第90話 革命のための犠牲タートス
宝玉を握る力が徐々に強くなっていき息づかいが荒くなっていくナタレは宝玉を握る手とは反対の手に握っていたサバイバルナイフを振り上げた。
その時、アキリンがナイフを振り上げた腕を掴む。
「ナタレ~~順番~~あるからやめて~~。」
そう言ってアキリンはタートスの声がするタートスの魂とも取れる宝玉をナタレから奪取した。
分かったね。
ナタレに柱の木を切ってその後に宝玉を砕けばいいから~~。
と説明したアキリン。
ナタレはしまおうとしたナイフを自分の指に刺し血を流す。するとナイフは赤色に光だし血液が水のようにナイフを覆い流れていた。
そのナイフを使いタートスの体が変化したようになっている木の柱を上に繋がる方を斬り返し刀で下側を斬ったナタレ。
アキリンから宝玉を受け取りタートスの体が変化したような木の柱を宝玉の上に乗せた。
なんと宝玉の上に木が立った。
「立ったね。」「立った。」「立った~~。」
宝玉の上に丸太が立つと青く光だした。
光が収まると目の前にはナタレの記憶にあるタートスが目の前にいた。
「タートス。」
と名前を呼ぶ。
ナタレは目の前の人を見て涙を抑えることが出来なかった。
「ナタレ。」
ナタレは名前を呼ばれてタートスに抱きついた。
「申し訳なかったナタレ。辛くて大変な日々と重荷を頼んでしまった。申し訳なかった。ナタレ、彼女は今はどうしている。頼んだあの娘は。」
「大丈夫ね、今も生きてるのね。」
苦しんでるけどね、生きてるのね。
「そう、あの娘にも辛い思いをさせてしまった。早く解放してあげないといけない。早く解放してあげないといけない。分かってるナタレ。よろしくね、後ありがとうナタレちゃん。」
タートスは言いたいことだけ言って体が割れていき灰となって消えてしまった。
ナタレは・・・。立ち尽くして座り泣き叫ぶ。
・・・
しばらくしてアキリンが消沈しているナタレに落ち着いた~~。と気の抜けた声で聞く。
ナタレはアキリンにお礼を言った。
タートスの最後を見ることができたことに。
この後どうするのねとナタレはアキリンに聞く。
「う~~ん、どうしよう~~。」
なにね。まだ決まってないのね。
「姫さん達、特にシェリフに聞いてないのね。」
「ああ~~、シェリフ達に聞いたらいいのね~~。変なこと聞いてごめんね~~ナタレちゃん。」
なんできかなかったのかわかんないね。
それにしても本当にタートスさんがナスターク帝国を支えていたものなのね。不思議なのね。
「アキリン、タートスは本当に死んだのね。」
「そうだよ~~ナタレちゃんも見てたでしょ~~。」
そうよね。
「それでね、この国を司る機械も排除できたのよね。」
「なんの話~~ナタレちゃん。」
え!どういうことね。
「タートスは機械に利用された方、まだ排除はできてないよ。」
嘘よね。ならなんでこんなことさせたのね。
「それならね、その機械はどこにあるのね。」
「どこにあるんだろう~~。それを探さないと~~いけないわ~~。それに~~触るとタートスみたいになるかもしれな~~い。」
そうなのね。それでね、なんでこんなことさせたのね。
「ならなんでね、タートスを殺さないといけなかったのね。タートスから色々聞き出せばよかったのにね。」
「それは~~、そうなんだけどね~~。」
タートスの自我がなくなりそうだったからね~~。
いっそのこと殺してあげたの~~。
ナタレを見つけたから~~。
タートスは~~ナタレに会いたがってたからね~~
本人がいるしね~~。
それぐらいの夢なら~~このアキリンは見せてあげる~~。そうしないと失格だからね~~。
「タートスが~~自分を~~ね~~。だから~~ナタレちゃんに会わせるだけにしたの~~。」
色々聞きたいことはあったけど~~こればかりは仕方ないから~~。
「ありがとうね、アキリン。でもね、勘違いしないでよね。」
「こんなことをした人は~~許さない~~。そう~~いいたいの~~ナタレちゃん。」
そうね、早く見つけ出そうね。アキリン。
分かってるよね。
ナタレちゃん目付きが怖いよ~~。
これは~~最後までやらないとダメ~~な感じ~~。
やることは~~変わらないから~~いいんだけど~~。
「それで~~ナタレちゃん。聞きたいことがあるの~~聞いていい~~。」
「なにね。」
「彼女とは~~どうして別れたの~~。」
「タートスのことね。」
「そう~~、タートスとどうして別れたの~~。」
「子供と世界を旅なんてできないよね。アキリン、そういうことね。」
本当は勇気がでなかったのね。
「本当に~~。それが理由なの~~ナタレちゃん。」
「そうね。」
・ ・ ・
読み書きを教えてくれたタートスは国が派遣した騎士。
ナタレの故郷は村で人数は少ないものの有意義に過ごしていた。
しかし、大きな猪の獣を狩ったため祝いのために村を起こしての宴を行った。食べた翌日に高熱で倒れるものが現れそれは村全体で起こった。
幸いナタレはその日は風邪で寝込んでいたためその肉を食べなかった。
そして、その病は町へと伝染していき果ては王都にまで病をもたらした。
その病は数日立つと発疹が現れ最悪死ぬ病だった。
その原因はナタレの住んでいた村での猪だった。
その猪が天然痘に感染していたのだ。
それを食べた人々に感染し王都にまで伝染した。
しかし、治療方法がなかった。かに思われたが村に原因を調査しに行った1人がその病を伝染させた本人に会いそれを撃退したことにより病の抵抗薬を開発し、事なきを得た。
そして、その抵抗薬を作ったのはタートスの親友でタートスはその1人の護衛としてやってきた。
タートスは村民に励ましの言葉を投げ掛けた。
そして、ナタレは親をその病でなくした。
そんなナタレはタートスに剣術を戦う術を教えてほしいと懇願した。
タートスはそれを受け入れたが今は戦う術を手に入れるよりも知識を手にいれた方がいいと教えた。
その方が役に立つと両親も喜ぶという言葉をそえて。
ナタレはタートス達についていこうとしたがそれをタートスは断った。慕っていたのは知っていたがそれよりも親友の死がナタレのせいもあったためナタレのことを見たくなかった。そのためナタレを連れていくことはなかった。
・ ・ ・
ナタレちゃん知ってるよ~~。
ナタレちゃんは~~タートスが教えた場所で~~能力を手にいれた~~っていうこと~~。
それが~~ラプオビじゃなくて~~違う場所だってことも~~。
そこが~~あの城の~~地下だってこともね~~。
ナタレちゃんがその時に~~タートスにあったこともね~~。
それが償いの気持ちでやったことだってことも~~。
タートスの親友が~~ナタレちゃんを守ってくれたことも~~。
で~~も~~ナタレちゃんを守ったことが原因で~~死んじゃたからね~~。
タートスのその後のこと~~聞きたくな~~い~~。
「ナタレは~~タートスがなんでここに閉じ込められたのか~~聞きたい~~。」
「タートスは探してたね。死なない方法をね。」
「誰が死なない方法~~ナタレちゃん。」
「巫女が死なない方法を探してたね。親友は巫女の力のせいで死んだって言ってたのね。」
本当は私が殺したのにね。
ナタレは巫女とは何かを話した。
アキリンはそれを知っていたため答え合わせのようだった。
巫女は世界の行く末、未来が見える。
未来はいくつも分岐しており可能性が広がっている。
その分岐を操作できる場所、特異点を探しだしてなってほしい未来のために特異点を変える。
当たり前だが、その分岐を変えるにはその分岐に直接行かなければならない。例え自分が死ぬことが特異点を変える方法だとしても。
そんな未来を見ることができる力は今、ある少女にわたっている。それがタートスの親友の娘にしてナタレの恩人の娘であり恩人でもある。
それは・・・・・。
誰だかは想像にお任せします。
その力は万能じゃない。一度行った特異点には二度と行くことができない。
変えたからといって良い方へと向かうとも限らない。
自分が死んで未来を変えたからといって本当に変わったかはわからないし、目指したこととは逆のことが起こるかもしれない。
そんな未来を可能性を見ることができる力と可能性を選択できる力。
その力を受け継げる者。
また、共有できる者を作ろうと奔走したのがタートスだった。
結果はナタレという共有できる成功例が現れ、自分の娘が親友の娘と仲良くしている。タートスはパラレの母親でもある。
そんなタートスであるが罠にはまった。
不老不死になれる秘宝。それを見つけるために奔走したいた時に見つけたのがこの場所でここには宝箱あった。
宝箱の中身は世界に尽くすこと。それが宝箱の力だった。タートスは木と宝玉へと変化した。
「アキリンはね、ここにタートスが閉じ込められてたのね、知ってたね。ずっと前からね。」
当たり前じゃない~~。ここを教えたのは~~このアキリンだから~~。
そしたら~~こんなことになってたの~~。
予想外だった~~。
でもね~~ナタレちゃん、こうなったのは~~緑のせいなんだよね~~。
緑が~~あの城まで伸びた~~樹を見つけなかったら~~こんなことにはならなかったのに~~。
そんなことを言っても仕方ないことだろうけどね~~。
「こんなことになるとは思わなかったからね~~。
元々は~~人畜無害なものだったから~~。」
「どういうことね、アキリン。そんなこと言ってもね、タートスは死んだのね。これはどういうことね。」
「ええ~~そうね~~ナタレちゃん。」
あなたの言う通り~~タートスは死んだわ~~。
こうなったのは~~緑があの樹を成長させたのが原因よ~~。
それがなければ~~ここに樹が~~あるわけないわよね~~。
・ ・ ・
おかしい~~変よ~~。




