第60話 植物園地下その13 アサナとサキ謝罪より
「お客様。」
「なによ。」「なんです。」
心配で店員が声をかけた。
特に・・・。
「ここでそんような顔されますとそのーえーと……。」
アサナが伏せてるのはこの場所レストランとしては大変だからだ。
お客様の二人とも特に片方のアサナは憤りを顔に出しており店員は失神しそうになるのを必死で耐えた。
そして、その感覚で目の前にいるのが通常ではあり得ないお二方だと理解したのだった。
「なんといったらいいのか……。」
「迷惑ってことよね。わかってるわよ。でも、出られないのよ。」
「そうでありましたか、ここからは出られません。この空間は昔からずっとある古株の場所でありますから。」
「アサナ、この店員さんなに言ってるです。」
古株って昔からあるってことですけどこの樹木は言うなら最近です。そんな風に表現するのはおかしいです。
「ここは、空操樹ができる前からある古株と言うことよサキ様。」
「そんなことありえるですか、アサナ。」
「ありえないわよ。ここは店員さんのいっている通り昔からここにあった場所ということよ。」
「なるほどですアサナ。それで本当に出られないですか。」
「はい、ここは生きているものが足を踏み込むことができない場所なのよ。なのに入っているのよ。出口なんてないわよ。」
本当に空操樹ができる前にこんな空間を作れる人が至って言うのよね。実際にあるのよね。不思議に思うわよ、でもよ、そう思い込んでいるだけなら・・・ありえないわよね。ここは昔に作られた王族の墓で間違いないのよね。今では特殊な空間になってそこでレストランをしているといったところよね。問題はなぜこの特殊な空間ができただけどあんまり気にしたって出られるわけないことがわかるだけよね。
・・・
「……あ……の……、店員……しゃん……。」
噛んだわよサキ様。
「なんでしょうか」
「ル……サ……ナ……元王子ってここにいるですか。」
「ルサナ元王子はいません。」
「・・・」まにうけたらかわいそうよ。店員さん。
「キンレン元王子ってここにいますよね。」
「います、呼んできましょうか。」
「いいえ結構よ。急ぎの用があるわけでもありませんから大丈夫よ。」
「そうでしたか……では失礼します。他のお客様がいらっしゃいますので……。」
こちらこそお忙しいのに申し訳ありません。
と言うアサナ。
店員さんにああいってもらったですけど良いのでしょうかです。
・・・
「あの……です、店員さん。」やっぱり早く外に出たいです。
「なんでしょうか。」
「ちょっとサキ様。どうしたのよ。」
通りかかった店員さんに話しかけるなんて成長を感じるわよ。サキ様。
「・・・店員さん。気になったです。扉開けてみてくださいです。」
「それは無理なことです。」
「どうしてですか。」
「扉に触れると幽体が崩壊して骸骨になります。」
え!です、骸骨・・・ですか。
「アサナ、骸骨になるって店員さん言ったです。」
「言ったよ。幽霊なのに骸骨になるのが怖いなんてどうかしてるわよね。」
店内にいる幽霊・・・ざっと百人。
その全員に睨まれるアサナとトバッチリでサキ。
「ウ、ウ、ゴワイデスーー!ゴワィーーです。アサナのバカ!です。もう出るです。この部屋嫌です。嫌です!」
視線が痛いどころか刺さるです。
というのも違うです。視線に斬られるですーー!アサナのせいですーー!アサナのバカーーです。
・・・
サキが落ち着いたのを見計らって咳払いする店員さん。
すみません、気を使わせてしまいましたと思い会釈するアサナ。
気になるです。「・・・アサナ、この人見たことないです。」
「そう。ないわよ。」
なんでこの人を見たことありますかと言う問いだと思ったですアサナ……。
なんでわかったですって顔してるわよサキ様、そんなに店員さん見つめていたらなにを聞きたいのかはわかりますよ。
もう一度咳払いをした店員さん。
「なんの……用よ。」
意外とこの店員さんも怖いわよ。
笑って威圧感与える人に比べたら優しいけど・・・ナタレとかナタレとかアキリンさんと言った方々よ。もうできたら会いたくないのよね。
特にアキリンさん。
いけないいけないのよ。
店員さんの咳払いで話をしても大丈夫なのかアサナを見る店員。
店員さんは話たいのよ。話を聞かないとよ。怖がったままだから話してくれないのよね。なによりサキ様に心配させてしまいました。
謝罪して店員さんに話を促すアサナ。
「骸骨になるのが嫌なのはそれは幽霊ではなくなり幽体が消えるからです。」
「つまりよ、あの扉を触ると幽霊は幽体……っていうのを失って消滅していなくなってしまいのよね、そして元の死体に戻ってしまうってことよね。」
「その通り。失礼なこと言う癖にそこそこ頭の回転いいのね。」その癖直した方がいいと思うわよ。考えるのもいいけど考えすぎると余計な疑問を解こうとしているのはアサナだったかしら。
あなた似ているように思います。
アサナでそこそこならダメダメです。アサナ、その顔バカクラスみたいで笑えるです。
と思うサキだった。
でもです、そこそこなのもわかるです。死体は物騒です。
墓に戻るぐらいでいいと思うです。
「でもよ。サキ様、それがどうか……し……た……のよ。っまさかよ!そんなことありえないわよ、サキ様!」
「そうです、変なんです。なんでです、この扉の向こうにキンレンがいたです。」
(なにいっているんだい君たち。ここにはレン一族はいないぞ。)
(あんたこそ、なにいってんだい!前の王と第一王子がここにいるだろ。あの親子はレン一族の今の世代であってるんだろ。)
「ええ、そうよ。」店員さんが返した。
(それでキンレンを呼んでほしいって言ったわけだ。)
私が言う言葉をワザワザ邪魔しないでよ。こいつ。
「はいです、聞きたいことがあるです。」
「キンレンの父親のゴドレンもここにいるはずよ。」
まぁゴドレンなんてどうでもいいのよね。
ここにはいないという店員たち。
・・・
「どういうことです。」
キンレンがここに入れたのです。
ここにキンレンの・・・がないです。コドレンさんもです。
「お聞きしたいのですがあなた方はなぜこの部屋に入ってきましたの。」
それは……。
「どうしてです。アサナ。」
……サキ様、なにをおっしゃっておりますのよ。
ふざけるのも・・・。何考えてるのよ私……バカクラスみたいじゃないのよ。今までの会話でそうではないと思ってましたよ。
今は・・・・・・ですよね。サキ様。
「アサナ、笑顔を振る舞うのはいいです。」
「そうですわよね。ここに来たのは先代の英雄にお会いしたいと思いましたのよ。でも、英雄公園の像を見て目的は達成しましたのよ・・・。そうよ、英雄に会いたかったのよ。ただそれだけよ。」
ねぇ、サキ様そういってフテキに笑うアサナ。
でもよ、どうしてここにサキ様はいるのよ。
なんて何考えてるのよ……不安だからよね……。
サキ様……。
そう思ってまた笑うアサナ。
ここで悲しそうな顔をし続けていてはサキ様を部屋からお連れして不安なのに心配させてしまったのよ。
なにしているのよ!
ここに来たのだって、わたしアサナとナタレ。……そしてサキ様本人の意志でここにはきたのよね。
それとここが本当の英雄の故郷なのか調べたかったということもあるわよねサキ様。
サキ様も、頑張っているのよ。頑張らないでどうするのよ!
しっかりなさいよ!アサナ!
そう思って自分の掌を見つめ握りしめるアサナ。
そのまま自分の顔を殴りつけようと思ったがそれは余計に心配させる行為だと踏み止めたが自分の頬をパチンと叩き自分に渇を入れることはやめることはできなかった。
そうよ、なにしているのよ!しっかりしなさい!アサナ。しっかりしないとダメよ、自分の部屋に閉じ籠ったら、またサキ様は自分の部屋に閉じ籠ってしまうわよ。
そんなことを繰り返すんじゃないわよ。なにやってんのよ。
・・・
そうよ。アサナ、頼まれたじゃないのよサキ様を。あの小さな手を守るって誓ったじゃないのよ。
あのときまでは国なんて多きするものを背負って、護ってきたつもりだったけど、そのためならどんな犠牲を仕方がないと割りきっていたけどサキ様の笑顔を何に変えても守ることができるならって捧げたあれは嘘だったことになるじゃないのよ。
サキ様を守るために今ここにいるんだからしっかり役目を果たさないといけないじゃないのよなにをクヨクヨしてんのよ。
早くサキ様をユカリに会わせるのよ。仕事よ、しっかりやりなさい。
・・・
気合いが入ったみたいです。
アサナはちょっと怒ってるみたいな顔の方がしっくりくるです。
うつむいて悲しそうにしているのはアサナじゃないです。アサナが戻ってきてくれた嬉しいです。
今までもアサナだったけどです。
「アサナ、大丈夫ですか。」
・・・
そうよアサナ。サキ様に心配なんてダメよ。
と30分ほどアサナは自分に気合いをいれていたクヨクヨしながらもうクヨクヨしないために。
安心させるのよ。
「アサナ、大丈夫ですか」
「はい、サキ様。サキ様の方こそ大丈夫ですか。」
「アサナが元気ないから声かけたのにそんなこと言わないでです。」
「元気なりましたよ。店員さんには悪いことしちゃたわよね。……サキ様、ここを出ますよ。」
そういって、サキを抱っこするアサナ。
「ちょっとアサナ、なにするんです。」
「サキ様を感じさせてくださいよ。」
アサナが変なこといってるです。怖いです、ひくほど怖いです。ア……サ……ナ……どうしたですか。
「誰かが泣いているです。」
「誰が泣いているのよ。」
アサナの頭を撫でながら、「アサナが涙を流しているです。」と微笑みながら言うサキ。
「泣いてないわよ。」
「泣いてるです。」「泣いてないわよ。」
「泣いてるです。」「泣いてないわよ。」
こういう所がアサナはダメなんです。だから、アサナは残念美人なんて言われるんです。