第98話 災厄ホエドと操者のサキ
収容所から現れた木の根のホエドを斬ったり殴ったり縛ったりして数を減らしていくサキ達。
一本の大きな木の根のホエドがアカネの下半身を飲み込みアカネは上半身だけとなっていた。
それを見たサキは思った。もう無理ですと。
サキはあることにも気づいた。
ジンクレスに最初に会った時にいた木獣ギドの強襲にやられてしまって倒れていた収容所の守護隊の人たちがいないことに。
もしかしたらです、こいつらギドは人を食ってるですか。
その疑問を胸におきながらアカネをアサナが助けようと胴体を引っ張っているがなかなか抜けずに困っている。
「サキ様、手伝ってよ。一人じゃ無理よ。」
「はいです。」
そう言われてもアカネの元へとなかなか来ないサキ。
クラノスはそんな二人がアカネを助ける間、迫り来るホエドを斬っていた。
アサナの元へとなにかを持ったサキがやってきた。
「サキ様、それってロープってことよね。」
「そうです。」
なにに使うのよ。
アカネは上半身も大半飲み込まれており、もう後は両腕と首より上、後一歩で肩まで浸かっているみたいに飲み込まれる所だった。
そんなアカネをサキは手首を縛った。
サキが両手首を縛ったためアカネは口まで飲み込まれた。
サキがロープに合図を送る。
アサナに引っ張り出されたら離してです。と言って。
イヤー!とアカネは首を横に振りながら叫ぶが口が塞がれているためフーとしか聞こえない。
そんな抵抗もむなしくアカネは空高くに舞い上がった。
もちろんイヤー!と叫びながら。
アサナはアカネが飛出した所で手を離したため少し飛んだけど1mくらいだった。
アカネはロープに縛られたまま10mは上にいた。
助けてと声が聞こえるため木に枝を下ろすように伝えるサキ。
サキが持ってきたロープは木の枝だったのだ。
そうしてアカネの救出を終えて抱きしめあいながら喜んでいるとクラノスが迫り来るホエドを斬っていた。
「もう疲れたので休んでもいいですか。」
もちろんダメ!と言われるクラノス。
サキ達と10メートルは離れているため叫んでクラノスに伝える。
それはただからかっただけで助けようと動き出す三人。
遠くにいるんだから無理よクラノス。
とアカネは思った。
クラノスにザムゴシトの人の腕が持つ剣が襲いかかる。
ザムゴシトの剣をクラノスが受けようと構えた。
構えたクラノスに向かって猫パンチが顎めがけてのアッパーにやられてクラノスはよろめきそこに剣が襲いかかる。クラノスはおぼろげな意識の中、かろうじて受け止めることができた。
クラノスがゆっくりと後ろに下がると同じく前に進み徐々にクラノスの頭に自分の剣が近づく。
クラノスが時間を稼いだためにアサナ達がクラノスのもとへとやってきた。
しかし、アサナの目の前でクラノスとザムゴシトが消えてしまった。
その驚きでアサナは固まってしまった。
アサナとサキは動くことができず、体が変化してホエドと対抗できるアカネ。
アカネ一人でホエドと対抗する。
徐々にホエドが増えていき、アカネ一人では対応できなくなってきた。
そんなとき、一本の木の枝がホエドを切り落としていた。サキが近くの木を操りホエドを攻撃した。
サキとアカネが協力して収容所から現れたホエドを最後の一本まで斬り終わった。
斬り終わると地面が揺れた。
地震が起こりますしばらくして先程、断崖絶壁になっていた場所にやって来たサキ達。
断崖絶壁はなくなっており、平地が続いていた。
・・・
「アサナ。大丈夫ですか。」
「アサナさん、どうしましたのね。」
クラノスが消えてしまってからアサナはずっと止まっていた。
そんな固まっていたアサナはサキの言葉を聞いて、サキに抱きつき涙を流しながら言う。
「サキ様、クラノスがいなくなったわよ。どうすればいいのよ。サキ様、私どうすればいいのよ。」
心配になったアカネがサキに聞く。
「サキさん、アサナさん。どうしましたのね。」
分からないですか、アカネ。
そういうことです。でもです、教えないです。
「アサナ、大丈夫です。クラノスはまた面倒ごとにあってるだけです。大丈夫です。」
「サキさん。」
わかってるです、アカネ。これでいいとは思わないです。
でもです、面倒ごとに巻き込まれるのがクラノスです。それはアサナもわかってるです。
「アサナ、面倒ごとに巻き込まれてるクラノスを探しに行こうです。」
「行かないわよ。面倒ごとに巻き込まれてどうなると思うのよ。サキ様。」
面倒ごとに巻き込まれてどうなるですか。
そんなのです、分からないです。
「サキさん、どうしたのね。」
「生きてると思うです。アカネはどう思うです。」
「わからないのね。」
わからないです。
「もう会えなくなるのね。」
あ!です、なるほどです。
「大丈夫です、アサナ。クラノスは死なないと思うから大丈夫です。」
なにも言わないアサナ。
「ちょっと待っててですアサナ。クラノスを探してくるです。」
探してくると言ったサキに疑問を感じたアサナとアカネ。
サキは周辺を探す。
もちろん、クラノスはそこにはいない。
しかし、サキは小さくなったホエドを一つ見つけた。
それを拾い上げて歩いていくサキ。
歩き続けて回りの木々と違い、少し細く色褪せており一部が円に8個のねじれ曲がった三角の傷(八芒星ハチボウセイの傷痕)がある木の前で止まった。
また、その木には盛り上がった土があったため、掘ってみたサキ。
そこには八芒星のマークがある四角い箱の核があった。
その核に触ると今まで切り落とした触手全ての情報が頭に響くサキ。
情報が多すぎてサキは叫んだ。
「どうしたのね、サキさん。」
サキは眠ってしまった。
アサナにアカネがサキが倒れたと伝える。
するとアサナは涙を流しながら固まっていて丸くなっていたアサナだったがアカネのサキが倒れたという言葉を聞き動き出し倒れたサキを見つけて生きていることを確認するとベットにサキを寝かせた。
・・・
サキが数日眠り続けていた。
そんなサキが目を覚ました。
側にいたためアサナがいち早く気づき声をかける。
「サキ様。」
アサナの声が聞こえて目を開いたです。アサナを見るですが、無数の情報が頭に漏れてきたです。
頭が痛くなってです、真っ白になったです。
目を閉じてアサナに挨拶するサキ。
「おはようアサナ。」
目を閉じると無数の情報は漏れないです。
「おはようございます、サキ様。なぜ目をつむっているのよ。」
「わからないです。拾った石ってまだあるですか。」
拾った石ってなによ。
知らないわよ。
「サキ様。聞いて驚かないでくださいよ。」
アサナどうしたです。もったいぶらないでです
「サキ様の額に石が飛び出ているのよ。」
「オデコについてるということですか。」
「そうよ、サキ様。」
なるほどです。
・・・
触手群の核がこのオデコにある石だと思うです。
それにここに集まっている触手群を見ると50程です。
なのでです、この石は他にもあるです。
石が教えてくれるです。
ナスターク帝国かラプオビの二つのどちらかが拠点です。
そこにもう一つの石があると思うです。
もしかしたらです、クラノスがいるかもしれないです。
「どうしましたのよ。サキ様。」
「どうすればいいのか考えてるのです。」
「考えることなんてないわよ、サキ様。行きましょうよ。」
クラノスを探すのよ。
「はいです。でもです、わからないですアサナ。ラプオビとナスターク帝国のどっちがいいと思うです。」
「クラノスはどこにいるのよ。」
「わからないです。アサナ、どっちにいると思うです。」
ナスターク帝国にいると思うです。
でもです、アサナはラプオビに行くようにいうと思うです。
そこに行けばです、こうなった原因がわかるかもしれないです。
クラノスの居場所もわかるです、クラノスは生きてるです。どうするです、アサナ。
「ナスターク帝国に行くわよ。」
わかったです、ナスターク帝国に行くです。アサナ。
テントで眠っていたサキとその付き添いをしていたアサナ。
そのテントが開く。
「アサナさん、昼食を持ってきましたのね。」
サキさん。
「起きましたのね、サキさん。よかったのね。」
「はいです、起きたです。」
「どうして目をつむっているのね。」
「つむってないと眠くなるです。」
目を開けると眠くなるのね、どういうことなのね。
それより気になるのね。
「額の石は起きても消えないのね。」
額の石を触って一言。
「みたいです。」
「サキ様、早くいきましょうよ。」
アサナ。
アサナさん、変わっているのね。
「行くってどこにいくのね。」
「ナスターク帝国に行くのよ。」
「ナスターク帝国に行くです。」
ちょっと嫌なのね。サキさん。
「大丈夫なのね、サキさん。疲れているように見えるのね。」
「そうですか、なにも食べてないです。なにか食べたいです。」
「そうね、昼食を持ってきたのね。一緒に食べませんのね。」
アサナと二人で食べるために持ってきた昼食をサキに一つ渡すアカネ。
昼食はパンとスープと魚の焼き物をサキとアカネの二人が食べる。
昼食を食べる二人にアサナが私の分はないわよ。と言う。
「ごめんなさいです、アサナ。もう半分食べたです。」
「そうなのね。アサナさん、申し訳ございませんのね。一つ分作らなければならないので待っていてくださいなのね。」
そこまでしないくてもいいわよ、アカネ。
そう思ったアサナであったが、サキはパンとスープと魚が乗ったお盆をアサナに渡しながら言う。
「アサナ、これ食べていいです。」
サキのその行動に驚きアサナは返した。
「なに言ってますのよ、サキ様。サキ様の分を食べられないわよ。」
そういうと思ったです。
「でもです、アサナのために作る一人分の食事と二人で半分を食べてです、二人で一食分作ったら食べれるです。」
「それいいのね、いい考えなのねサキさん。」
食べてあげてなのね。
「わかりましたわよ、食べますわよ。」
そういってアサナはサキからもらった昼食を食べ始める。
「ごめんです、アカネ。もう一食作ってです。」
「わかりましたのね。」