第58話 植物園地下その11 アサナの叫び
サキ、アサナ、緑。
この三人、一人一人に迫る大鳥。
大鳥とは10m、翼を含めると12mはある大きな鳥。
3人の目的は雀を捕まえること。そんなに大きいはずがない。
そもそもここは雲の上。ここに普通は飛んでこない。
つまり、絶望的。ありえないこと。
しかし、今飛んでいき上空を飛ぶ鳥も普通なら上空を飛ぶことはありえない。
そもそも飛ぶこと自体ありえないのだ。
エミューが空を飛ぶなどそれも上空を高々飛んでいるなどあり得るだろうか。
ありえないことだろう。これもまた絶望的。
そして、サキ達は雲の上に立っているそれもまた……絶望的。
かつ普通ではありえないことだ。
その不自然な現状を受け入れ、ここにいれば次の層に行きユカリに会えるかもしれないと思い雀を捕まえることに情熱を注ぐ緑。
この国に起きたこととユカリがどうなったのかが気になり水晶を見た。そして、ユカリが死ぬ運命を知ってしまったサキ。
そんなことが起きないようにするために緑の後をついていくサキ。そして・・・。
サキ様がなぜ緑の話を聞きユカリに会いに行こうとしているのか。この国で何があったのか知るために緑とサキの後をついていくアサナ。
そして、また一匹ずつ3人に大鳥が迫る。
アサナは翼側に回れば捕まえられると思い翼側に回ろうとするが大鳥も旋回し翼側にいけない。諦めずに動かず、くちばしがアサナの体を貫く直前にアサナは大鳥の翼側に回った。
捕まえることにアサナは成功したのだ。
緑は上に上がることに一生懸命な大鳥を腹を見せたときに捕まえることに成功した。
サキはただ見守っていた。捕まえれることは大きすぎて怖かったためにサキは諦めた。
捕まえたはいいがなににもなる気配がなくずっと持ち続ける二人。
しかし、次から次へと鳥はやって来る。
大きさがバラバラになった10m以下の鳥が百以上三人に迫る。
サキはただ見ることに決めた。
二人は武器を手にしているため武器(大鳥)を持って攻撃をしている。
翼を縛りくちばしも縛り足を持って攻撃していた。
悲しいことです……。
これがサキが諦めた理由である。
・・・
本当に百匹が通りすぎた。
上空には20匹、下にはまだ百匹以上。
サキも武器を手に入れたため攻撃を開始した。
サキの武器とは木の剣。つまり木剣。
鳥がサキに迫る。
あたったと思ったところを1m未満の鳥たちは一匹たりともあたらない。
小回りがきくために当たらないのだ。
後数センチのところで避けられるサキ。
そのことにやったと喜ぶサキ。
そして、それをただ見るだけのアサナ。
自分のことだけで精一杯なことと近寄れば邪魔であたってしまう。
このふたつの事柄があるため助けないでいる。
なにより前の扉、蟷螂とトンボがいた扉で見せたサキ様の能力があればサキ様は防御だけでも絶対に壊されることがないためしにことがない。
問題はここには植物がそんなにないこと。そうサキは思っている。
しかし、アサナはここには植物が満ち溢れているに決まっていると思っている。さもないとこんな特殊な空間にいることは不可能に決まっているからこそ、ここが空操樹であることが明白だからである。
よって、ここはサキ様の能力が完全に覚醒すれば……。
「緑どうよ。」みつかりませんよね。
「どうよってなんでありますの。」
「雀見つかりましたよね。」
「見つけてません。小さい鳥は捕まえましたがこれはメジロという種のようであります。」
「なぜ、わかりますのよ。種族なんてここにいてからずっと気になっていましたけどよ。」
「そんなこと簡単なことであります。」
「簡単なことといいますとどういうことよ。」
「これを知っています。」
「ああ、蝶の扉を開けるときに着けるようにあった指輪でありますよね。」
「そのとおりであります。その指輪であります。」
これが教えてくれたということなのよね。
なんのためにとも思うのよね。わざわざまよわないようにしなくてもいいと思いますのよ。
「降りて来ました。上空で旋回していた大鳥が来ました。気を付けてくだしい。二人とも。」
「噛んでるわよ。」それはいわないでください。
大鳥で殴って一匹捕まえた。
その一匹が機械で破壊されたことに驚いた。
いや、|驚愕≪きょうがく≫した三人。二人なのかはわからない。
サキ様が泣いているよ、どうしてそんなにそんな大鳥を思っているのよ。
それはどうなのでありますの。
鳥さんかわいそうです。・・・。
「鳥さん、死んじゃったですか、緑さん。」
「死んでいません。この鳥が雀であります。」
どうなっているのよ。どういうことでありますの。
どうしてこんな精密な機械がこんなところにあるのよ。
なぜこんな鳥が操っていますの。
それがここの願いが叶う場所ということよね。
しかし、ここの代償はそういうことでありますの。
なんてなんてことよ。
なぜでありますの。
緑は壊れた大鳥を見ながら見つかったことに驚愕している雀をどうするか考え始めた。
アサナはサキを抱き締めた。
「アサナ、どうしたです。」
「サキ様、ひとつだけお聞きしてもよろしいでしょうか。」
「なんですアサナ。」
「緑はユカリに会えますよね。」
はっとした緑。
「会えるです。」
そういって笑顔で笑うサキ。それを見つめるアサナと緑。
緑は引き込まれているのかずっと雀を見つめていた。
緑のわけわからない行動にどうすればわからず見つめあうサキとアサナ。
そして、雀が煙になり、鍵が床に落ちた。
鍵を拾い上げるとまた鍵を見つめる緑。
なにをしたいのかわからなずまた見つめあう二人。
そして、首をかしげたのだった。
入ってきた扉は勝手に開いていた。
なぜか入ってきた時とは場所が変わっていた。
雲の上に進む扉を右に曲がりまっすぐ進む。
扉を出るときサキは扉の奥にいると思われる人に言った。
そう思った理由はわからなかった。
しかし……「はい、さようなら。」
その声を聞き振り返った。やっぱり誰もいなかった。でも、どこかで聞いたような声だった。
それはサキだけが聞いたことではないことは前を歩く二人も振り返っていたから。
扉をまっすぐ進み、次の分かれ道で左に進んだサキたち。
次の分かれ道を右に進みまっすぐ進み。1キロは歩いたかなと思ったところで右に曲がる緑。
これまでになぜか幹を見かけることはなかった……。
そこにはキンレンが立っていることに驚くアサナとサキ。
100メートル程進んだ先に扉があるのをサキは発見した。
緑の悲しそうな顔をサキは見逃さなかった。
「キンレンがなぜここにいるのよ。生きていたのなら王になりなさいよ。」
「それは、幻想であります。アサナ」
この一言でサキはキンレンはもう死んでいるのだとわかった。
「何いってるのよ緑。キンレンが生きてるならそうなるべきでしょ。国民を安心させる責任があるじゃないのよ。」
「それは幻想であります。」
「幻想……そんなわけないじゃないのよ。
キンレンは皇太子なのよ。この国のそれにあなた……。」
「嘘よ……なんで、なんで幻想なんて言えるのよ!緑!私は緑やキンレンたち。この国の王族がその回りの使用人が好きだったのよ。」
涙ながらに訴えるアサナ・・・。
アサナの訴えに心を撃たれ、心を優しく抱き締められた緑は感謝を伝えるために言葉を発した。
「それはあなたが無関係な人間だから言える言葉であることをアサナ、あなたは気づいていないのでありますの。」
「緑さん。」
緑さんそこは幻想でありますでよかったと思うです。
わざわざアサナを煽らなくてもいいです。
「ええそうよ。無関係よ。でもよ、助けを求めたのはあなたじゃないのよ緑!友達に助けを求められたのだから助けたのよ。それを……。」
・・・
緑は困惑して涙を流していた。
そして、アサナもまた涙を流している。困惑して。
そんな二人にいつわって入ればいいのかタイミングが全くわからなかった。サキであったが今動き出した。
アサナの袖を掴み引っ張り言いたいことがあることを伝えるサキ。
わざわざそんなことしなくても名前をよべばいいだけなのだがなぜサキがその行動をとったのかはわからない……。
「アサナ……違う……です。キンレンさんは幻覚です。」
「嘘よ。なんで、なんで幻覚なんて言えるのよ。サキ様。
幻覚ならよ、こんな鮮明に見えるわけないじゃないのよ。」
「そうかもしれないです。でもです、緑が言いたかったのはそういうことです。」
「緑が言いたかったことって幻想ってことよね。」
・・・
「ごめんなさいサキ様。怖がらせてしまいましたよね。」
「アサナのバカです。先に言う人がいるはずです。」
「緑、すみませんでした。誤解したじゃないのよ。まぎらわしい言い方しないでよ。」
「そうでありました。そこは謝ります、アサナすみません。」
「いいわよ、勘違いしているのを訂正しないと言うのもどうかと思いますのよ。しかし、それは間違いじゃないからでもあると今わかったからいいわよ。」
恥ずかしい……勘違いしてもよ、なに口走ってるのよ私の口は……。
顔を赤くして笑顔で笑うアサナ。
「「ハハハハ・・・。」」
とサキと緑は笑うのだった。
「ちょっと笑うところじゃないでしょ。」
そうアサナに注意されるが笑いつづける二人。
「もうーー、笑わないでよーー。」
それでも笑い続ける二人。
そして、アサナも笑うのであった。
このままです、ずっと何も起きなければいいのにです。
そう願うサキ。とアサナと緑。
そして……。
そんなサキ達。