第12話 エピアス
「あんなことで騙されるほどじゃないよ。クラノス。」
「そうだよなサキ様だから。なら、話すしかないな。あそこにある木を。苗木をよく見てみてくださいサキ様。」
「そんな手には引っ掛かんないよ。」
「サキ様。見てくださいね。あの木なにかがおかしいと思いますね。」
「えっ!本当に……。
え!なんで地面に戻ってきてるのあの木の枝。」
「どういうことだ!あれは!」
「どうしたのルディエル。」
「あの木は検問所でクラノスを縛るときに見ましたがあそこに苗木などありませんでした。」
「1メートルはあるよ。気づかなかったってこと。」
「ルディエルは、記憶力ならこの中で1番良いなずです。サキ様。」
「簡単だね。1メートルの苗木が新しくできたってことだね。」
「ねぇ、木の枝が地面に戻ってきてるのかの説明はなんでないの。」
「今から言いますからサキ様。木の枝が地面に向かっているのは苗木があることと関係がある。」
「「「えーーー!嘘でしょ。なにその不思議すぎな木!」」」
「あの、どういう意味ですのね。」
「「「あっ!」」」
「ごめん、クラノス。続き教えてくれる。」
「はい……、木が地面に戻ってきているのは種を支えていたのですがその種が大きすぎたか、遠くに・・・はないな。えっと、枝を地面に刺してそこから木が生えてくるのかもしれません。」
「最初に言ってたのが1番そう思うね。」
「「「うん、そう思った。」」」
「ほんとうに、それだけで検問所の向こう側に行きたくなかったのクラノス。」
「えっと、それは・・・。」
チラッとパラレとは反対側を見たあとパラレを見たクラノスに、あれ、と思ったがサキはただ聞いていた。
「あの木はエビアスと言う木ですね。」
「え! …、パラレ。」
ユリースなにをしたいるのですか。とサキは思った。
「どうかしました。クラノス。」
「なんでもない…。」
「ユリース。この言葉に聞いたことある。クラノス。」
クラノスは俯いた。
「そうなんだ。どう思うルディエル。」
「あれは力だと思う。」
「なんでもう一人いるの。」
「パラレの力だよ。間違えた。ユリースの力だよ。アサナ。」
「・・・」
「来たよ。ユリースさん。」
「ユリースさん。ユリースさんは話せないよ。アサナ。」
「あのサキ様。ユリースさんは誰なのね。」
「ユリースさんが誰かか。誰かはわからない。それがユリースさんって、幽霊だよ。」
「幽霊…。」
「幽霊ならね、なんで見えるのね。」
「それがこたえだ。」
「答え。か、ユリースの力って答え。か。」
「ユリースの力… …。」
「ユリースの力ってなんなんだよーーーーー!!」
「ユリースの力は復活。」
「復活だけだとわからないか、ユリースの力は体は動かないけど意識って体だけが動く、それがユリースの力なんだよ。」
「ねぇ、アサナ。なんでここにユリースがいるの。」
「わからない。」
「ふーん。…。」
ユリースはサキの目の前に現れ微笑んだ。
「うわッ!」
「ふぅ、なんでいるの。ユリースさん。」
その言葉を聞くとうなずき口を動かすユリース。
「『1番知ってるサキちゃんはもう知ってると思ったるよ。』
って言いたいわけユリースさん。」
その言葉を聞いたユリースは?といった顔だった。
『サキちゃんは面白いわ、私が言ったのはサキちゃん可愛いって言ったの。』
サキにルビアはそう説明した。
サキは「そうですか。わかるなら早く言えばよかったのに!」少し怒った口調で言った。
「怒った顔も可愛いそうです、サキ様。」
「ルビア!」
「あれ、ナタレ。」
「なに言ってるの…。」
「・・・」
「はー、おもしろかった。ね、サキちゃん。」
「え !…えーとナタレ。…なんでここにいるの。」
「さあね、なんでだろうね。」
「なんで誰も疑問に思わないの。」
「サキ様。ルビアですよ。」
「ルビア。・・・……・・・。
あ~!ルビアってたしか、ナタレの・・・。
ここに、来れた理由は分かったよ。
けど、なんでここで会ったのかわからない!なんで!なんで!なんで王国じゃなくてここ!」
「それはね。サキちゃん、そのね、え~と。そう、運命だね。」
「ではなくですよサキ様。ルビアがわざとこのカルディオス王国に連れて来たからだよ。」
「え。…なんで。」
「なんでとは何かお、教えてくれますか。サキ様。」
「バカなクラノスは無視でいいけど … ・・・
・・・。」
サキは睨みながら言った。
「そうね。教えてもね。サキちゃん。」
「本当にいいの。ナタレちゃん。」
「いいからね、サキちゃんに教えようとしてるんだからね。アサナちゃん。」
「ならいいですよ。」
「サキちゃんはなんでここに来たのかわからないから聞きたいんだよね。ならね、サキちゃん。サキちゃんはなんでここに私がね、ここにいると思うか言ってね。」
「ここに遺跡があるからムラサキ女王の伝説がある。」
「他にね、ないのね。」
「ある。えっと、王国が滅んだか、何かあったから。」
「うん!そうね、サキちゃん。あってるね。」
「王国が滅んだんだ………。」
「・・・」
「えっ!ち !… …ちがうのね!サキちゃん!王国が滅んだ方は違うからね。」
「ふっ、ふっふっハハハハハハ」
「「「「ハハハハハハハハハハハハ」」」」
「えっ!なにどうしちゃったのね。」
「ナタレがあまりにも可愛いかったからつい。」
クラノスはアサナはルディエルはパラレはサキ
はナタレがここに来たのはなにか危機が来たからだと直感的に思った。
「ねぇ、ナタレ。ユリースの声が聞こえたの。」
「サキちゃんはどう思う。」
「うーん、聞こえてると思った。」
ユリースの目がうるっとしたような笑ったかのように一瞬だけだけど見えたからナタレにそう答えた。
「そ、そうね。サキちゃんがそう思うならね、絶対にそうだと思うね。」
びっくりした!サキちゃんが笑顔で返してくるなんて。顔を真っ赤にしてナタレは思った。
アサナはサキ様が笑顔で答えたことがよっぽど答えたんだろうなと思った。
「アサナ様、ナタレ様。大丈夫なのですよね。
酔ってるわけではないですよね。」
「うーん、酔ってると思うよ。パラレ。」
「そうですよね、まさか酔ってませんよね。よかっ・・・ えーーー!酔ってるって言いましたね!アサナ様!酔ってるってね!ヤバイですね!どうしよう、どうしよう。」
ぐるぐるぐるぐると効果音が聞こえて来るくらいパラレは回っていた。
「落ち着いてパラレ。大丈夫、ナタレ様はぜっっっっったいに酔ってないよ。」
「嘘だね!ルディエルも嘘吐くときはしっかり吐くんだね!」
「まぁまぁ、パラレ。可哀想だからやめてあげてよ。」
「うるさいね!そんなのアサナ様にはどうでもいいことですよね。」
「そうよ、でも・・・。いや、パラレも色々あったからいいと思う。」
「そうね、ルディエル、クラノス様。どっか行ってね……。って言うかね、少しの間三人にしてね。」
「えっ!なぜパラレ。」
「クラノス様。飛行機の中行きましょう。」
「なぜだ!ルディエル。」
「なんでもいいじゃないですか。あと理由を聞くのは野暮だと思いますが。クラノス様。」
「そう、ならルディエルの言うとおりにするとしましょう。」
飛行機のハッチが閉まる音が聞こえると空からボワーーと音がしたのをクラノスとルディエルは聞いた。
サキとアサナにはその音は目の前にいる子に集中していたため聞こえなかった。
「えっと、あれ、なんでなんでね、止まらないのね涙。早く止まってよ。」
「・・・」
「大丈夫よ、パラレ。お姉さんたちがいるんだから。大丈夫。よしよし。」
パラレに寄り添ってアサナは綿か布で包んでいるような優しい手で頭を撫でながら優しい声もそっと包み込むようにパラレに言葉を投げ掛けた。
「ううん大丈夫だから ね。アサナ様。」
「少しは大丈夫になったみたいね。 パラレちゃん。」
ナタレが笑うだけで温かく懐かしさがその場に流れた。
「・・・」
目の前の光景に信じられないサキであった。
なぜなら、パラレは号泣していてそれをアサナがなだめていたからだ。
アサナは鋼の精神のように泣いていようが痛みに耐えていようが死にそうになっていようが怒鳴り散らしたり、殴ったり蹴ったりするアサナがこんなことができる人だとは全く思ってなかったのだ。
「なに見てるのよ、サキちゃん。そんなんだからモテないんだよ。」
「うッうるさいな。こちらの勝手なんだから良いでしょそれは。」
「そうよね。」
と言うとナタレの頭を優しく撫でた。
「スゥーー。」
膝枕でぐっすり眠ったパラレ。
「寝たねパラレ。」
「ええ、ぐっすりと。」
パラレの頭を死にそうな少動物を撫でるかのように二つの大きさの違う手が撫でた。
「フフッ 可愛い。」
「ナッ ナッ ナタレちゃんは可愛いってよく言うけどなんでなの。」
「歳かねぇ。」
「クスクス、ナタレちゃんがその言葉使うと笑っちゃうからやめて クスクスクスクス。」
「それってどう言う意味かしらねアサナちゃん。」
「言った通りの意味だよナタレちゃん。」れ
「そうなのね。なら嫌味ってことね。」
ナタレは理性を失ったかのようにアサナ。
そのまま一歩一歩と歩いてアサナに近づく。
「ちょ、ちょっとナタレ。そんな怖い顔しないでよ。大丈夫なんでしょ。」
「・・・」
「 ! 」
アサナは自分とナタレだけでサキやクラノス達が誰もいないこのおかしな光景を前に空恐ろしいと思った。
「ねぇ、ナタレ。」
「なにね、サキちゃん。」
「アサナになにしたの。」
「えっ ーとね、殺されると思うほどの恐怖を見せてるね。」
「大丈夫なの、それ。」
「わからないね。どうなのだろうね。」
「あっ!帰ってきたみたいだね。」
「ほんと。」
「ほんとですね、大丈夫ね。」
大丈夫とナタレは言ったけど、ほんとうは全然大丈夫じゃなくて、ほんとうに殺されたんだとアサナの口を開けて驚愕の顔をしてたからそう思った。