第94話 マルテトフ
一方ナタレはというと……。
ナスターク帝国の地下へとやってきていた。
ナタレが通路を歩いていると会う人会う人に挨拶されるため、ナタレは苦笑いを浮かべながら挨拶を交わした。
ナタレに、上司に対する礼儀としての意味合いと、もう一つの理由から挨拶を交わしていた。
それはナタレに対しての恐怖心からである。
それにナタレはすこし嫌気か
彼女はこの帝国の王、ナスターク帝国女王、ナタレ様なのだからである。
彼女は地下の倉庫として使っている部屋へとやってきた。
そこにはアキリンが拘束されている。
ナタレがアキリンがここにいることに罪悪感を覚えていると誰かが声をかけてきた。
「ナタレ様、こちらにはレイン様にお会いにいらっしゃたのですか。」
「そうね、タヒリキオ。タヒリキオ、あなたその姿はどういうことね。」
タヒリキオとは人を操ることのできるクルミの実。
「なんの話ですか、ナタレ様。」
「タヒリキオ、あなたはわかっているよね。あなたはやってはいけない人を今操っているよね。それをわかっているよね。」
「だから言ったじゃない、その姿は絶対ダメだってね。」
ナタレの後ろの扉が開きナタレに似た者が声をかけてきた。
「どういうことねレイン!」
「なんでね、なんでなのね!レイン!なんでタヒリキオがこんな姿になってるのね。」
タヒリキオの姿を見て怒りを露にするナタレ。
「ナタレさん、あなたは知っているはずよ。ねぇ、アキリンさん。」
レインはアキリンがナタレの怒りに呆れているのを見た。
また、ナタレを無視して話を聞く。
「あなたはなにが目的なの~~。レイン。」
「わかっていないの。ナタレはわかっていると思っていたのにね。」
・・・
30分後、タヒリキオがしびれを切らしてレインに聞く。
「レイン様、わからないみたいです。」
「うるさいなのね、タヒリキオ。殺すからなのね。でも次言ったらなのね。いいわよなのね。」
タヒリキオに殺意を持ってレインは見つめる。
2mは離れているのに目と鼻の先で話をしているのかと思うほどの威圧感と殺気で一歩下がった。
「すみませんでした。レイン様。」
「わからないからね、教えてね。」
「アキリンはどうおもうなのね。」
タヒリキオになんか構ってる暇はないのね、
・・・
「お腹が減ったからなにか食べたい。」
「アキリン。大丈夫よね。」
「レイン、あなたはナタレ自身なんじゃないの~~。」
「アキリンの言う通りなのね。理解したなのね、ナタレ。」
「それはそういうことということは知ってるのね、アキリン。レイン。そんなこと理解できるわけないじゃないのね。」
お願いねレイン。お願いね、もう一度だけ会わして欲しいのね。
「パラレに会わせてね、レイン。」
「・・・わかったけどナタレ。そんなの当たり前じゃないの、だからちょっと待ってて。」
しばらくしてパラレとサカイルがやってきた。
二人はアキリンの元へ向かい大丈夫ですか。と聞く。
パラレ!とパラレに抱きつくナタレ。
ナタレはパラレに聞く。
タヒリキオのことをどう思うのか。
「この人のことなのね、ナタレさん。気持ち悪いと思うなのね。」
そうね、と言ってナタレは会議室へと向かうようにタヒリキオとレインに言う。
そして、アキリンに問う。
「この後どうするのねアキリン。」
「う~~ん、もう少し~~ここにいる~~。それで~~ナタレ~~。アウルが~~どこにいるのか~~教えて~~。」
「神殿にいるね。」
「そうなの~~、ありがとう~~。」
そう言ってアウルの元へ向かうアキリンとパラレとサカイル。
ナタレは地下にある会議室へと遅れてやってきた。
ペチン!
木の触手に叩かれたナタレ。
「なにするのね、エドロ。」
『謝罪、遅い。ナタレ。もうマルテトフのみんな集まってる。』
触手でその文字を見せるエドロという木の触手群。
エドロが触手群で作り出した椅子に座るナタレ。
それを感謝するナタレ。
ちょっと気持ち悪いわね、さすがはエドロね。
「ナタレも来たところで今回の作戦を説明するなのね。」
「もうそのしゃべり方じゃなくてもいいとおもうね。レイン。」
「それもそうね。それでは改めて説明するわね。」
会議室にいる全員が頷く。
「まずは今まで通りミズキが主導で人形作ってもらって人々を殲滅していってね。辛いと思うけどよろしくね、ミズキ。」
1mの木の枝で立っていて先端にリンゴのような実つけるミズキ。
ミズキはもう一つ実をつけると実を落とす。
落とした実は五人の人間の姿、もしくは獣の姿になる。
そんな能力を持つミズキに能力を使って人を殺せと言うレイン。
「人間を殺すことはその人の人生を終わらせることです。それが使命ですから、どんなことでもやりとげてみせます。レインさん。」
「よろしくね、ミズキ。」
さすがね、ミズキちゃん。でもね、頑張りすぎはダメだからね。
「ミズキちゃん、頑張り過ぎないようにね。やり過ぎるとミズキちゃんがやられる立場になるからね。ミズキちゃんをレインもね、頼りにしてるからね。」
「はい、ナタレさん。肝に命じておきます。」
ありがとうございます。ナタレ様。その言葉を飲み込み精進します。
「よろしくね。」
本当に真面目ね。ミズキちゃんはね。
「ミズキが1ヶ月間で倒せない場所はね、ザムゴシト。あなたが向かってそこの人達を殲滅しなさいね。」
「もしね、サキちゃんとアサナ。クラノスに会ったら殺さないようにしてね。」
誰なのだ、その人達は。ナタレさん。
「サキ、アナサ、クラン。とは誰だ。ナタレ。」
「その人達には極力会うようにはしなさいね。でもね、殺しちゃダメだからね。」
「なぜだ。レイン。」
「レイン様のことは様と呼びなさい。様が無理でもさんぐらいはいいわ。それぐらいの方なのよザムゴシト。わかってるの。」
ザムゴシトの前にチューリップの花のような30cmの茎と葉が生えた先に鈴の花が咲いている花。
その花から生えた三本の刃が頭と足を狙い、手がたくさんあるため手はその者の体と同じ10mはある刀が両腕を全て斬り付けるようにあった。
もう一つ枝が伸びており口が生えていた。
その口から話された。
「あ、ああ。わかった、悪かったなソクキナレさん。」
その鈴の花からの殺意に殺されると思ってドタッと尻餅をつくザムゴシトがソクキナレに言うのだった。
「私に向かっていうことじゃないのはわからないの。ザムゴシト。」
「ああ、すまなかったなレインさん。」
様付けではないのね、ザムゴシト。
「そうね、さんとは呼びなさいね。いいわね。ザムゴシト。」
「ああ、すまないな。レインさん。」
「そんなことよりソクキナレはどうするのね、レイン。」
「おい、ソ……。」
ソクキナレなぜナタレには言わないんだ。と言おうとしてソクキナレを見るとバズーカを付けていた。
あれはヤバイやつだ。殺されるな。
そう思ったザムゴシトはナタレがレインを呼ぶことになんつけつけないのかとソクキナレに聞こうとしたが諦めた。
「ありがとうね、ソクキナレ。それでねもう一度聞くけどね、レイン。ソクキナレはどうするのね、レイン。」
「ソクキナレはここにいてもらうね。」
「そうなのね。」
ここにいてもらうね。ソクキナレは私達の守護者ね。当たり前ねナタレ。
そういいたそうね、レイン。
でもね、レインはそういうこと言わないのよね。
「次にテンギネトラね。あなたはザムゴシトと同じね。よろしくね。」
メイクをしているテンギネトラはレインの話を聞いていなかった。
「テンギネトラ、化粧もいいけどレイン様の話を聞きなさい。」
「え!レイン様話していたの!ごめんなさいレイン様。許してください。申し訳ございません。お許しくださいレイン様、ソクキナレ。」
涙を浮かべながらレインを見て最後に目の前にいるソクキナレに言う。
「わかった。脅かして悪かった。」
よかった、ソクキナレは許してくれた。
とホッとした着物を着た花魁のような女性のテンギネトラ。
「いいえ、私が悪かったの。ソクキナレが謝ることじゃないわ。」
ソクキナレに微笑むテンギネトラ。
そして、レインには微笑みではなく満面の笑みを浮かべながら話を聞く。
「レイン様、申し訳ありませんけどもう一度おっしょっていただけますか。」
「あなたもザムゴシトと同じく、ミズキが1ヶ月間で殲滅できなかった方を殺しに向かいなさいね。サキとアサナ。クラノスは殺してはいけないからね。わかったね。テンギネトラ。」
それを聞いたテンギネトラは真顔に戻った。
「殺してはいけない人がいるの、レイン様。その理由聞いてもいいかしら。」
「そのことは全員の指示を出したらね。」
「余計なことを言ってしまいました。すみません、レイン様。」
「いいのね。それは聞いてほしかったことだからね。」
「ソクキナレちゃん、聞いたわよね。早くレインの元に戻りなさいね。」
「はい、わかりましたナタレさん。」
ソクキナレはテンギネトラを見ながらレインの隣にあるエドロの椅子の上に生えていた。
あれでいいのだろうかね。とナタレは思っていた。
それにしてもエドロすごいわね。
この長方形のテーブルもエドロの物ね、椅子もエドロの物なのよね。
遠くの反対にレインがいてこっちから見て、右側にソクキナレがいてね、左側にはタヒリキオが座ってるね。
右側にはエドロ、左側にはテンギネトラがいるのね。
エドロの隣がミズキであり、その隣にソクキナレがいるのね。
逆にテンギネトラの隣にザムゴシトがいてその隣にタヒリキオがいるのね。
この様に会議室で会議している。
これってエドロが決めているのかもね。すこし気になるね。
タヒリキオのこととレインのことについてはまだないわね。
「それでよろしくお願いするわね。そして私とナタレとタヒリキオはザムゴシトとテンギネトラが倒せなかった人達を殺すわね。それがサキ達であっても私達が相手するわね。後エドロは奇襲してもらうね、わかったわね。」
テーブルであるエドロを叩き立ち上がる者が一人いた。