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世界は一度終わっている  作者: 小松ちゃん
第二章世界樹 7節木獣とマルテトフ
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第104話 ロキシマニア連邦と兵器ヒリカ


「おはようございます。」

「おはよう、キョウくん。アサト呼んでくんから待っててくれん。」

「いや自分で呼んできます。」

「そんなのダメに決まってん、そなんこと頼めまへん。」

「大丈夫です、気にせんと大丈夫やねん。」

「そなんか、なら頼むんキョウくん。」


家の窓を叩いてアサトーを呼ぶ。


三回ほど鳴らすと窓が開いた。


「おはよう。」

「おはよう、キョウどないしたん。」

「アサト、どないしたんあらへん。早う行くんや。」

キョウ、どないしたんかは分かってんねんけどそんなに取り乱すことやないん思うねん。

「行くってどこいくん。」

「決まってん救護堂行くんや。」

やっぱり救護堂やん。

最近来た商団の船に乗ってこの島に来たん医師と看護士の二人と商人もやってきてん。

その商人に俺は商売を習っているんねん。

商人は二人のすぐ隣で店をしているん。

俺はそこに通っているん、ほとんど母親に頼りきりやねん。少しでも俺が稼いで楽させるん。父さんは小さい時に海で死んだって母さんが言ってたねん。


「キョウ、そんなんは一人で行けばいいやん。俺は仕事せんでええからゴロゴロすん思っとったん。」

「でも、行くんやろ。アサト。」

暇なんは確かだから行くん。

「行くん、はよ行くん。」


「素直になんなあかんやろ。」

「うるさいねん。」


・・・


「やっぱりペッピンさんや、そう思わんか。」

そう思うけどなんか不可解っていうかどことなく不気味さがある。

「思うん。けど過ぎんねん。70のばぁさんが十代に見えるほどに過ぎんねん。」


「なに言うてんや、そなんことありえんへんやんか。」

だから言うてんねん。

「比喩表情言うねん。」

「そんぐらい分かってんわ。」


べっぴんな人は看護士の女。

彼女は医者の助手としてせわしなく動いていたん。


そんな折窓の外を見て景色を見ようとしたところで二人を見つけたってところやと思うねん。

その時に彼女は手を振ってくれた思うねん。


彼女が手を振った時にはもう窓の下に隠れてたん。

彼女と目があってバレた思うてん、とっさに覗いていた窓の下に隠れたん。

キョウは手を振った彼女に手を振り返していたからキョウに窓下に頭を下げるように言ったん。

「キョウ、頭を下げん。」

「なんでなん、手を振ってくれたんや。振り返さなあかんやんか。」

「覗いてたことバレたら嫌われるかもしれないやん。」

「なに言ってんや。そなんなことあらへんて。」

「あるに決まってるん、絶対に嫌われたんに決まっとるん。」

「わかったよ。」

そういってキョウも窓の下に隠れてくれたん。


「なんでそないなこと思ったんや、アサト。あの人が手を振ってくれたんや。嬉しいんとちゃうんか、邪魔すんなや。」

「そんなこと言わんと感謝してほしいねん。」

「すんわけないやんか。」

「これは覗きやん、犯罪やねん。」

「知ったことやないんや、なにが覗きや関係あらへん。」

そう言ってくれたキョウの気持ちなどお構いなしに心配で俯いたんねん。

「大丈夫や心配すんなや。」

キョウは励ましてくれたが罪をおかしたような気持ちは抜けなかった。


帰ることにするんとキョウに言うとキョウはわかったと言って帰ることになったん。


帰ってもほとんどやることはないん、今は仕事でメモしたことを見て時間を潰したりしてん。

それ以外やと小説を読んでみたりボードゲームをしているん。


ボードゲームって言っても一人でキョウと戦っていることを想定してやっているだけやねん。

もちろん勝つこともあるけどん、負けることもあるんだからこれは面白いん。


小説を読むのとこれどっちが面白いか聞かれたらわからんほど楽しいねん。

でもさみしいねん。

こういうのは誰かいてこそ価値があるというもん。


日が暮れていき夜になっていたん。


母に作ってもらった夕食を済ませて体を清潔にして眠ったんねん。


翌日の早朝


空は曇天やん。

今日雨になりそうやんと気分が落ち込むアサト。


そんな空を眺めて朝食を食べるアサトは空になにか浮んでいるように見えた。

確認するため外に出て空を見つめた。


なんやねんあの微かに見えたん。


空を見て見間違いだったと気づいたアサト。


あれって違うやん。


空は曇天ではなく、なにかの大群が空を覆い尽くしていて空を黒く染め上げていたのだ。


なんなん、あのぎょうさんいるのはあれのせいで空が黒く染まってるん。やばいやん、曇天に見えるほどってやばいやん。どんだけおるん。


それを見たアサトは恐怖した。

あれがなんなのか。あれは襲ってこないだろうか。

そう思い恐怖したのだ。


アサトの思いなどお構いなしのように空が次第に晴れていく。


空を黒く染め上げていた大群が少しつづ散らばったためだ。お陰で空を覆い尽くしていたものがなにかがわかった。


「あれって……蜂やん。嘘やろあんなぎょうさん蜂がおったん。でも羽音もなにもなかったやん。」


無数の蜂が大群となって空を覆い尽くしていた。その蜂は今は地上に向けて下降している。

体長1mはある巨大な蜂、成す音はほとんどない。


しかし、今現実にアサトに迫っていることは確かである。


うそやん、こんなん現実やないん。


「おはよう、アサト。」

「おはようキョウ。」

昨日の再来のようで驚くアサト。

「そんなこと言うてる場合やないねん。上見てみん。」

「上見ろってなに言うてん。」

ドカン!

凄まじい爆発音と共になにかが落ちた。

「なんや、う、うあーー!こっちにくるう、うわー!」


「キョウ、キョウー!」

くそなんでこんなことになんねん。


それがキョウに落ちたことは悪夢であったらよかったと思うほどであった。


立ち尽くしたアサトが空を見上げたときに見なければよかったと本当に思った。

目の前に巨大な蜂が口を開けて待っていた。

「はは、ハハハ。」

アサトは笑うしかなかった。


そして、アサトは巨大な蜂に食べられ死んだ。


蜂の大群に次々とその島の人々が死んでいった。

銃やロケットなどの兵器で抵抗するが数の暴力に抗うとはできずに島は無人島になった。


・・・


「僕はなぜここにいるのか教えてくれませんか。タヒリキオさん。」

「どうしかしたかな、バース。」

僕はヒリカを見つけるためにここに来たのでしょうか。

タヒリキオさん。


「ヒリカすごいですねタヒリキオさん。」

「そ、そうだな、さすがだな。」

それは……そうだな。バースどうかしたかな。


「僕はここ、ロキシマニア連邦との海戦のために来たと思ってました。」

バースはそう思っていたということかな。

「そうかもしれないな。」

「しかし、ヒリカがロキシマニア連邦を攻撃していました。なぜ僕はここにいるのでしょうかタヒリキオさん。」

それはナタレさんに聞いてきなさいな。

「ヒリカはバースのお陰で見つけられたのではなかったかな。」

「山に養蜂されていたなんて商団として調べればすぐにわかったと思います。」

そうかな、ヒリカの情報は少なかったからな。バースがいてくれてよかったと感謝してるけどな。


テンギネトラは見つからなかった場合の保険だったんだけどな。ホエドがあんなことになったからテンギネトラはここにはいないけどな。



「そうかな、見つかったのはバースの手柄だと思ったけどな。」

「そうかもしれません。しかしわからないんです。なぜ僕はここにいるのかわからないんです。教えてください。タヒリキオさん。」

「それは・・・重要なのかな。」

「重要だと思っています、タヒリキオさん。」

そうかな、重要かな。バースが言うならそうなのかな。

ヒリカはテンギネトラの代わりとして使っただけだけどな。

元々テンギネトラはこっちに来る予定はなかったからヒリカを使う予定ではあったけどな。


テンギネトラはヒリカを見つけられなかった場合の保険だったんだけどな。ホエドがあんなことになってしまったからテンギネトラはここにいないけどな。


「僕はあの牢獄のような洞窟に数年過ごしていました。それをあなた方マルテトフの皆様が助けてくださいました。あそこにはたくさんの人がいましたが僕だけが生き残ったんです。亡くなった人たちのためにも役に立ちたいんです。お願いしますタヒリキオさん。僕に仕事をください。」


確かにバースにとっては重要かもな。


「それって重要かな、バース。」

「重要です。」

そうかな、そんなに考えるほど重要かな。

バースが重要なら仕方ないかな。

「バースを連れてきたのは海国を攻めるためとな交渉人としてだな。よろしく頼むなバース。」


「わかりました。」

バースは自分の乗る船を動かしどこかへ向かった。


それに続いて他の船もバースのとる舵の向きと同じ方向へ進む中に1隻だげ島へと進むものがあった。

それがタヒリキオの乗る船であった。

タヒリキオはヒリカを回収するために島に戻ったのである。


「ヒリカを回収しにいくかな、それと島に滞在している者達を連れてこないとな。」


船には動かすためにも十人ほど乗っている。

その人たちに鼓舞しながら島々にある救護堂に向かうタヒリキオ。


「助けに来たけど大丈夫であるかな。」

「格納庫に隠れていたので大丈夫です。」

「そうだったのだな、よかったな。」

そんな救護堂にいる人たちとの会話を終えてヒリカの回収へ向かう。


ヒリカは山に巨大な巣を建設しており近づくものを排除する行動をとっていた。


しかし、タヒリキオには全く手を出すことはなかった。


そのため、タヒリキオはすぐさま女王の所に向かう。


そこには5mはある女王蜂が五匹鎮座する異様な光景が広がっていた。


その女王達にチーズを与える。

五メートルはあった女王蜂はどんどん小さくなっていき5cmほどの標準サイズの蜜蜂となっていた。


そして、その女王蜂を回収し、チーズを山の巣の近くに大量に置き、沖で五匹の女王蜂を一つずつの箱に入れて待っていた。


すると数百の蜂がやって来てその巣箱に入っていく。


そうしてヒリカのロキシマニア連邦の崩壊は成功した。


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