第67話 植物園合流編③ サキ、扉と最悪の足掻き
少し時間を遡ってます。
ある人物の案内で城の外へと出てしまった二人。そして、地面が消え落ちたサキ。
落ちた先で出会ったのは楽園の管理者を名乗る一人の男マムユス。
その者の目的は地下でサフィールからもらったユカリの核、それはこの空操樹の核だと言う男。
そして、落ちた所から出られずにいた。
・・・
「ちょっとあなたナタレちゃんがいるところまで案内しなさいよ。」
アサナどうしたのです、ちょっといつもと違うです。
「無理ですアサナ。」
「何いっているのよサキ様。」
「ここから出る方法は。」
「ない、なんて言わないでくださいよ。サキ様。」
「その通り。ここから出る方法を知っているが教えられん。君……アサナだったか……。君はどうやってここにやってきた。」
その時アサナはマムユスを睨んだがサキ様が興味津々の目で見てくるため話始めた。
「サキ様が落ちた後
・・・
「城じゃないのよねサキ様。」
なら、ここはどこなの。
そう思ってみるとおかしいわよ。
ここ、あれにそっくりよ。
鳥が大量にやって来たあの場所じゃないのよ。
つまり、ここはまだサキ様が言っていた通り植物園なのよ。
そして、アサナは落下しなかった。
「え、どうしてよ。なんでよ、サキ様に会わせてよ。」
───
「それで君はどうやってここに来た。
早いわよ。まだ、肝心なところいってないわよ。
「ここへは壺からやって来ましたよ。」
もう少し聞きたかったです。経緯の方が気になるです。
どこで見つけたのか気になるです。
「そんなことはどうでもいいのよ。それよりナタレ様にどうやって会いに行けるのよ。」
「そんなこと教えるわけにはいかない。サキが持っているものを渡せば教えてやってもいいがな。」
「そうでしたわよね。わかったわよ。サキ様。」
「渡さない方がいいっていったのはアサナです。」
「しかし、渡さないと……。」
「そうですか、なら帰るです!」
そして、人一人入るほどのボックスと扉が現れた。
「じゃあです、さようならです。」
この扉はどこ行くです。
・・・
「どうするのよマムユス。ここ潰されるわよ。」
「君はアサナと呼ばれていたがここにそんな人物が入った形跡はない。君は誰だ。」
「私はあの子に会いに来ました。そして、この種の最後を見届けにきました。あなた方の最後の足掻きを見せてください。」
「言われるまでもない。最後なのは知っている。だから派手にやってやる今までは邪魔が入ることを考慮したがもうそんなことを考えている意味がなくなった。時間がないんだ!」
その通りよ。あなた方は早く行動しないとあなた方はもう・・・。
扉を開けた先にはなにが広がっているのか。
楽しみです。
・・・
一方アサナはサキが落ちてしまったため歩き回って疲れて眠ってしまった。つまり、あの空間にはアサナ行っていないのだ。果たしてサキが会ったアサナは誰だったのか・・・。
そして、たまたま戻ってきた緑に、アサナは発見され緑の部屋に連れていかれたのだ。
アサナは目が覚めると驚いた。
緑が手術でもするのか、緑のエプロンのような物とマスクをしてメスを持っていた。
「怖いわよ緑、どうかしましたかなのよ。」
左腕どうしたのよ。失くなっているわよ。
アサナの視線を感じ左腕をさする緑。
「これはあなたたちと別れたあとにちょっとあったの。」
「ちょっとってキンレンとなにがあったのよ。」
「なに言ってるんだ緑。」
ちゃんと義手付けておけよな。
「・・・」
優しいわよ、本当になにがあったというのよ。
「アサナが見つめてるけどなにかしたな。」
「え、アサナが見つめてるってそういう意味じゃないの。」
キンレンに対する感情は関心はあるけど感心しないよ。
アサナはキンレンと緑の関係性には興味があるがキンレンにはなにも思うところはなかった。
・・・
「ねぇ、二人ともサキ様、どこかに落ちていったのよ。どこに行ったかわからないから教えてほしいのよ。」
「どうなんだ、緑。」
「わからない、あまりここから出たことないの。お姉ちゃんに出ないように言われてたから知らないの。」
え、緑って姉がいたなんて知らないわよ。でも、妹がいたわよね。つまり、この娘・・・。
「どちら様ですのよ。」
「緑です。メイド長の緑は姉なの。」
よかった通じたのよ、突然でいってる意味が理解されないと思ったよ、実際キンレンは理解してなさそうなのよね。「・・・キンレンどういうことなのよ。」
「メイド長の緑って言うのは、ミリス・ドリス・リリスさん。そして、こちらが緑花梨。」
意外にキンレンも話聞いてたということよね。
「緑って何人いるのよ。」
「お姉ちゃんと兄ちゃん、パパとママ……ここの管理人の姉ちゃんの1、2、3、4、5、6、六人。」
「そう。」男がいたことは驚いたわよ。お兄ちゃんがいたなんてよ。六人いるってこの園内にいるってことじゃないわよね。
そう考えるとユカリはにいったい誰に対して言ったのか気になるわよ・・・。
「それでよキンレン。緑はどうして義手なんて付けてるのよ。あなたいったい何したのよ」
「よくわからないの。なんか知らないうちに義手になってたの。」
・・・本気じゃないわよね、緑。
あなたキンレンだったなんていわないわよね。
なに勝手にしゃべってるんだ。俺の番だろ。
いいじゃないの。
「こいつが暴れたからだ。」
「こいつって・・・キャー!」
な、なによ!なんなのよ!
「どうしてこうなるのよ。」
「その娘は私の妹なの。名前がサファイア。」
「サファイア......。」
かわいそうな名前をつけたものよね。なにか取り戻したいものがあったのかもよ。
なんてこんな姿になった娘に思うことじゃないわよね。ごめんなさい。
サファイアの頭を撫でるアサナ。その瞳にはサキ様を早く見つけなければという野心に燃えていた。
神話の話ではサファイアは全てを裁く番人の一人で人間の味方をする神々に腹をたてたから自分の欠片を人々にあげたのよね。神々が人間に愛想つかせるために。
それで人々はある奇跡をなしてしまった。
それが原因でサファイアは力を抜き取られ自分の欠片であるサファイアへと姿を変えられてしまったのよね。
そんな歴史がある石の名前にするなんてちょっとかわいそうよ。
それにしてもなんでよ、これは人形よ。
「どういうことよキンレン。あなたおかしいわよ。」
「それは君じゃないのかな。アサナ。」
「そうよね、そういうしかないわよね。だってあなた。」ハズレだから。
アサナは取り出した。メガネを。
それは緑とキンレンが腰に付けてたものをアサナが拝借したものだった。
「これが欲しいんじゃないのよ。二人ともよ、ね。」
「なんでアサナが持っているの。もう、探していたのに。」そう言って眼鏡をかけると緑は固まった。
「緑、あなたそれでも生きてるって言えるのよね。」
「どういうことなの・・・。」
「説明しなさいよ!キンレン。どういうことよ!」
アサナがそう叫んだ瞬間、アサナに襲いかかってきた。
「どういうつもりよ。」
「攻撃、対象、確認。攻撃、対象、確認。攻、撃、を、開始、します。」
「どういうつもりよ。やめなさいよ!」
「アサナは殺してもいいと許可を得ている。さようならだ。」
そして、アサナは傷ついているサファイアによって傷つけられ・・・。
「大丈夫、アサナ。」
状況把握をするアサナ……理解できなかった。
「どういうことよ緑、説明しなさいよ。」
攻撃されたのはアサナではなくキンレンだった。
「あれは、サファイアじゃなくて人形だったの。
そして……私も……。」
え、緑も人形・・・そうは見えないわよ。嘘よね。
「でも人形にも考える力はあるの。生きたいと思う心も守りたいと思う思いもあるの。誰かの指図なんてもういやなの。」
「そうよ、誰かに命令されるだけじゃなにも変わらないのよ。だから、殺すのはやめてよ。緑さん。」
「ごめんなさい、それはできない。あなたがいなければ……いなければ……パパとママにも会える、サファイアにも。家族が再びひとつになるために。」
「そうだ、よく考えて行動しろ。人形風情が。」
「わかったわよ。」
「ごめんなさい、アサナ。」
・・・
ごめんなさいサキ様。あなたを守りきることができませんでしたのよ。
サキ様、あなたの笑顔でこの世界に祝福を与えてくださいよ。私の夢はあなたの側にいることでしたが変わってしまったことはお許しくださいよ。
「ごめんなさいアサナ。あなたにはここで消えてもらいますの。」
もう、あなたの出番は終わりなの。
・・・
『あんなこと言ってるけど、これでよかったの。』まだ、間に合うけど。
『わからないわ。だって、あの娘に提案されたことよ。』わからないわ。
そうだけども・・・。
【十年前、ナタレがアサナに初めて会った次の年。】
「もし、お母さんがいなくなったときは私も一緒よ。だから、絶対に死なないでよ。死なないように頑張るから。」
アサナ。これで良いのよね。
『約束を守れなかった私が悪いことはわかるけどまさかあんなこと頼まれるとは思わなかった。』
『・・・今からでもいいのよ。』
『約束は守るためだけにあるんじゃない。あなたとアサナがした約束はただの思いやりであって。アサナが今、本当にそう思ってると思っているの。アサナはあなたの娘よねローズさん。』
あともう少し、頑張って。
『ローズ。母親は神様じゃないの。しっかりと心を持った大人だけど純粋な子供でもあるの。だから、自分の大切なものを守るために力を使うことは悪いことじゃないの。よく考えて、自分はなにものなのか。なにを守ってきたのか。』
『珍しい。あなたがそんなこと言うなんて。』
『なによ。ユリースお嬢様は私の失恋知ってるくせに!』
・・・
『ダメよ、緑!お願い!』
「よかったの、ローズ様。寂しい思いをさせない為っにお願いされたのに。」
「これでいいに決まってるじゃない。こんなこと頼んだのはやっぱりダメだったの。」
そして、その時扉が開いた。
扉にはサキが楽しみで仕方ないと言うのが笑るほどに。そして、最悪だった。
「え!です。退いてです。アサナ、アサナ!起きるですアサナ!」
「・・・」
「フッハハハッハハハ。ハハハ。」