心が辛くなったなら
――あなたって、つまらない人ね
男の心に、小石が投げ込まれた。
その小石は、男の部屋の窓ガラスを割り、冷たい風が、部屋の中に流れ込む。
暫くすると、男は寒くて、どうしようもなくなってしまう。
彼は薄手のブランケットを羽織った。
――僕には、彼女に見せていない活動的な一面を持っている。
それを見せれば、彼女も僕を見直すはずだ。
しかし、薄手のブランケットでは寒さを完全に防ぐことは出来ない。
本当は、窓ガラスの割れた箇所を塞いでしまうのがよいのだが、
そうする為にどうすればいいのかを彼は知らなかった。
彼はもう一枚ブランケットを頭から被る。
――彼女は全然わかってないんだよなぁ。僕の事。
分かってない人に何言われたってへっちゃらさ
しかし、彼は体の芯から冷え冷えとして、全然寒気が取れなかった。
彼は、仕方なく電話をかけた。
「すいません……寒くて仕方がないのです。ちょっと暖房をつけてもらってもいいですか?」
「……わかった」
電話向こうの相手は不愛想な男で、彼は苦手としていた。
彼がそのままじっとしていると、部屋が少しだけ揺れ始めるのを感じた。
それは、暖房がかかる合図だ。
1人の男が深夜にジョギングをしていた。
その日あった嫌なことを忘れる為に。
――体を動かすのが、一番いいですよ。多分