきましたの。私達は抵抗したけどペラトル興国は焼け野原になってしまったの。地下に逃げたからこの有り様なの。ごめんなのアサナさん。」
アサナに土下座して謝るイレン。
そこには神の代行者とも言われる奇跡の人の風格はなく、ただの一人の少女にか見えないのだった。
「そんなの別にいいわよ。燃えてしまったのは悲しいわよ。死んだ人もいるけど生きてるならそれでいいわよ。」
「アサナさん、ありがとうなの。ローザ様も喜んでると思うの。」
イレンにつられて感謝をのべるものもいるが苛立ちを露にする者も少なくなかった。
この裏切り者や全部お前のせいだ。とアサナに怒号が飛ぶ。
アサナは必然というかのように怒号を
「アサナ嫌われてるです。」
「いいのよ、私が選んだ道なのよ。お母様もお許しになると思うのよ。」
「アサナのお母様、ローザさん。会いたいです。」
「サキ様、それは禁句よ。」
「分かってるです。そんなことよりです、テンギネトラさん。」
「どうかしたの。」
「バルゼム騎士団はどこ行ったです。」
「え、なに言ってるの。今も上にいるんじゃないの。」
「いなかったです。」
「ああ、人影は見ていないな。」
下は見ていないが上からより下からの方が見えやすいんだ。なにもしてこないのもおかしいからな。
「そんなのありえないの。」
「みんなも見たですか。」
サキの問いかけにロダラン荘興国の人々は見たと証言したのだった。
上からだったから見えなかったってことですか。
サキが思っているとサカイルが話を始めた。
「飛行船が火を吹いたのはあれは誰かにやられたあらかもしれんな。あの高度であれば炎に触れたはしなかった。降りてきたときもそんな気はしない。」
言ってくれるってもんよ。それだけ自分の腕に自身があるってことよね。
「ちょっと待つの。それ本当なの。」
「はい、本当のことです。」
「それでどうなったの。」
「墜落したです。」
「そうなの、わかったの。」
「みんなこの国の危機かもしれないの、一緒に来るの。」
「それで墜落したのはどこなの。」
こっちです。と言ってテンギネトラ達を連れていくサカイル。
パラレは流れでサカイルと一緒に墜落現場へと向かった。
サカイルに連れられて飛行船の墜落現場へとやってきたテンギネトラ。飛行船を見ているとやっぱりそうだったの。と言った後に集まった人達に辺りをくまなく探すように指示する。
そこへ報せを聞いて駆けつけたイレンとサキとアサナ。
なんの騒ぎですか聞くとサキがテンギネトラに聞くと昆虫がこの辺をうろついていて下手をしたら屋敷が全焼してしまうかもしれないとテンギネトラは言うのだった。
それを聞いたアサナはテンギネトラに掴みかかりそれをサキが制止した。
そんなことをしていると発見したと言う声が上がった。
その者の近くに行くと燃えるバッタが一匹跳び跳ねていたためサキが質問する。
「あれなんです。」
「あれがペラトル興国を火の海にしてるの。」
「あんな小さいのにです。」
「数が多いの、数百匹近くいるの。」
サカイルが炎に触れる距離じゃないのにです。
あんな風に爆発した理由があれが理由です。
「あんな小さいのわからないです。見えなかったのも当たり前です。」
「あれが人と同じ程の大きさになったのが五匹ほどいたはずなの。」
え、そんなものいたのですか。
・・・
ペラトル興国、火の海の中。
バッタの出で立ちをした2m近い化物が両腕に二個ずつの計四個の10cmの火山の噴出項から燃えるバッタを吹き出していた。
その五匹が一ヶ所でなにかを隠すように囲んでいるのだった。
「本当に入ってこれるとはな。」
「アサトが入れたんだ。俺たちも大丈夫だろう。」
アサトとは蟻や鹿などのキメラのことである。
前にペルマム王国の城を半壊させた化物のことである。
「.そうだな、しかし早く戻りたいものだな。」
「もうホームシックか。やめろよ。まだ一週間しか立ってねえってのに。」
「そうではなくな、俺たちが見張る必要性の話な。」
「必要だろう。こいつらの監視としているだろう。」
「そうだな。」
チッ、早く帰りたいものだな。
あいつ、元気にしてるかな。
・・・
サキ達は燃えるバッタを剣で斬ったり銃で撃ったりと倒していった。
そして、サキ達が次の五人組に交代した。
包囲網になっている場所に戻ってきたサキ達。
サキはストンと座りこみ愚痴をこぼす。
「全然減らないです。」
他の者たちも愚痴を言う。
「全くなんて数よ。」
疲れましたわよねサキ様どこかで休憩しましょう。
と言って休める場所へとサキを連れていくアサナ。
その後にパラレとサカイルもついていく。
「無限に来るなんてないよな。」
サカイル、そんなこと言わないでほしいです。
「無限になんてやめてほしいなのね。」
「敵の数が未知数なんだからわからないだろう。」
そうだけどそれは嫌です。
「ここ大丈夫、邪魔じゃないですか。」
「邪魔じゃないの。」
「それならここにいるです。動けないです。疲れたです。」
球数が足りなくなってきた。
「イレン様。もう弾が少なくなってきました。」
「そうなの、隔壁閉めるの上の隔壁閉めるの。」
「そんなものありません。」
「なにを言っているの。そんなあんな大きい穴が開いてるのに閉められる障壁がないなんておかしいの。ローザ様がそれぐらい作ってるはずなの。」
「それが違います。ローザ様は樹木を育てただけです。それがなくなるなど予想していません。」
そんなありえないの。ローザ様なの。
「怒る暇はないわよイレン。重症者の居る場所だけでも封鎖しないとよ。彼らは逃げられないのよ。」
「そうなの、そうするの。」
「あんまり考えすぎなくていいのよ。この屋敷が燃えてもいいのよ。お母様との思い出がなくなるのは嫌よ。それよりもここを守るために誰かが犠牲になる方がもっと嫌なのよ、だから仕方ないのよ。」
イレンはアサナの言葉に一筋の涙を流した。
「アサナ様。」