第63話植物園地下その15 ゆかりと縁
二人が墓地のレストランを出口を出た。するとまた、幹が道標となり導いてくれた。
「あです、緑さん。」
「緑。」
「よかった。よかった。」
「ほら、そんなところでうずくまってないで行くわよ緑。」
そこで涙を流していてはユカリに会ったときのための涙が枯れてしまいますよ。
「アサナの言う通りです緑さん。こんなことで涙を流してよかったのですか緑。」
とり残された後、扉の奥を進み、脇道や分岐、別れ道もないただひたすらにまっすぐ進むだけの通路をただ進むだけでやっと見つけたと思ったけど違ったことにまた落胆していた緑。ユカリが見つかったと思ったのに・・・。
しかし、サキは見つけた最後の扉。
簡単に見つかった。レストランのあった場所まで戻ったサキの提案で……。
そこにレストランはしっかり書いてあった。
墓地レストラン。レンカ。
そして、緑の足跡が近づきその足跡を追いかけると見つかった。というよりは導かれた。緑ではなく茶色の幹によって。
「ここが雀さんの次の扉ですか。次は木の模様です……。」
「これで最後であるといいですよね。サキ様、緑。」
「最後の扉でいいと思います。お二方、ありがとうございます。お陰で会うことができるかもしれません。いいえ……。やっと会えます。」親友に……やっと……・・・・・・。
「今、行きます。待っていてください。」
・・・
緑はなぜこの城に勤めることにしたのでしょう。
鍵開けがこんなにうまいなら諜報員や盗賊になればよかったのに・・・。
そして、最後の扉が開いた。
「来てしまいましたか。緑、サキさん。アサナサン。」
「なぜここにいる三人の名前を知っているのよ。」
「……。」それは、一度あってるからです。アサナ。
「ユカリ……やっと、やっと会えました。あえて嬉しい。
もう、一度あえて嬉しい。やっと聞けます。やっと・・・。」
「なによ。それはどういうことよ!緑!そんなことして言いわけないじゃないのよ!」
「アサナ……焚き付けては……ダメです。動くのもダメです。」冷静になってくださいです。
「サキさんはこれがなにかご存知のようであります。」
当たり前です。ママはそれに撃たれて死んだです。
アサナもわかっているはずです。
「それがあなたの本当の姿というわけではないわよね緑。」
「これは脅すには簡単な道具であります。」
「簡単すぎです、そんなんじゃダメです。それは簡単です。・・・・・・。」
そうです、その道具は簡単すぎなんです。
「それを使ってしまっては原因はわからないです。」
「原因……サキさん。なんの話をしていますの。」
え!です。
「この国が今のようになったこと。それとも、ユカリがあのような姿になったこと。それとも、今拳銃を持っていることですか。」
そんなの決まってるじゃないです!
「・・・」
「答えないの。反則じゃない。」
「それは……です。・・・。」
アサナに腕を捕まれ言われた。
ご自分で言ったことをお忘れであるようですよサキ様。焚き付けてはならないのよね。
・・・それをアサナが言うです。
「違うわよ!そんなわけないじゃないのよ!緑……わかっているわよね。しっかりやるべきことをやりなさいよ!ためらわないでよ!」ここまで来た理由をやっと見つけたのよ。
「えっどういうことです。」
アサナは緑を見つめて涙を流していた。その体は緑とサキの間ではなくユカリとサキの間に立ち涙を流している瞳には悲しみよりも哀愁がなぜか漂っていた。
「黄緑たちは愚かだ本当に。」誰です。
「ここにあなたがいるとは驚きよ。カンレン。」
「黄緑たちは愚か者共だ。こんな世界になんの価値がある。我々は死ぬために生きているなど、ふざけている。ならば永遠に生きる価値はあるだろう。」
「だからですか、ユカリを実験体にそんなことをしたですか。」
「象だい、これは素晴らしい!永遠に続く死への牢獄から解き放つ架け橋となることだろう。象だい。黄緑たち一緒に行こうではないか。死ぬ恐怖のない素晴ら色世界へ。」
「ふざけるのも大概にしてください。それも……それも……ユカリの姿でふざけるじゃない!」
緑はユカリの体を持ったカンレンに銃口を向け引き金を引いた。
「やめてくださいです。」
「サキ様!」
サキはマリオネットを使い木々でユカリには玉が当たらないようにした。
「ダメです!緑さん!」
「邪魔しないでよ!私は、私にはもうこの方法しか思いつかなかったのよ。これ以外にユカリを救う方法はないの。邪魔するならあなたから殺す。」
サキはマリオネットをカンレンが入っているユカリを縛るために使い、サキは緑の前に立っているその前にはアサナが立っていた。
マリオネットでサキは自分を守ろうとはしなかった。
「サキ様。」ずるい人たち。もう、少しでもう少しだったの。
「緑、お願いがありますのよ。」
「……。」
「聞いていると思って言いますわよ。サキ様を殺すならその前に私を殺してください。お願いします。」
「ええ、そうします。サキ、退きなさい。アサナが死にますよ。」
「!」サキはやっと目を開けた。見たくないとはっと目をつぶったのはマリオネットを使った後だったからだ。
そして、今やっと目の前に立つ自分を守っていてくれる背中を目にするのだった。
「・・・」
「お願い、します。退いて、ください。サキさん。」
涙を流しながら引き金を引けないでいる緑。
「・・・わ……思うことがあるんです、だからダメです。
退かないです。そうしてほしいならです。それを渡してくださいです緑。」
沈黙が場を包む。
しかし、虫酸が走り嫌気がするほどの笑い声がその場に響くのだった。
・・・・・・・・・・
やっと見つけた。
・・・・・・・・・・
「ギャーー!羨ましいーー!」
突然だった。
それはサキに緑が銃を渡そうとしたときだった。
そして、この物語の終止符を打とうとしているサキの行動だった。
しかし、カンレンの、カンレンが入っているユカリの悲鳴がサキの覚悟をかき消した。
「サキこれ邪魔、どかしてください。」
「は、はぁいぃでぇすぅ!」
……サキ様、驚きすぎよ。
でも、真っ白になるのもわかりますよ。
そんなに決意した顔見たのは久しぶりでしたから・・・よね。
サキが能力を使い木々を退かそうとしたが木々がなかなか動かない。
まるで、この木全体である城自体を動かそうとしているようにだ。
「おかしいです。」
「サキ、まだ動かないの。早く退かしてしてください。」
「おかしいです。木々が全く動かないです。まるでこの城を動かそうとしているみたいです。」
「そんなことありえないの。でも、動かないの。」
「・・・」
どこかに動かすための糸口があるはずです。
「集中しているみたいよ、サキ様。本当にありえない物を動かそうとしているみたいよ。」
壁に張り付く力をより強くなったように見えたよ。
これじゃあ動かすのは至難の技よ。サキ様、無理しないでよ。
「諦めます。」
「諦めないです。絶対に諦めないです。」
「諦めた方がいいわよ。サキ様、これは誰かが邪魔して退かせないようにしているわよ。」
「アサナも言うですか。いいです。」
サキが木々を退かそうとするが木々はなかなか退かすことはできなかった。
それでもサキは諦めなかった。最後の力を振り絞り力を使うと……やっと退かすことができた。
そして、ユカリが見えるようになった・・・。
縦に真っ二つに切り裂かれていたユカリの姿を。
しかし、顔は斬られていなかった。
「キャーー!!」
「な、なにをしているのです!」
「やり過ぎよ。なにしているのよ。」なんでよなんでここにこの人がいるのよ。
「なにをいっている。これで、バカな弟は消え去った。」
「キン、キン、キンレン様……。こちらで……なにを……して……いま……す……の……。」
倒れそうになる緑を支えるキンレン。
「ユカリが……死んでしまいましたです……。」
でも、たぶんです死んでないです。
亡くなってしまったように見えるです。
ちょっと触ってみるです。
「・・・。かわいそうよ、キンレン。やり過ぎじゃないのよ。」ふふ、サキ様。ちょっと無邪気過ぎよ。
「そいつはカンレンだ。ユカリが死んだのならこの木々が茶色く変色し灰になっている。」
キンレンがそう言うと木々が茶色に変色した。
「!」
「それはサキ様の能力の力で生えた物よ。」
「そんな……そんなわけない!ユカリはまだ死んではいないはずだ。」
「ならです。最後を……看取ってあげるです。」
「縁起でもないことをいうな!」
「なにが縁起でもないですバカ言ってるじゃないです。もう・・・ユカリさん亡くなってるです!キンレンさん。」サキは視界が白くボヤけて倒れた。
しかし、アサナが支えたため倒れることはなかったが。
「サキ様の言う通りよキンレン。」
グーの音も出ないキンレン。
苦虫を噛み殺したような顔をして握り拳を血が出そうになるほど力んでいるキンレンの姿をアサナは見逃さなかった。
しかし、サキのことが気になり横にするアサナ。
緑とサキはユカリの死体の近くで横にされている。ものすごくかわいそうな状況である。
「思ったことがあるのよキンレン、なぜあなたがここにいるのよ。」
そんなの簡単です。ユカリを殺すように頼まれたからです。
「それは少し考えればわかるのではないか。」
「残念よキンレン。あなたがこんなことをするなんてよ。」
それは今言うべきことじゃないですアサナ。
キンレンさんなぜ今したのか気になりますのよ。
「しかも、あなたを愛しく思っていた人をあなたの手で裁くとは思わなかったよ。」二人とも殺して何やっているのよ。キンレン。
「やっぱりキンレンがユカリをやったですか。」
「・・・」
サキが不思議に発言したことに驚愕した二人。
緑は、ユカリの隣で眠っているのだった。




