第85話 それぞれの旅路3
一人になってわざわざアサナは友達に会った。
一人になってわざわざナタレはアキリンに会った。
サキはアサナと合流したがラプオビに行くための方法が思い当たらないサキたち。
ナタレはアキリンに言われて悩んでいた。
ローザとの約束があるからナスターク帝国を改革すべきかサキと共にラプオビへ向かうべきか。
果たしてどうなるのか。
ナスターク帝国編も今回で一時終わり。
アキリンナタレはサキとアサナに進言する。
「ラプオビに行くにはナスターク帝国の近くにあるシクラ洞窟に行ったらいいね。」
「そうですか、ナタレちゃんはなんでそんなことを言うです。一緒に行って案内役をすればいいです。」
ナタレちゃん、なにかあるですか。
「ごめんね、サキちゃん。この国に残るね、アサナはどうするのね。」
なんで私に聞くのよ。サキ様に従うわよ。当たり前じゃないのよ。
なぜアサナに聞くです。
「ワザワザ私に聞く意味ないわよねナタレ様。」
「そうね。でもね、ローザさんが前に言ってたのね、この国の改革を行うことが気がかりってね。」
母様がそんなことを言うのはどういう意味よ。
「なんでそんなことをローザさんは言ったですか。」
「それは私のためだと思います。」
ローザさんは優しいから。
「どういうことよ、ジア。」
「それは、この国の王妃がお姉ちゃんだから。」
「ローザさん……優しいです。」
「母様、この国のことも考えていたということよね。知らなかったわよ。」
「ローザはそんなことまで考えてたのか。」
いつも一人で抱え込んで誰にも教えないのよ。
でもよ、ナタレには教えているところがあるということよね。
少し母様のことを知れてよかったわよ。ありがとうナタレ。
「ローザさんとの約束があるからここからはナタレとはお別れですか。」
「そうね、ごめんなさいね。サキちゃん、一緒に行けなくてね。でもね、隣にアサナがいれば安心よねサキちゃん。」
ナタレちゃんとはお別れですか。寂しいです。後少し不安です。あの人に会わないと行けないからです。
でもです、ナタレに心配しないでナスターク帝国のことを考えて欲しいです。
「うん!ナタレは心配しないで大丈夫です。」
「よろしく頼むね、アサナ。」
「……はい……ナタレ……様。了解しましたよ。」
はぁ……やっぱりね心配はアサナね。しっかりしなさいよね。
私の顔を見て安心した顔してたからねそういう風になることはわかったけどね。
「はぁ、なにそんな顔してるのね。そんな顔してるとね、また誰かにサキちゃん取られちゃうからね。しっかりしなさいよねアサナ。」
ハっとしてるじゃないのね、考えなさいよね。
これから行くのはシクラ洞窟だけどね、その先にはラプオビにいるねアウルに会行くのよね。
その事をサキちゃんは考えてないけどね不安は感じてるからね。
それにね、サキちゃんにはトラウマの場所に行くということをね、理解しなさいよね。
「すみませんナタレ様。サキ様、サキ様は私がお守りしますよ。いただけない部分もあるとは思いますが頼っていいのですよ。」
全くね、言われなくてもねそうしなさいよね。心配ね。
「大丈夫です、謝る必要ないです。アサナのことは頼りにしてるです。」
これだからサキちゃんは心配になるのよね。
その事を重々考えなさいよねアサナ。
後ね隣にいるのになにも言わないアキリンはどうしたのね………ビックリね。
「泣いてるね……アキリン。」
「もう~~言わないでよね~~ナタレ~~恥ずかしいじゃないの~~。」
もう~~ナタレが~~残ることを~~決めた~~気持ちが~~わかったから~~もう~~泣かないわけには~~行かないじゃないの~~。
もう~~ナタレの~~バカ~~。
「アキリンはどうするですか。」
ん~~ナタレの~~せいで~~サキちゃんに~~どうするか~~聞かれたです~~ナタレのせいで~~。
「サ~~キ~~ちゃ~~ん、見てわからな~~い、ここに残るからね~~。」
ナタレのせいで~~。ここに残ることになったです~~。
「見てはわからないと思うわよアキリン。」
「わからないわね。」
そんなこと~~わかってる~~から~~。
「なによ~~二人して~~。二人とも嫌い~~。ナタレは~~大~~嫌い~~。」
「極端な方なんだな、アキリンは、なぁジア。」
「そうみたいゼウト。」
それに野次馬も集まって来ましたよゼウト。
場所を変えたいけど。
無理そうね。
そんなことより聞くことを聞かないとね。
アサナ様はローザ様の意思を考えて悩んでいたようですがサキさんを守る使命を全うするようね。
ローザ様の思いを無駄にしたくないし、お姉ちゃんがあんな姿で牢の中にいるのは我慢ならないから、私はここに残るけど。飛行船もないし。
「ゼウト、あなたはどうします。」
「お前はどうしたいんだジア。」
お前の姉があんな姿でいるだ。お前が考えろ。
「・・・」
あなたのこと考えて聞いてあげたのに。私のしたいことなんて決まってるじゃないの。わからないの。
「なによ、せっかく聞いたのに、損したじゃないのよ。」
口調を強くして言うジア。
「お前のことを考えたんだよ、ジア。」
ジアの怒ってるような態度に少しもういいやとなげやりなゼウトも口調が強くなった。
「嘘つき、あなたは自分のことしか考えてないわ。だからローザさんがあんなことになったのにここでアサナと一緒にいるんでしょ。あなたは見たくなかったからね。」
半泣きの状態で口調をさらに強くして言うジア。
「うるさい!うるさいんだよジア!そんなのかってだろうが!なんでお前にそんなこと言われなくちゃいけないんだよ!」
痛いところをつかれて完全にキレてしまったゼウト。
怒ったゼウトを子供みたいだなと見つめる他の三人と野次馬たち。
「あなたみたいな人でも夫だからよ。悪かったわね。」
いきなり恥ずかしいことを言うジア。
自分の言った言葉が恥ずかしくなって顔が赤くなっていた。
「……そうかよ。それで、お前はどうしたいんだ。サキと一緒に行きたいのか。それともナスターク帝国ですごすか。」
こちらも例外でなく顔を赤くしながらチラチラ周りを見ながらジアに確認をとるゼウト。
「決まってるでしょ、もちろん後者のこの国に残るから。お姉ちゃんのためにね。」
赤くした顔をそのままに強い口調でそう言い返すジア。
「そうか……悪かったな。」
そんなジアの態度に少し落ち着いたゼウト。
「気にしてないわ。」
ジアはまだ恥ずかしそうだった。
「あの二人はいつもあんな感じなのですかアサナ。」
これが二人の会話を聞いたサキの感想であった。
「あ~~それ~~気になる~~。」
「どうなのね、アサナ。」
サキ様以外わかってますよね。
「おじさんとおばさんはいつもあんな感じよ。」
母親の弟夫婦のためアサナからしたら叔父さんと叔母さんなのだ。
「へーそうなんですか。」
仲が良さそうでなによりです。
・・・
「サキ様、どうしますのよ。」
聞くべきか迷いましたが聞かないといけないわよね。
二人だけで行くことは決まりましたわよ。サキ様。
付き添いは私以外誰もいませんよ。
存分に頼ってくださいよサキ様。
内心大喜びしていたアサナであった。
「サキ様、おじさんとおばさんも残るみたいよ。二人だけなのですからもう出発するのはどうなのよ。」
「そうなのね、どうするのね。サキ様。」
船を持っていった二人には後でお仕置きしないとよ。
でもよね、ナタレ様が抜け駆けしそうなのよね。
それならそれでいいのよね。
「アサナはいいのですか。あの二人のためにもです。それとあなたのお母様の無念だと思うです。アサナはいいのですか。」
サキちゃんは~~痛いところを~~ついてくるね~~どうするの~~アサナ~~。
サキちゃんは心配なのね。
サキ様。ジアと同じこと言ってもいいのてましょうか。
そんなことを思ったがアサナはサキの前に膝をつきサキの手にキスをして次の言葉を言った。
「サキ様は、私が守りますわよ。なのでよ、お側に使えさせていただきたく思いますよ、サキ様。ダメでしょうか。」
・・・
その姿を静かに見守りっていた。
サキの次なる言葉を期待して。
「貴殿に命ずるです。アサナ、一緒に行ってくださいです。」
「はい、サキ様。一緒に行きますよ。」
「でもです、本当にいいですか。」
「なによ、サキ様。せっかくあそこまでしたのよ。当たり前じゃないのよ。」
「そうですね、アサナはそばにいてくれるです。」
「決まったわね。それじゃあね、サキちゃん、アサナ。」
「二人とも~~また会おうね~~。」
「サキさん、アサナさんをお願いします。アサナさん頑張ってください。」
ジアはそれでいいのか。満足そうだからいいけどな。
「サキとアサナとはお別れだな。ここが終わったら国に戻るジアのこともあるからな。ありがとう二人とも。後じゃあな。」
「さようならです。また会って楽しく話をしたいです。それまで元気でです。」
と言って手を振るサキ。
「また会いましょう。さようなら皆様。」
と言って律儀にお辞儀をするアサナ。
それ他は手を振って二人がいなくなるのを見守っていた。
「あの二人シクラ洞窟の場所わからないわよね。場所教えてくるね。」
「お願いね~~ナタレ~~。」
「すぐ戻りますね。」
そう言ってナタレは受付の方に走っていった。
パンフレットがあったためそれを取りに行ったのだ、
・・・
それから月日は流れナスターク帝国組はシェリフと合流した。
そして、決戦の時は近い。
シクラ洞窟行きの二人はナタレに言われて洞窟へとやってきて中に入っている。
洞窟内は城の地下のように迷路になっていたが地図があったため楽に進んでいた。
もちろん行き着けるかは不安な二人。
そんな中光が見えてきた。