第79話 植物園合流編⑦ 驚きと変わり者
ナスターク帝国の地下で散々な目にあったため、緑の部屋の近くにあったお風呂でリフレッシュした三人。
しかし、サファイアはお風呂に入ってはダメだったようだ。
緑とサファイアの二人は去ってしまった。
サキとアサナは不思議な石の効果で瞬間移動に成功した。その場所は異様な光景であった。
その場所には驚きの表情を浮かべる者がいた。
なぜなら……そこにいたのは犬耳と犬の尻尾の生えたミドリを愛でるナタレとレバナの二人の姿があった。
「ナタレさん、変わってください。」
「嫌ね、レバナに撫でさせるのはもったいないね。」
変わるわけないのね。
と言うように二人で競争していた。
しかし、二人ともミドリにはまだいっていないことがあること。
なにより、見えない嘘があることがわかったのかもしれない。
「それはどういう意味です。」
ナタレはレバナのその一言に驚いた。
知っているこが発する声の大きさやタイミング、表情が似ており。どこかへ行ってしまいそうな雰囲気までにていた。
ふふ、サキちゃんにレバナそっくりね。
「それはね、レバナはミドリを愛でるより愛でられる方ね。」
レバナはかわいいんだからミドリを撫でるのはミドリがかわいそうね。
自分より年下に頭を撫でられるのは恥ずかしさと下に見ているって言われているみたいで屈辱的なのよね。
「そうだな、ナタレの言う通りだ。レバナは撫でてもらっていた方がいいだろう。」
「「「!!!」」」
突然後ろから話されたために驚く三人。
叫びそうになったのをなんとかこらえたナタレとレバナの二人。そして、ナタレは賛同を受けたのも驚いていた。
特にレバナはハレンに驚いて叫びそうになった。
ハレンにさらわれたからだ。
「「ハレン。」」「ハレン様。」
驚き声を上げた三人。その人が誰だかわかると驚きは薄らいだ。
ハレンはレバナを離さずずっと撫でている。
「ハレン、さん。これは恥ずかしいのでやめてください。」
ハレンはレバナの言葉を無視して撫で続けていた。
「レバナは本当にかわいいなぁ、さん付けでなくていいぞ。」
「ハレン様!」
とミドリは帽子をかぶり直し敬礼をしてハレンの前で直立していた。
「恥ずかしい所をお見せしました、ハレン様。
申し訳ありませんが今見たことはなかったことにしていただけませんか。ハレン様。」
ミドリがハレンにそう言っている時もレバナはハレンに撫でられていた。
「ドキドキねレバナ。」
レバナを取り返したナタレ。
「はい、ドキドキです。」
ハレンの登場にドキドキするナタレたち三人。
ナタレの行為と自分も職務放棄で怒られるのではないかと考えているレバナ。
しかし、犯人を確保したら報告するようにとは言われていたため報告はしていた。
そのため、ハレンに怒られるようなことはないのだ。
それ意外になんと言われるかはわからないため唾を飲み覚悟を決めるレバナ。
ミドリも不安と恐怖心で唾を飲んだ。
そして、ナタレは成り行きを見ていた。
「本当に驚いたよね。ハレンがいきなり出てくるからね。」
空気を呼んでくださいねハレンさん。
と言う意味で発言したかは、果たして……。
今のナタレの発言の方が・☆・である。
「はい、驚きました。」
ナタレさんがハレンとミドリの邪魔をするなんて驚きました。
後ナタレさん、やめてください。撫でられるのは恥ずかしい……。
「ハレンさんもそうだけどあんであんなに怖そうにしているのミドリさん。」
レバナちゃん……意外と図太いわね。これも撫でているせいじゃないわよね。恥ずかしくてなんでも話せる疑似無敵状態みたいなことじゃないわよね。そうよね。
だれか、教えてなのね。
「それはね、ハレンはミドリみたいな犬人に殺されたからね。」
なんてね、そんなことありえないね。
レバナ以上になんでも言っていいと思っていることを知らないナタレ。ストレスを感じていないのだ。感じても即緩和……。
「え。」
なに言っているのですハレンさんが死んでいるわけないじゃないですか。
サキさんみたいな怖いこと言わないでくださいナタレさん。
「冗談ね。それぐらい衝撃的なことがあったのね、ハレンはね・・・。」
そして、ミドリにもそれぐらいのことがあったのね。
でもこの二人。いつからこういう関係になったのか知らないのよね。
興味深いね。
「そんなことがあった風には見えません。本当にあったのですか。」
どうなのだろうね・・・。
レバナの言ったようにね、ハレンが犬人を嫌っているようには見えなかないね。
などと話をしているレバナを見てハレンはいいなぁ。
あのキャッキャッウフフの世界に入りたい。
と言うわけでミドリに犬人の姿を懇願するハレン。
「ミドリー見せてよ。お願いー。」
「恥ずかしいの。」
「ふーん、あの二人には見せていたのに見せてくれないんだ。」
ハレンもミドリのあの姿をもう一度見たいようであった。
男に裸を見られるようで恥ずかしい緑。
そのため、ミドリは熟考した。
・・・
「キャー!可愛い。ピョコンってたってる耳も可愛い。ミドリの顔も、本当に可愛いね。それにこの尻尾フワフワしてるの。ミドリの手入れの具合がわかるもの。あーなんて幸せなの。」
と言う結果となった。
ナタレとレバナの二人がひくほどにめちゃくちゃミドリを愛でるハレンだった。
その奇妙な光景を眺める二人組がもう一組存在した。
「ナタレ見つけたです。」
ナタレを見つけたでいいのよね。この状況どういうことよ。それになんで緑が犬の耳と尻尾つけてるのよ。不思議なこと多いわよ。
不思議な世界へと迷いこんだサキとアサナ。
サキは状況を把握するのを諦めているのだった。
「サキちゃん、それとアサナ。戻ってきたのね。どうだったのね。」
「ねぇねぇ、ナタレあれなんなんです。モフモフです!触ってみたいです!」
ナタレに会えたことよりミドリの異様な光景に興味深々なサキ。
「あれはミドリね。」
緑、さん。さっき別れたはずです。
と疑問に思うサキ。
それもそのはず、顔は瓜二つだからだ。
それは必然なのだ。二人は別世界の同じ人物であるからだ。
~ ~ 二人のミドリ ~ ~
ミドリはミリス・ドリス・リリス。
父親が妻と同じような女性に育ってほしい。
そんな思いを込めてミドリにしようとしたが妻のミドリスがドリスがいいと言ったのがこの名前となった由来だ。リリスはかわいいからと父親が付けたものだ。
緑は緑花梨。緑は名字で花梨が名前である。
カリンにしようと思ったが漢字をあてた方がかわいいと母親が提案し花梨となったのだ。
二人の緑は違った名前と違った家族が存在するのである。
そして、緑は空操樹の影響でこの世界へとやって来た異世界人なのだ。
と二人の緑が存在する。
緑の住む世界は空操樹の影響で崩壊してしまった。
しかしそれは空操樹が操る世界を奪うための行為であった。
~ ~ ~ ~ ~
ミドリがサキの興奮した声に反応して、サキとアサナの存在に気づいたため犬の耳と尻尾を服や帽子で隠した。
その姿に少し落ち込むサキ。
ミドリの姿に疑問に思ったハレンとレバナが後ろを向くとサキとアサナが立っていた。
しかし、サキは元気いっぱいにレバナに手を振っていた。
レバナーと叫んでいるほどである。10m離れているかわからないのにである。
「サキ久しぶり。アサナさんもお久しぶりです。こちらの二人はミドリさんとハレンさんです。」
サキに抱きつき、アサナへと挨拶を交わした後後ろの二人の紹介をした。
「緑花梨と申します。よろしくお願いします。」
頭を下げて挨拶する緑。
「ハレンだよろしく頼む。」
仁王立ちでそう言うハレン。
「緑さんとはさっき別れたはずです。」
ナタレに言われたときにも思った疑問を口にしたサキ。
「そうあの人にあったの。その人は知り合いです。あの元気していましたか。」
人見知りでなにも言えないサキ。
とサキが挨拶を交わして世間話をする四人。
ナタレに報告するアサナ。
「久しぶりね、どこに行っていたのね。」
「この城の地下に行っていましたわよ。」
「ここに地下なんてあったのね。」
「それよりお聞きしたいことがあるのですがその人はどなたでしょうか。ナタレ様。」
その時、ナタレはレバナとサキ達が挨拶を済ませているのに気づき紹介をする。
「そうね。紹介しないといけませんね。この人は部下で弟子のアサナというのね。この人はミドリさんとハレンさんです。」
サキが言葉につまっていたため、二人はサキと同じように挨拶した。
「はじめましてアサナさん。緑花梨と申します。」
「ハレンだよろしく頼む。」
「緑、そうよ。さっき緑と別れたわよ、どう言うことよナタレ様。」
アサナはサキとは少し違うが驚いていた。
「それはここにいるミドリじゃなくてもう一人の緑ね。」
聞くよね。緑とははじめてあったのねアサナ。
違うね、アサナはこっちのミドリにしかあってないのね。
「もう一人どういうことです。」
固まっていたサキがナタレに質問した。
緑はサキが質問をしたためナタレをせいして言葉を発した。自分の言葉で言いたかったのだ。
「私は異世界からやって来た緑。」
しかし、ナタレが言ってもいいような気がするのだった。
「「えーーー!」」
サキとアサナはお互いを見つめ、お互いがほっぺを引っ張った後叫んだのだった。
「嘘にしか思えないです。」
「嘘よ。」
「嘘じゃないのね。これがね。」
なんでナタレが答えるです。
さわりたかったのになんでナタレが言うです。
サキ様、ナタレ様に怒っているわよ。ナタレ様。
「そうなんですか。あの……です……緑……さん。」
「ええ、ここじゃない世界から来ました。緑花梨っていいますよろしく。」
緑はサキに微笑んだ。
「よろしくです。緑お姉さま。」
サキは緑に恥ずかしそうにそう言うのだった。
「サ、サキ様!緑か花梨さんでいいと思いますよ!」
アサナがそれはダメよ。それだけはダメよ。と言いたげであった。
「そうですかアサナ。緑お姉さま、とっても喜んでるです。」
両手で頬っぺをさわりお姉さま緑お姉さま。緑お姉さま。と言って興奮している緑花梨。
サキにもう一回としつこくねだっていた。
あの変人(変態)を作るぐらいなら緑さんでよかったです。
「緑ってあんな風になるのね。ちょっと怖いね。」
「ああなるのは嬉しいときだけだけど、ナタレの言う通り怖く思う時もあるけどかわいいと思うけど。」
ハレンの言葉にへー、ニヤニヤと納得するように笑うナタレとレバナ。