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世界は一度終わっている  作者: 小松ちゃん
 第一章サキ様 2節 三か国の変化
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第11話 ヘデラ街


「・・・」


ヘデラの街を見たサキ達は息を飲んだ。



「な に も な い 。」

「おかしいです!」

「変ですね!平らですからね!なんにもないですね。」

「ここには街があったはずなのに!・・・。」


「ここに噴水がなぜかあって、その噴水の周りに家がたくさんあったはずなのに!今はなにもない。何でだよ!」




「ねぇ、パラレ。下、レンガだよね。」

「はい、レンガの地面ですねサキ様。」

「そうだよね…。」

「なぜかわからないね。サキ様。」

「そうですね。」






「ここは本当に入ってもいい場所なんだろうか……。」

クラノスは検問所のようなここから進んでいいのか悩んでいた。

縛られたまま置いていかれたが…。




「アサナ、ルディエル、パラレ。あれ見て!」

サキは東を見るように言った。


「なにもないですよ。サキ様。」

アサナはそう言ったが目を凝らして見ると人が一人見えた。


アサナ以外の全員も見えたらしく、「お~い!ここで何がありましたか~。」とルディエルがそのたった一人でいる人に聞いた。


「ゴゴデガッタゴドハマツリガガッタ。ソノマヅリデゴゴハダレモイガグナアタ。」


そんな言葉が聞こえた。

「なに言ってるのかわからないからもっと近くに来て行って下さい。」

ルディエルが言った。

アサナが「こちらに近づけないようにしてください。嫌な予感がします。」

「どうしたの。アサナ。変で…。……本当に嫌な予感がします。」


カサッ


サキは花を踏んだ。

タンポポのような草で四角い枠が積み重なったような、覆うような形をした白い花を咲かす花。

「変だけどきれいな花。」花を見てサキはそんなふうに思った。


ふと前を見た。

もちろん誰もいない。



東を見る。

あの一人でいた人はもういなかった。


「もういない、なんで。」

「サキ様、今のはなんでしょうね。」

「わからない。アサナに聞いて。」

パラレはアサナを見るとアサナは首を振り、「分からない」と言った。


「そう、でクラス様はどこにいるのパラレ。」

「クラス様。なんでクラス様なんですか。サキ様。」

「サキさん、クラス様だったら入り口で待ってる。」

「ありがとう。ルディエル。じゃあ、クラス様に ………。」


「・・・」


「サキ様。」

「え!大丈夫だよ。た ぶ ん …。」

続けて小さく、うん、大丈夫。とサキは言った。なぜならクラノスに今見たことを話すのはいいけどクラノスは見てないことが分かったからだ。


「そういえば、クラノスはあそこでずっと、入り口で意味深なこと言ってたね。どうしますサキ様。」

「ううん ……。待ってアサナ。」

「なぜですか。サキ様。」


「そうよ、本当に大丈夫よ。」

「あっ!はぁ。Dクラスだから、大丈夫なのか。……。サキ様。 聞きますか。」

嫌そうな顔をしてアサナは言った。


「え~と……。クラノスに聞こうアサナ。」

サキも嫌そうな顔をしていた。




サキとアサナとパラレとルディエルの四人は検問所らしき場所に戻って来たが、そこには……。


「ねぇ、あれ言ってもいいことですかね。」


「バカだったです。クラノスならこうなるって分かってたのに!」

泣きそうな顔をしたサキはそう口に出した。

「ええ、サキ様。クラノスは……、なくなったしまいました。ぅっうわーーーーーん。」

「アサナ泣くほど。それはえっとその・・・、ぅっぅっうわーん。ぅっぅっやだよ、クラノス死んじゃやだーーーー。死んじゃやだーーー。クラノスーーーー。ぅっうわーん。」

サキとアサナは嗚咽しながら泣いていた。


「ねぇ、サキ様。その…。言いづらいことなんですが・・・。」

続きを言おうとしたパラレをサキは睨み付けた。



「・・・」



「え! えーと、サキ様、アサナ。そんな風に泣いて下さるなんて……、なんてことですか。こんなに嬉しいことは生まれてこのかたありません。こんなにも嬉しいことなんて。」

クラノスは泣いていた。


「うるさい!クラノス!」

サキは泣きながら怒った。


「えっ!なぜその名前を。今・・・。」

クラノスは涙が止まって思考停止状態になった。


「あなたにたいして言ったことではないからです。クラノス様。」


「誰にたいして言ったことだ!ルディエル教えて下さい!いや、教えろ!」

ルディエルは泣いてた時とは一変した。



「死んでる人をよく見ればわかりますからクラノス様。」

とルディエルはクラノスに殺されると思い、教えた。



「・・・」



「え! ……。 誰ーー!」


「ルディエル!そのうるさい人止めて!」


「クラノス様。この方は、パンサスという方でナタレさんの友達であり、サキさんとアサナ様の二人とはよく買い物に言ってた人です。わかりましたか。」


「そんな仲だとしてもだと思うけどな。」


「そんなことないですね。クラノス様。サキ様とアサナ様は、特にアサナ様はこの人がパンサスさんがいたからこそサキ様に会えてね、ペルマム王国にいるのね。」


「どういうことだ、パラレ。」


「アサナ様は、この王国カルディオス王国出身だったんですね。アサナ様はここの爵位持ちの貴族の家に生まれました。

アサナ様にはお兄さんが二人いて1番下の末っ子だったんです。

そのお兄さん達に剣術や武術などの戦闘術を教えていたのが・・・。」


「このパンサスさんということですね。パラレ。」


「そうです、 ね。クラノス様。パンサスさんは、お兄さん達の真似をしていたアサナ様にも戦闘術を教えました。

そこの家主であるアサナ様のお父様に言われてね。

でも、アサナ様のお父様はそんなこと許してはいませんでした。

そうして欲しいと言ったのはアサナ様のお母様だったのでしてね。

アサナ様は熱心に戦闘術を覚えていたある日、お父様に見せに行きました。

そのあとはどんなことがあるかはクラノス様ならお分かりになられると思いますがね。」


「アサナは怒られてしまったのか。」


「はい、その通りです。

怒られたアサナ様は怒られてでも戦闘術をやり続けました。戦闘術をやめないアサナ様にしびれを切らし、アサナ様のお父様はアサナ様を殺そうと思い立ちました。

でも、もう屋敷にいる誰もアサナ様がどこに行ったのか知ったる人はいなくなっていたのですね。

しかもそれは一夜のうちにいなくなりました。いなくなれば好都合と思い、アサナ様ではなくアサナ様のお父様はそのあとアサナ様を探しませんでした。


その日翌日、ペルマム王国のとある教会に子供連れの親子のような二人がやって来ました。

その時の子供がアサナ様と言うことです。」


「パラレ。一つ質問してもいいかな。」

「いいですけどね。くだらない質問なら答えませんからね。」


「アサナは怒られたのに戦闘術を続けた… … … …、ならなぜ… … …。ここで死んでいるんだパラレ。」


「二つ質問してますね。一つに絞ってからにしてくださいね、クラノス様。」


「アサナはなんで怒られたのに戦闘術を続けたのだろう。」


「お母様が戦闘術を教えて欲しいと行ったと言いましたよね。なぜ娘にそんなことをさせたと思いますか。クラノス様。」


「殺したかったんじゃないか。」


「そんなわけないでしょ!

子供を夫から守りたかったから戦闘術を教えるようにパンサスさんに言ったわけですね。わかったでしょうね。」


「そうなんだな。アサナ様を殺そうと思う人だものな。そうなることもありえるな。ウンウン。」


「ねぇ、パラレ。なんでクラノスはうなずいてるの。」


「アサナ様の昔話をちょっとね。」


「あんなに頷くかな。それだけで。」

「うなずくところが多々あったと思ったからだと思うね。」


「クラノスになんて説明したの。」

「アサナ様に力を力を与えた人だねってね。」


「なら、大丈夫。たけど、あんなにうなずくほどじゃないと思う。」


「えっと、サキ様。あのひとは誰なんですかね。」

パラレはうつ向いて言った。


サキは空を見て、笑顔になった。

「あの人はアサナの恩人だよ。だから…、友人なんだ。」


「そうでしたのね。なら、友人を殺した人を探さないとね。サキ様。」

パラレは目に涙を浮かべるサキを見てそう口にした。



「うん、……そうだよね。…パラレ。」


「どうかしました。サキ様。」

「さっき見た人、どこかおかしいと思ったクラノス。」


「はい、先程見た方は亡くなっていましたから。ご冥福を。それが聞きたいのですか。サキ様。」


「あ!……。パンサスさんのことじゃないよ。カルディオスのヘデラの街の中に入りたくなかったのはなんで。」


「ヘデラの街の検問所の向こう側に入りたくなかったのは、………その、えっと、あれです!あれ!」

一本だけ生えていた木を見つけて指差して、サキ様の視線を変えて逃げようと思ったクラノスだった。


「そんな子供だましみたいな、あ!UFO。」

「「「え!どこですか!サキ様!」」」


「・・・」



「ハッ!こんなことで騙されるなんて。」


「・・・」


サキは目をパチパチしたり、目をこすったりして、珍しいものを見る目でクラノスとパラレ、

そして、アサナが驚いている姿を口を開けながらルディエルと見ていた。


「・・・。ま … さ… か…、アサナ様がこんな古典的なことに騙されるとは知りませんでした。

「ほんとうに今のアサナなの、なんか、普通の少女がいた気がしたけど。」

目が飛び出るほどのことを見たサキとルディエルはそんな評価を口にした。


「フッ。ハハハハハハハッ」

「「「ハハハハハハ。」」」

少し前まで泣いていた瞬間が嘘のように変わった瞬間だった。


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